ラブライブ!WEST!!   作:ガテラー星人

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パート4 墜落 ☆☆☆

『ようこそ花咲く新天地へ!

 ここは住之江 西のパラダイス

 愉快な出会いがきっとある!』

 

 歓声の中、既に身に沁み込んだ軽快なステップ。

 Westaのお笑い面を象徴する曲に、生徒たちはノリよく手拍子を送っている。

 入学式の時のタキシード風衣装に比べると、今回の衣装はあまり曲には合っていないが、四曲続けてやる以上は致し方ない。

 

 一曲目はつつがなく終わり、暖まった体育館で立火が声を張り上げる。

 

「みんな、今日は大勢来てくれてほんまおおきに!

 いよいよ全国に向けた挑戦が本格的にスタートや!

 スクールアイドルは在校生の応援が命! 切に切によろしく頼むで!」

 

 湧き上がる歓声の中、マイクは桜夜に切り替わる。

 

「新メンバーも入ってくれてんねんけど、説明する前にまずは見るのが一番やな!

 次の曲は『星明りの未来』! 一年生、カモン!」

 

 舞台袖から三人の一年生が飛び出し、メンバーの列に加わった。

 

「うおおおお! 姫水ちゃーーん!!」

(景子やかましいわ!)

 

 ちゃっかり最前列を確保している景子が、藤色のサイリウムをぶんぶん振っている。

 立火としては少し鬱陶しいが、盛り上げてくれるのはありがたくもある。

 再度マイクを受け取り、姫水の肩に手を置きながらの立火の声が響く。

 

「PV見てくれた人もいると思うねんけど、今日は姫水参加バージョンや!

 この日が初公開! お得やでー! ほな行ってみよう!」

 

 そして始まる正統派な曲に、体育館も順当に盛り上がった。

 

『もう迷わない 胸に決意を秘めて

 一人じゃないこと 今初めて気付いたよ』

 

”平凡な曲””普通のスクールアイドル曲”

 一部の人からそんな批判を受けた。夕理も今改めて歌うと、これではNumber ∞の大衆的な曲をどうこう言えないと思う。

 しかし、だからこそ自分らしい、自分にしか書けない新曲を用意したのだ。

 その審判まで、あと二曲……。

 

 

 拍手とともに曲が終わり、次へ行く前に自己紹介のMCが入った。

 

「まずはお馴染みのメンバーや! 初めて聞くでーって新入生は、名前だけでも覚えて帰ってやー」

 

 上級生たちが一人ずつ、ギャグも交えながら自己紹介する度に、客席のそこここから歓声が上がる。

 

「立火せんぱーい!!」

「桜夜ちゃーん!!」

「小都子ー!!」

 

(へー、小都子先輩も結構人気あるんやな)

 

 つかさが少し意外そうに、三年生に劣らない小都子への歓声に反応する。

 見た感じ、声を上げているのはほぼ友達のようだ。単純に交友範囲が広いのだろう。

 

「さーて、ここからはフレッシュなルーキーたちの紹介や!」

 

 部員たちの間に少し緊張が走った。

 入部順とはいえ、一番不安な夕理からである。

 少し前に出た彼女を、部長が大声で紹介する。

 

「まずは作詞作曲担当。頑張り屋の音楽少女、天名夕理や!」

「天名夕理です。真剣に取り組みたいと思います。よろしくお願いします」

 

 パチ…… パチ…… パチ……

 

 会場が一気に盛り下がった気がした。

 ぺこりとお辞儀する夕理に、友達は当然いないし、PVでもファンはつかなかったらしい。

 桜夜が表面上は笑顔ながら、内心では思いっきり毒づいている。

 

(こいつマジで不人気やな! 人気面では何の役にも立たへんやないか!)

 

 夕理は気にしているのかいないのか、無言で後ろに下がった。

 ちっとは笑えや、という声が客席から聞こえたのは気のせいだろうか。

 少し引きつった顔で、立火の紹介が続く。

 

「続きましては我が部随一のおしゃれさん! 遊びの達人、彩谷つかさ!」

「もー、なんすかその紹介。どーも、よろしくお願いしまーす」

 

 パチパチパチパチパチ!

「つかさー! ファイトー!」

 

 軽い挨拶にも関わらず、クラスや中学からの友達が声援を送る。

 そして前列左側から、いきなり大きな声が上がった。

 

「せーの、つかさちゃーん!!」

 

 つかさが視線を向けると、顔も知らない人たちだ。

 リボンの色からすると二年生だろうか。

 

(え、あたしにファンなんているんやな)

 

 驚きはしたが、悪い気はしないので笑顔で手を振っておく。

 振られた側は黄色い声を上げて喜んでくれた。

 

 そしていよいよ……

 

「この前の争奪戦から一か月、いざ満を持してここに降臨や!

 女優にしてスクールアイドル、藤上姫水!!」

「姫水ちゃああああああん!!」

「ひーすーい! ひーすーい!」

 

 景子はもちろん、一年六組の生徒たちも狂喜乱舞している。

 自らデザインした衣装を身にまとい、ステージ上のプリンセスは優雅に微笑んだ。

 

「転入したばかりの私がこんなに応援してもらえて、感激で胸が一杯です。皆さん、楽しんでいってくださいね」

『うおおおおおおお!』

(すっごい人気……)

 

 後ろから見ていた花歩も、あまりの迫力に気圧されてしまう。

 デビューのご祝儀的な反応もあるとはいえ、ここまでとは思わなかった。

 体育館の反対側にいる勇魚も、きっと喜んでいるだろう。

 一方で、あまりに人気の落差がある夕理が傷ついていないか、少し心配だけれど……。

 

「さーて、最高に盛り上がってきたところで!」

 

 夕理とつかさは舞台裏に下がり、残る四人の瞳には、何かが点火したような光が宿った。

 女神ウェスタの炎を得たように、立火のテンションも上がっていく。

 

「次は去年の地区予選曲や!

 結果は惜しかったけど、卒業した先輩たちの思いも込めて!

 あの時の大阪城ホールに負けないくらい、この体育館を熱くするで!」

 

 会場の上級生、そして昨年からWestaを追っていた一部の一年生が一気に沸き立つ。

 それ以外の一年生も、その雰囲気に今からの熱気を予感した。

 

「『灼熱のレゾナンス』! お前ら全員燃えてくでええええ!!」

 

 

 それからの1分50秒は、その日のライブが最高に盛り上がった瞬間だった。

 

『心に燃え上がる 赤く猛きフレイム!』

『フレイム!』

『今こそ叫べ 灼熱のぉぉ』

『ハイ!』

『レゾッナァァァーーンス!!』

『ハイ! ハイ! ハイハイハイ!』

 

(これやこれ! やっぱりライブってのはこうでないと!)

 

 桜夜は大喜びで、全力のエネルギーを込めて体を動かす。

 普段は地味な小都子や優美な姫水も、今はキリリとした顔で熱く叫んでいる。

 体育館内の全員が、高まるボルテージに一体化する中――

 ただ一人だけが、その流れに逆らっていた。

 

(私はこんな曲、音楽とは認めへん!)

 

 舞台裏の夕理は、拳を握りながら内心で叫ぶ。

 会ったこともない去年の作曲者には悪いが、感情的に盛り上がっているからこそ、これが正しい音楽とは思えない。

 

(ただのドラッグやないか! 歌詞だってそれっぽい単語を並べただけや!

 私は、私はこんなの……!)

 

 それでも、現実に観客は喜んでいる。

 自分の新曲は、この半分でも聞く人を動かすことができるのだろうか……。

 

(って、何を弱気になってるんや!)

(半分どころか、これに勝たな意味ないやろ! そうでないと予選を突破できひん……)

(大丈夫! 本当に良い音楽は、必ず聞く人の心を打つはず!)

 

 唇をかんでいる夕理を、つかさがじっと見つめている。

 駄目だった時に慰める方法を考えながら。

 

 

 曲が終わった後も、しばらく会場の拍手と歓声は続いた。

 立火が軽く手を上げ、ようやく空気が静まってくる。

 

「みんな、ほんまにありがとう! それでは次が最後の曲や!」

 

 ええ~~、という館内の声が心地よい。

 ここまでは、観客の心をきちんと掴めている。

 だが去年の曲でいくら掴んでも、前に進んだことにはならないのだ。

 

『もっと聞きたいでーす!』

「おおきに、気持ちは嬉しいで! 続きは来月のラブライブでってことで、今日はこの曲で締めや!」

 

 夕理とつかさが舞台に戻る中、立火の言葉が少し詰まる。

 あかん、と脳内の立火が自分にビンタを張る。曲名を言うのが恥ずかしいと、一瞬思ってしまった。

 

(後輩が頑張って作った曲やろ! それでも部長か!)

 

 すぐに躊躇を払い、意識的に大きな声で言った。

 

「”若葉の露に映りて ~growing mind~”!」

 

 何人かの生徒たちが『は?』という顔をする。

 すぐに曲が流れ出す。

 クラシックか合唱コンクールかというような、意識の高い旋律。

 腕を振り上げていた観客が、戸惑うようにその手を下す。

 

『若葉の頃 心かすかに芽吹きて

 留まる露に 我と我が身を映す』

 

 昔の歌人のような歌詞が、体育館を流れていく。

 パフォーマンスを始めながらも、最も客席を気にしていたのは夕理だった。

 観客たちはしん……としている。

 それ自体は別に問題はない。質の高い芸術を目指した曲だ。騒ぐようなものではない、けど……

 

(それにしても、反応薄すぎとちゃうか……)

 

 姫水の歌とダンスは完璧で、一年六組の生徒などは感激に目を潤ませている。

 その意味では、全く反応がないわけではない。

 だがあれは曲への反応ではなく、姫水のことが好きなだけだ。

 

 曲は中盤に差し掛かり、夕理の不安は増大していく。

 ちらりと見えた小都子の顔が、少し焦って見えたのは錯覚だろうか。

 ここの一節、改良に改良を重ねて自信もあったのだけれど、観客の反応は特に変わらない……。

 

(き、きっと聞き入ってるんや!)

(あの目を閉じてる人は、別に寝てるわけやなくて、真剣に聞いてるだけで)

(みんなが無表情なのは、笑うような曲ではないからで――)

 

 自分に言い聞かせながら、練習通りのステップを踏む。

 もっとライブに集中しようと、今さらながらに思い直す。決して反応が怖くなったのではなく、そもそも気にするのが良くないと、視線を外そうとしたその瞬間……

 

 夕理の目に、客席の一隅が映った。

 そこにいる女生徒は。わざわざライブに足を運んだ、ファンであるはずのその子は。

 ステージから少し目を外しながら、小さく口を開けて。

 

 あくびを、していた――。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 夕理の視界がガクンと下がる。

 自分の歌声は止まり、代わりに小さく叫んだ気がする。

 両手を床についたのと、足がもつれ転んだことを認識したのは同時だった。

 

(え……)

 

 愕然として床を見ている夕理に、立火が跳ぶように駆け寄ってきた。

 小都子の体も動きかけるが、タイミング悪く自分のソロパートのため何もできない。

 歌いながら視界の隅で、部長が夕理の傍にしゃがみ込むのを見ているしかない。

 

「夕理! 大丈夫か!?」

「は……い」

「怪我は!? 足くじいたりしてへん!?」

「大丈夫……です、ただ転んだだけで……」

 

 ひゅ、と変な息が漏れる。ただ転んだだけ?

 取り返しのつかない失態――!

 呼吸が苦しくなり、手が震える夕理の肩を、立火がぽんぽんと叩く。

 

「こんなのよくあることや。座って休んでてええで」

「い……いえ、でも、そんな……」

 

 立火が歌うはずだったパートを、桜夜が歌う声が聞こえる。

 こうしている間もライブは続き、自分のせいで立火が拘束されている。

 また転んだらもう救いようがない。大人しく引き下がるべきだ。

 

「いえ――」

 

 それが分かっているのに、反射的に夕理は立火の目を見た。

 皆がライブを続ける中で、失敗した自分一人が座っている光景を想像する。

 そんなの、許容できるわけがない!

 

「まだやれます! やらせてください!」

「……分かった。根性見せたれ!」

 

 二人が立ち上がる前に、姫水が立火の斜め後ろから飛び出し、前のセンター位置で踊り始めた。

 

(姫水!? 何で後ろにおったんや)

 

 もっと前からセンターにいなければならないはずだ。

 さすがの姫水も混乱するほど、酷い状況ということか。

 それでも何とか立て直そうと、立火と夕理はタイミングを見てライブに復帰するが……

 既に曲は終盤に差し掛かっていた。

 

 

 *   *   *

 

 

(夕理!?)

 

 つかさの目の前で、夕理が床に倒れた瞬間。

 何が起きたか理解できなかった。だって自分と違って真面目に練習していて、一番熱心な夕理が、どうして!?

 すぐに部長が駆け寄り、何かを話しているが、自分は何をすればよいのだ。

 初ライブでの重大トラブルに、いくら器用なつかさでも逡巡し、動きが止まる。

 その時だった――

 

 

「彩谷さん」

 

 

 耳元で綺麗な声が小さく響いた。

 つかさの左肩と右腕に、優しい感覚が触れる。

 

「ここは先輩に任せて、あなたはライブを続けて」

「え――あ」

 

 ここにいるはずのない姫水が、つかさの体を動かした。

 背後から手を添えて、社交ダンスのように床の上を動き、所定の位置までつかさを連れて行く。

 添えた右手を軽く繋ぎ、姫水はつかさの前面に出ると、くるりと踊るようにこちらへ振り向いた。

 

(藤上――さん)

 

 まだ動けずにいるつかさに向かって、姫水は優しく微笑んだ。

 大丈夫、と安心させるように。

 

【挿絵表示】

 

 二人の手は離れ、すぐに姫水はセンターへ戻っていく。

 

 それからのことは、つかさはよく覚えていない。

 そんなに真剣ではなかった練習だが、それでも身についていた記憶を頼りに、自動人形のように歌い踊り続けた。

 何が起きたのか、まだよく理解できないままに――。

 

 

 *   *   *

 

 

 パチパチパチ……

 観客も拍手していいのか困っている風で、互いに顔を見合わせている。

 

「以上、若葉の露に映りてでした!」

 

 空元気でも、立火はとにかく声を張り上げた。

 

「ま、少しトチったところもあったけど、ご愛嬌ご愛嬌!

 まだ始めたばかりの一年生なんや、温かい目で見たってや!」

 

 拍手の音が少し大きくなる。

 真っ青になっている夕理を、小都子が心配そうに横目で見ている。

 桜夜は最後まで笑顔でいようと試みるが、上手く笑えていない。

 そんな中で、夕理が一歩前に進み出た。

 

「わ、私からも一言いいですか……」

「お、何か言いたい? ええでええで」

 

 努めて平常通りにしようとする立火の前で、夕理はマイクを入れて、生徒たちに深々と頭を下げる。

 

「き、今日はほんまに済みませんでした!

 もっともっと練習して、二度とこんなことがないようにします!」

 

 皮肉なことに、今日一番の拍手が夕理に送られた。

 暖かい住女生たちが、口々に慰めと励ましの言葉を送る。

 

「ドンマイー!」

「頑張れー!」

 

 夕理の呼吸がなお苦しくなる。こんな声援が欲しいわけじゃなかった。

 顔を上げると、先ほどあくびをしていた人が、笑顔で手を叩いていた。

 あの人にとっては夕理の曲よりも、夕理が転んだことの方に心を動かされたのだ……。

 

 

 *   *   *

 

 

(夕理……)

 

 憔悴しきった彼女が、小都子に連れられて体育用具室に入っていく。

 立火も何かしたいが、今は小都子に任せるしかない。

 

「アンケートにご協力お願いしまーす!」

「ネットでも受け付けてまーす!」

 

 花歩と勇魚もショックだったろうに、気丈に自分たちの仕事をしてくれている。

 次々と体育館を出ていく生徒たちを見ながら、立火はつい祈ってしまった。

 アンケート、あまり厳しいことを書かれませんようにと……。

 

「おいこら立火!」

「ん?」

 

 考え込んでいる立火に、舞台を叩いて注意を向けさせたのは景子だった。

 

「姫水ちゃんに何曲やらせてんねん! 酷使するな言うたやろ!」

「してへんって! こいつ、どんな曲でもすぐ覚えられんねん」

「そうですよ、福家先輩」

 

 いつもと変わらない様子の姫水が、舞台から降りてくる。

 

「練習量は普通ですし、先輩たちは優しいですよ」

「ほんまにー? 立火にイジメられたらすぐ私に言うんやで?」

「人聞きの悪い……」

「あ、せっかくやからこのTシャツにサインしてもらえる? 『景子先輩へ(ハート)』って追記して」

「お前が酷使してるやんけ!」

「立火せんぱーい! 写真撮らせてくださーい!」

 

 一年生のファンたちが駆け寄ってきたので、立火もファンサービスに移らざるを得なかった。

 桜夜もノリノリで撮影会に応じている。

 姫水の前にサイン待ちの列ができる中、つかさの友達が何人かきょろきょろして、近くにいた晴に質問した。

 

「あのー、つかさはどこかへ行きました?」

「そういえば、さっきから見かけへんな。トイレやろか」

 

 小耳に挟んだ姫水が、サインを書きながら少しだけ眉をひそめる。

 

(お手洗いに行くなら一言伝えるべきでしょうに。いい加減な人ね……)

 

 

 *   *   *

 

 

(やばいやばいやばいやばいやばい!)

 

 ライブが終わるやいなや、こっそり抜け出したつかさが向かったのはトイレではなく。

 体育館の裏で、真っ赤になった顔を必死に押さえていた。

 

(何これ何これ何これ!)

(藤上さん……藤上さん、藤上さんっ……!)

 

 彼女が、助けてくれた――。

 

【挿絵表示】

 

 心臓の早鐘が止まらない。

 気を落ち着けようとしても、その度にあの綺麗な声が脳裏によみがえる。

 

『彩谷さん』

 

 全員の意識が夕理と立火に向く中、世界で二人だけ、姫水とつかさの間だけで交わされた会話。

 助けてくれた事実が、自分一人だけに微笑んだ表情が、強烈に心に焼き付いている。

 まるで王女様であると同時に王子様みたいな……。

 

(いやいやいや! 何を乙女みたいなこと考えてんねん!)

(あたしそんなキャラとちゃうやろ!? もっと擦れてて、恋とか愛とかどこか軽く見てて……)

 

 なのに今は、彼女のことで頭が埋め尽くされている。

 今まで目を背けながら、少しずつ積み重なっていたものが、とうとう爆発した感じだった。

 その場にしゃがみ込み、自己嫌悪が口をついて出る。

 

「あたし何しとんねん……夕理が大変な時に……」

 

 夕理と出会ってから三年、あの子がここまでのピンチに陥ったのは初めてだった。

 小都子がついているとはいえ、つかさだって友達として、何かできることはあるはずだ。

 なのに藤上姫水なんかに心を奪われて、こんなところで悶々としているなんて……。

 

 自分に腹が立つが、今はどうにもできない。

 とにかく、胸の高鳴りが収まってくれるのを待つしかなかった。

 

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