空の碧は全てを呑みこみ、それでも運命の歯車は止まらない   作:白山羊クーエン

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鉛色の意識

 

 

 

 強く焼きついているものがある。それは理想的な関係で、完璧な連携を示して見せた。

 それを自分に置き換えて、それを仲間に置き換えて、どうすればいいのかを考える。答えはまだ出ず、ならばそのための行動に移るのみ。

 

 思い描くのはかつて見たあの二人。自分にとっての難敵を一瞬で乗り越えて行った二人の奏でる、武の極致。

 そこに続く階の下にまで来たと感じられる今、立ちはだかる壁を乗り越える力の一つとなるそれを手にしてみたい。

 そう、これは夢。理想と言ってもいい、理想に至る力と言ってもいい。しかしだからこそ、これは確実に物にしなければならないものだ。

 

 

 そして決意は、決して空想ではない。

 

 

 

 魔獣事件から半月経った、ある朝のことである。

 

 

 

 

 

 

 空の碧は全てを呑みこみ、それでも運命の歯車は止まらない

 

 

 

 

 

 

 本日の支援要請の中に常とは異なる要請があった。それは警備隊タングラム門からの支援要請、新人の訓練相手を務めてもらいたいという内容である。

 警備隊でなおかつタングラム門となると彼らが思い出す人物は二人、警備隊副司令官のソーニャ・ベルツと警備隊曹長にしてフラン・シーカーの姉、ノエル・シーカーである。

 ソーニャは別にして、ノエルはその年で曹長の位におりランディもその噂を耳にしたことがあった。依頼者はソーニャであるので警備隊の副司令が直々に部下の相手をと推薦してくれたようなものなのだ。

 これは期待に応えるしかないと全員が思い、またその為に準備もする必要があった。タングラム門は東クロスベル街道のアルモリカ村との分岐点をそのまま直進した先にある。

 

 他、ゲンテンのウェンディからのエニグマに関する依頼。これはスロットやクオーツの関係上訪ねる必要があったので渡りに船である。

 そしてお馴染みの手配魔獣、今回の相手はネペンテスG、西クロスベル街道に出現したようだ。

「そういえば西クロスベル街道は奥まで進んだことないな」

 ロイドは呟く。依頼で何度かその街道には足を運んでいるが、その道の到達点には行っていない。魔獣がどこにいるかわからない以上徒歩で向かう必要があるが、せっかくだから足を運んでみてもいいように思えた。

「西クロスベル街道の終着点は警察学校とベルガード門ね」

「あぁ、俺の元職場だな」

 ランディが警備隊を辞めた理由を知っているロイドはランディの反応が気になったが、特に変化は見られない。気にしていないのかどうかは表面上ではわからなかった。

 

「警察学校ですか、ロイドさんの馴染みのある場所ですね」

 ティオが言うと、ロイドは頷いた。

「とは言ってもそこまでの道なりを知っているわけじゃないけどな」

 妙な言い回しだったので三人は首を傾げる。警察学校には間違いなくいたのに、そこまでの道には馴染みがないとはどういうことなのだろうか。

「俺は鉄道で一気に敷地内に入っちゃったから。それからは寮暮らしだったし、休日も特に出かけなかったから」

 余暇の全ては捜査官になるための勉学に費やしてきた。そんな彼はしかしそのことを言おうとは思わない。努力はしたが、それを他人に認めてもらう必要はないのだ。

 

「それじゃあどういう順番でやりましょうか」

 エリィが話を戻し、四人は口々に意見を言う。

 タングラム門の依頼は警備隊員の都合もあるだろうが、精鋭と謳われる警備隊員を相手取る時にどのような状態でいるのか。まず始めにゲンテンに向かうことは決定している。その後はどうするのか。

 

 話し合いは、話し合いと呼べるほどの時間はかからずに終わった。

「よし、行こうか」

 ゲンテンへ、次いで西クロスベル街道へと向かい、最後にタングラム門へ。セルゲイにソーニャへと連絡してもらい時間調節を行ってから四人は行動を開始した。

 

 

 ウェンディの依頼は、エニグマになったことでガラリと変わった導力魔法の一つである『ホロウスフィア』を試してほしいということだった。

 ホロウスフィアは幻属性の補助系アーツ、対象にステルス機能を付与する効果を持つ。属性値は風3・水3・幻5、十分上位アーツである。属性値が高い為、これはアーツの得意なティオに行ってもらう。

 スロットを開放してもらいクオーツを可能な限り嵌めるが、一度にそこまでつけて行動するのは危険である。故に今ここで試すことにした。

「ティオちゃん、平気?」

「問題ありません。戦闘中はちょっと辛いですけど」

 心配そうなエリィに普段どおり応えるティオ。現在ティオのエニグマには情報・鷹目・HP2・精神1・回避2が備わっている。

 エニグマを駆動し、光に包まれる。その光景にゲンテンにいた人間は皆視線を集め何事かとざわついている。ゲンテンの店長が頭を抱えるのが印象的だった。

 

「ホロウスフィア」

 詠唱が完了した後、ランディの姿が掻き消える。ロイドとエリィは息を呑んだ。

「すごい……」

「えぇ、本当に」

「ん? ティオすけは変わんねーな」

 一方ランディは自身にかけられたことに気づかず不思議がっている。しかし三人とウェンディの視線が自分のほうに向いていることを自覚するとゆっくりと移動を開始した。視線は動かない。

「俺かよ……」

 ため息を吐くと、全員の目が向いた。

「てかおい、これどうすれば戻るんだよ」

「時間制限です。あと15秒ほどでしょうか」

 その時間通りにランディは再び姿を現し、店内に喝采が響き渡った。

 

「とんだピエロだぜ……」

 注目されているにもかかわらずランディは不満げで、ロイドに宥められている。

「ちゃんと消えるみたいね。でもかけられた本人に自覚がないのはどうなのかしら?」

「あぁいや、なんかに包まれている感覚はあったぜ。ただてっきりティオすけが消えるもんだと思ってたから反応が遅れただけだ」

「本当? なら大丈夫か、うん、これで依頼は完了かな」

 ウェンディはそう言って笑い、また足元をごそごそと漁って一つのクオーツを取り出した。

「これ報酬ね」

「クオーツ? 幻属性みたいだけど……」

「うん、天秤珠って言うんだけどね。ティオちゃん、エニグマ貸して」

 ティオが差し出すとウェンディは既に開けられているスロットをいじる。何をしているのかとも思ったが、やがて返されたエニグマを見ると得心した。

「スロットの枠が外されてる」

「説明してなかったっけ、スロットは二段開放式なのよ」

 

 戦術オーブメントは何代か前からスロットは複数開放式になっている。今回ウェンディが行った処置がそれだ。それを行うとエニグマの内蔵する最大エネルギーポイントの上昇のほか、上位クオーツが嵌められるようになる。

「上位クオーツ。この天秤珠がそうなんだけど、他のクオーツよりも持っている導力が高いの。最高のパフォーマンスを可能にするにはスロットも初段開放じゃダメなわけ。だからもし嵌めるなら今開放したスロットに入れてね」

 天秤珠、幻属性の上位クオーツ。幻属性値5であり、攻撃アーツを使用した時に一定値EPが回復するというものである。

「これは上位クオーツの中では安全な部類のもので、身体能力が上がるわけでもないからすぐにつけちゃって平気よ。どっちかって言うとエニグマに負担がかかるものかな」

 とはいえそれでエニグマが壊れることはないそうで、それでも定期メンテは考えてほしいと言うウェンディ。四人としても親交のあるウェンディにやってもらうことは願ってもないことなので、折を見てエニグマをチェックしてもらうことにする。とはいえ最初のメンテの時にはスロットを全開放していたいものである。

 

 ウェンディの依頼が終了し、次は西クロスベル街道に向かう。中央広場から西通りへ向かうと、たまたま外に出ていたオスカーが話しかけてきた。何でもまた試作品ができたということだったので、何事もなければ依頼が完了した後にモルジュに寄ることを約束する。

 ランディとは違う男同士の交流にエリィとティオは何かを思い出したようで、穏やかな、なんとなく羨ましそうな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 西クロスベル街道を歩く。何度か通っているので既に遭遇する魔獣のデータは得られていた。この街道の特徴は虫系統の魔獣が多いことだ。

 東にもいたベルガ蟲と体色が異なるクロベルガ蟲とシロベルガ蟲、赤い眼をした蜂のようなブラックハンター、巨大なカブトムシのメタルビートルである。

 このほかにも陸上鳥類で鶏冠が高質化したオノクジャク、魔獣事件で無関係だったバイトウルフなどがいるが、どれもこれも既に四人にとってはさほど苦にならない相手である。

 元々このように日常的に見る魔獣はそこまで脅威ではないのだ。市外に出てそれなりの経験を積めば障害にはなりにくい。

 

「む……!」

 しかし、市外のどの場所でも見る稀少なはずのシャイニングポムだけは別である。

「今日こそは……!」

 ティオはこの魔獣を見るとやけにムキになった。二回目以降は四人で協力して追い詰めたりなどしたが、残念ながら撃破には至っていない。

 無害であるし放っておいてもいいのだが、最早この魔獣は実力試し用になっていた。

「………………」

 しかし今日も逃げられる。あれだけ輝いているのに見失ってしまうというのは何か仕掛けでもあるのだろうか。

「ティオ、頑張ろう」

「はい……」

 

 いつもの如く橋を渡り、均された道を歩く。西クロスベル街道の最大の特徴は大陸を横断する鉄道に沿っていることだ。少し歩くとその鉄道を一望できる場所に出る。

 尤もそれは走っていればの話で常のほとんどが空の線路を見るだけになるが、それでも鉄の馬が走る道には何かを感じずに入られない。

 それが大陸の血管のようなものだからだろうか、自分たちが国という巨大な生物の中の一つであるという実感が湧いてくる。矮小な存在であることを実感させられる。ロイドは頭を振り、その思考を止めた。

 

 さて、ようやくバスの停留所でもある警察学校とタングラム門との分岐点にまで到達した。ここまで手配魔獣と思しきものは確認していない。

「ロイド、どっちに行くよ」

 ランディはリーダーに尋ねると、ロイドはキョロキョロと辺りを見回して一本の棒を手に取った。

「じゃあこれ任せで」

「おいおい、捜査官としていいのか?」

「じゃあランディが決めてくれよ」

 ロイドは棒を落として言う。ランディは仕方ないという風に腕を組んで頭を悩ませる。

 

「んー、じゃまぁベルガード門にでも行くかっ」

 そう宣言して一人で先に行ってしまう。残された三人も後を追うが、エリィはロイドの隣に足を運んで小声で言った。

「心配性ね」

「そうかな?」

「そうよ」

「……そうかもな」

「お二人ともどうしたんですか?」

「なんでもないわ、ティオちゃん」

 エリィは足を速めティオの隣へと行く。ロイドは立ち止まって頬を掻いた

 

 

 ベルガード門への道を選択した四人はしかしすぐにそこまで到達することはなく、手配魔獣であるネペンテスGを発見した。イソギンチャクの巨大化した姿とでも言うのか、紫の体色に上から無数の触手を生やしている。それは触手を集めてまるで口のように筒を作り、矛先をゆっくりと変えていた。

「きしょい」

 ランディの一言、エリィもぶんぶん頭を振っていた。しかしでかい。ランディの身長は180リジュを越えているが、それすら凌駕する体躯である。

「確かネペンテスという魔獣がいたはずです。それの巨大版かと」

「それが同箇所に三体か、俺も嫌だな」

 生理的嫌悪感を抱かせるそれは正しく魔獣であり、また正しく手配魔獣である。遊撃士もこんな気持ちなのだろうか。

「とにかく倒そう、うん。なんとなく自分たちのためのような気がしてきた」

 四人は得物を手に取り、頷きあう。今まで以上の一体感を感じながら、一斉に飛び出した。

 

 ネペンテスGも気づいたのか、それでもゆっくりと向きを変えてくる。

 正面から対峙する前にロイドとランディ、さらにエリィの攻撃が三体を撃つ。ぐにゃりとした感触に顔をしかめ、ロイドは二撃三撃と連打、ランディも一撃の後回転して一撃と速攻をかける。

 エリィは照準を触手の集まった口に合わせ、体内へと撃ち込むように暗い穴へと銃弾を放つ。

 

 やがて完全に向き直ったネペンテスG、それに伴って三人は距離を置き、ティオはアナライザーを終了させた。

「火属性が弱点ですが、風も効くみたいです。体内から放つ煙のようなものは目潰し効果、そして一定条件での―――」

 ティオは言い終わる前にその感覚を覚え、思わず地面を見た。

「なんだ!?」

 三人も同様に下を見て、そして気づく。

「地震っ!?」

 視界が上下に大きくぶれ始めると共に凄まじい衝撃が全身を突き抜ける。大地は割れんばかりに鳴動し、たまらず全員が倒れ伏した。

「ちぃ、こいつらかッ! ってうおっ!?」

 ランディはメガロバットの時のようにハルバードを支えにして立とうとしたが、今回はメガロバットの比ではない。地面に向かって叩きつけられるような衝撃に全員は苦痛で顔を歪める。なんとかしようにもこの状況では何もできない。追撃に対して構えることもできなかったが、どうやらこの地震を発生させている間は魔獣も何もできないようだ。

 身体を執拗に痛めつける地震は急激に収まり、四人は痛みと震動に三半規管を狂わされてよろめく。そこにネペンテスGは口から黒い煙を吐き出してきた。

粉末ゆえに防ぎきれない。ロイドはそれを顔面に浴び、視界を潰された。

「く、一旦退避っ!」

 それでも口は動く。幸いにしてネペンテスGは動きそのものが遅いので、ランディはロイドを支え、なんとかある程度まで距離をおくことができた。

 

「ロイド、じっとして!」

 エリィが目薬を取り出し、座り込んだロイドの目に差す。

「一分待って、それで治るから」

 頷くロイドに笑いかけ、エリィは立ち上がって魔獣を見た。

「つぅ……」

 脇腹が痛む。表面的な痛みでなく身体の奥底が疼くような痛みだ。

 ネペンテスGは動かない。エリィは痛みを堪えて詠唱にかかった。碧の光がエリィを包み、脂汗を掻いた頬を撫でていく。

「ブレス!」

 螺旋を描いた光はエリィを中心として全員に降り注ぐ。範囲回復魔法ブレス。風属性の中位魔法である。ジオフロントでアリオスにかけられた魔法だ。

「ありがとう、ございます……」

「ふー、すまん」

 

「は、ぁ……」

 ティオとランディは礼を言って立ち上がり、エリィは頭に走った痛みを堪える。エネルギーの消費が激しいこの魔法は今のエリィでは精々二度で打ち止めだ。さらにそれを詠唱するエリィの精神的負荷も激しい。まだ一度目、しかし先ほどの地震は精神的なダメージも大きく、たまらず膝を着いた。

「ごめんなさい、私も少し―――」

「あぁ、ちっと休憩してろ!」

「後は任せてください」

 エリィとロイドを残し、ランディとティオはゆっくりと魔獣へと近づく。

「どうやら攻撃を受けたらあの地震を起こすようです」

「なるほど、つまりは一体に集中していきゃあいいわけだな」

「えぇ、地震を感知したら退いてください。どうやら範囲はそこまで広くはないようです」

 ティオは少し離れたところにある木々を見た。地震の影響か無数に葉を散らしているものと、全くもって健在なものの境目が見える。

「本体を中心に半径20アージュといったところでしょうか」

 

「あいよ、じゃあぶっ飛ばすとすっか!」

 ランディは駆け出し、ティオはアーツを唱え始める。ネペンテスGも待ちかねたように活動を再開した。エニグマを駆動しCPを削る。ハルバードの先端に赤い光が集まっていく。

「火、火、炎ってか!」

 ハルバードを回転させる。先端に集まった光が回転とともに炎となり、炎熱の牙を砥いでいく。最前の魔獣が口を膨らませ、煙を吹いてきた。

 ランディは突っ込み、そして左足で急ブレーキ。右足を踏み込んで跳躍すると、その高度はネペンテスGの上を侵略した。ハルバードを振りかぶり、炎が渦巻く。

「サラマンダァー!!」

 振り下ろしの勢いでハルバードから炎が飛び出していく。それは龍の形をとって、文字通りその牙で魔獣を襲った。

 

 上空からの炎龍の襲撃は直線状に並んだ二体の魔獣を貫く。最前のものはそのまま炎に包まれ何をするでもなく光に融け、後ろのもう一体は炎の中でその身体を天高く伸ばして耐えていた。

 まだ炎が消えきる前にネペンテスGは地震を発生させようと己の中にある属性値を融和させる。しかしそれが形になりきる時、追い討ちのように雷が貫いた。

「あと一体です……!」

 

 残るネペンテスGは煙を吐こうとランディに迫る。しかしランディは一気に後退、ティオの隣にまでやってきた。

「エニグマ駆動!」

 ランディはアーツの詠唱に差し掛かる。一瞬驚いたティオだが、しかしそれも妥当だと判断して同様に詠唱に入る。光に包まれた二人に必死に近づこうとした魔獣は、そこに到達する前に二つの魔法に打ち砕かれる。

「ファイアボルト!」

「スパークル!」

 炎と雷、その二つを同時に浴びたネペンテスGはその動きを止め、そして地震を発生させた。

「な!?」

「しぶとい!」

 ランディとティオは逃げ遅れ、再び全身を衝撃が襲っていく。

「はぁっ!」

 しかしそれはすぐに終わりを告げた。殺到する炎は震源を包み込んで燃焼させる。

 燃え上がる中七曜の光も同様に立ち上り、そこには焦げた大地とセピスしか残らなかった。

「すまない、遅くなった」

 アーツを詠唱したロイドが謝るが、それは先の止めの一撃でチャラである。三人は揃ってエリィを見やると、彼女は座りながらも手を振ってくれた。

「手配魔獣討伐完了、だな」

「エリィさん、大丈夫ですか?」

「えぇ、平気よ。休ませてもらったしね」

 エリィは片目を閉じ、ティオは微笑んだ。

 

「しかし、これから警備隊と訓練だってのに気の利かない奴だ」

 ランディが愚痴る。ロイドはまだ赤い目をしたままだ。

「でもなんとか倒せてよかった。あんな魔獣もいるんだな……」

 カウンター型の魔獣とでも言うのだろうか、攻撃に反応したときに別の行動をとる魔獣とは今まで対峙していなかった。その分苦戦を強いられたが、これで経験が一つ重ねられたことになる。

「深遠からの激震、というそうです。煙はカッフーネ。もっと早く言えればよかったんですが……」

 ティオとしては情報伝達が遅かったことに悔いが残る。いや、アナライザーの範囲が広くなればいいのだ。そうすれば事前に情報を取得できる。

 主任、どこにいるんだろう……

 ティオは自身の上司の消息が知りたいと初めて思った。

 

 

 

 

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