Re:ゼロから始める異世界生活 with 風神の白悪魔   作:月見草クロス

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人探し!!

「それで、そのエミリアさんを探せばいいのね?」

 

「そうよ。さっき言った通り銀髪で私より少し背が高いくらいよ」

 

説明された探す人はエミリアさん。

銀髪で見つかればすぐ分かるらしい。イマイチわかんないけど。

 

「でもなんでエミリアさんを探すの?」

 

「私がエミリア様の付き添いで王都に来たんだけど少し寄り道してたら見失ったわ」

 

「商務怠慢か!!」

 

仕事に関しても全くぶれないあたり、ラムがどれだけ自由な性格してるかがわかる。

 

「………まぁ、それは置いといて…………ある程度、居そうな場所とか分かってるの?」

 

「分かってないわ」

 

「おい!!」

 

こんなことをドヤ顔で言ってくるラム。むしろ恐怖を感じるのは僕だけ?

 

「お嬢ちゃん達、もしかして銀髪の少女を探してんのか?」

 

声をかけてきたのは………リンゴを売っている強面のおっちゃんだ。

 

「それなら………なんか探し物してたみたいだぞ。紀章かなんかを盗まれたそうだ」

 

「徽章…………分かりました。ありがとうございます」

 

「いいってことよ。あの二人には借りがあるんだ」

 

「………二人?」

 

ラムは二人という所に反応した。

確かにラムはエミリアさんは一人だと言っていた。

 

「なんか……黒髪で目付きが鋭くて……不思議な服装してたな……名前は確か………ナツキ スバルだったか……?」

 

ナツキ………スバル!?

これを聞けばわかる。それは僕の世界の人のはずだ。漢字で書くなら菜月昴あたりが妥当だろう。菜月も昴も聞いたことある名前だし間違えなくそうだろう。

 

「どうしたの?」

 

「いや………ナツキスバルって、僕の住んでた場所の人の名前なんだよね」

 

「そうなのね。ちなみにどこに住んでたの?」

 

「………東の国?」

 

「ここが一番、東の国よ」

 

そ、そうだったのか………

 

「それで、そこでどんな生活をしてたの?」

 

「それは………あれ?」

 

「…………どうやってここに来たの?」

 

「…………」

 

僕はここに来る前に自分が何をしていたのか思い出そうとした。しかし思い出せなかった。親の顔も、友達の顔も………覚えているのは日本での一般常識と自分がどういう人物なのかくらいだ。

 

「………記憶喪失みたいね」

 

「………そうみたいだね」

 

そんな話をしてると、リンゴ屋のおっちゃんが声をかけてきた。

 

「そろそろ帰ってもらえるか?商売の邪魔になってる」

 

「………あ!!すいません!!ありがとうございました!!」

 

「いいってことよ!!今度はリンガも買いに来いよ!!」

 

リンゴじゃなくてリンガなんだ………あ!!これを言っとかないと!!

 

「ちなみに僕!!男ですっ!!」

 

 

こうしてやっと、僕は前の世界での記憶が全くないことに気がついた。

 

「なんで思い出せないんだろ………」

 

「………思い出さない方が楽よ」

 

「そう………かな?」

 

記憶喪失について気になる。でもそれより今は………人探しをしてからでもいいだろう。大丈夫なはずだ。

 

「不思議ね……」

 

「なにが?」

 

ラムの突然発言に疑問を覚えた。

 

「………いや、なんでもないわ………どこにいるかは分からなかったわね」

 

「そうだね………でも何となく予測できたよ」

 

「………ほんとなの?変な推理して外したら容赦しないわよ?」

 

「怖いよ!!………まぁ、話すよ。盗まれて、その状態でリンガ屋に来たってことはまず犯人は見失ってる。そして盗みを犯すようなやつは基本的に路地裏とかにいそうだよね?でも流石に徽章なんか取ったなら近場には逃げないだろうしなんか………スラム街的なところに逃げたんじゃない?」

 

「スラム………?」

 

「貧乏人の集まった村的な?」

 

「………それならこの国の端っこにあったわね。行く価値も………ありそうね………ハァ………」

 

「そうと決まれば行くぞー!!」

 

「ハイハイ。分かったわよ」

 

「なんでラムの方が嫌そうなの!?」

 

「ハッ!!」

 

「鼻で笑わない!!」

 

そういう貧乏人の村に行くのが嫌なのか凄い顔をしているラムの手を引いて僕は進むのだった………道わかんないけど。

 

 

「ここかぁ………」

 

貧乏村はどちらかと言うと路地裏が延々と続いてる感じの場所だった。そしてそこで話を聞くと、そのエミリアさんとスバルという人は盗品庫に向かったそうだ。

 

で、その盗品蔵に着いたところだ。

 

「………気配はしないわね」

 

「とりあえず入ってみよっか?」

 

「………そうね。こんなところからは早くおさらばしたいし」

 

「ブレないね」

 

「ラムはラムよ」

 

「いやごめんちょっとわかんない」

 

苦笑いしつつ、扉に手をかけ、恐る恐る開ける。ちなみにラムは後ろについている。

 

開けると………真っ暗で見えずらい………

 

するとラムが鉱石のようなものを取り出して壁にぶつけた。すると鉱石が白く発光した。

 

「誰もいな………っ!?」

 

突然、ラムの発言が止まった。

そして1秒もしないうちに背中に温かい液体がかかった。

 

なぜか………本当になぜかだが、それが何かわかってしまった。

勘………などではない。それは感じたことがあるからこそな気がした。

 

ラムを見る気にはならなかった。見たくもなかった。

背中の液体を手につけて見ると、やはり………血である。

 

それを理解した瞬間、僕は不思議な感覚に陥った。

憎悪や怒りが心を支配し、意識は薄れてしまう。

体の自由が効かない。変だ。こんなに殺意が湧いてくる。

意識が赤く染まる。体は勝手に木刀を手に取った。

 

何が僕に起きた………死ね………こんなの………殺してやる………こんなの僕じゃ………僕じゃない(消えろ)!!

 

意識が消えかける中、突然、何者かがとんでもない速度で迫ってきた。

体は勝手に動き、そいつの攻撃を見ないで木刀で防いだ。そしてその流れでそいつを薙ぎ払った。

 

それは木刀の一撃だ。殺傷能力はかなり低い。

 

 

しかし、僕が最後に見たのは黒い女が血を流し、吹き飛ぶのと………ラムの見たくもない悲痛な顔だった。




予想の斜め上の展開では無いでしょうか(*`・ω・´)
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