加賀は落ち込んでいた。
勝機を見出した戦法がまるで役に立たず、真っ向から力でねじ伏せられた演習から一週間以上が経った今日。彼女の心は未だに雨模様だ。
全ての艦載機をエース機にできるのならば、なぜこの間までわざわざ出し渋る真似をしていたのか。真意のほどは分からないが、加賀はそれを赤城の手加減だと解釈していた。
いわば相手は将棋で飛車角を抜いて戦っていたような状態だ。そんな相手を追い込んで喜んでいたなんて…と。加賀は自らの浅慮をひどく恥じていた。
もとから悲観的なきらいがある加賀は勝手に想像して勝手に落ち込んで、を繰り返す。
吹雪や漣もそれを心配して声を掛けるものの、その言葉はどこか上滑りしていくよう。
赤城に追いつきたい。肩を並べたい。でもそんな背中が遠い…。加賀は布団で横になったまま何度目かもわからないため息を吐いた。
「加賀はーん、起きとりますかー?」
トントンと戸を叩く音と黒潮の声。加賀は寝たことにしようかと一瞬考えたが、不誠実な態度は駄目だと自分を律して立ち上がることにした。
1:20XY/01/22
なんかこの前の演習から加賀さんがまたよそよそしい(駆逐艦情報)
じゃけん安価しちゃいましょうね~
↓5
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
メビウス兄貴がボコボコにした日ですね(白目)
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
そら(あんだけタコ殴りにすれば)そう(なる)よ
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
比較的オーソドックスなSMプレイ
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
コブラツイスト
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
四の字固め
清楚マン:20XY/01/22
お茶会
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
>四の字固め
あのさぁ…
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
>清楚マン
外してんじゃねぇよバァカ!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
お前らは加賀さんに恨みでもあんのか…?
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
唐突な当たり前の暴力
1:20XY/01/22
乗るしかない 加賀さんのビッグウェーブに
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
言い方ァ!
加賀が戸を開けた先には黒潮は居らず、待ち構えていたのは赤城だった。
「失礼します」
「えっ…!?」
一瞬で組み付かれて布団に押し倒され、足を四の字に固められる。いつか腕を固められたことを思い出してとっさに首を守るが、追撃は無いようだった。
「悩み事がありそうなのでお話に来ました」
相手の足を四の字に固めるのが赤城流のお話スタイルなのだろうか。加賀は彼女の頭を疑った。
体を捻って顔を見てみればいつかのように困った顔。本当に困っているのか、それとも困ったふりをしているだけなのかわからない、独特なあの顔だった。
しかしそんな顔をされても困る、と加賀。今の状態で一番困っているのは間違いなく加賀本人なのだ。
それを知ってか知らずか赤城は言葉を続ける。
「きっとこの間の演習ですよね」
加賀はどきりとした。とげとげしくあるようで実は臆病な加賀は赤城にそれを知られることを恐れていたのだ。
普段から感情が顔に出にくいから隠し通せると思っていたのに。加賀は自らの不出来に絶望した。
秘密を知られるのは怖い。失望されるのは嫌だ。そう考えた彼女は口を強く結ぶ。
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
おーいい恰好だぜぇ
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
加賀さんの睨み顔怖スギィ!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
残念でもないし当然
1:20XY/01/22
この先の展開が思いつかねぇぜ!
思い立ったら即安価!
↓1
彩雲01:20XY/01/22
俺知ってるよ。このあとイチャラブエッチするんでしょ
彩雲01:20XY/01/22
安価近すぎィ!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
あっ…(察し)
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
(清楚イメージは守れましたか…?)
清楚マン:20XY/01/22
(守れませんでした…)
1:20XY/01/22
慰めるスレってそういう…(肝胆相照)
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
フフフ…〇EX!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
フフフ…S〇X!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
フフフ…SE〇!
ガーリッシュ名無し:20XY/01/22
やめやめやめないか!
ある日の朝。吹雪は加賀を見つけた。
赤城さんに相談した日から初めて顔をあわせる日だ。どことなく緊張した面持ちになった彼女は「おはようございます!」と大きな声であいさつをした。
「あら、おはようございます」
普通。かえって来た台詞は普通であった。つい最近まで「…そうね、おはよう」とか「…フゥ。おはよう」とか。どことなく素っ気ない印象の挨拶ばかりだったからそれが却って新鮮だった。
なんだかうれしくなった吹雪は加賀の手を握って歩き出す。少し驚いた顔をした加賀だったが、すぐに目元を柔らかくしてほほ笑んだ。
「悩み事は解決しましたか?」
びくりと加賀の体が固まる。
「…っ。知ってたの?」
「ええ、まあ。結構丸わかりでしたけど…」
「……そう」
どことなくしょぼんと肩を落とす加賀。あれで隠してたつもりだったのかと苦笑いする吹雪。
加賀は姿勢を正すとコホンと咳払いした。
「悩み事は解決したわ。『みんな違ってみんないい』んですって」
「ふわぁ!?赤城さんがそんないい事を!?それって偽物だったんじゃ…」
「足を四の字に固められながらね」
「あ、本人ですね」
「…ふふ。本人が聞いたらきっと怒るわね」
本当は四の字なんてものじゃなかったけれど。内心舌を出しながら加賀はちょっとだけ嘘をついた。