赤城さんの頭ん中   作:アサルトゲーマー

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ブッキー好きの人なら多分許してくれるやろ…(希望的観測)
赤城さん好きの人は許してください!ブッキーが何でもしまかぜ!


【速報】赤城氏、後輩ができる

 艦娘というものは二種類存在する。

 

 まずは純艦娘と呼ばれる存在。彼女は体や身に付けている物のすべてが霊体で出来ており、簡単に言うならば「ある程度神格化した触れる幽霊」である。神格化されているためか分霊を作ることができ、例え滅ぼされても再び召ぶことは難しくない。

 ただし、この場合の艦娘は例えるならゲームディスクとセーブデータであり、分霊の元があり続ける限りはセーブデータを作ることが出来るが、一度消えてしまったデータ(艦娘)を再び元の状態に戻すことはできない。

 それに主人公がランダムで作られるような個人差というものも確認されている。そのため稀にとんでもなく精強な存在や問題児が生まれることがある。今埠頭で黄昏ている赤城がその代表たる存在だ。

 

 次に半艦娘と呼ばれる存在。体のほとんどはただの人間と変わりないが体の一部、特に目や心臓、頭に強い霊体が発現することが多く、絶妙なバランスで人間と霊との間を保っている「生きているが死んでもいる存在」だ。

 彼女たちは二次成長期が訪れる前後から急激に成長が遅くなり、見た目が中学生なのに二十歳を超えているという事もある。

 半艦娘である者は軍属への道が用意されているが拒否することも出来る。しかし拒否せずに軍属につけば今の日本にとって破格の待遇が待っていた。

 赤城の背中を追ってきた吹雪は軍属への道を進んだ一人だ。

 

「赤城さん!」

 

 吹雪は赤城に向かって大きく叫んだ。埠頭で黄昏ていた彼女は吹雪の憧れの先輩であり、右も左もわからない吹雪にとても親切にしてくれた。

 それに話してみると意外と危なっかしくていつもフワフワとしている。そんな彼女が心配で、ベッタリくっついているのが吹雪のいつもの場所になってしまった。

 赤城はそんな彼女を好ましく思っているのか、いつもニコリとしていてたまにお菓子をくれる。

 

「どうしました、吹雪さん?」

 

 そんな彼女は埠頭でカップアイスを口の周りを汚しながら食べていた。

 台無しである。

 

 

 

 

 

 

 

 

1:20XX/09/22

 

 なんか吹雪っていう可愛い後輩が出来た。駆逐艦だってさ

 

 

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 あら可愛い

 

 

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 ええやん、気に入ったわ。(撃破数)なんぼなん?

 

 

1:20XX/09/22

 

 えーこちら撃破数0となっております

 

 

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 ゼロ!?うせやろ?

 

 

1:20XX/09/22

 

 まじ

 演習も実戦もしたことないペーペーの素人らしい

 

 

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 おれらの撃破数はどれくらいでしたか…(小声)

 

 

1:20XX/09/22

 

 艦載機ふくめないで言うと

 空母3

 戦艦2

 巡洋艦7

 駆逐33

 だったと思う

 

 

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 貢献してますねぇ!

 

 

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 まあ他の空母は俺らみたいなの飼ってないらしいしな

 

 

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 それマジ?じゃあどうやって艦載機運用してるんだよ

 

 

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 全部マニュアルとかじゃないんですかね

 

 

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 あかんこれじゃ忙しくて死ぬぅ

 

 

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 実際出撃後の加賀さんはぐったりしてますし

 

 

1:20XX/09/22

 

 それより後輩ちゃんが犬みたいで可愛いんですけど

 とりま安価で可愛がってやろう

 ↓3

 

 

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 相撲部屋かな?

 

 

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 三回だよ三回

 

 

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 一緒にアイス食べる

 

 

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 ほっぺたつつく

 

 

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 この加賀さんとの安価の差はなんですかね…

 

 

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 こいつらはロリコン、はっきりわかんだね

 

 

1:20XX/09/22

 

 こんなこともあろうかとお菓子はいつも携帯してるんだ

 

 

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 ブッキー!あったよアイスが!

 

 

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 でかした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に夕日を眺めませんか?」

 

 吹雪は赤城の提案に面喰った。夕方のこの時間になると必ずと言っていいほど食堂前でソワソワしている彼女がそんなことを言ったのだから。

 そもそも吹雪が赤城を探しに来たのも夕食の時間が近づいているからで、夕日を見に来た訳では無い。

 でも憧れの先輩の言葉を断ることも出来ず、吹雪は赤城の隣に腰を下ろした。

 

「むぐ……むぐ……」

 

 さざ波の音と共にアイスを食べる音だけが響く。甘いモノが食べたくなってきたなぁと赤城を見た吹雪の前には彼女が食べているカップアイスと同じものが目の前に差し出されていた。

 

「いかがですか?」

「えっと…その…?」

「欲張って沢山買っちゃったんですけど、食べきれなくて」

(絶対嘘だ……)

 

 吹雪は嘘だと思いながらカップアイスを受け取った。吹雪にとって赤城とは控えめに言って食欲魔神である。そんな彼女が食べきれないとかの理由で他人におすそ分けするとは思えない。

 カップアイスを握ったまま赤城の顔を覗いてみるとまた海を見ながらアイスを食べていた。

 ため息を吐きながらカップアイスを一口食べる。口のなかに少し溶けたバニラの味が広がった。

 

 

 

 

 

 

 

「赤城さんって不思議な人だなあ」

「何よ藪から棒に」

 

 夕食を終えて自分に当てられた部屋でゆっくりしている時のつぶやきがルームメイトの叢雲に届いてしまった事にしまったと思いながら今日の事を話した。

 

「どうりで食の進みが悪かったわけね。それと赤城さんはアイス食べた後であれだけ食べたワケなの?」

 

 ハァーと叢雲がため息を吐いた。赤城が食べているカップアイスとは容量500mlの大容量タイプである。これはお湯を入れたカップ麺と同量のサイズだと思えばその大きさがよく分かるだろう。

 そして吹雪が埠頭に座った時には既に空の容器が少なくとも5つは転がっていた。それを食べた後でどんぶり三回おかわりしてしかもデザートのイチゴパフェまで食べているとなるともう怪人である。

 

「そりゃ不思議よね。胃袋が宇宙にでもつながってんじゃないの?」

「いや、それもビックリなんだけどもっと何というか……他の人と違うって言うか……」

「? 何が言いたいのよ」

「わかんない」

「何よソレ」

 

 叢雲が吹雪の要領を得ない問答に辟易しているとノックの音が響いた。

 

「吹雪はーん、おるかー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1:20XX/09/22

 

 こちらスネーク。吹雪と仲のいい叢雲と接触するため駆逐艦寮に潜入した

 これより吹雪の部屋を目指す

 

 

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 さす蛇

 

 

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 円滑な人間関係を構築する先輩の鑑

 

 

1:20XX/09/22

 

 しかしさっきからチラチラ見られてるようなきがするんだけど

 

 

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 そら(ダンボール被った誰かが寮内を徘徊していると)そう(なる)よ

 

 

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 何!?ダンボールを被れば見つからないのではないのか!?

 

 

1:20XX/09/22

 

 こちらスネーク。吹雪の部屋の前に到着した。

 大佐!指示をくれ!

 

 

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 突入しろ

 

 

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 普通に入れ

 

 

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 ここは他の艦娘の声を使うってのはどうだ?

 

 

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 ルパン乙

 

 

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 声似てる駆逐の声…陽炎とか黒潮か?

 不知火は……ナオキです

 

 

1:20XX/09/22

 

 不知火はなんか怖いからね、仕方ないね

 これは後でバレても許してくれそうな黒潮で許してヒヤシンス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえてきたのは黒潮の声。部屋の二人は顔を合わせた後吹雪がドアの前まで行った。

 

「はい、いますよ!黒潮さん今開けますね」

「黒潮ちゃうで」

 

「……へ?」

 

 吹雪が驚きで固まっている間にドアが開いた。そこにいたのはニコニコとした赤城だった。

 彼女は懐からトランプや携帯ゲーム機の類を取り出して、

 

「さあお二方!今から一緒に遊んで親睦を深めましょう!」

 

 そう言い放った。

 ダンボールを被ってここまでやってきていた赤城はただそれだけでも注目を浴びていたのにここにきて変な発言を行った。それは駆逐艦たちから「赤城さんは変人」とレッテルを貼られるのには十分の出来事だった。

 

 

 ちなみにこのあと何だかんだ言いながらも付き合ってくれた叢雲と吹雪の三人でゲームをして親睦を深めたとかなんとか。

 なおこの後ゲームに熱中しすぎて大淀にお叱りを受けたのだがそれはまた別の話。

 

 


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