未知との遭遇
身体慣らしに女神化して空を飛ぶ。定期的に変身しておかないと勘が鈍るからこうしている。尤も此処には敵なんかいないから武器は持っていない。丸腰で飛んでいる。
「動作チェックとかしたいけれど、何処かでぶっ放す訳にもいかないし」
そんなことしたら大騒ぎになる。さてどうしたものか。今時、何処の国にも属さない土地もそうそう無いし。それっぽい土地である南極なんて寒いに決まってるから行きたくない。あともう一つは近場にあるが、流石に高校を襲うようなことはしない。少し前に仕留めた兎は、平気でしていたようだが…。
「まぁ、いいさ。帰ろう」
進路を公園の方角に向けようとした時だった。空に赤い物が見えた。燃えている。人工衛星か何かか?それか隕石か?見たところ石のようだから隕石だ。この軌道だと…、少々危ないね。簪ちゃんの高校の近くの海に落ちるみたいだ。
「できる限り、小さくしておこう」
軌道を逸らすのは流石に無理だが、隕石を小さくするくらいならできるはずだ。
戦闘用の装備を呼び出す。
索敵用のバイザーとシールド兼用の万能ライフル。これくらいで大丈夫だろう。ビームサーベルやレフなどは、多分必要がない。ロケット弾を撃ち込むのも悪くはないと思うが、破片が飛び散る事を考えるとライフルの方がいい。
バイザーで周囲の状況を確認し、人や建物がない方向と角度に回り込み、バレルの先端を展開してビームを発射する。ビームの威力を強めている以上、こうした配慮は必要だ。
「さてさて隕石は、4分の1は削り落とせたようだが……ん?」
バイザーから中心に生命反応があることが映し出されている。何かいるのか?
そう考えていると、隕石が爆散して中から蜂のようなものが出てきた。まさか巨大な蜂の巣か何かだったのか。だとしたらまずいことしたなぁ。蜂は苦手なんだよ。刺されたら痛いし。
「さて、どう来る……?」
蜂らしいからやはり針で攻撃してくるのかな。
案の定、針をこちらに向けて蜂が突っ込んできた。しかしこちらもただ見ている程、馬鹿じゃない。刺される寸前で躱して、バレルの両側に装備してあるブレードで尻尾を斬りつける。
蜂は針を斬り落とされて痛むのか、動きが鈍くなった。それでもこちらに体当たりを仕掛けようとしてきた。大したものだ。でも動きが遅けりゃ、こっちにとってはいいカモにしかならない。
「これでもどうぞ……」
ライフルの銃身を射出してクローに変形させる。蜂の胴体をそれで引っ掴み、握り潰した。思ったよりも簡単に倒せた。
「何だったんだ、一体。まぁ、いい。帰るか」
別に長居するつもりはなかったから。
「へぇ。彼奴、そんなに凄いやつだったの」
後日、公園にきた簪ちゃんから倒した蜂の正体が、世界中を騒がせている絶対天敵とかいうやつだということを教えてもらった。あれはそんなに凄いやつだったのか。あの後、さっさと帰ったから知らなかったが、なんでも現場は大騒ぎになったとか。なんでもISしか有効打を与えられないとかいう話らしいしね。でもISが展開された形跡がないことから、学園ではその原因を探るのに躍起になっていたとか。まあ、簪ちゃんは大体何があったのか検討はついていたみたいだ。でも私の事は、何があっても口に出さないようにしてくれた。有り難いことこの上ない。今度お礼しないと。
「久しぶりにあれでも引っ張りだすかね。何年も使ってないから埃被っているけど…」
多分、喜んでもらえるはず。
如何でしたか。
この子は他にも色々と武器を持っています。
ただISの世界では、諸事情からほとんど使っていません。