Smile   作:ヨザリイコイ

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簪さんの誕生日はいつなのでしょうね。


プレゼント

 道具箱から色々器具を取り出して機械いじり。久々に義手の修理以外でこういう事をする。

「えっと、確か部品は…、あったあった、これだ」

 簪ちゃんがそろそろ誕生日らしいからね。そのプレゼントを作ろうと思って塒でせっせと作業する。

 あの子が見たテレビアニメのロボットを、一つ組み上げて渡してみようかと。無論、ロボットと言ったって手で抱えられる小さなやつだ。寮暮らしならその方が良いだろう。駅前や観光スポットで見かけるような大きな物を渡したって、喜ぶかもしれないが置き場所ないしね。そもそもそんなもの作るお金も無いし。

「あのテレビまんがは、私もみたことあるしね。イストワールを修復した時に余った部品で、1号機を作ったら思いの外、良いものができたんだよな」

 息抜きで見たものが、意外なところで役に立った。一時の娯楽に過ぎないと思っていたのに、何が起きるかわからないものである。

 

 

 

 

 

 1週間かかってようやく完成した。もう誕生日当日だ。テストしたらまともに動いた。これで良し。後は届けに行くだけだ。

「イストワール。プレゼントは何か用意したかい」

「はい。問屋でお茶を」

「あの子もたまに抹茶のカップケーキ作るからね。中々いい選択じゃないか」

「では、行きましょう」

 あの子のいる学校の最寄駅までゆっくりと歩いて行った。

 

 

 

 

 

「さてさてモノレールなんて久しぶりに乗るねえ。しかしこれ以外に交通手段がないのも不便なもんだ」

 見ていて不思議に感じたのだが、何であんな所に学校なんか建てたんだろう。もしもの時、例えば地震にあったときとか孤立してしまわないか。船はあるだろうけど、壊れてたら何にもならんだろうに。

「まぁ、妙な連中が入り込めないようにしているのかもしれませんよ。海の上ならそういうことは難しいでしょうから。尤も簪さんのお話を聞く限り、役に立っているのかは非常に疑わしいですけどね」

「全くだ」

 モノレールは海の上を学園目指して進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

「あの男の子のおかげで、受付がどこかわかったのはめっけもんだね」

「結構入り組んでいるようですからね。それにしても、あの人でしょうか。簪さんの機体開発を手伝ったのは…」

「多分そうだろう。この学校、男子生徒1人だけみたいだよ。パンフレットに書いてある。おそらくあの子だろう」

 どうでもいいが、女の子を結構連れていたな。あれじゃ両手に華というよりむしろ花電車だ。尤も彼にはその気がないようだが。

 受付で要件を説明し、寮監さんにも話を付けてもらった。訳を話すとあっさりと通してくれた。まぁ、プレゼント渡しに来た人間に渋い顔するような野暮な人ではなさそうだったし良かった。

 

 

 

 

 

「簪ちゃん、誕生日おめでとうー。これー、プレゼントー」

「私からもです」

 2人でそれぞれのプレゼントを渡す。

 イストワールは小さな箱、私は少し大きな箱を渡す。

「これなんですか?少し重たいです…」

「簪ちゃんの知ってるものー。ちょっと古いものだけどねー」

 古いものなのは間違ってないし。

「こんなに大きな物、ありがとうございます」

「いいのいいのー。こんな形だけどねー、これくらいのことをする余裕はあるからー」

「そうなんですか…」

 暫くお喋りをする。久しぶりに会ったから会話も弾んだ。

 気がつくとそろそろ5時だ。そろそろ切り上げた方が良かろう。

「もうそろそろ切り上げようか…、名残惜しいが…」

「はい、また今度の日曜日に…」

 

 

 

 

 簪ちゃんが談話室を出て行った。あの子の気配が向こうに行ったのを察知して、徐ろに口を開いた。

「遠くで私達のことを見ているこの子のお姉さんらしき人。あんましやり過ぎるとますますこの子の心が離れてしまうよ」

 どっかから見てるみたいだし、忠告はしていこう。

「そんじゃ、バーイ」

 私も談話室から出て帰った。流石に消えるような真似はしない。危ないから。

 簪ちゃんは()()を喜んでくれるかな。

 

 

 

 

 

 

 

「中身は何だろう?」

 いーすんさんが渡してくれた箱は、抹茶と緑茶の缶だった。かなりいいやつだ。抹茶ケーキ用とお茶用かな。お茶請け用のぼた餅も一緒に入ってる。夕凪さんとイストワールさんの手製だろう。

「ぼた餅ねぇ。緑茶には合ってるね」

 甘いものが手に入るのは嬉しい。

「さて、こっちの大きい箱はと……、えっ⁉︎こ、これは!」

 大きな箱の中には緑色のボールみたいなものが入っていた。でもこれはボールじゃない。これは…⁈

「カンザシ、ゲンキカ?ゲンキカ?」

 ハロだ!何でハロが⁈

 取り出してみるとずっしりと重い。ドッジボールくらいの大きさはある。床に置くとそこらへんを転がり出した。そしてポーンと跳ねた。

「ハロ、ゲンキ、ハロ、ゲンキ」

「本当に元気いっぱいだね」

 まさかハロがもらえるとは思わなかった。これはとても嬉しい。アニメのロボットと寸分違わぬものが貰えるとは…。

 しかしあの人、よくハロなんて知ってたなぁ。

 

 

 

 




如何でしたか。
夕凪は義手を弄ってますから、多少の機械いじりはできます。
次回もお楽しみに。
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