ドールズフロントライン ~戦場を闊歩する鬼~ 作:クロギ・ヨシロ
夏コミには行った方も多いと思いますが、ボランティアの方も大変そうでしたね。
「どうして戦場に? 目的って何ですか?」
と刀哉の後を追うように部屋から出てきたカリーナが廊下にて悲鳴のごとく声を上げる。
「司令部に来る前からの目的が一つと、一〇〇式とかの人形たちを見て再確認できた感じかねぇ」
「それはどんな?」
「家族のために復讐すること。それと、これはカリンも言っていたことだが……」
歩みを止め、カリーナの方を振り返る。
「人形はかわいい、だろう?」
「ええ、言いましたね」
「それだよ。そんな存在の人形を出陣させて戦いに来た俺は椅子にふんぞり返っていいのかってね」
「それは……」
「確かに彼女たちはすでに軍事運用されているから仕方がないのかもしれない。けれど、この戦争の発端は人間だ。あの日、武装集団が工場を攻撃しなければ鉄血は暴走しなかったし、俺みたいな復讐鬼が誕生することもなかった」
そのセリフにカリーナは黙り伏せる。こればかりは正論で鉄血がなぜ暴走したのかを知っているのならばこの沈黙するという行動しかとれないだろう。
「それに彼女らはもう『兵器』じゃなく、『兵士』なんだ。俺は共に戦いたいんだよ」
笑って見せる。それで安心させるように、ただ死に征くのではないと言い聞かせるかのように。
「さてねぇ、みんなにも言っておかないと」
と、宿舎に足を運ぶのだった。
―――――
「というわけで一緒に戦場へ赴くことになった」
「許可はとってあるんですか?」
「あぁ、そこらへんは抜かりなく」
一〇〇式たちは心配してくれるらしい。いや、「人間だからとか」とか「上官だから」とかそういう類の心配だろうと思うが。
「それで、この柱は何?」
宿舎内にあった柱にはコンデンサと記されてあった。そこにカリーナの説明が入る。
「これはですね、宿舎の拡張とか司令部のエネルギー補充に必要なバッテリーを精製するコンデンサですね」
「おぉ、こんな装置が……」
「ちなみに、これで犬や猫も飼育することができますよ」
「なにその謎設備」
バッテリー、バッテリーねぇ。と少し考えて、いけるかな? などとつぶやく。
「ちょっと荷物とってくるか」
「荷物ですか」
「そうだねぇ、俺が唯一持ってきたアレ」
「あぁ……」
とカリーナだけと会話が成立し、一〇〇式たちは何を言っているのかわからないようだった。そんな中、刀哉は宿舎をあとにして自室からアタッシュケースを持ってきた。ドックタグ代わりのカギを首から外しアタッシュケースを開ける。
そこには一本の柄の長い居合刀とダイヤル方式の機構が付いた装甲板。そして、複数本の小さい筒が入っていた。
「これで戦うんですか?」
と一〇〇式は問う。当たり前だ。軍用で作られた鉄血の人形ならともかく、ただの人間が剣で戦おうなど無謀にも程がある。たが、刀哉はニコリと微笑みながら答える。
「そうだよぉ。実に日本人らしいだろう? 俺は銃だと10メートルくらいでやっとまともに当たるような腕前でね。どこの戦場も刀と共に闊歩したものだ。これまで生きてこれたのは運がよかった、のかねぇ」
「なんで剣なんです? 消音器をつけた銃ならある程度隠れて攻撃できると思うのですが……」
とカリーナは疑問を呈する。
「俺の父が刀匠でありながら剣術家でね。戦争が始まる前に死んじまったけど、十二になるまでは剣を教えてくれてたんだよ。それのせいか、剣の方が落ち着いてね」
なるほど、と周囲はうなずく。納得されてもいいのだろうか? とか思ってしまったが構わないこととする。そんな中、一〇〇式は口を開く。
「ちなみに、この筒はなんです?」
「ん? ああ、戦闘の時に使うバッテリーだよ。これから、これの充電するために出入りすると思うからよろしく」
充電しながら内容物を組み立てる。装甲板に太刀の鞘をはめ込む。柄と装甲板の持ち手を持つとちょうど抜刀術の持ち方に近い保持の仕方になる。
そうして、胸ポケットからタバコを1本取り出し指で弾く。すると、人形の優秀な動体視力を以てしても『不可視』と言っても過言ではない居合いにて宙のタバコに三太刀入れていた。
それに周囲は酷く驚く中、刀哉は余裕そうな顔で呟く。
「うん、いつも通りだねぇ」
武装関連の感覚を確かめた後、バッテリーを取り出す。
そんな刀哉の様子を眺めながら一〇〇式は考えていた。指揮官が私たちと共に戦場へ並び立てるのかを。答えは否定。超絶的な技量を持っていたとしても到底そんなことはできない。
でも、それでも、指揮官に言われたように後悔しないために努力しないといけない。指揮官の副官としてちゃんとやっていけるように。そして、守れるように。
刀を用いるのは元々決まっていた事です。
主人公に銃を持たせても良かったのですが、ドルフロキャラと被ると色々と面倒そうだったのでやめました。