胡蝶は舞う   作:チェルシー+

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約二週間ぶりの投稿…
遅れてホントにすみませんでした!
斬魄刀の能力をあれこれ考えて自分なりに納得のいく
ものにしていたら気づいたら結構かかっちゃってました。

てか、過去編読み直してたらこの作品との齟齬が
ヤベェことになってました。でも、修正もめんどいという…
どうしましょうかね?(*´∀`)♪


はじめてのにんむ 3

「『裂き誇れ 蝶舞』!!!」

 

蝶舞を解放すると斬魄刀は虚空に溶け、その代わりに湊を中心として途端に濃い霧が立ち込め始め、周辺の木々はおろか相対していた虚さえも呑み込んだ。

 

何も知らない者が見れば何の変哲もないただの気象の一つである霧。しかし、その霧は全て湊の霊圧によって生み出されている。それはつまり、霧の中は湊の独壇場ーーー主人公が敵を打ち倒す舞台へと成り変わる、ということに他ならない。

 

◇◆◇◆◇

 

虚は辺りが霧に包まれたことに対して意に介した様子はなく、愚直なまでに攻撃を繰り出そうと右足を踏み込み、振り下ろす。が、当たるギリギリのところでふらりと避けられる。虚は再度斬撃を繰り出すが、避けられる。そんなことが先と合わせて数度繰り返され、目を閉じ霊圧を高めることに努めていた湊はおもむろに目を開いた。すると、湊の霊圧が爆発的に高まり次の手を切った。

 

「『儚導(ハカナキシルベ)』!!」

 

湊がそう口にした瞬間、刀を振り下ろしきろうとした虚の腕は鎌鼬にでもあったかの様な数多の裂傷が生まれ、勢い余って左肘から先を落とし、虚自体は突如発生した竜巻に巻き込まれ吹き飛ばされていた。

 

「今この瞬間、この霧が立ち込めている空間は俺の舞台だ。端役は精々キリキリ踊ってな」

 

湊はそう言い放つと、追撃を加える為に虚に追いつつ、始解に加えて『儚導』を使ったことで少し過去のことを思い出していた。

 

◇◆◇◆◇

 

ーーーそれは半年前、つまり蝶舞の名を聞き出してから二年と半年経った頃まで遡る。

 

いつものように刃禅を行い、自らの精神世界へと行き、蝶舞との修行を終えて何とは無しに話している時のことだった。

 

「ときに湊よ。お主、妾の正確な能力は把握出来ておるのか?」

 

「なんだよ、藪から棒に。蝶舞の能力つったらあれだろ?始解と同時に斬魄刀の代わりに霧が出て、それを纏えば身体能力が上がるし、打撃した時に開放したらすげぇ強い風を吹かせたり鎌鼬みてぇに使えるとかそんなとこだろ?」

 

湊は己の知りうる蝶舞の能力について余さず話した。すると、蝶舞は続きを促してきた。

 

「ふむ、他にはどのようなものがあるかの?」

 

「え、そんなもんじゃねぇの?」

 

湊は素直にそう口にすると蝶舞はどこか呆れた表情を作りながら言った。

 

「そうか。お主にとって妾はその程度の能力しか持たぬものじゃと思われとったのか」

 

「な、なんだよ。そこまで的外れな事は言ったつもりはねぇんだが…」

 

「確かに間違ってはおらん。しかしじゃ、妾を解放して生まれる霧はその程度の能力しか持たぬわけがなかろう?霧は言わば下地のようなものじゃ」

 

「つまりはなんだ?霧を出すのは前提条件だってのか?」

 

「然り。湊、お主が妾を用いた戦闘をする場合、始解をすることが他の死神にとって抜刀する程度のものじゃ」

 

「ん?つまりどういうことだ?」

 

「少しは自分で考えんか。つまりはお主にとって霧を展開することはそれだけ基本的なことじゃと言っておるのじゃ」

 

「なるほどなぁ。ん?でも待ってくれよ。それが基本って言うなら応用もあって然るべきなんじゃねぇの?」

 

「うむ、当然じゃな。珍しく的を射たことを言うではないか。褒美ついでに見せてやろう。これが妾の技、『儚導』じゃ。この技の能力はーーーー」

 

◇◆◇◆◇

 

虚を追いつき、駆けてきた勢いを乗せた『風車』を仮面めがけて放ち、更なる追撃とばかりに虚の全身を鎌鼬が襲った。

 

湊と虚が動き、空気を掻き乱すごとに虚の体には裂傷が生まれた。

 

それはさながら湊という主役と、虚という引き立て役の織りなす舞台。湊が舞えば、虚は裂ける。虚が舞えば、湊は避ける。そんな舞台が虚が倒れ伏すまで続くのだった。

 

「冥土の土産に蝶舞のことを教えてやるよ。蝶舞の始解の能力はただ単に霧を展開して内部の動きの完全把握っつうもんだ。が、『儚導』を上乗せすることで一気に様変わりし、力学系の変化を引き金とした事象の強制発動ってのを加える。細けぇことは置いといて要点を掻い摘んで言うとまぁ要は、蝶の羽ばたきは竜巻を起こすってことだ」

 

◇◆◇◆◇

 

湊と虚の舞台が繰り広げられている場から少し離れた、湊の霧の及ぶことのなかった場所。そこには三つの人影があった。

 

「ひゃあ、新人君とは思えへん身のこなしやね。あれで二十席やゆうんやから末恐ろしいわぁ」

糸目の男はそう言うと口元を吊り上げ笑った。

 

「そうだね。彼の実力には目を見張るものがある。それに彼の能力は中々面白いね。それに実に彼向きだ。このままじゃあの虚が倒されてしまうのも時間の問題かな?」

 

そう言いながら口元にうっすらと笑みを浮かべる男に、盲目の男は反応を見せた。

 

「一対一ならばそうでしょうが、一対多ならその限りではないでしょう。残りを向かわせるべきかと」

 

「正直、通常の隊士だった魂魄にはあまり期待していないが。そうだね、せっかくだし残りも出して彼の実力を測ろうかな」

 

優男のような雰囲気を纏った男はそう言うと

側に立っているだけであった三体の虚を解き放つのだった。

 

◇◆◇◆◇

 

湊は圧倒的な優位に立つも、先程の失態が堪えているのか決して油断することはなく、確実に虚を削って行った。

 

「おら!これでトドメだ!」

 

そう言って腰の回転をしっかりと使った突きを虚の仮面めがけて放ち、遂に勝利をその手に収めたのだった。

 

「ふぅ、虚を確認する程度の任務だと思ってたってのに、貧乏くじ引かされた気分だ。周り確認して帰るかぁ」

 

序盤は少し空回ってしまったが、全体を通して見ると概ね悪くない結果であった戦闘を終え、周辺を確認し終わると、始解状態から斬魄刀を解き、帰投しようと帰路に足を向けた直後だった。突然、つい先程まで舞台を繰り広げた虚と同質の霊圧が三つ分湊を囲むように現れた。

 

「なっ!何処から湧いて出てきやがった!」

 

一瞬で戦闘態勢に入り、再び斬魄刀を解放するために右手を後ろ手に回し、引き抜きながら解号を口にし、続けざまに「『儚導』」を発動した。

 

「『裂き誇れ 蝶舞』!」

 

すると先程と同じように斬魄刀は虚空に溶け、代わりに霧が立ち込めた。そしてそこはまたしても舞台となった。居るはずのない蝶が舞う舞台へと。

 

◇◆◇◆◇

 

三体の虚に囲まれてた湊であったが蝶舞の能力である霧の内部の完全把握によって、数の差によって生まれる死角の増加などの問題はさして気にすることは無かった。それにより湊は、各虚を確実に削り、着実に勝ちへと駒を進め、遂に残り一体となっていた。

 

「手間掛けさせやがって、テメェらの戦い方といい、これまでの任務でいなくなった先輩達の人数との一致といい、怪しさ丸出しじゃねぇか。さっさと片付けて報告しねぇとな」

 

そんなことを言いながら最後の一体にトドメを刺した。合計で四体の虚を倒した湊は先程よりも注意深く周囲を確認し、終ぞ後続が出てこなかったことで、今度こそ帰路に就いたのだった。

 

◇◆◇◆◇

 

(霧の内部の完全把握か…。あの子ならこの人にも通用するんやろか)

 

貼り付けた笑みの裏でそんなことを考える蛇のような男。

 

「やはりあの虚達では相手としては不足だったようだね。次の虚はもっと手の込んだものにしようか」

 

自ら作り出した虚を打倒されたにも関わらずさして悔しそうな表情は見せず、ただ次は、という優男。

 

「………」

 

無言の裏に様々な感情が渦巻いている盲目の男。

 

三者三様の男達はその場を後にするのだった。

 

◇◆◇◆◇

 

そこは二番隊の隊舎。数刻前に任務へと赴いた弟子がどうしても気にかかりソワソワとしている猫のような女性が一人。あからさまな態度には出さないものの明らかに平時とは様子の違う研究者然とした男が一人いた。

 

二人はいくら実力があっても経験の全くない新人には荷が重い任務を任せてしまったことで、「本当に良かったのだろうか」というような感情が頭に過ぎり、遠方にて見知った霊圧が高まりを見せる度に無事を祈っていた。そして、遂に待ちに待った人物ーーー薄羽 湊が二番隊隊舎へと帰投してきた、その瞬間だった。

 

「おーう。ただいまー」

 

そんな気の抜けるような声で建物の中へと入ってきた湊目掛けて夜一は飛びかからんばかりの勢いで身を寄せた。

 

「湊!無事じゃったか!」

 

「お、おぅ。どうしたんだよ、そんなになって」

 

苦笑まじりにそう言われ、多少の気恥ずかしさを覚えながらも口を開き言った。

 

「よくぞ戻ってきた。おかえりじゃ」

 

こうして入隊したばかりの新人には荷の重すぎる任務は幕を閉じたのだった。




湊の斬魄刀の能力は兎に角蝶に関連するものにしていきたいなぁ

てか、夜一さんのキャラがよくわかんないことになっちゃってますね
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