胡蝶は舞う   作:チェルシー+

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気がついたら二ヶ月が経ってた。
びっくりですね!

正直、あ、コイツエタったなと思われた方もいらっしゃると思われます。
いや、違うんですよ!執筆しようにもマジで思い浮かばなかっただけなんです!信じてくださいなんでもしますから。

まぁ、二ヶ月待たせといて(誰も待ってない可能性も十二分にありますが)この程度の内容かよと思われる方もいるやもしれませんが、楽しんで頂けるなら幸いです。




千変万化 2

白哉の話を聞いてから早一月が経った頃、喜助は晴れて十二番隊隊長となり、古巣から旅立っていった。

 

そして湊は夜一の宣言通り苛烈さを極めた特訓に日夜勤しんでいた。

 

日々の死神としての職務を果たした後は夜一が"遊び場"に来るまで一人で型の確認などを行い、その後夜一とより実戦に近い形で組手をしていた。

 

「さて、湊。お主には喜助の後を継いで三席になってもらわねばならぬ。しかし、お主は自らには実力不足だといって断ろうとしておるではないか。

 

そこでワシは考えた。

 

明確な実力の象徴とは何か、とな!そうして、遂に思い至ったのじゃ。

 

そう!卍解じゃ!卍解を使えるようになればお主が実力不足を盾にして逃げる事はできん!というかそのような事はさせぬ!」

 

そんなことをどうじゃ!と言わんばかりの様子で言っている夜一を見て湊は思った。

 

なるほど、確かに卍解を扱える者が三席に就く事は何らおかしくはない。むしろ、卍解を扱える者が三席など役不足も良いところだろう。空きがあれば隊長にさえ就くことも出来る。

 

しかし、少し考えて欲しい。

 

夜一は自身に三年時間をやると言った。しかし、本来卍解の修行にはーーそれこそ人であれば一生が過ぎてしまうほどのーー膨大な時間がかかるものだ。

 

それを三年で習得とはこれいかに、少しばかり現実から目を背けたくなった湊であった。

 

◇◆◇◆◇

 

夜一の夜一による夜一のための薄羽 湊三席就任計画が始動した事で湊の生活にはいくつかの変化が起こった。

 

一つ目に、卍解習得のための条件である"具象化"と"屈服"の片方、具象化を成功させ任務時以外は常に具象化させておけ、と夜一からお達しがあった。

 

本来であれば、最低でも十年は必要だといわれている具象化であったが、そこは気合でねじ伏せた。

 

具体的に言えば一ヶ月という通常の1/120という恐るべき早さで具象化を成功させたのであった。

 

しかし、具象化をさせ、常に蝶舞が側にいる事で「二番隊の新人がもの凄い美人をいつも侍らせている」という、根も葉もある噂が立つ事になってしまった。弁明をしようにも事実であるため碌な弁明をすることもできず、誤解とまではいかないが些か間違った認識を改めるには至らなかった。

 

二つ目に、修行内容が様変わりした。これまでの夜一は本気でやっているとは言っても、最悪大怪我で済む程度のものだった。

 

しかし、様変わりした後は最悪、死んでもおかしくない様な攻撃も仕掛けてくる様になったのだった。

 

さりげなく抗議した湊であったが、「虚に体術が聞かんかったのが、悔しかったんじゃろ?」と、言われると返す言葉もなかった。むしろ「そこまで言うならやってやるよ!」とまんまと罠にかかってしまう湊であった。

 

三つ目に、これまでは気が向いたら行う程度のものだった蝶舞との対話をこまめにするようになった。

 

具象化させているお陰で刃禅を組む必要が無いのが効果的だったようだ。これまでのように不定期に気が向いたら対話をするという蝶舞からすればなんとももどかしさを感じる状況は解消された。

 

以上三つの変化があった湊の生活はとんでも無く過密で、過酷で、充実したものであった。

 

◇◆◇◆◇

 

「それではこれより、薄羽 湊二十席の第三席就任の儀並びに入隊式を執り行う」

 

夜一の夜一による夜一のための薄羽 湊三席就任計画が幕を開けてから早三年。普段の声色とは及びもつかないような真面目な夜一の声が二番隊の修練場に朗々と響く。

湊はその様子を「あぁ、遂になってしまった…。や、別に良いけど。責任とか面倒だなぁ」みたいな事を一見真面目そうな顔で考えていたのだった。

 

そんなこんなで湊は三席となり、場は入隊式へと移って行く。

 

◇◆◇◆◇

 

「ほ、本日より隠密機動に加えさせて頂きます!砕蜂と申します。よ、よろしくお願いいたします!軍団長閣下!並びに先輩方!」

 

「かった、かったいのぅ。もっと砕けた感じで接してくれた方が此方もやりやすいんじゃがのぅ。のぅ、湊」

 

「あぁ、俺なんて夜一に敬語使ったことがあるかどうかすら怪しいしな」

 

「そうじゃな、そこな黒猫に敬語を使う必要なぞあるまいて」

 

「蝶舞!お主はいつも一言多いのじゃ!」

 

「これは失敬、ついつい本音が出てしもうた。許せ、黒猫」

 

緊張によって所々噛みながら挨拶をした少女ーーー砕蜂にそう返すのは三年の月日を掛け無事に湊を三席という立場に落とし込むことができてご満悦な表情の夜一その人であった。

 

そして、それに返事を返すのは側から見れば二十席から三席という異例も異例の大躍進を遂げた湊であり、過度に畏まることはないと暗に告げ砕蜂の緊張を和らげようとしていた。

 

加えて、湊に追従して口を開いたのは濡羽色の長髪を金の簪で留めた三年ほど前から瀞霊廷で話題沸騰中のーーー「二番隊の新人がもの凄い美人をいつも侍らせている」ーーー人物、というか斬魄刀その物だった。

 

なお余談ではあるが二番隊、特に隠密機動の面々は修業の地獄加減を知っていたので湊が三席に就くことに関しては欠片程の反発は出てこなかった。むしろよく耐え抜いたな、だったり、薄羽先輩ぱねぇっ!などと思われていたのだった。

 

「で、では夜一様、とお呼びしてもよろしいでしょうか」

 

「まだ固いのぅ。まぁ、それは追い追いかの。」

 

そんな和やかな雰囲気で場は進み砕蜂も緊張が解れてきたかに思われた。

 

が、途端に張り詰めた空気に変わる。

 

「時に砕蜂。隠密機動は完全な実力主義の場。そこに呼ばれているということは分かっておろうな?」

 

言葉に込められた期待と重責、それらを感じとった砕蜂は身を震わせながらも確かに口を開いた。

 

「一切承知しております。この身は夜一様の盾とも鉾ともなりましょう」

 

「その言葉、確と聞き取った。励めよ」

 

普段の様子からは考えられないような圧、凄味を出す姿は組織の長を務めるに相応しい物だった。

 

「いつもそんなだったら良いのにな」

 

「湊の言う通りじゃ。何故いつもそれをやらん」

 

「じゃからっ!一言余計じゃと言っておろうに!少しはカッコつけさせんか!」

 

が、場を締め切るには至らないのであった。




怖いので次回の更新はいついつにします!とかは言わないでおきます

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