精神世界に入り、いざ、アイツを探そうと目を開けるとすぐそこに立っていた。目は不機嫌そうに細められ、小首を傾げ、腕を組むといういかにも不機嫌ですという雰囲気を感じさせるオプション付きで、だが。
そんな、様子を目の当たりにして軽い感じに話しかけることが出来ず、少し上擦ったような声で話しかけることとなった。
「よ、よぅ、なんていうか、機嫌が悪そうだが、何かあったか…?」
「別になんともないぞ?我が主人がここ一月の間妾に一度たりとも会いに来ることはなく、どこかの黒猫と戯れておったことを咎めるつもりなどなく、ましてや気にしてなどおらんのじゃ」
(はちゃめちゃに咎めてるし気にしてらっしゃる…なんかコイツちょっと面倒くさいな)
そんなことを考えながらも表情には出さないように気をつけながら何か謝意が伝わるような言葉をかけようとして、口を開いた瞬間ーーー
「言っておくが、斬魄刀の所持者とその斬魄刀はある種、一心同体のやうなものじゃから妾には其方が何を考えておるかは何とは無しにはわかるんじゃぞ?」
「それは先に言って欲しかったな」
「悪かったのぅ、面倒くさい斬魄刀で。そうよな、其方もあの黒猫のようなサバサバしたのが好みよな」
ーーーはいじけた様子で蹲り、膝を抱えながらそう言った。
「いや、夜一は師として慕っているだけで、そう言った感情は欠片も持ち合わせていないぞ?むしろ、好みはアンタみたいな奴だ」
湊は深く考えることもなく、純粋な本心を伝えると、ーーーは途端に赤くなった。
「な、何を言っておるんじゃ!騙されんぞ!どうせ適当なことを言ってこの場を収めようなどと考えておるんじゃろ!」
「いや、さっき俺の考えてることが何となくわかるって言ってたじゃん」
ーーーは先程言った何を考えているかが何となくわかると言う発言を棚に上げて反論してくるが、そこは湊が突き、ーーーは何も言えないでいた。
「ま、まぁ良いわ。ともかくここにきたと言うことは其方に妾を認めさせることが出来るだけの実力がついたと言うことじゃろう?」
「あぁ、さっさとやろうぜ。夜一と修行した後だから疲れてんだ。早く寝たい」
「一月前とは見違えるが、そこまで付け上がるのを認めるわけにはいかぬのぅ。精々何も出来ないまま終わるのだけは辞めてくれよ?」
そう軽口を叩きあい、一月前とは違いーーーから仕掛けることで戦いの火蓋は切って落とされるのだった。
◇◆◇◆◇
視界から突然消えたと思わせる程の瞬歩で接近し、霧を纏わせた右脚で蹴りを繰り出してきたーーーに対し、湊は蹴りに逆らうことなく後ろに跳躍する事で蹴りの威力を軽減し、いなしきった。そして、一月前の借りを返すような形で『風車』を繰り出す。
ーーーは両腕を交差させ、『風車』を防ごうとするが、その蹴りの威力故に防御もろとも蹴り飛ばされてしまう。
「なるほどのぅ、一月の間黒猫と乳繰り合っていただけではないと言うことじゃの」
「いつまで根に持ってんだよ。そろそろ忘れてもいいんじゃねぇのか?」
湊がそう呆れた風に言うとお途端に顔を赤くさせて反論してくるのだった。
「なっ!別に根に持ってなどおらん!ただ退屈だっただけじゃ!」
「そりゃ、すまなかったな。まぁ、この一月でそこそこやれるようになったんだ。精々楽しんでくれよ!」
そう言って込める霊圧に緩急をつけることで、視界に入ってくる実像と霊圧知覚で感じる霊圧に齟齬を生じさせることで、ーーーを惑わし、その隙を突いて接近する。少し慌てた様子で右の突きを繰り出してくるーーーを逆手に取り、湊は『吊柿』によってーーーの突きを軸に、人体の急所である中心線上にある頭、鼻、首、鳩尾に流麗な動きで突きと蹴りを繰り出した。
「どうだ!毎日最低3回は夜一にやられたこの連撃!地獄を見たぜ!」
「なるほど、口だけでは無いと言うことじゃの。では、少しだけ本気でいかせて貰うとしようかの」
得意げな湊を賞賛し、なにやら物騒なことを言ったーーーは両手足に霧を纏わせ、先程の瞬歩など止まっているように感じられる程の速度で接近し、湊が急所を守る構えをするも、『吊柿』によって逆手に取られてしまい、ーーーの攻撃を全てモロに受けてしまう。これによって湊は意識をかりとられてしまったのだった。
◇◆◇◆◇
「ん…ここは…」
「起きたのかの。我が主人よ」
目を覚ますと、ーーーに膝枕されていた。自分でなにを言っているんだと思うが、そうとしか言いようのない状況だった。
「なぁ、なにしてるんだ?」
「良いではないか、一度してみたかったのじゃ」
「まぁ、アンタがいいなら良いけどよ」
「そのアンタと呼ぶのを辞めよ、黒猫のことは名前で呼ぶくせに何故斬魄刀の妾がそんな呼び方をされねばならぬのじゃ」
「そんなこといったって、アンタの名前聞いてねぇしな」
「
「あぁ、分かったよ。これからよろしく頼むよ、蝶舞」
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