提督(俺が二度寝をかました時も夢を見た)
提督(妖精が見えた瞬間俺は反射的に目を覚ました)
提督(奴ら俺をスタンバってたよ。怖かった)
提督(それと、一度目の目覚めとは違う点があった。
二度目の目覚めは、艦娘たちが全員俺のベッドを囲んでいた)
吹雪「し、司令官!おはようございます!」ブワッ
妙高「おはようございます、提督」
蒼龍「提督、気分はどう?」
飛龍「目眩とかしない?悪い夢とか見なかった?」
提督(うーん、アレはどちらかというと悪い方だった。最後のアレで全部台無しになった)
妖精「おのぞみならつくりますよ」
提督(やめろ!てかお前居たのか!
人の夢の中で好き放題した挙句変なものまで作ろうとしやがって!)
提督「...まあ、あまり良くなかったかな」ツマミ
妖精「うわー、やめてー」
飛龍「あ、妖精さんいじめちゃダメだよ?多聞丸に怒られても知らないよ?」
提督「俺はこいつらにいじめられたんだが...」
飛龍「まさかー?妖精さんって人見知りが激しいから、提督ぐらい懐いてるのって珍しいのよ」
提督「懐く...?」
提督(いや懐くとかそういう話以前に俺とんでもない思いしてるから。君たちもあのアラーム聞けば分かるよ)
提督(しかし、これ以上妖精になにかしたら、弱いものいじめとか言われるかもしれない。今回はこれで許してやる)
提督(それに、不思議と艦娘たちと目を合わせても、特に不安な気持ちにならない。一応、夢の中で妖精に俺の思いが認められたから、精神的に余裕が出来たのかもしれない。
それを含めて、これでチャラだ)
妖精「ようせいかうんせりんぐはいつでもおーけー」
妖精「こうかはばつぐんだ!」
妖精「しんらいとあんしんのようせいじるし」
提督(どっから出てきたの君たち。もう妖精印とか信用してないからな)
***
提督「...さて、気分も悪くないし、そろそろ出よ...」
吹雪「病み上がりが一番危険ですから、今日は一日休みましょう!」
提督「いや、書類とか...」
吹雪「今日も私と長門さんで何とかします!」
提督「そ、そうだ。長門たちを見ないが、どうかしたのか?」
吹雪「長門さんたちはまだ寝ています。書類を徹夜で処理してましたから...」
提督(マジか。すっごい申し訳ないんだけど。
昨日の件だけでダウンしたのが恥ずかしく思える。さすがビッグセブンと言ったところか。
何かお礼でも考えとかないと)
提督(ん?今日も?)
提督「ふ、吹雪、まさかお前も書類を?」
吹雪「え、どうしてわかったんですか?」
提督「さっき、今日もって言ったから、吹雪も徹夜したのかなって」
吹雪「...はい。でも、無理はしてませんよ。司令官の事を思ってたら、自然と目が覚めてました」
提督(なんてこった。吹雪まで俺の仕事を肩代わりしてたのか。本気で申し訳ない。
三人にはそれなりの埋め合わせを用意しないと...)
間宮「失礼します提督。朝食を...」
提督(医務室に間宮さんが朝食を携えて来てくれた。何か目元が赤いけど、何かあったのかな?)
提督「あ、ありがとう間宮さん」
吹雪「私も朝ご飯食べないと!それでは司令官、お大事に!」スタスタ
提督「お、おう」
提督(吹雪も去り際によく顔を見たら目元が赤かった。まさか...)
間宮「提督、お身体の方は...」
提督「あ、ああ、問題無いよ」
間宮「本当...ですか?」ウルウル
提督「だ、大丈夫だから。ほら、食欲も...」モグモグ
間宮「あ、無理はなさらないで...」
提督「ほら、ちゃんと食べられるし、いつもみたいに美味しいですよ」
間宮「あ...」ポロポロ
提督(朝食の献立は白米に味噌汁、焼き鮭の切り身と浅漬け。シンプルだが日本らしい朝食だ)
提督(うん。めちゃくちゃ美味しい。朝の味噌汁はまた格別だ。こういうところは日本に生まれて良かったと思ってるよ。
でも、あの、間宮さん?そんな泣かなくても...)
間宮「提督...本当にご無事なようで、よかったです...」ポロポロ
提督「ちょ、ハンカチでも...」
間宮「青葉さんから提督の昔の話を聞いて、不憫に思えて...とても悲しくなって...」ポロポロ
提督「あ、それならもう...」
間宮「それに、昨日突然倒れたと聞いて、心配で心配で、夜も眠れなくて...」ポロポロ
提督「あ、あの、間宮さん、ハンカチを...」スッ
間宮「私、食堂に居るだけで、何も提督にしてあげられないのかなって...」ポロポロ
提督(うーん、間宮さん泣きじゃくって聞いてないのかな)
提督(話聞いてみると俺が死にかけたみたいな捉え方されてるように思える。大袈裟過ぎますって...
とりあえず、安心させないと...)
提督「ま、間宮さん、落ち着いて」手を取り
間宮「ひっ!?ひゃ、ひゃい!」ビクッ
提督(...え?俺なんで手を握ってるの?
間宮さんもビビってたし、これ完全にやっちまったやつだ)
提督(...あれ?いつもなら手が離れるのに、今は違う?)
提督「とりあえず、落ち着いて下さい」
間宮「は、はい...」グスッ
提督「さ、さっきも言いましたが、今の俺はもう大丈夫です。気分も悪くありませんし、昔の事はあまり気にしないで下さい」
間宮「はい...」
提督「心配してくれてありがとうございます。朝食も美味しかったです」
間宮「てい...とく...」ポロポロ
提督「あ、泣かないで...」アタフタ
間宮「よがっだですぅぅぅ!」ウワ-ン!
提督「え、ちょ、ちょっと...」
霞「司令官、起きて...ってあんた!何してんのよ!」
提督「oh...」
***
提督(間宮さんは落ち着くと、来た時よりも顔を赤くして出ていった)
提督(霞はずっとジト目で見てくるし、後から来た霰と朝潮は霞の真似をしている。
いや真似してないで止めてくれよ。可愛いけど)
霞「このクズ!落ち着かせるどころか泣かせてどうすんのよ!」
提督「す、すまない」
霞「間宮さんはずっと司令官の心配してたの!もっと不安を和らげる話し方とか出来ないの!?」
提督「...すまない」
霰「霞ちゃん、そこまで」ゴツン
霞「あいた!」ヒリヒリ
霰「司令官、哨戒から戻りました。敵艦との交戦は無しです。吹雪ちゃんたちにも、報告しました」
提督「そ、そうか。お疲れ様。ところで朝潮は?」
朝潮「司令官の容態が気になったので」
提督(ヒートアップ中の霞を止めるとは、なかなかの強者...じゃなくて、俺が寝てる間に哨戒してくれてたのか。本当に働き者だなぁ)
提督(基本的に夜は皆寝かせてるから真夜中の哨戒なんて怖くて仕方なかっただろうに...)
提督「ありがとう霰。よくがんばったね」ナデナデ
霰「んちゃ...」ンフ-
提督「朝潮もがんばったね」ナデナデ
朝潮「あ、あの、朝潮は行ってないです。だから、その...」
提督「あ、ご、ごめん」
朝潮「あ...」シュン
霞「...」ドキドキ
提督「あ、霞もご苦労だった。ほら、間宮券」スッ
霞「は、はぁ!?そこは頭撫でる流れでしょ!?」
提督「えぇ...?」
霞「な、何よその反応!」ウガ-
提督「だってお前、最初に頭撫でようとしたら、気安く触るなって言ったから...」
霞「~!」ポカポカ
提督「痛い痛い。マジで痛いよ...」
霞「も、もう知らないったら!」ドタドタ
提督(...俺、またやらかしたのか?
前に言われた事を守っただけなんだが...)
霰「ごめんなさい、司令官。霞は、素直じゃないから、本当は、司令官が大好きで、甘えたいの。許して、あげて」
提督「あ、ああ。元より責めてないよ」
霰「よかった。次は、撫でてあげて。口ではいろいろ、言うだろうけど、本当はすごく、嬉しいと思ってるから」
提督「そ、そうか」
霰「それじゃ、失礼しました」スタスタ
提督(霰からアドバイスを受けたが、半信半疑といったところだな)
提督(確かに以前よりかは良くなったが、依然言葉に棘がある。まだ認められてないのだろうか)
提督「...あれ、朝潮は行かないのか?」
朝潮「...司令官は、その、何か成果を上げると、頭を撫でてくれるのですか?」
提督「え?」
朝潮「先程は勘違いで撫でて貰いましたが、私も哨戒に出ていれば、あのまま撫でていましたか?」
提督「ま、まあそうだな。でも、成果は特に問わないし、あれは労いのほうが正しいかな」
朝潮「それは、皆にもやっているのですか?」
提督「いや、駆逐艦の子だけだよ。軽巡から上の子たちは間宮券を...あ、明石は例外かな」
朝潮「...もし、大型艦の人たちが望むなら、頭を撫でたりしますか?」
提督(どうしたのこの子。何の意図があるんだ?)
提督(でも、朝潮はここに来たばかりだし、いろいろ疑問に思うのは無理ないか)
提督(実際、軽巡以上の大型艦の艦娘たちは裏があると俺が思ってただけだからな)
提督「...皆が望むなら、ね」
朝潮「そうですか!なら、次はこの朝潮も哨戒に向かいます!戻ったら、その時に改めて、頭を撫でて欲しいです!お願いします!」
提督「あ、うん」
朝潮「それでは、お大事に!」スタスタ
提督(まだ来て間もないのに皆の事を思っているのか。感心するなぁ)
提督(そういや帰投時の報告も申告ありだったのは五十鈴と霞だけだったな。今と昔は違う事もあるだろうし、また聞いてみるか)
提督(何か妙に前向きな気分だし、俺からも歩み寄らないとな)
青葉「青葉、聞いちゃいました!」←扉越し
青葉「朝潮ちゃんのお陰で、思わぬ所で重要な情報をゲットしました!これは皆に知らせないと!」スタスタ
提督(ん?何か寒気がしたな)
目力アラームの効果は絶大