提督(写真の件は一旦保留にした)
提督(正直隠し撮りはやめてほしいが、羽黒が撮ったのか他の艦娘か、他の誰かなのか分かってないから、注意のしようもなかった)
提督(つーかそんなん気にしてたらまた元に戻りそうで嫌だった。彼女たちを恐れず、必要以上に疑う心を矯正する方が先決だろう)
提督(というわけで、俺はかつての無礼を清算しようと思った)
提督「そういうわけだから、間宮に行こうと思う」
蒼龍「え、どうしたの」
提督「ずっと前に蒼龍が間宮に行こうと誘ってくれても、俺は飛龍と行ってくればいいと言ってしまったよな」
蒼龍「な、懐かしいね...」
提督「結局間宮に行ったけど、蒼龍の厚意を無下にしてしまったことを思い出してな」
蒼龍(あー、思い出すと恥ずかしい)
提督「今なら、大丈夫だと思う。だから、行こう」
蒼龍「...無理してない?本当に大丈夫?」
提督「ああ...」
提督(俺が蒼龍を誘い、蒼龍が俺に気を遣っている。あの時とはまるで逆だ)
提督(蒼龍が気を遣うということは、今も俺のトラウマが再発するのではないかと懸念している可能性がある)
提督(以前のような積極さが無いあたり、かなり自分を抑えてると見える。だから、俺が前とは違うことを証明させなければならない)
提督(今だからこそ、以前のような距離感を憧れるようになった)
そして...
提督「着いたな」
蒼龍「そうだね。間宮さーん!」
間宮「あら、蒼龍さんに提督。いらっしゃいませ」
蒼龍「あの、アイスを二つ...」
提督「...すいません、スペシャル二つに変更で」
蒼龍「え!?」
間宮「スペシャルですか?券は...」
提督「あります」スッ
提督(そうだな。前は普通のアイスだったよな)
提督(スペシャルにしたいって言ってたから、少し奮発してみた)
間宮「間宮スペシャル二つです。どうぞ♪」
提督「ありがとう」
蒼龍「提督、その、いいの?」
提督「あの時の詫びと、証明だ。だから、その、またやってみてくれないか」
蒼龍「...じゃあ」
提督(蒼龍はスプーンで軽くアイスの部分を取り、俺の口へ近付けた)
提督(スプーンが震えている。蒼龍は緊張しているのか、それとも恐れているのか、またはその両方か)
提督(俺も身体が震えている。ただ食べさせて貰うだけの行為に、俺の身体は必死の抵抗をしている)
提督(だが、ここで一歩でも退けば、俺は変われていない。その上、期待させた蒼龍を裏切る事になる。失敗は許されない)
提督(だから、俺よ。顎の力を抜いて、ゆっくり開けろそして、蒼龍が差し出したアイスを迎えろ)
提督「んぐ」パクッ
蒼龍「!」
提督「ん...」モゴモゴ
蒼龍「...」ドキドキ
提督「...うん、美味しいよ」
蒼龍「!」パァァ
提督(蒼龍の表情が一気に和らいでいく。とても嬉しそうで、そして...)
蒼龍「提督...その、どうだった?」
提督「え、ああ、アイスなら...」
蒼龍「そっちじゃなくて、あーんのほうは...」
提督「...少し震えてるけど、大丈夫だったよ。それに、嬉しくもあった」ニコッ
蒼龍「...」ウルッ
提督「だから、今度は俺がやろう」スッ
蒼龍「あ、ちょ、ちょっと待って!あ、あーん!」パクッ
提督「お、おい、そんながっつかなくても...」
蒼龍「...」
提督「...蒼龍?」
提督(何かずっと俯いてる。量が多すぎたのか?)
提督(それとも、もしかしたら、俺ではやはり迷惑...)
蒼龍「おい...しい」ポロポロ
提督「あ、は、ハンカチ...」
蒼龍「提督からあーんされたし...美味しかったー!」ウワ-ン!
提督「ちょ、落ち着け...」
蒼龍(提督が私の差し出したアイスを頬張ってくれた時、とても幸せな気分を感じた)
蒼龍(提督が笑顔を見せてくれた時、見てるこっちも笑顔になっちゃった)
蒼龍(ずっと空いてた距離が一気に縮まってるような気がして嬉しい)
蒼龍(きっと提督はお詫びの事しか頭に無いんだろうけど、今はそれでも幸せ)
蒼龍(だって、提督が誘ってくれたから。辛い事を乗り越えて、私たちに歩み寄ってくれたから)グスッ
蒼龍(だから、今日はとても幸せな日。彼をもっと好きになれた、幸せな日)ポロポロ
飛龍「提督ー、ここー?」ガララ
提督「あっ...」
蒼龍「グスッ」ポロポロ
飛龍「...提督ー、ちょっとお話しない?」ゴゴゴゴ
提督(あ、終わったな俺)
***
飛龍「ごめん!提督が泣かしたのかと思ってたの!」
蒼龍「ま、まあ強ち間違っちゃいないけど...」
提督「え、何それは...(困惑)」
蒼龍「う、嘘だよ!冗談!」
飛龍「それでもさ提督ー、今日の秘書艦を放っといて、蒼龍とイチャイチャするのはどうかと思うけどー?」ジトッ
提督「それは...」
提督(今更だが、今日は飛龍が秘書艦なのだ)
提督(ちなみに蒼龍へのお返しも飛龍だったから思い出したのが本音である。我ながらクソ)
飛龍「というわけで、私にもあーんをし合う事で不問としましょう!どう?」
提督「そ、それでいいなら...」スッ
飛龍「お、早いね。それじゃいただきます!」パクッ
提督「ど、どうだ?」
飛龍「おいしー!」キラキラ
蒼龍「そ、そうでしょ!?」
提督「ほっ」
飛龍「それじゃーお返し!」スッ
提督「はい...」パクッ
飛龍「どう?」
提督「...美味いよ。ありがとう」
飛龍「やったぁ!」パァァ
提督(蒼龍の後だからか、かなりスピーディに済ませてしまった)
提督(でも、若干の震えはあるものの、あーんにも対応出来るようになっていた)
提督(二人の期待にも添えて、俺の進歩も窺えている。いいのではないか?)
蒼龍「提督!もう一回やろ♪」
飛龍「私もお願い♪」
提督「え」
蒼龍「提督と食べさせ合いするの、ずっと夢見てたから。忘れないようにもう一回!」
飛龍「蒼龍が大丈夫なら、私もしてもらえるよね?」
提督「だ、大丈夫だが、その...」
蒼龍「ありがとう!」パァァ
飛龍「大丈夫♪多聞丸も許してくれるよ」
提督「いや、そうじゃなくて...」
提督(その後、二人と食べさせ合いをした)
提督(飛龍が後から来たので、間宮スペシャルを一つ追加した。俺の自腹(重要))
提督(あと喰いすぎて胸焼け起こした。めちゃくちゃ苦しかった)
提督(若くても胸焼けってするんだね。ちょっと食べさせ合いはしばらく勘弁したい...と言うと、二人が悲しそうな顔をしたので何とか誤魔化した。辛い)
提督(俺は食べさせ合いが終わると同時に自室へ向かい、水をたらふく飲んで仮眠した。若いからと言ってスイーツを食いまくるのはよくない(戒め))
妖精「ていとくさんはもうすぐあらさーってやつです」
妖精「おっさんです」
妖精「さいわい、かみのけはけんざいです」
提督(...あのさぁ、出ていってくれないかなぁ)
***
蒼龍「...飛龍」
飛龍「わかってる。あーん、すごくよかった」
蒼龍「そうよね...」
飛龍「...私もね、提督の笑顔が見れて幸せになった。ずっと苦しそうな顔だったあの人の笑顔、凄く素敵だった」
蒼龍「うん...」
飛龍「...あんなの、もったいないよ」
蒼龍「え?」
飛龍「あの笑顔、何とも思わなかった連中にまた見せるのはもったいないよ」ハイライトオフ
蒼龍「...うん。絶対に渡さない」ハイライトオフ
飛龍「やっぱり吹雪ちゃんの言う通りだと思った。提督は私たちが幸せにしなきゃ」
蒼龍「そうだね。私たち『艦娘』しか、提督を幸せに出来ない...!」
遅くなってすみません。あけましておめでとうございます。