提督(一人だけの時間は誰にでも必要だと思ってる)
提督(例えば自分の寝室、トイレの個室、個人風呂などのプライベートスペース。人一人が定員の空間は心を安らげる事ができる)
提督(人の交流が激しい時は一度そのような場所に避難して落ち着かせていた)
提督(ただ、ここ最近一部の艦娘がプライベートスペースへの侵入を試みている)
提督(如月と村雨である)
提督(以前から、何かと思わせぶりな言動が目立つ二人ではあったが、近頃は少しでも俺の世話をしようと距離を狭めようとしている)
提督(発端は恐らく長良のトレーニング後にやってきた筋肉痛での一件かもしれない。腕に力が入らず、書類の持ち運びや飲食が多少難ありと思っていたところで目を付けたようだ)
如月「司令官?手に力が入らないなら、如月が司令官の手になるわ♪」ウキウキ
村雨「村雨に任せてみない?普段より、ちょっといい生活になるわ♪」ウキウキ
提督(気遣いは嬉しいよ。腕に力が入らない間は不便な事が多いからね)
提督(でも、俺のプライベートスペースにまで入ろうとしなくていいからね)
提督(寝室では腕のマッサージをしようと入り込んで来た。勿論丁重にお断りした)
提督(個人風呂では背中を流したいと言われた。俺はまだ介護は必要ないので、丁重に以下略)
提督(トイレの個室は流石にビビった。ベルトを緩めてやろうかと言われたが、そこまで苦になってないわ)
提督(という訳で、女性不信は多少改善されつつあるが、気苦労が増えてきたと言ったところだ)
提督(そして、本日は如月が秘書艦である。あっ、ふーん...)
如月「司令官、今日も一日頑張りましょうね」
提督「ああ...」
如月「さぁ、まずは面倒な執務から済ませるわ」
提督「そうだな。始めるか」
提督(最初からかっ飛ばす訳でもなく、普通に執務が始まったまだ腕に力が入らないだろうから全部やるとか言われるかと思った。大袈裟ではなく、本当に言いかねないのだ)
如月「司令官、筋肉痛はまだ続いてる?」
提督「...もう痛みも引いてる。問題ない」
如月「本当?無理して言ってない?」
提督「だ、大丈夫だから」
如月「如月、心配してるんですよ?筋肉痛でも、司令官が苦労してると思うと...」
提督「そんな大袈裟な...」
如月「司令官、何かあったら如月を頼って下さいね?」ズイッ
提督(ちょっと過保護過ぎやしませんかね?これもう人をダメにするレベルのそれだと思う)
提督(俺が甘やかされる事に慣れてないからか、少しばかり抵抗がある。俺はどちらかと言うと甘やかしたい方なんだよなぁ)
提督(てか何で世話をしたがるようになったんだ?俺そんなに弱々しく見えるのかな?)
妖精「おとめごころがわからないていとくさんです」
妖精「どんかんなのはまんがだけだとおもってました」
妖精「わざとやってるかもしれないです」
提督(うるさいよ君たち。もうツッコまないけどそろそろ怒るからな)
提督(でも頼って欲しいって事は何かしら不安に思ってるのかもしれない)
提督「...それなら、少し肩を揉んでくれないか」
如月「わかったわ!」パァァ
提督(こんな典型的なことしか思い付かなかったが、如月は快く受けてくれた)
提督(小さな手が一生懸命に俺の肩をほぐしていて微笑ましい。俺もガキの頃は両親の肩を揉んであげたりしたが、こんな気分だったのかな)
如月「どう?気持ちいい?」モミモミ
提督「ああ、ありがとう。だいぶ軽くなったよ」
如月「よかった。司令官ったらずっと頑張ってたんだから、今ぐらい楽にしてほしいの」モミモミ
提督「そういう訳には...」
如月「ダメ。司令官はみんなにとって大切な人なんだから」
提督(まーた大袈裟だなぁ。そこまでしなくても、俺の代わりはいくらでも...というか如月めちゃくちゃいい匂いする)
村雨「失礼します」ガチャ
提督「ん、村雨?」
村雨「て、提督。その、もうすぐお昼でしょ?」
提督「ああ」
村雨「だ、だからね、お試しでちょっと作ってみたんだけど...」モジモジ
提督(村雨が差し出したのは可愛らしい弁当箱だった。まるで娘が作ってくれたみたいで微笑ましい。俺まだ独身だけど)
提督「...ありがとう。全部食べるからな」
村雨「...!」パァァ
如月(食堂で一緒に食べようとしてたけど迂闊だったわ...)
村雨「そ、それじゃ、次はもっといいのにするから...」フリフリ
村雨(や、やった!受け取ってくれた!)グッ
時雨「ん?村雨、どうかしたのかい?」
村雨「ひゃ!?な、なんでもないわ!」ドタドタ
提督(弁当箱を開けてみると、大きなハートがご飯の上に描かれていた。おかずも栄養バランスが取れているメニューだ。やはり微笑ましい)
提督(一口食べてみたが、美味しい。何だか心が温かくなるな)
如月「...司令官はお料理出来る子の方が好きなの?」ムスッ
提督「ん...ちょっと答えにくいな」
如月「どうなんですかー?」
提督「でも、料理出来る子は、いいなと思う」
如月「...じゃあ、もし如月がお料理作ったら、食べてくれる?」
提督「ああ。出されれば食べるよ」
如月「...ちょっと用事が出来たので、食堂行ってきますね」スタスタ
提督「ん、ああ」
提督(何だろうか、少し怒ってたような気がする。弁当箱を貰ってから如月が不満げな顔をしていたし、途中で村雨の対応をしていた事が原因か?)
提督(だとしたら、申し訳ない事をしたが、かといって村雨からの弁当箱を貰わない訳にもいかなかったし...駆逐艦とて、難しい年頃なのかもしれないな)
***
間宮「あら?如月ちゃん、どうしたの?」
如月「あの、料理を教わりたいんですが...」
間宮「あら、如月ちゃんも?村雨ちゃんに続いて熱心ね」
如月「え」
村雨「間宮さん!上手くいった...って、如月ちゃん...」
如月「...如月も、頑張るから」
村雨「...うふふ、負けないわ」
間宮(もしかして、タイミングが悪かったかしら...)
その後...
提督(やっぱ頼るというか、甘えるだけってのは性分じゃないな。なんか俺からもできることがないか聞いてみるか)
如月「如月、ただいま戻りました」ガチャ
提督「ああ、おかえり。村雨は?」
如月「後でお弁当箱を取りに来るみたいです」ムスッ
提督「そ、そうか」
如月(今日の秘書艦は如月なんだから...)
提督(やっぱ村雨の事を言うと不満なようだ。まあそれは後にして、早速聞いてみよう)
提督「そうだ如月、さっきの肩をほぐしてくれた礼に、俺からも何か出来ないか?」
如月「え?」
提督「まあ、今思い付かなくてもいいぞ」
如月「うーん...あっ」
提督「何かあったか?」
如月「そうねぇ、何でもしてくれる?」ニヤニヤ
提督(何でも、かぁ...子供の発想は突拍子もない事があるけど、最近の如月を考えると大丈夫そうかな?)
提督「...何でもって?」
如月「如月が結婚してほしいって言ったら、してくれる?」
提督「...うーん」
提督(...あー、そういうパターンね。親と結婚するって言っちゃうやつだなこれ)
提督(でも俺が何か出来ないかと言った手前、適当にあしらうのは失礼だよな。だけど結婚はちょっとなぁ...)
提督(それかあれか?最近大本営が開発に成功したらしいアレのことか?ニュアンスがどっちなのかわかんねぇな)
提督「うーん、ケッコンはまだ...」
如月(...やっぱり、今はまだ無理か。吹雪ちゃんたちの事もあるし...)シュン
提督(あ、落ち込んでる...)
如月「...なーんて、冗談ですよ♪そんなに真面目に答えなくていいのに♪」
提督「そ、そうか」
如月「じゃあ、髪でも梳かしてもらおうかしら♪」
提督「梳かす?ちょっと待ってくれ。櫛を...」
如月「司令官の手櫛がいいなー?」チラッチラッ
提督「何...?」
提督(手櫛ってあれだよな?俺の手で髪を梳かすんだよな?如月本人が希望してるから問題は無さそうだが...)
提督「あまり期待するなよ」
如月「はーい♪」
提督(如月は椅子に座り、俺は慎重に髪を触った。めちゃくちゃ柔らかいっすね)
提督(ゆっくり指を髪に通して梳かしていく。すっごい滑らかな手触りで引っ掛からない)
提督(それと気のせいかもしれないが、指を通す度に、髪からいい匂いが出ているような気がする)
如月「ん...気持ちいい♪司令官、なかなか上手いですよ」トロ-ン
提督「そうか...」
如月「如月の髪、いいでしょ?かなり手入れしてるんだから♪」
提督「...髪は女の命という言葉に納得している。軽々しく触っていいのかと思ってしまうぐらいだ」
如月「そうですよ。心から信頼の置ける人にしか許してませんよ。だから、司令官だけ触っていいんですよ♪」
提督「...それは光栄な事だ」
如月(言っちゃった!私、言ってやったわ!)キャ-キャ-
村雨「失礼します。提督、お弁当箱...を...」ガチャ
提督「あ」ピタッ
如月「あ」
村雨「...何をしてるの?」
提督(いっつも思うけど、間が悪いんだよなぁ。少し慣れてる俺も大概だけど)
村雨「如月ちゃん?何してるの?」
如月「え、えっと、司令官に髪を梳かしてもらって...」アハハ
村雨「それ、普通の櫛でよくない?」
如月「司令官が、何かお礼にって言うから...」
村雨「...提督、本当?」
提督「...ああ」
村雨「ふーん...」ムスッ
提督(村雨もわかりやすいぐらい不満げな顔をするなぁ。さて、どう対処しようか...)
村雨「...村雨も髪、梳かしてほしいなー?」チラッ
提督「え、なにそれは...」
村雨「如月ちゃんにだけやって、村雨に出来ないわけないですよね?」
提督「う...」
如月(せっかく二人きりだったのに...)
村雨(純粋に羨ましかったの!)
如月(村雨ちゃん、脳内に直接...!?)
提督(何か対抗意識の含んだ言い方をするなぁ。村雨もやって欲しいみたいだけど、そんなに気軽に触っていいのか?)
提督「じゃあ、失礼するぞ...」
村雨「準備出来てまーす♪」
提督(村雨の髪を触ると、如月とは違う柔らかさがあった)
提督(如月がサラサラだとすると、村雨はフワフワだ。改二になって髪のボリュームが増したからだろう)
提督(少し癖があるが、指が引っ掛かる事はなかった。というかもふもふしてて気持ちいい)
提督(大型犬を撫でてるような感覚に近い気がする。飼ったことないけど)
村雨「んん...」トロ-ン
提督「へ、平気か?」
村雨「提督が優しく梳かしてくれるから、眠くなっちゃって...」ウトウト
提督「そ、そうか」
村雨「...ごめんなさい、いきなりワガママ言って...」
提督「いやいや、お弁当のお礼ってことで」
村雨「如月ちゃんも、ごめんなさい」
如月「...いいのよ。気持ちは分かるから」
如月(如月も村雨ちゃんと同じ立場だったら、同じようにワガママを言ってるだろうから)
村雨「...ありがとう。では、村雨は戻ります」
提督「あ、弁当箱洗うから...」
村雨「いいんです。村雨がやります」スタスタ
提督(満足してくれたようだ。しっかし柔らかかったなぁ)
提督(頭撫でるのと髪触るのは少し違うからなぁ。そこんとこは気を付けよう。村雨も如月もちょっとしおらしくなって微笑ましいな)
村雨(髪の毛触ってもらった!手櫛で梳かしてもらった!)キャ-キャ-
村雨(優しい手付きだったなぁ...あの感じで他の所も...)ポッ
時雨「村雨、さっきからボーッとしてるけど」
村雨「ふぇ?な、何でもないから」アセアセ
時雨(提督絡みか...)グヌヌ
ふつーにイチャついてるんですがそれは