提督「艦娘からのアプローチが怖い」   作:かむかむレモン

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青葉と過去と

 

 

 

 

 

青葉「突然ですが恐縮です!青葉です!」ドアバ-ン!

 

 

 

 

 

提督(何事かと思ったら青葉が執務室に入り込んできた。ノックすらせず蹴破る勢いで来てちょっとビビったよ)

 

 

 

 

 

提督「ノックぐらいしてくれ」

 

青葉「いやー青葉的に緊急でしたので...あ、蒼龍さんお疲れ様です!」

 

蒼龍「はーい」ムスッ

 

提督「それで、何か?」

 

青葉「司令官、この鎮守府に着任してから結構経ちますよね?」

 

提督「結構って言っても一年も経ってないぞ」

 

青葉「それでもですよ、青葉たちもとい艦娘にも慣れてていい頃ですよね?それなのに何故距離を置いてるのか気になって気になって夜も八時間しか寝てないんですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

提督(快眠じゃないか...と言うかこの流れはちょっと嫌な予感がするな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「聞きたい事は二つです!ズバリ司令官は同性愛者ですか!?」

 

蒼龍(気になる)

 

提督「...俺はホモじゃない」

 

青葉「二つ目!ならば何故距離を取るんですか?過去に何かあったとか...」

 

 

 

 

 

提督(やっぱりな。聞かれるのも青葉辺りだろうと思っていた)

 

提督(でも、正直なところ話したくないし、話したところで何が変わるというのだろう)

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「是非、お聞かせ下さい!みんな気になってるんですよ!」

 

提督「...」

 

青葉「このままでは艦隊の士気に関わります!どうかお話を...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督(青葉め、どうしても聞き出そうとしてるな。だが、艦隊の士気に関わるとまで言われるとなぁ...)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「あ、それと一部の駆逐艦とは皆よりも接していると聞いたんですが、ロリコン...」

 

提督「ち、違う...」

 

青葉「でもでも、駆逐艦の子たちには甘いという報告があるんですよ。これはもはや...」

 

提督「俺はロリコンでもホモでもない!お前達ぐらいまで大きくなった女が怖いだけだ!」

 

青葉「え」

 

蒼龍(お?)

 

提督「あ...」

 

 

 

 

提督(しまった!在らぬ噂に逆上した弾みで要らないことまで喋ってしまった...)

 

提督(青葉は一瞬驚いてたが、すぐに興味津々といった顔に戻ってるし、蒼龍も同様に...ここまでか...?)

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「司令官、今のは...」

 

提督「...わかったよ。話すよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が提督になる前はただの一般的な学生だった。

 

 

学業もそこそこ、運動もそこそこ、友人もそこそこなごく普通の学生だった。

 

 

当然思春期真っ盛りだったが、俺は彼女を持った時にある理念があった。

 

 

自分を好きになってくれた子に尽くす、と。

 

 

これは親の影響もあるが、自分自身浮気とか不貞が許せない性分だった。

 

 

今どきじゃヤンデレとかメンヘラ扱いされるかもしれないが、縛りとかは一切考えてなかった。

 

 

そんな俺は過去に2回、彼女が出来た...いや、今思えば、俺が舞い上がっていただけか。

 

 

 

 

最初は恋愛のノウハウが分からず、空回りすることが多かったが、初々しさもあって楽しかった。それと、デートの為の資金が乏しかった。

 

 

その為、俺は彼女に黙ってバイトを始めた。何とかお金を稼ぎ、彼女と一緒に楽しんで貰おうと頑張った。

 

 

バイトの先輩が偶然彼女持ちだったから、アドバイスとかも聞いた。

 

 

そんな時、俺の休憩中にバイト先に知り合いが来て、俺は耳を疑う話を聞いた。

 

 

彼女が浮気をしているらしい。それも何人も同時に、と。

 

 

普段なら笑い飛ばすところだったが、幸か不幸か、彼女が知らない男とバイト先に来てしまった。

 

 

俺と知り合いは咄嗟に隠れて様子を窺っていたが、俺よりも親密にしていて落胆した。ついでに吐き気も催した。

 

 

彼女が出ていくと、知り合いがバイト終わりまで待ってくれた。飯も奢って貰ったが、食欲が湧かなかった。

 

 

後日、俺は彼女と別れた。その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、貧乏童貞にしちゃなかなか頑張ってたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と捨て台詞を吐かれた。俺は怒りを通り越して呆れたよ。

 

 

 

 

そして数年後、俺は地元から離れたところへ進学し、一人暮らしを始めた。

 

 

新生活にも慣れ始めた時、俺の事が好きと言う女の子が現れた。

 

 

当然俺は警戒していたが、少し時間を掛けてみようという思いで付き合う事にした。

 

 

それからというもの、特に怪しいところは見当たらず、信用しても良さそうかなと思った。その時から、俺もその子が好きになっていった。

 

 

数ヶ月間、俺の心は満たされていた。本気で好きになれた事と、好いてくれてる彼女の笑顔を見れて幸せだった。いつもありがとうと感謝もしていた。

 

 

お金もそこそこ貯めて、彼女に似合う彼氏になろうと努力した。流行りの服装を買ったり、デートの場所を事前に調べたり、弛んだ体にならないよう運動もした。

 

 

忙しかったけど、そんなの気にならないぐらいだったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、突然別れを切り出された。恐る恐る理由を聞くと、どうやら罰ゲームで俺と付き合う事になったらしい。

 

 

何かどす黒い感情が湧き出たが、彼女も俺を好きになってしまい、いつ話を切り出すか迷っていたと言われ、少し悲しくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また改めて付き合いたい」、「話を着けてくるまで待ってて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は目を潤ませながらそう言い、俺は悲しくも了承し、待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、いつまで経っても彼女は来ない。それどころか、他の人と交際しているという話まで耳に入ってきた。

 

 

俺は勇気を振り絞り、彼女のいる所へ向かい、話をした。すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことバカ真面目に信じてたの?アホくさ」

 

 

 

「ガチな恋愛とか息苦しいんだよね」

 

 

 

「何ヶ月も騙されててみんな笑ってたし、玩具にしてはなかなか楽しませてもらったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、俺の聞き取れた言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は最後まで聞くことなく、黙って立ち去った。後ろから何か言われてるような気がしたが、俺には何も聞こえなかった。

 

 

その日から、俺は休学した。部屋に閉じ篭り、ただ横になっていた。

 

 

その日から、俺は女性との付き合いが怖くなってしまった。厚意があっても、疑う事しかできなくなった。

 

 

人によってはその程度と思われるかもしれない。しかし俺にはダメージが大き過ぎた。

 

 

 

家に着いた時の虚無感、絶望感は今でも忘れられない。信じていた子が裏では俺を嘲笑っていた。俺の努力は全て無駄だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が何をした?

 

俺は間違っていたのか?

 

本気で好きになる事はダメなのか?

 

俺はただ、一途に尽くし、好いてくれた子が笑顔になってくれれば、ただ傍に居てくれれば、それでよかった。それだけでよかったんだ。

 

だが、それすらも否定された俺は何が正しいのかわからなくなった。

 

後から込み上がる怒りをどこにぶつければいいんだ?

何故俺は涙を流さなくちゃならないんだ?

何故幸せから絶望を味わわなければならなかった?

 

俺の思いはこの時代には不向きだったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺は変なものが見え始めた。手のひらサイズの小人が寝てる俺の体で遊んでいる。

 

 

遂に俺にも幻覚が見えてしまったと落ち込みながら、俺は精神科に向かった。

 

 

この歳で鬱なのかと思ったが、そうじゃなかった。

 

 

 

 

 

 

俺が見えていたのは妖精というもので、これを視認できる人は希少らしい。何でも、視認できるかどうかは、妖精が人を選んでいるとか。妖精に気に入られる事が大事だとか。

 

 

 

俺は精神科の医師もおかしいと思っていたが、そこから事態は大きく変わっていった。

 

 

それから、俺は周りに流されるように現在の元帥と面会して、軍学校へ編入することになり、基礎知識と基礎体力を付けた。

 

 

家族もめでたいとかほざいて俺を軍へ送り出したけど、当時の俺はもうどうにでもなれと思っていた。軍だし最悪歩兵として前線に駆り出されて死ぬとしても、長生きする気なんか毛頭無いし、死んでもいいやと思っていた。

 

 

だが、妖精が見える者は提督になる道しかなかった。どうでもいいし、何でもよかった俺はあまり話を聞かずに頷いて、この鎮守府に着任した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、艦娘と出会い、月日は経ち、今に至るということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「...」

 

蒼龍「...」

 

提督「以上だ」

 

青葉(お、思っていた以上にヘビーな話だった...)

 

蒼龍(聞いてて哀しかった...)

 

提督「一つ言っておくと、同情なんてするな」

 

青葉「え、ど、どうしてですか?」

 

提督「同情したところで、何も変わらない。それに、この話を聞いて義憤に駆られてしまってはいけない。まあ、俺の鎮守府にはそんな子はいないだろうが」

 

青葉(今まさに元カノ特定してカチコミに行こうと思ってました)

 

蒼龍(協力するよ)

 

青葉(蒼龍さん!?脳内に直接...)

 

提督「満足したか?」

 

青葉「あ、はい...お時間かけちゃってすいません」

 

提督「そろそろ飯時だ。食堂へ行きなさい」

 

青葉「で、では...」

 

蒼龍「行ってきます...」

 

 

 

 

 

 

提督(あんな話を真面目に聞いてくれた二人はいい子だ。自分が出したボロからとは言え、初めて過去について話したかもしれない)

 

 

提督(不思議と、心が少し軽くなった気がする。だが、心の傷だけは、癒えることは...)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青葉「まさかあんな過去をお持ちとは...」

 

蒼龍「さっきの話、みんなに聞かせるの?」

 

青葉「当たり前ですよ。みんな司令官の事好きですから、幸せにしたいですよ...」

 

蒼龍「...何人か本当にカチコミに行きかけないけど、そこもちゃんと話さないとね」

 

青葉「わかってますよ。でも...可哀想な司令官...」ウルウル

 

蒼龍「...」

 

 

 

 

 

 

 

 







本格的なイチャパラはまだ先です。
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