最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
※これは妄想の産物です。趣味です。なので察してください
プロローグ(0話)
何も見えない、聴こえない、匂いもしないし感覚もない。ここは何処なんだろう……その言葉ばかり、私の頭の中で延々と回り続けている。
体も動かせない、いや、動かした感じがしない。どんなに動かそうとしても、闇の中に力が霧散していくようで全く動く気配が無い。
ずっとこのままなんじゃないか……なんて恐ろしいことを考えていると、闇の中から小さな淡い光がポツンと現れた。
やがてその光は一筋の光へと変化し、徐々に暗闇を侵食していく。あまりの明るさで上手く目が開かないが、何となく感覚でわかる。
最後に一際強い光が目を刺激し、光の中から大人びた美しい髪の女性が現れた。
俺はこんな人知らない……というか誰? 親戚にこんな人いただろうか? 疑問しか浮かんでこない俺にお姉さんが話したそうにこちらを見ている。
「あなたは死んでしまいました」
お姉さんが少し悲しげに言った。
「は?」
え? 死んだ? まだ14歳の私が成人にもなれずに死んだ? そんな馬鹿なことあるわけないだろう。
「いや、ほんとです。あなたは死にました。死因はまぁ……その、アレですけど、まぁ簡単に言うなら発狂死ですかね。幸せそうに死にましたね」
発狂? 幸せ? なんか思い出せそうでおもいだせない。嬉しかったようなそうでないような? あかん、思い出せない。
「あの全然思い出せないんで詳しく教えてくれません? 知ってるんでしょお姉さん」
「その前に1つ、自己紹介させてください」
そういうとお姉さんはストレッチした後、深呼吸をすることで落ち着きを取り戻し、上位存在としての威厳を醸し出す。
「私の名は神『アポーション』。死者の魂の循環を担うものです」
「嘘はよくないと思う」
「いきなり疑うの!? あの、ここがどこかわかります?」
言われてみると、ここは自分の部屋じゃない。というか、自分の部屋はこんな開放的じゃないし、ましてや黄金の空とか現実じゃない。身に覚えがないなんてレベルのものではない。
「ここどこだよ!?」
「えぇぇぇえ今!? 気づくの遅い! 最近の若者は危機感が足りてないよ!」
「だってついさっきまで部屋にいたんだもん! こんなとこ知らんもん!」
唐突の状況変化に追いつけず戸惑う男、
「とりあえず、あなたは誰なんですか? というかどこ!?」
「さっき説明したはずなんですが……もう一度言います。私は神『アポーション』。天界で死者の魂の循環を担っています」
「天界に神様ねぇ。どこの小説投稿サイトだろうね」
異世界転生してチート無双、この流れ、素晴らしい。
「そしてあなたは循環777回記念で異世界に行くことができる権利を手に入れました! おめでとう! ぱふぱふ!」
そんなに循環してたんだ……なんて感心してしまったがそうじゃない。異世界に行けるだと!? それはつまり、
「もちろん、能力はお渡ししましょう」
「よっしゃああああああああああ!!!!」
念願の夢が叶い、テンションのあまり狂喜乱舞してしまう。そのせいで女神が若干引いてしまったが、仕方がない。男なら誰しも喜んで当たり前である。
「あなたが行ってもらう世界は『僕のヒーローアカデミア』です。頑張って充実した人生を過ごしてください」
「神様、マジでありがとう」
そういって俺は感謝を込めて、女神の周囲をグルグルと周りながらオリジナルダンスを披露した。
「あ、あの、気持ちは伝わったので早くこちらに……」
あら、意外と反応が悪かったようだ。神様が苦笑いしながらやめるよう注意してきた。
「それでは転送の儀を」
そういうと俺の周りには何重に積み重なった魔法陣が不規則に光を点滅させ、今にも出荷される勢いであった。
「あの女神様? 私の死因ってなんでしょうか?」
まだ聞けていなかったことを思い出した結依楓真は、女神に最後のお願いをする。流石に自分の死因も分からないまま別の世界に行くわけにはいかず、ここを逃せば女神には二度と会えない。同じ過ちを繰り返さないよう聞いておくべきだろう。
「あなたはジョジョの奇妙な冒険第5部の第1話を見て3分後に出血多量でお亡くなりになりました」
その時、結依楓真の脳裏にあの日の記憶が蘇る。確かあの日はいつも以上に疲れていて、友達に介抱されながら一緒にジョ〇ョの奇妙な冒険のアニメを見ていたら、嬉し過ぎたのか鼻血を出してそのまま寝込んでしまったのだ。我ながらはた迷惑過ぎる。
過ちを繰り返す方が難しいほど意味不明な死因だし、何故そのような結果になったのかさっぱり思い出せない。なんだか気にしない方が良さそうな気がしてきた。
結依楓真は大人しく転送魔法陣の中で、死因とは別に前世のことを思い出そうとした。が、これも思い出せない。家族の顔も、友達の顔も、記憶も経験も何もかも思い出せない。だがゲームやアニメ等の知識だけは何故か普通に思い出せる。異世界転生ってこんなんだっただろうか。
まぁ、とりあえず自分の過去に関しては全部気にしないことにした。どの道新しい人生が始まる以上、過去の記憶なんて余計なもの。考えるだけ無駄かもしれない。
とりあえず目でも瞑って、転生の時を待つとしよう。
「最後にあなたの能力についてですが…………あっ」
不穏な声を漏らす女神に、結依楓真はドキドキが止まらない。別に声がエッチだからとかそういうわけでなく、転生失敗しそうな匂いがしたから心配になっただけだ決して、エッチだからではない。
「あ"ッ……ゔェッ!! が!」
「女神!?!?」
明らかに女神の様子がおかしいと思った結依楓真は女神の方を見たが、何故か視界が真っ暗で何も見えない。それどころか女神に出会う前の、体の感覚が一切ないあの状態に逆戻りしており、身動きが取れない。何かとてもヤバそうな雰囲気だ。
「女神ィ──────ッ!!!」
一応、言ってみたものの返事は帰ってこなかった。
不安だ。女神は無事なんだろうか? まぁ女神だから多分大丈夫だと思うが、明らかに首締められたような声上げてたから本当に不安でしょうがない。
心配しているうちに体の感覚が戻ってきたが、いつの間にか俺の体が高所から落下していることに気づいた。本当に意味がわからないし、視界はまだ真っ暗なので何が何だか分からない。ただこれもよく分からないが、何故か俺の口の中でミン〇ィアを食べた時のような清涼感が広がっていた。どういう配慮なんだろうか。
「んひゃッ!?」
一瞬、生暖かい液体のようなものが背中を伝って全身を包み込み、最後は口の中に流れ込んでくる。咄嗟の出来事だったので変な声が出てしまって恥ずかしいが、次の瞬間には液体が肺の中に入ってきてそれどころじゃなかった。正直痛いし吐きたいし気持ち悪い。辛い。吐きたい。吐かせて欲しい。さっきからわけのわからないことの連続で頭が痛いし、気持ち悪いから早く楽になりたい。あぁああぁあ俺の思ってた異世界転生と違う!!
過酷な闇の世界でもがき続けていくうちに、また淡い光のようなものが見え始めた。俺はその光がこの闇の世界から脱出するための出口だと理解し、必死にその光に向かって泳ぎ続ける。息すら吸うことができず、ただ必死にもがいて、あがいて、光に向かって走り続ける。
「お前は運命に踊らされている」
光が広がる。世界が見える。肺に入った羊水を吐き出し、声を叫ぶ。それが苦しみから最も早く開放される手段であることを、私は理解していた。
だから精一杯に叫ぶ、力いっぱいに叫ぶ。叫んで叫んで叫びまくって、生まれたことの意味を知る。
「オギャァ! オギャァ! オギャァ!」
生まれた。
■
【神界】
神々が暮らす地、神界。白と黄金で彩られた世界には神々がいるとされ、あらゆる世界の監視を行っている。美男美女の超越者たちは人智を超えた力を用いて裕福に暮らし、争いのない世界でのんびりと下界を眺めていた。
が、そんな平和な神の世界はつい先程、崩壊した。
崩壊させたのは、たった一人の幼き少女。その瞳と顔は黒く染まり、ボロい白黒の服と帽子を身にまとった怪しい少女は見た目以上に凶悪な異能を用いて次々と神を虐殺し、容赦なくその首をへし折っていった。
神々はその究極の力で彼女を追い出そうとしたが全く叶わず、彼女の行動により神界に住む全ての神々が首無しの死体に生まれ変わった。その光景はまさしく地獄のような光景で、あの美しかった大地すら流れ出した血液によって穢されていく。
少女は死体の山の上でクスクスと笑う。何が面白いのかなんて、本人以外わからない。ただ、全てがいなくなり、彼女だけが残ったこの世界には、昔とはまた異なる美しさが存在していた。
少女の名前は……、異形魔理沙。
最強の魔法使いである。
キャラ説明
結依楓真:2次元大好きな14歳。テンションあがりすぎたたため死亡。僕のヒーローアカデミアの世界で新たな人生を歩む。
神『アポーション』:天界に住む神様。姉がいる。
異形魔理沙:最強の魔法使い。
*異形魔理沙の能力について
相手の体の一部(皮膚や髪の毛、体液でもOK)を摂取することで相手の能力を手に入れることができる。ちなみにパクられた相手は能力を失うことはない。また、ストックできる能力の数はほぼ無限であり、またあらゆる戦闘形態に体を変えることができる(ここでは何でも化けられるということにします)。