最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

12 / 87


【あらすじ】

半年の年月を経て成長した魔理沙は外出許可証を得た後に両親と再会。ニューヨーク市内を観光する。

夕方、レストランにて婦人らしき人とトラブルになりかけたが何とかその場を切り抜け脱出。三人はニューヨークで最も美しい夜景を見に行くことにした。





殺意の足跡(4.750話)

 

 

【ニューヨーク市内】

 

【ニュー・エンパイア・ステート・ビル99階】

 

アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン区にそびえ立つ、ニューヨーク市で最も高い高層ビル。全長約769m、階数はなんと193階まで存在し、180階のメイン展望台から見えるニューヨークシティの夜景はアメリカ合衆国内でもトップクラスの夜景スポットとして名を馳せている。

 

レストランを出た後、魔理沙たちは最後にこのニューエンパイアステートビルに訪れ、夜景を満喫していた。

 

「綺麗!」

 

「ここはニューヨークで一番映える場所だからね、来てよかった」

 

「す⋯⋯っごい!」

 

ガラスの向こうに広がるニューヨークシティの街並みと、地上に浮かぶ星々のような煌めきに魔理沙は感動し、ジッと窓に張り付いて景色を堪能していた。

 

その後魔理沙たちは記念写真を取り、しばらく夜景を見つめていると、父が私に話しかけた。

 

「魔理沙」

 

「何?」

 

「さっきはごめんな」

 

父が申し訳なさそうな表情で私の方を見る。私自身としてはそんなに気にしていなかったが、父は違ったようだ。

 

「父さんが謝ることじゃないよ。それに、今更見た目でどうこう言われても特に感じないし」

 

「⋯⋯お前は本当に昔から成熟してるなぁ」

 

「そう?」

 

魔理沙は道中で購入した瓶コーラを1瓶飲み干し、自身の内面を見つめる。だがあんまり変わった気はしない。生まれてからずっとこんな感じのスタンスだが、さらにルーツを探ろうとすると前世を思い出す必要がある。まぁもうほとんど覚えていないから結局分からないことに変わりは無いけれど。

 

魔理沙は空瓶を空中に放り投げ、落ちてきた瞬間に能力で空間ごと削り取った。その後、魔理沙は両親の方に振り向き、手すりに体重を寄せる。

「そういえば聞き損ねていたが、魔理沙はどうしてあの施設に残ることにしたんだ? 話を聞く限り相当治安の悪い環境なんだろう?」

 

父の質問を受けて少々複雑な表情を浮かべる魔理沙。初めて父と面会した時にも言われてたが、私がカメリア刑務所の地下研究施設に収容されることになったのは、父の知り合いによる推薦と父が所属している組織のさらに上の組織の上層部の人間が決定したことで、父が直接関与したわけではない。なので刑務所の実態について知らされておらず、あくまで仕事として私を収監することになった。しかし施設の実態がある程度分かった頃に、父は既に退監手続きの書類を作っていた。その後父は私にサインするよう求めたが、上層部の人間と施設の人間による抗議の他、私自身も反対したことでこの話はおじゃんになってしまった。

 

私が賛成すれば一応あの施設から出ることは出来たのだろうが、そもそもあの施設に入る気になったのは能力をコントロールするためで、治安悪い方があらゆる状況を生み出しやすいので居残ることにした。週に10回以上の暗殺を経験してきたから、暗殺に対する対応策だけは死ぬほど身についている。

 

ただずっとあの施設に居座り続けるのはゴメンだ。人工太陽がある場所は限られているため、それ以外の部屋で日光を浴びることはできないし、四六時中争いが絶えないし、戦闘訓練以外のキャリアサポート的なものは一切無い。異常者もよりどりみどりで、自分を唯一神に使える選ばれし信徒だと本気で思っている人間や、他人の温もりに触れるためならどんな手段も使うヤツ、暴力でしか感情を伝えられないヤツ、ヒトも動物もみな平等だと言って躊躇無く殺しにくるヤツなど、数えるとキリがない。

 

唯一の利点はそんなヤツらを罪悪感無くブン殴れることくらいで、能力を完全にコントロール出来るようになればすぐにでもこの施設から逃げる気ではあった。

 

それほどあの施設の破滅っぷりはとんでもなかった。

 

そのことを両親に伝えたら、両親は少し笑った後、私の足に触れながら話しかけた。

 

「自分で決めたことなら、しっかり最後までやりなさい」

 

「あい」

 

「正直父さんは今すぐにでもお前を回収したいが、お前が満足するまで待つことにするよ」

 

「母さんも待ってるからね」

 

「任せて」

 

魔理沙は両足をプラプラと揺らしながら、右腕にグッと力を込める。

大丈夫だと、体で意思表示をしたが、母はその姿がおかしかったのかクスッと微笑んだ。

 

 

……

 

 

しばらくニューヨークの綺麗な夜景を眺めていると、ふと魔理沙はあることに気づいた。

 

自分は今とても幸せだが、自分が今置かれている状況的に、ここまで幸せを享受出来るなんてかなりのレアケースなのではないかと。

 

異形の見た目をした私がこんなにのんびりと過ごせるのは、家族が優しいからに他ならない。だがこの世界の異形個性に対する差別は尋常ではなく、たとえ血で繋がっていようと虐待を受けたり、ネグレクトされることも多々ある。

 

だというのに私は親から一切虐待を受けること無く、ネグレクトされることもなく、こうして家族と旅行出来ている。これはレアケースだ。当たり前のように見えて当たり前じゃない。だからこそ気になる。

 

なぜ両親は私を恐れないのか。私が生まれたとき、この真っ黒な顔を見てどう思ったか。純粋に気になった。

 

「ねぇ、父さん母さん」

 

「「何?」」

 

「私が生まれて、どう思った?」

 

「こんなに見た目も個性も違くて、無駄に強くて、何か後悔とかしなかった?」

 

「魔理沙⋯⋯」

 

両親は互いに顔を合わせた後、魔理沙と同じ目線までしゃがみ、そして魔理沙の2つの肩にそれぞれ手を添えた。

 

「最初は色々とビックリしたけど、後悔なんてしてないわ。母親だもの」

 

「どんなに見た目が違っても、魔理沙は私の娘で、私は貴女の母親、そこに変わりはないでしょう?」

 

母がそう言うと、父も頷きながら口を開いた。

 

「たとえどんなに個性が違っても、どんなに強くても、私たちはお前の味方だ。お前のためなら、世界を敵にしても構わない」

 

想像以上の言葉を貰い、面食らった魔理沙。両親の言葉をリピートする度にだんだんと恥ずかしくなり、自分の幼稚な行動を恥じた。

 

「⋯⋯⋯何だかかまって欲しくて言ったみたいで恥ずかしいな。どうしよう、記憶消そうかな」

 

魔理沙は自身に忘却魔法をかけようとしたが、母にとめられた。まぁ、フリではあったが。

 

「いいじゃないそれくらい。4歳なんだし恥ずかしいも何もないでしょう?」

 

「4歳だけど、時間止めまくって実年齢もう20歳超えたし、精神年齢は4歳どころじゃないし⋯⋯」

 

「じゃあお酒飲む?」

 

「飲めるけど誤解されるから飲まない」

 

真顔で断る魔理沙を見て、母はまた微笑んだ。

 

「ふふっ、魔理沙と話すと4歳っていうより、16歳の子と話してるみたいね」

 

「褒められている……のか?」

 

「落ち着きがあって良い、ってことじゃないか?」

 

「実年齢より低いのに?」

 

父の適当なフォローに3人は笑い、そして再び夜景を見つめた後、再び父が立ち上がった。

 

「よし、今日は十分楽しんだし、明日に備えてホテルに行こう!」

 

「魔理沙、本当に大丈夫? 脱獄犯とかにならないよね?」

 

「ならないならない。もしなりそうになったらこのリングが教えてくれるし大丈夫」

 

「そっか。じゃ、戻ろう」

 

3人は展望台の窓ガラスから離れ、静かにエレベーターに乗った。エレベーターはビルの内部に設置されているため本物の外の景色は見れないが、最新の映像技術によりまるで先程見ていた夜景と全くそっくりで美しい夜景の映像が流れ、さらに夜景の中にはアメリカで有名なヒーローたちや漫画アニメの人気キャラクターたちが自由に空を飛び回るなど、映像ならではの要素が織り込まれており、最後まで楽しかった。

 

こうして、魔理沙たちのニューヨーク旅行1日目が終了した。

 

 

 

 

 

外出許可が出て2日目、魔理沙たちは昨日行けなかったニューヨーク市のブロンクス区で観光していた。

 

メジャーリーグで有名なスタジアムを見たり、動物園に寄ったり、ホワイトハウスを脇目に美術館や博物館を観光したり、ボストンの街並みを見ながら散歩したりしていた。

 

時計の針が午後3時をまわった頃、魔理沙は5段アイスを片手にニューヨークの街並みを見ながらアイスにかぶりついていた。

 

ピピピピ⋯⋯

 

「? 壊れた⋯⋯?」

 

突然リングから不可解な音が鳴り響き、魔理沙はリングの方に目を向けた。何もした覚えは無いが、とりあえず不具合を直そうと魔理沙は軽くリングを叩いてみる。すると、魔理沙の予想に反して謎の警告メッセージがリングから投影された。

 

【魔理沙様、重大な違反が検知されたため至急カメリア地下研究施設までお戻りください。5分後にプロヒーローが到着します】

 

「は?」

 

全く身に覚えのない事を指摘され、目を丸くする魔理沙。この2日間一切能力使っていないというのに。

まだ見に行っていない観光スポットがまだたくさんある以上、素直にこの警告を受け入れるわけにはいかない。とりあえず監視者と連絡取ってこのリングの誤作動を止めてもらわなければ。

 

「キャアアアアアア!!!」

 

「今度は何!?」

 

エラーメッセージの次は悲鳴が耳に届き、魔理沙は声がした方向に振り向いた。すると、先程までいなかったはずの謎の化け物がいつの間にか街中に出現し、周囲の人間を片っ端から襲っていた。

 

「アレは⋯⋯⋯私?」

 

私に若干似てはいるものの、顔以外の全てが透けており、皮膚らしき部分は粘性を帯びていて常に流動している。髪は先端に近づくに連れて赤または青色に染まり、まるで露出した血管のよう。随分と悪趣味な造形である。

そんな見るからに化け物といって差し支えない存在は逃げ惑う人々に対して次々とレーザー光線を放ち、容赦なく殺していく。レーザーによって開けられた傷跡は本人の意思関係なく急速に開き始め、30秒後には巨大な風穴を形成し人々を死に至らしめている。

 

あまりに異質な化け物の個性に魔理沙は内心首を傾げるが、今はそれどころでは無い。被害を食い止めるのが最優先だ。

 

「止めろッ!!」

 

「「魔理沙ッ!?」」

 

魔理沙が大きく地面を蹴り上げ、一瞬で化け物に近づくと、強烈な空中回し蹴りで化け物を蹴り飛ばした。

見た目からして物理技が効かなそうに見えたが、意外と手応えは感じる。だがアレで再起不能になるとは到底思えない。

魔理沙の予想通り、化け物は粉塵の中から顔を出し、無機質な笑顔を見せると、背中から白い翼を生やし、リングのようなものを頭に浮かべた。天使にでもなったのだろうか。

 

「ワ"タ"シ"」

 

化け物がガビガビな声をあげた後、翼で大きく羽ばたき、魔理沙に向かって突撃し始めた。

 

(⋯⋯使うか?)

 

向かってくる化け物に対処するべく、魔理沙は能力を使うかどうか考える。あのメッセージが本当なら私は違反者で、ここで能力を使おうが使わないがどの道刑務所に連行される。なら使っても良い気がするが⋯⋯

決断を下す前に化け物が右腕を鋭利な爪に変形させ、魔理沙の肉を断ち切るように爪を振りかざす。

だが魔理沙は反射的に回避し、化け物の腕を片手で掴んで軽く振り回した後、人のいないところに目掛けてブン投げた。

 

(使わなくてもいけそう)

 

案外楽に倒せそうと思いきや、化け物は粉塵の中から5本のレーザーを飛ばして魔理沙の脇腹と肩の関節を貫通させ破壊した。

肩に力が入らなくなり、両腕がダラリと垂れる。SBSP版マホカンタを発動していればダメージを負わずに済んだが、まだ光速で動くものに対して反射的に能力を発動することが出来ないのと、常時魔法or能力を発動させ続けることにまだ慣れてないせいで上手く対応が出来なかった。

ずっと観光巡りのための言い訳を考えていたが、どうやらそんな暇は無さそうだ。とりあえず魔理沙は傷ついた箇所を自前の再生能力で治そうとしたが、傷は全く治らなかった。

 

(⋯⋯これは)

 

見覚えのある現象にデジャブを感じた魔理沙。しかし魔理沙が立ち止まっている間に復活した化け物は両腕を巨人並に肥大化させ、再び魔理沙に突撃していく。

両肩は壊れて使い物にならず、傷は多過ぎる上に厄介な力が働いて治せない。

 

「仕方ない」

 

治すのは諦めたが、だからといって何も出来ずにやられるわけにはいかない。

化け物はこの機会をチャンスだと思っているのか、何の警戒もせずに私に近づいている。これは私にとってもチャンスだ。肉体を再構築しながら相手を消し飛ばすアレが使えるのだから。

 

魔理沙はギリギリまでタイミングを見計らい、化け物の拳が顔面に迫るまで待った。そしてその時が訪れた瞬間、魔理沙の全身から焔が噴き出し、強烈な光を発しながら大爆発を引き起こす。

自身の肉体を使った盛大な爆発を披露した魔理沙はそのまま死亡したかと思われたが、不死の心臓によって集められた光の粒子が肉体を再構築し、最終的に無傷の魔理沙がそこに立っていた。

 

一方、化け物は爆発によって為す術なく吹き飛び、建物にぶつかって地面に落下。しかしそれでもなお化け物は立ち上がり、魔理沙のいる方向を睨みながら全力で走り出す。

だが既に魔法で形成された鎖が化け物の四肢を拘束しており、身動きを完全に封じていた。どんなにもがこうと鎖を引きちぎることは叶わず、逃げることさえ許されない。

 

そんな中、結依魔理沙はゆっくりと化け物に近づいた。分かりやすく、瞳に映るように、時間をかけて化け物に近づき、"死"という概念が輪郭を帯びて現実に現れる。

化け物は必死にレーザー光線や炎を出して牽制するが、その手の攻撃は魔理沙には一切通用しない。全ての攻撃を素手で弾き返し、化け物の目の前までたどり着いた魔理沙は、残酷で非常な瞳のまま静かに呟いた。

 

「さよなら」

 

「⋯⋯マ"」

 

魔理沙が指を鳴らすと、化け物の真上に無数の魔法陣が展開され、爆音と共にすべてを覆い尽くすほどの雷撃が化け物に命中する。

焦げたアスファルトの匂いが漂い、確実に化け物を再起不能に追い込んだはずだったが、そこに化け物の姿は無かった。

 

「逃げたな」

 

手応えのなさから状況を察した魔理沙は、化け物を追うのを止めた。目で追える程度の速さであれば潰しに行ってもよかったが、アレは高速移動ではなく座標移動や瞬間移動、ワープの類いである。ワープ先が分からない以上深追いは時間の無駄だ。

ま、深追いせずともあの化け物が()()()で見た個性と似た個性を使っていた以上、刑務所と化け物の関係性は濃厚だ。刑務所の連中の中にここまで多くの個性を持ったヤツはいなかったはずだが、何かあるのは間違いない。戻るのが良さそうだ。

もしかしたらヴィラン連合のスパイか何かがあの刑務所に紛れ込んでいるのかもしれない。

 

「大丈夫か魔理沙!!」

 

父と母が私の名を呼びながら走ってきた。どうやら両親は無事なようだ。

 

「無事だよ。こんな街中で暴れるなんてホント迷わ」

 

「おっと?」

 

ヤレヤレと言う前に両親が魔理沙に抱きつき、魔理沙が無事である事を肌で感じ取る。

 

「よかった⋯⋯無事で!」

 

「大袈裟だなぁ、死なないのに」

 

魔理沙も両親を抱きしめ、不安や恐怖を和らげようと優しく背中をさする。個性を使った殺し合いなど刑務所では日常茶飯事だが、(地上)は違う。個性による過剰なまでの暴力は抗う術のない人々を傷つけ、人々を不安にさせてしまう。だから公での個性の使用は取り締まられるのだが、私はあまり人のこと言えないのでノーコメント。

とはいえ親にこんな不快な思いをさせるとは、あの化け物、ハッキリ言って許せん。見つけ次第チョップを食らわせてやる。

 

化け物に意識が向く中、父は冷静に状況を判断し、妻と子に指示を下した。

 

「魔理沙。今はまず警察に通報して、ここで待機していなさい。母さんは近くの住人から応急キットを借りてきてくれ。俺は人命救助にまわる」

 

「いや父さん、私もうそろそろ捕まる」

 

魔理沙の意味深な発言に、父は首を傾げた。

 

「……どういうことだ?」

 

「迎えがもう来た」

 

魔理沙が空を見上げると、遙か空の彼方でキラリと何かが光り輝く。その星のような輝きを持つ何かは徐々に高度を落とし、輝きをさらに増幅させる。

衝突を危惧した魔理沙は咄嗟に両親を30m離れた位置にワープさせた。その直後、強い衝撃が魔理沙の両腕にのしかかった。

撃ち込まれた太い拳は魔理沙の肉体を通じて地面を陥没させ、周囲一帯を衝撃波で消し飛ばす。落下エネルギーだけでは説明しきれないほどの威力だが、それも当然。

 

アメリカNo.1ヒーローが迎えに来たのだから。

 

「私の拳を受け止めるとは、なかなかやるじゃないか」

 

アメリカNo.1で最強のヒーローは一旦距離を取ると、周囲の状況を見渡した。

負傷者多数、死傷者も10人以上出ており、激しい戦闘が行われた形跡が複数。そして刑務所から脱走の通告と、私のパンチを食らっても無傷な脱走者。

 

謎は解けた。

 

「まさかキミみたいなちっちゃい子がこんなことするなんてとても思えないが、これも私の仕事。大人しくしてもらおうか」

 

「スター&ストライプ……!」

 

臨戦態勢に入ったスター&ストライプだったが、魔理沙父の呼びかけにより一旦振り返った。

 

「一般人は下がっていてくだ……! What? 貴方、どこかでお会いしたような……?」

 

「スター&ストライプ、私は日本の公安局の者です。彼女は私の娘でして、観光中に襲ってきたヴィランを撃退してくれたんです」

 

「……一応、今貴方が所属している公的機関とIDを言いなさい」

 

スターは冷静に身分証明書の提示を要求した。アメリカではよくヴィランが身分を偽って人を騙すケースがあるため、ヒーローに限らず一般人においても偽装工作に対する意識が非常に高い。なので当然スターも身分証明書の提示を要求したが、父は動揺することなく財布から身分証明書を提示した。

 

「……どうやら本当のようだな」

 

チェックが終了し、 スターの疑いを晴らすことができてホッとした結依勇魔。これでまた家族と旅行しに行けると安心したが、結果は真反対であった。

 

「だが、結依魔理沙は連行させてもらう」

 

「……ッ!? 何故!?」

 

意外な対応に驚いた勇魔。疑いが晴れたはずなのになぜ娘を連れていくのか、父には理解できなかった。

 

「どんな形であれ彼女は個性を使用し、誓約書の内容に反した。規則に従い、彼女をカメリア刑務所に収監する」

 

「……魔理沙はあくまで特別保護収監者だ、犯罪者じゃない。必要以上の拘束や虐待行為は契約違反だということを分かっているのか?」

 

「すまないが、私はあくまで脱走犯を捕まえろと命令されただけのヒーロー。この件について異議申し立てをしたいのなら刑務所の最高責任者を呼び出すか、その上の上層部に聞くといい」

 

「では、サラバだ」

 

魔理沙を抱えたスター&ストライプは一瞬で上空まで飛び上がり、一蹴りで地平線の彼方まで飛んで行った。

 

「魔理沙ッ!!」

 

父は何も出来ないまま娘を連れ去られ、ただ呆然と立ち尽くした。

 

何か良からぬ事が起きている気がする、そう感じた父こと結依勇魔は母の方に振り向き、肩を掴んだ。

 

「母さん、カメリア刑務所に行こう! 管理責任者に直談判する!!」

 

「分かったわ!」

 

一切NOと言わない妻に感謝しながら、結依勇魔は妻を抱きかかえ、短距離ワープを繰り返しながらカメリア刑務所へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

【カメリア刑務所地下研究施設B4F 昇降口前】

 

 

魔理沙はスター&ストライプに担がれ、そのままカメリア刑務所の地下4階に放り込まれた。

 

「いきなり逆戻りしたな」

 

何の色味のない見慣れた光景に魔理沙はため息を吐き、仕方なく自分の部屋に戻ろうとした。

 

正直リングの誤作動に関して問いただしたいところだが、疲れたので問いただすのは明日にすることにした。

それに帰ってきたら、それはそれで変なヤツらが私に「殺しあおーぜぇー」とか言って絡んでくるので、なるべく早めに部屋に戻りたい。

 

「··········あれ?」

 

魔理沙は人が多く集まるセントラルゾーンの外側の壁を沿いながらこっそりと移動していたが、ゾーンの中央に目を向けても人は見当たらなかった。

 

「誰もいない··········? それとも全員部屋に引きこもった?」

 

セントラルゾーンがここまでガランとしているのは初めてで、普段以上に何か変なことが起きない限りこういった状況は起こらないはず。

 

「お帰り魔理沙くん、旅行は楽しかったかい?」

 

背後から突然声が聞こえたので、魔理沙はすぐに振り返る。するとそこには、いつもお世話になっているドクター殻木がいた。

 

「ドクター、··········急に出てきてめっちゃビックリしたんだけど」

 

「ホッホッホ、驚かせてすまんの」

 

ドクターは自身の顎を擦りながらそう言った。

 

「ところでドクター、今日人少なくない? 何か心当たりある?」

 

「··········そうじゃのう、ワシあんまり施設の外でないから分からんのぉ」

 

「だよね、ドクターが外出てるのを見たの今日が初めてだし」

 

 

「ところで魔理沙、今日ここに戻ってくる前、誰かに襲われたそうじゃな?」

 

「··········あぁ、何か私に似た見た目のヤツに襲われた。それがどうかしたのか?」

 

「強かったか?」

 

「あ?」

 

魔理沙はドクターに再び聞き返したが、ドクターは一切表情が変わらないまま魔理沙を見つめていた

 

「強かったか?」

 

「··········いや、別に。見覚えのある個性を使われて驚きはしたけど、軽く捻ったよ」

 

「そうか」

 

ドクターの様子から不穏な空気を感じ取った魔理沙は即座に読心能力でドクターの表層心理を読み取った。しかし、得られた情報はドクターが絶対知らないであろうイタリア料理のレシピや日本で開催されている同人誌販売会イベントの内容などといった脈絡のない情報ばかり。

 

明らかに対策されている。黒だ。

 

「ドクター、お前··········」

 

魔理沙はドクターに近づき、ドラゴン殺しを携えドクターの首に目掛けて刃を向けようとしたが、ドラゴン殺しの取っ手に触れたところで背後から無数の剣先を向けられ、魔理沙は動きを止めた。

 

「魔理沙、お主には地下8階に来てもらう。そこで全てを話そう」

 

「··········剣先向けられたくらいで私が怯むわけないだろ。まだドクターの試験室のアレの方がマシだ」

 

「そうだと思ってお主のために人質を取っておいた」

 

「マリサ··········」

 

刑務官二人に捕らえられた状態で現れたのは、全身に大量の杭を刺され、個性を封じる枷を両手両足に着けられたジオの姿だった。

 

「··········ジオ!」

 

 

 

 

時を止め、その瞬間にジオの隣にいる刑務官を拳で殴り飛ばそうとしたが、魔理沙の拳は空を切った。

 

「魔理沙、そいつらはただの立体映像。本物じゃない」

 

「ジオはどこだ」

 

「少なくともこの刑務所にはおらんよ。アメリカ国内のどこかのホテルに隔離されとるんじゃないか? 知らんけど」

 

「ま、どうでもいいと思っているのなら今すぐにでも彼女を殺し、この場でお前さんとデスマッチおっぱじめてもええが」

 

「··········。」

 

「よろしい。では案内しよう」

 

ドクター殻木の案内の元、刑務所数名と私が4層保健管理センター内へと入っていく。

ドクターがいつもの研究室に入り、研究室の中でもさらに奥の方に行くと、今まで目にしていたものの一切気にしていなかった謎の扉の前にたどり着いた。

 

ドクターは扉の前で指紋チェック、虹彩チェック、そして8ケタのパスワードを入力すると、ロックが解除され重厚な扉が開いた。

扉の向こうには下に向かって階段が続いており、さらに向こうにはエレベーターらしきものが存在した。

 

「さ、行くぞ」

 

ドクターの背後を追い、魔理沙たちは階段を降りてエレベーターに乗った。このエレベーターはドクター専用のエレベーターで、地下1階から地下8階まで自由に行き来できるようだ。てっきりドクターも昇降機で昇り降りしているものだと思っていたが、こんなショートカットがあるとは。

 

「着いたぞ」

 

地下8階に到達しエレベーターの扉が開くと、そこには鼠色に燻んだ細い道が赤いネオンカラーでライトアップされていた。見るからに怪しい雰囲気が漂っており、壁には液体で満たされたカプセルがズラリと並んでいる。カプセルの中には人間の胎児のようなものや人間の背骨のようなもの、臓器、心臓、脳みそ、その他諸々が液体に浸され浮かんでいた。

 

「··········あからさまに違法なことやってそうな場所に来たな」

 

「あからさまも何も、違法行為のオンパレードじゃよ」

 

「··········具体的には?」

 

「クローン人間の生成、クローン人間による個性の人体実験、間引きした犯罪者を使った戦闘試験、犯罪組織から受け取った資金の不正受領、あと他に何かあったかのぉ?」

 

「もういいです」

 

十分耳に届いたので、魔理沙はこれ以上何も聞かないことにした。

 

魔理沙たちは不気味な通路を抜け、地下8階のセントラルゾーンにたどり着いた。ここからさらにドクターと魔理沙たちは移動し、様々な実験室の扉を横目に見ながら歩いているうちにいつの間にか目的の施設にたどり着いた。

 

「··········何だここ」

 

天井がやけに高く、地下とは思えないほど広大なエリアに魔理沙は驚いた。

 

「ここは地下第8階層の中で最も広い試験施設。ここでワシたちは個性因子を導入したクローン人間同士を戦わせ、個性について研究しておる。」

 

「あ、普段はこんなに暗くはないぞ? ワシら年だから滅多に移動することなくて、使わない部屋や通路は節電のために最小限に抑えとるんよ」

 

ドクター殻木はそう言うと、壁に設置された電源装置のレバーを持ち上げ、試験施設内の照明用ライトが辺りを照らした。

 

先程までの暗い雰囲気とはうってかわり、真っ白で無機質な空間が視界を覆い尽くす。よくよく見ると地面には数字と複数のカラーで構成された点線が描かれており、試験施設内における座標を表示しているようだ。

また魔理沙は視線を上に向けると、巨大な2つのスクリーンが存在し、その片方に私の姿と私のパラメーターらしきものが表示されていた。

 

まるでドクターの研究室にある試験室をより大きく、より豪華にした造りに見えた。

 

「さて、何から聞きたい? 思いつかないならワシが適当に話すけど」

 

ドクターはそう言って私の様子を伺った。

 

「··········旅行中、私のこと襲ったヤツを知ってるよな? アイツは何なんだ」

 

魔理沙はあの時のことを思い返し、ドクターに聞いた。

 

「あぁ、アレじゃな。上のスクリーン見てもらえば分かるが、アレはワシが作った人工生命体、クローン人間K427号。見た目がお前さんに似てるのは、お前さんの血を使ったからじゃな」

 

魔理沙はもうひとつの方のスクリーンを見ると、あのとき襲撃してきた化け物の姿と、その上に「クローン人間K427号(担当者:殻木達磨)」と小さく表示されていた。

 

「ワシはここで個性に関する研究を続けてきた。クローン人間の作成は100年前に確立された技術じゃが、倫理的問題を抱えているが故に今まで扱うことが許されなかった。」

 

「じゃが、個性の研究においてこれほどまでに相性のいい技術は他におらず、ワシは人目を忍んでこの技術を学び、ある組織からの資金提供を受けてこの研究施設を作った」

 

「··········その組織って」

 

()()()()()()と最近名乗ることにしたそうじゃが、要するに反社じゃな。そいつらが()()()()を通じてワシに『資金援助するから研究データを共有させてくれ』って言ってきたんじゃよ。ワシ、お金を集める才能が無かったから快く承諾してそいつらから資金援助を受けてな? 規模拡大に成功したんじゃよ」

 

ドクターとヴィラン連合の繋がりが明確になり、結依魔理沙の警戒レベルがグンと上昇した。

 

「刑務所は国が管理してるんじゃ無かったのか? お前みたいな小悪党がどんなに金を積もうと、そう簡単に悪の研究施設を作らせてくれるとは思えないんだが」

 

「ヴィラン連合のトップはたくさんの人脈を持つ人間でな、ここカメリア刑務所の連中や国会議員やらとも繋がっておるんじゃ。施設増設だか何だか忘れたが、一切問題は無かったぞ」

 

ヴィラン連合のトップ、その正体について魔理沙は()()()()()()()()()。このヒロアカ世界において最も巨悪で、邪悪な存在。その名は『オールフォーワン』、オールマイトが持つ『ワンフォーオール』と対をなし、個性の譲渡と剥奪を可能にする個性の持ち主。まさに"裏社会の王"と呼ぶべき存在。

 

「·········じゃあ、何でカメリア刑務所の刑務官がお前のボディガードみたいなことしてんだよ。刑務官全員がヴィラン連合の手下ってわけじゃないだろ」

 

「今この場にいる刑務官は全員ヴィラン連合の手下じゃが、お前さんの言う通りここの刑務官全てがヴィラン連合の手下というわけではない。まぁ、これにはまた別の理由があってじゃな·····」

 

ドクターはモジモジと両手の人差し指をくっつけたり離したりした後、話を続けた。

 

「実は最近、ワシの研究がヴィラン連合とは無関係の人間にバレての··········刑務所の管理責任者に物凄い問い詰められて干されかけたんじゃが··········()()()()()()()()()()()()()()()()がある提案をしてきての、ワシと管理責任者はその案に乗っかることにしたんじゃよ」

 

「··········提案した人とその案ってのは?」

 

「提案したのは確か日本の研究者だったかの? 名前は覚えとらんが。そいつとその関係者が、『K427号を使ってあの化け物を殺せ』と言ってきたんじゃ」

 

「分かっておると思うが化け物というのはお前さん(魔理沙)のことじゃな。ヤツらはアメリカの最高機密(トップシークレット)に記載された重要事項に従ってお前さんを消そうとしたんじゃが、それ関係でこの地下研究施設は重要な問題を抱えておる」

 

魔理沙は息を飲んだ。

 

「お前さんも薄々分かってると思うが、この施設の教育プログラムが整備されてない理由は単に収容者に対して嫌がらせがしたいからではない。手に負えない異能の持ち主をシャバに出すことなく秘匿死刑にするのがこの刑務所の……いや、アメリカの方針だからじゃ。現に危険性の低い地下第2層の連中はちゃんと教育を受けて就職しとるからのぅ」

 

「そんな刑務所じゃが、最近の個性のインフレの激しさについていけず、死刑にしたくても出来ないというジレンマが何年も続いたんじゃ」

 

「特に『支配』と『フルパワー』の異能。ヤツらが収監されてからは収容者の間引きが難しくなってな。徒党を組んで派閥を作り始めた頃には一切手出しが出来なくなった。『支配』の個性の前では並の刑務官など手駒以外の何者でもなく、唯一『支配』の影響を受けない刑務所の番人は彼の持つ『フルパワー』に抑え込まれてしまう。他にも『感覚遮断』や『硫酸ミスト』、『水銀操作』に『不可治癒』、『黄金創造』、『天使(エンジェル)』、『召喚(サモン)』、『病魔』、『悪食』など、ここ最近の収容者は粒ぞろいで誰一人殺せず、収容者は200人に及んでしまった」

 

「そんな時、クローン人間K427号の誕生と、お前さんが現れた」

 

「まずクローン人間K427号は、今まで誕生したクローン人間の中で唯一()()()()()()()()()個体で、異能を6つまで複数所持出来るようになった個体じゃ。そしてお前さんは"あらゆる魔法を扱う異能"、··········というのが嘘なのは最初の実験で分かっておったが、まさかお前さんが彼と似た個性··········『異能を複数所持する』異能だということには驚かされた。ワシビックリ」

 

「さっそくワシはお前さんの血液から異能因子を抽出し、実験としてクローン人間K409号に注入したが、何も起こらなかった。他のクローン人間にも追加で注入したが、そちらも何も起きなかった」

 

「あれほど多種多様な異能を見せて何も無いわけがないと思ったワシは採取した血液から異能に関係しないであろう細胞を取り除き、調整した液体を再びクローン人間にぶっかけた。」

 

「するとクローン人間K424号がおかしくなってな、人間の姿からかなりかけ離れた()()()()()()に変わり果てたんじゃ。これは何かある! と思ったワシはこの液体について調べたんじゃが、今研究室にある最新装備じゃその液体の秘密について解明できなくて、とにかく繰り返しクローン人間に液体をぶっかけてデータを取ったんじゃ」

 

「すると()()()()()()()()()。どうやらその謎物質は異能因子に対してかなり影響を及ぼすことが判明してな。影響といっても色々あるが、ワシが見た現象としては『異能のインフレ化』、『異能の部分特化』、『異能の弱体化』、『異能の秘匿化』などが見られたんじゃ。この謎物質の効果を知った次の日、ワシはクローン人間K427号にその液体をぶっかけた。」

 

「正直、賭けだった。"彼の異能"に適応したクローンなど貴重以外の何物でもないが、それを失う覚悟でお前さんから抽出した液体をかけた。すると、見た目がお前さんに似た感じになった他、6個までしか適応出来なかったはずの異能が50個以上まで適応出来るようになったんじゃ。」

 

「その時に丁度研究がバレて、前の話に戻るんじゃが日本の研究者とその関係者があることを提案した。」

 

「覚醒したクローン人間K427号に研究室で保存したあらゆる異能を注ぎ込み、"現人神"となったクローン人間K427号を使って収容者全員をブチ殺すプランがね。」

 

「··········。」

 

魔理沙は静かに口を閉じ、その後ゆっくり息を吸い込み、吐いた。

 

ハッキリ言って死ぬほどどうでもいい。

「他に聞きたい話はあるか?」

 

「··········今生き残ってる収容者は?」

 

ドクターの話を聞いているうちに地下4層のセントラルゾーンがスカスカだった理由はほぼ察していたが、念のため聞くことにした。

 

「··········そうじゃのぅ、名前覚えるの苦手だから個性名で言うけど、『フルパワー』、『悪食』、『精霊(スピリット)』、『焼夷弾(クラスター)』、それ以外のサンプルは皆死んだかの」

 

「··········」

 

「そう怒るな。お前さんもそいつらに苦しめられてきたクチじゃろ? ワシに当たる理由なんて無いじゃろて」

 

ドクターが私をなだめようとしたが、私は一切表情を変えることなく口を開く。

 

「確かに苦しめられたが、別に殺すほどじゃない。アイツらは確かに犯罪者だが、一部のヤツらは意図せず個性が暴走しただけで、実質被害者みたいなものだし」

 

「ほゥ、魔理沙。いっちょ前にあの人間たちに同情しているのか? 個性に似つかず随分と人間らしいな」

 

「お前らと比べたらな」

 

魔理沙は持っていたドラゴン殺しを右手で持ち、ドクターの方に向けた。

こうなるまでドクターには散々お世話になったが、これ以上ドクターの暴挙を見逃すわけにはいかない。

 

何時でも戦闘に入れる状態に移行した魔理沙。その様子を見てドクターは魔理沙に背を向け、試験管理室の方に向かっていく。

 

「さて、長々と話してもうた。そろそろ最後の実験を始めるとしよう」

 

ドクターが扉の中に入っていくと、自動的にドアが閉じられ、2つのスクリーンと同じ高さの所に存在する試験管理室の中へと入った。そこから安全に観察し、データを取るつもりなんだろう。

 

試験施設内に私一人だけが取り残され、辺りを見回していると、天井から一人の人間らしき物体が落下し、私の目の前に降り立つ。

その風貌はかつて見た全身スケスケの粘性を纏った怪物ではなく、真っ白な服を纏い、顔の黒い部分が消えて本物の霧雨魔理沙のような風貌へと変化していた。

 

魔理沙はこの時、一瞬だけ殺意や憎悪といった感情が消え失せ、"美しい"と、反射的に感じた。

 

「さぁ殺れ、人工生命体クローン人間K427号。殺らなきゃワシもお前も警察に突き出されてジ・エンドじゃ」

 

「··········!」

 

クローン人間K427号は白い翼を展開し、3色の天使の輪が重なって頭上に浮かび上がり、結依魔理沙を本気で潰すべく異能の力を解放した!!

 

 

 

 

 

 

 

To be continued....

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。