最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
EX① 個性過敏症候群
ある土曜日の朝、珍しく早起き出来た魔理沙はベッドを抜け出し、一階の洗面所の方へ向かった。土日休みは基本的に午前10時頃に起きるため、初めて7時に起きると眠くて仕方がない。
(眠気を覚ます魔法……あったっけ?)
いつも敵を眠らせる魔法ばかり使っているので、目覚めさせる魔法がなかなか思い出せない。普段使わない魔法はよく頭の隅に追いやられてしまうため、思い出すだけでも大変である。
(ま、いっか)
魔理沙は気にせず洗面台の鏡の前に立ち、自分用の歯ブラシを取り出した。そして共用の歯磨き粉を歯ブラシにつけ、下顎の奥歯から順番に磨いていく。一応、両親が私のことを思って子ども用の歯磨き粉を置いてくれてはいるが、一度も使ったことない。
口に水を含ませ、喉の奥まで濯いでから吐き出す。これで歯磨きは完了、次は顔を洗おうとした時、鏡に映った自分に違和感を感じた。
「背ぇ伸びたかな?」
心做しか自分が成長しているように見えた魔理沙。一応身長と体重は順調順調に増加しており、ちゃんと人間の子どもらしくスクスクと育っている。
これが他の人間同様、生理現象によるものなのか、それとも私が無意識のうちに自身の体を現実改変し、イメージ通りの
「……ただ、おっぺぇは変わらんのな」
魔理沙は鏡に映った自分の貧相な体を見て、それなりに虚しさを感じた。これは単に私が大器晩成型なのか、それとも無意識的に私が貧乳好きで、そのイメージを現実改変で反映してしまった結果なのか、定かでは無い。
「揉んだらデカくなるのか?」
魔理沙は胸にまつわる有名な噂を思い出し、自分の胸に手をかけようとする。信憑性は無いかもしれないが、仮にも私は神にも匹敵する超越者。胸を揉んだ瞬間、特殊なバフが発生して爆乳になってもおかしくない。
試しに触ってみた瞬間、突然脳から電気信号的な何かが流れ出し、右手の運動神経に意図せず命令が下される。
私は右手の親指と人差し指で優しく左の乳首を摘んでいただけだが、何故か私の脳みそは勝手に指令を下し、必要以上の力が勝手に発揮された。
「こっ、これはッ!!」
ブチィ!!
意図せず発生した会心の一撃により、結依魔理沙の左乳首がもぎ取られた。
「うわあ"あ"あ"あ"ああ"あ"あああ"あ"ああ"ああ"ああ"ああ"あ"あ"あああああ"あああ"あ"ああ"あ"あああ"ああ"ああッ!!!!!」
左乳首から漏れ出す大量の血液と、魔理沙の絶叫が響き渡り、地獄の土曜日が始まった。
■
魔理沙の絶叫を聞いた母親が心配して駆け下りてきた。流石に寝ぼけて胸触ったら会心の一撃発生して乳首もぎ取れたなど、口が裂けても言えなかった。しかし体の調子が変なのは確かなので、両親と相談した結果、公安や警察がお世話になってる病院に行くことにした。
なお、血で汚れた洗面所は
「……先生、魔理沙は大丈夫なんでしょうか」
「そのこと何ですがね、結依魔理沙さんは特殊なお体ですので100%そうとは言いきれないのですが、非常に似ている症例がございまして……」
「結論から申し上げますと、魔理沙さんは『個性過敏症候群』の可能性が高いです」
「『個性過敏症候群』……?」
聞いたことのない病名に、魔理沙たちは首を傾げた。
「はい。稀に起こる過剰反応で、本人の意思に関わらず個性が暴発したり、必要以上に力を引き出してしまうという病気です」
「原因は……?」
「ハッキリとした原因は分かっていませんが、発症者の共通点として
「魔理沙、心当たりある?」
「…………」
母親に聞かれたものの、魔理沙は黙るしかなかった。なぜなら死ぬほど心当たりがあるから。
普段の鍛錬もさることながら、『NOUMU』との激戦で大量の能力を惜しげも無く使いたおした魔理沙。その結果気絶してしまい、やれ両親やら警察やらにお咎めをくらったのはいい思い出である。
しかしあの時は全身出血だけで済んだかと思っていたが、想像以上にとんでも無い負債を抱えてしまった。能力の暴発など、場合によっては私のみならず世界に被害が出かねないので早急に治したいところである。
一応病気を治すことに特化した魔法は多々あるが、『個性過敏症』はおそらくこの世界限定の病気なので、治せるかどうかは分からない。
「現在、個性過敏症の治療法は確立されていません。しかし、自然治癒で元に戻るケースも確認されていますので、しばらくは個性の使用を控えることをオススメします」
「魔理沙、治るまで絶対に個性使っちゃダメよ?」
「へい」
魔理沙は適当に返事を返し、母と共に診察室から退場した。しかし個性を、能力を使わない場面など私にはほとんど無い。いや、家事する時や鍛錬する時に使う魔法を削ることは出来るが、問題は襲撃者だ。
魔法や能力の扱いは本家本元の異形魔理沙に近づきつつあるが、身体能力に関しては年齢か寿命に比例しているせいかあまり発達していない。正直、今能力無しでオールマイトと力比べしたとしてもおそらく勝てないと思われる。そんな状態でやれ脳無やらNOUMUやらヴィランやらに襲われたらたまったものではない。
いや待て。一番マズイのは襲撃者じゃなく、私か? 今日の朝、意図せず『会心の一撃』が出たのはまだまだ序の口で、これからとんでもない能力が私の意思に反して勝手に発動するとしたら、大災害どころか地球滅亡の危機だ。どんなに使わないよう気をつけても勝手に発動して勝手に滅んだらとんでもない。確実にこの世界がめちゃくちゃになる。
「……母さん」
「何?」
「早く家に帰ろう。ヒトが死ぬ」
「人が……死ぬ?」
未だ魔理沙の個性についてよく分かっていない魔理沙母は、よく分からないまま娘を車に乗せて発進した。
車に乗っている間、魔理沙はずっと考えた。どうやって自分の能力を封じ込めるか。とはいえ魔理沙は攻撃方面のみならず耐性面においてもブッチギリで最強なため、たとえ自ら封印の魔法をかけたとしても通じない可能性がある。
車から降りて帰宅後、魔理沙は考え事しながら2階に上がり、自分のベットに腰掛けた。
魔理沙のケツと接触したベットはおおよそ女の子が座って起きた出来事とは思えないほどに折れ曲がり、発生した衝撃波によって壁、机、天井、小道具、布団の一部が破壊されてしまった。
「最悪だ!!」
想定外の出来事に魔理沙はつい、いつもの癖で"時間を巻き戻す魔法"をかけてしまう。しかし今の魔理沙に能力を制御出来るはずがなく、適切な能力選択、能力の適用範囲、効果量、そのすべてを間違ってしまった。
結果、魔理沙は『部屋ごと』『タイムワープ』し、『現在から約150年前の時間軸』にタイムスリップしてしまった。
「なんでだよ!!!!」
制御できなさすぎてブチギレる魔理沙。しかし冷静に考えてこれでもまだ
現在、魔理沙はさっきまでいた世界と同じ世界で、日本の福岡県に移動した(スキル『大賢者』による情報)。しかし、間違い方によってはこの世界とよく似た
たまたま、同じ世界の時間軸上で、時間的距離もそこまで遠くなく、かつ日本に留まれたことがどれほどの奇跡か。落ち着いてからようやく理解した。
「……どうやって帰ろうかな」
帰る方法について模索する魔理沙。いつもなら
「リスクを承知でタイムワープするか……」
「……150年間ここで生き長らえるか」
最悪の二択。正直どちらも嫌だが、前者は必ずしも元の世界の時間軸に戻れるわけではないのに対し、後者は時間がかかるものの、確実に元の時間軸に戻れてなおかつ時間経過で個性過敏症も完治するかもしれない。ただこのまま何もせずにボーッとしても、誰かに絡まれたり能力が暴発する危険性がある。
「なるべく人目につかない場所に移動して、そこで自分を
自分と、この世界の未来のために封印することにした魔理沙はさっそく立ち上がり、どこか都合のいい場所がないか考える。
最初に思いついたのは心霊スポット……だが、あそこは好奇心旺盛な人が近づいてくるので止めておこう。
やはり物理的に近づけない場所が望ましい。そう思っていると、再びスキル『大賢者』が発動し、人目につかないオススメの場所を紹介してくれた。
それは富士山頂、桜島山頂、沖ノ島、硫黄島、知床半島、出雲大社本殿の6箇所。どこも物理的に近づけないというか、霊的に近づけない場所で色々と都合が良さそうに見える。
とりあえず魔理沙はここから一番近い沖ノ島に向かうことにした。道中、人に出会わないよう慎重に移動していたが、『大賢者』が最適なルートを導き出したおかげで今のところ順調に足を進めている。
ちなみに何故大賢者は暴走しないのか聞いてみたが、どうやら私の中の能力を制御する能力が全力でバグを抑制してくれているらしく、そのおかげで大賢者は正常に機能しているらしい。
しかしそれでも限界ギリギリらしいので、魔理沙はなるべく早足で歩いた。
■
大賢者の案内の元、ついに宗像市の沿岸部に辿り着いた魔理沙。しかし問題はここからである。
まず今向かっている沖ノ島だが、"島"なので当然本土から離れた場所に位置している。その距離なんと約60km。小笠原諸島ほど離れてるわけではないがそこそこ遠い場所にある。
そして沖ノ島は"禁足地"であり、一般人の立ち入りは禁止。世界遺産にも登録されていて、だからこそ身を隠すのに相応しいわけだが、沖ノ島は禁足地である以上ただの島ではない。
沖ノ島は"神宿る島"と呼ばれ、島そのものが神の御神体。島には宗像大社の神職1人が10日おきに交代で常駐し、大量の監視カメラが設置されている。能力の制御が難しい今の状態ですべての監視カメラを掻い潜り、神職にバレないようこっそり封印するのは相当厳しい。
さらに沖ノ島には"禁則事項"が存在し、その内容は……
① 沖ノ島で見たり聞いたりしたものは一切口外してはならない
② 島内にあるものは一木一草一石たりとも持ち出してはならない
③ 上陸前はいかなるものも服を脱ぎ、海に浸かり心身を清める"
……の3つがある。つまり私は上陸前に全裸になって禊を行った後、約60km離れた沖ノ島まで自力で泳いでいかなければならない。相当しんどいぞコレ。
とりあえず魔理沙は人目につかない物置小屋の陰に移動し、服を脱ぎ始めた。
「……胸小さくて良かった」
まだブラジャーを付けられる段階まで成長していなかったことに、魔理沙は珍しく感謝した。
一応、前世男なので女性専用装備に関する知識が乏しく、いつものように『前世の記憶を頼りにする』といった方法が使えないため、こういう非常時には対処出来ない。いつかちゃんと勉強するべきか。
脱いだ服を丁寧に畳み、全裸で海に向かう魔理沙。当然温度調節の魔法も使えないし、耐性も全部機能していない。そのため魔理沙は一般人同様、海の冷たさに自力で耐えなければならない。
何とか禊を行い、身体を震わせながら陸に上がる。そして体が乾くまで待ってから服を着直した。
さて、ここから沖ノ島まで行かなければならないが、どうやって海を渡ろうか。さっきは泳ぐと言ったが、流石に全裸で島に上陸するのは嫌なので、"服が濡れなくなる魔法"をかけなければならない。
一方、泳ぐ以外の方法として、"海上を歩けるようにする魔法"で渡る方法がある。
「大賢者、泳いで渡るのと走って渡るのどっちが良い?」
【魔法発動時の負荷が大きいのは"海上歩行の魔法"ですが、短時間であれば問題ありません。形態学上、人類は"泳ぐ"よりも"走る"方が速いため後者をオススメします】
「……ちなみに"海上歩行の魔法"で海を渡るのと、"身体強化魔法"で無理矢理海の上を走るの、どっちが良い?」
【身体強化魔法です】
「OK」
魔理沙は大賢者のサポートを受けながら魔人経巻を展開し、無詠唱で身体強化魔法を発動させた。そして、人智を超えた速度で海に突撃し、大ジャンプで打ち寄せる波を飛び越える。
右足が海面に着地した瞬間、右足が沈む前に左足を前に出し、左足が沈む前に右足を前に出す。これを超高速で繰り返すことで海上を爆速で走り抜けた。一度でも足を止めた瞬間沈んでしまうため、魔理沙は到着まで全力で足を動かした。
そしてついに沖ノ島に辿り着いた魔理沙は、身体強化魔法を解除せずにそのまま島内の散策を行った。大賢者の情報通り、島内には至る所に監視カメラが存在し、それら全てを脅威的な身体能力で回避しながら進むが、思った以上になかなか進まない。
『我が島を荒らす不届き者は誰だ』
「誰!?」
関係者に見つかってしまったと思いこんだ魔理沙は咄嗟に茂みに隠れた。が、周囲に人はいなかった。
『私は宗像三女神の一柱、多紀理毘売命なるもの。外来より来し人ならざるものよ、何故このような場所に』
「……え、マジ神!?」
逆探知不可の言葉を感じ、本能的に神だと理解した魔理沙。神と会ったのは前世含めこれで2回目であり、この世界で会ったのは初めてである。
神宿る島で神との会合を果たしてしまった魔理沙。貴重な機会に興奮する最中、
『……おかしい。ここまで因果が重複することなどありえない。それに存在そのものが不安定過ぎる。お前は……』
「……あ、そうだ。ねぇタキリヒメ、私ここで自分を封印したいんだけど、この辺で人目につかない場所教えてくれない?」
『封印……? 』
奇妙なことを言い出した魔理沙に興味を持った多紀理毘売命は、魔理沙から事情を聞いた後、少し悩んでから答えた。
『仕方ない。父と母が見守ってきたこの地をお前に壊させるわけにはいかぬ。協力しよう』
『だがしかし、我々は今忙しい。裏切り者の神に対する処遇で、後に呻く混沌の現世を平定できぬ。いづれ悪しき者がこの地に立ち入ることもあるだろう』
『そこでだ。お前には封印を手伝うついでに"魔除け"として機能してもらう。何、簡単なことだ。封印後にお前の神体を神の力で8つに分解し、各地方にバラ撒くだけのこと』
「……あの、150年後に復活する予定なんですが……」
『分かっている。お前が元の時間軸に到達したらちゃんと元の体に戻してやる。安心しろ』
少々怖い部分はあったものの、多紀理毘売命と手を組むことにした魔理沙。封印を施すのに丁度いい場所を探すべく、神の案内の元、魔理沙は沖ノ島内の森の中へと進んでいく。
どこもかしこも監視カメラでいっぱいだが、今の魔理沙は多紀理毘売命の加護により普通の人には見えなくなっているらしく、魔理沙と神は気にせず目的地へと向かう。
『着いたぞ』
険しい道を乗り越えて辿り着いた場所。そこは人の足では絶対に辿り着けない領域。断崖絶壁に囲まれた道の真下に存在する洞窟内に、神と魔女が舞い降りた。
『ここは神職ですら近づかない神の領域。誰も近づくことはない』
「……あの、タキリヒメさん。今更ながらアレだけど……」
『何だ? 』
「ワンチャン神の力で私の病気とか直せたり、する? それができたら割と丸く収まるんだけど」
『お前のそれは病ではなく、■■の■■■■■だ。お前は封印ついでに我が身を振り返り、力の在り方について考え直すがいい』
「……はい」
神に論破され、新たに見出した希望も失った魔理沙は仕方なく封印の義を行うことにした。ただ普通に封印しようすると反射的に能力が発動するかもしれないので、『大賢者』と『神』のサポートの元、『かたやぶり』を発動しながら封印にまつわる魔法と能力を片っ端から発動させた。
【封印完了まで残り5%。もう少しの辛抱です】
『……注連縄使わないのか』
「……!」
能力の暴走を抑え込み、ついに魔理沙の封印が完了した。魔理沙の肉体と魂は無数の槍と神器によって固定され、意識すらも結晶内に閉じ込められてしまった。
『素晴らしい、まるで禍津日神のようだ。これなら"魔除け"、いや"人除け"に使えるだろう』
封印の出来に感心しながら、多紀理毘売命は結依魔理沙の封印結晶を神の力で8つに分解し、常世を経由して日本各地の神に纏わる領域に配置された。
『外来より来し人ならざるものよ』
『因果を紡ぎし穢きものよ』
『いつかまた世に見えし時、再びこの地にて会合を果たそう』
『楽しみにしているぞ』
■
(……ふぁ)
(あぁ…………)
(…………もう、そろそろ……経ったか?)
(うん、ちょうど私が5歳の頃の時間軸に到達している)
(後は、タキリヒメが元に戻してくれるのを待つだけ……)
(…………)
(…………?)
(アレ?)
(タキリヒメさん?)
(約束は!?)
(もしかして忘れた!? 神のくせに?!?)
(ちょっとねぇ! アンタがバラバラにした体元に戻してくんないと困るんですけど!!)
(ん、アレ?
(バラバラにするの忘れた?)
■
何とか自力で封印を解いた魔理沙は、沖ノ島の神域で目を覚ました。しかし、神域どころか沖ノ島内に多紀理毘売命はおらず、声も聞こえない。
「どこ行ったんだあの神……」
「ん?」
魔理沙が神域を出ようとした時、1枚の手紙が足元に落ちていた。魔理沙はそれを拾い上げると、ほのかに温かいエネルギーが体内に流れ込んできた。
(神力っぽいエネルギーに、材質不明の手紙……)
おそらくタキリヒメからの手紙であると感じた魔理沙は、手紙の中身を読み上げた。
【『There is no escaping that green-haired woman. The fellow researcher who saved me also died mysteriously, as if in a chain of events. And am I also being targeted all the time? She will keep coming out until I fall. It is just like a strange trail. I know a little something. The green-haired woman resembles an urban legend called "Sanae-san. And the hallucinations we have experienced are all related to the school. Unrealistic but no longer "Sanae-san" is real, isn't it? It is just like a bizarre trace. But the hallucinations we see do not feel as if they are hallucinations; they are strangely realistic. What does this mean? Ah, and it seems my turn has come already. I will never forgive that wizard woman. She played us to the last. Therefore, look, look. Such a wonderful future is out there. It is just like a strange trail. It is just like a strange trail. It is just like a strange trace. It's just like a strange trail. It's just like a strange trail. It's just like a strange trace. It's just like a strange trace. It's just like a strange trace. It's just like a strange mark. It's just like a strange mark. It's just like a strange mark.』】
「読めねェ!!」
もはや何語かも分からず、魔理沙は解読を諦めた。何故タキリヒメは日本語で書いてくれなかったのか、それともこの文字が神の使う文字なのかは分からない。が、貴重な文書であることに変わりないので、魔理沙は能力で手紙を異次元に格納した。
「……帰ろう」
やることが無くなった魔理沙は瞬間移動で帰ることにした。が、個性過敏症候群が治まったか分からないので、念の為そこら辺の石ころを家に瞬間移動させてから、千里眼で確認してみた。すると問題なく移動していたので、魔理沙は安心して瞬間移動で帰宅した。
「ただい…………あ」
家に帰ってきた瞬間、酷く笑顔な母の顔が目の前に現れた。
「おかえり、魔理沙。どこ行ってたの?」
言葉の一文字一文字に圧を感じ、魔理沙はすべてを察した。
「フッ」
「この世界の、"過去"かな」
魔理沙は現実から目を背けた。
「嘘つくんじゃない」
母のチョップが脳天に炸裂し、魔理沙は頭を抱えた。
「…………マジなのに!!」