最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
ヘドロ事件にて緑谷は、無個性でありながらも勇気を振り絞り、機転を利かせたファインプレーで爆豪救出に貢献した。
オールマイトは緑谷の勇気ある行動を褒めたたえ、"ヒーローになれる"と、断言した。
その間、魔理沙は無言で拍手していた。
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【多古場海浜公園】
緑谷とオールマイト、そして魔理沙は多古場海浜公園に来ていた。
「ふぬぬぬぬぬぬぬ!!! んンんンンんん!!!!」
「もっと気合いを入れるんだ緑谷少年!! これくらいできなきゃ雄英高校ヒーロー科は合格できないぞ!」
ヘドロ事件の後、緑谷くんはオールマイトから最強の個性、"ワンフォーオール"を引き継がないかと提案された。
ワンフォーオールは他の個性と異なり、人から人へ聖火のごとく受け継がれていく個性である。当然オールマイトも前継承者から引き継ぎ、"平和の象徴"と呼ばれるほどに強くなった。
歴代継承者の身体能力が凝縮された力の結晶とも言えるワンフォーオール、それを受け継ぐためには相応の力が求められる。だがしかし、緑谷くんはただのヒーローオタク。ワンフォーオールの力に耐え切れるほど体が出来上がっていない。
そこでオールマイトは、慈善活動兼特訓として、多古場海浜公園に捨てられた大量の廃棄物をすべて処理し、筋肉と景観を取り戻すことを提案した。
さらにオールマイトは緑谷くんのために、残り10ヶ月で雄英高校に合格するためのプランを組んだ。スタートラインに差があることを自覚していた緑谷くんは、誰よりも努力することを誓い、ここ3ヶ月間ずっと特訓していたのだが……
「全然進展しませんね」
「まだ順調だと思うのは私だけかな? HAHAHA……」
そう、全然進まないのである。おかしい。私の見込みでは、3ヶ月もやれば軽トラくらい軽く引っ張れるはずだった。何せ爆豪があんなに耐えていたのだから、緑谷くんもおそらくめちゃくちゃ強くなると、そう思っていたが未だに冷蔵庫を背負って70秒間走れるくらいしか進展していない。
「いや、むしろ凄いんじゃないか?」
オールマイトはナチュラルに心を読んできた。それは私の特権だよ!!
いや確かに緑谷くんは成長しているよ!! けど違う! もっとこう……かめはめ波撃てるぐらいには強くしたい! どうせなら魔改造したい! 私と組み手出来るくらいには強くしたい!!
「というわけで緑谷くん。次は私の方法で特訓しないか?」
「まっ、魔理沙さん!? な、何を言って……?」
「これから行う私のプランの名前を教えてやろう。その名は『緑谷出久のドキドキ大冒険』だ」
「結依さん、なんだかすごく寒気がするんだけど」
何か嫌な予感を感じた緑谷くんは身震いをした。
「大丈夫死にはしないからさ。……死なないけど、
「へ?」
ここから、緑谷出久の地獄の特訓が始まる。
■
「よーし緑谷くん。まずは口を開けろ」
「えっ? あっ、はぃ……」
緑谷は魔理沙の指示に従って口を開くと、何か薬のようなものと血のような温かい液体が同時に流し込まれた。
「飲め」
「……はい」
"支配"の能力で強制的に飲まされた緑谷。いったい何を飲まされたのか、それは分からないが不思議と生命力的な何かが漲った気がした。
「あの、今飲んだものはいったい……」
「蓬莱の薬とフェニックスの血」
「ッ!?!? うぇっゲフォっ! げフっ! ゲふォッ!!」
「はえ?!?!?」
魔理沙に一服盛られた緑谷は必死に吐き出そうとしたが、完全に体内に取り込まれてしまったためもう吐き出せない。
「蓬ら……フェニックスって! あの不死身の?!?」
「これで私に一歩近づいたね、緑谷くん」
「何呑気なこと言ってるんですか!? ! 不死身になったんですよ?!?!?」
「大丈夫大丈夫、後で"
「不死身にならなくても筋肉は鍛えられますよ!?」
「フフ……分かってないなぁ、緑谷くん。へたっぴさ……! 筋力の向上のさせ方がへた……! 緑谷くんが本当に欲しいのは……"
「ッ!!」
「緑谷くん……特訓ってヤツはさ……小出しはダメなんだ……! やる時はきっちりやった方がいい! それでこそ次の特訓の励みになるってもんさ……! 違うかい……?」
「……そんな、気がします!!」
「
「ちなみにオールマイトも私の能力でフェニックスの血と臓物を胃の中にワープさせたから不死身だよ」
「What a f○ck!!!!!!」
さりげなく巻き添えにされたオールマイト。あまりの外道さに叫んでしまう。
「今からやることはとてもシンプル。緑谷くんとオールマイトは私の飛び道具を全力で避け続けること。足もげようが首刎ねようが死ぬ気で避けるんだ。人間は死に瀕することで強くなるって、ド○ゴンボールとAll y○u need is killで学んだから……緑谷くん! オールマイト! 頑張るんだ!!」
「私は関係なくないか!?!?」
「No.1ヒーローはいついかなる時も訓練を怠らないし、これから酷い目にあうであろう少年を見捨てることはしないって、私は信じてる」
「信じ方が最悪だ……!」
「大丈夫、オールマイトはフェニックスの再生能力で全盛期の力を発揮できるようになっているし、"無かったこと"にしても再生した事実はそのままだからこれからも全盛期だよ」
「……マジかよ」
オールマイトは咄嗟に腹部に負った傷跡を確認していたが、いつの間にか消えていた。それにマッスルフォームを維持するのに使っていた労力も感じない。本当に戻ってしまったようだ。
「で……、やるかい?」
「…………、やり……ます!!」
「OK! いい返事! 早速やろっか! ……って言いたいところだけど、流石に狭すぎるから場所変えるね」
魔理沙が指パッチンすると、一瞬で何も無い開けた場所に変化した。
「「どこ!?!?」」
「チベット高原」
魔理沙が選んだ場所は世界最大級の高原、チベット高原。日本の国土面積よりも遥かに大きいこの場所で特訓が開始された。
「はい! もうスタートォ! 二人とも全力で避けてね」
「「はい?」」
既に弾幕の準備を済ませた魔理沙は一斉にスペルカードと呪文と魔法と魔術と異能と必殺技と呪術と技を解き放った。
「グングニル、夢想封印、ノンディレクショナルレーザー、トライペガサス、ゴットキャノン、エクスプロージョン、見えざる手、デーモンハンド、
「能力同時並列起動! オリジナルスペルカード発動! 奥義『阿鼻叫喚リサイタル』!!」
「逃げるぞ緑谷少年!!」
「え? 何が起こって? え? うわぁあああああああああああああああ!!?!!?」
槍が、レーザーが、爆裂が、手が、炎が、氷が。あらゆる飛び道具や魔法がこれでもかと言わんばかりに緑谷くんとオールマイトを襲う。右を向いても左を向いても、上を向いても下を向いても、あらゆる方向から即死級の攻撃が降り注ぎ、一度でも触れれば存在諸共消し炭になりかねない。
「嫌だ! 嫌だ! 死にたくないぃいいい!!!」
「私もこんなところで死ぬつもりはなああい!!」
「大丈夫! 死なないから!!! 痛いけど」
「死ぬぅううぅうううぅうううぅうううう!!!!」
「死なないって!! めっちゃ痛いけど」
オールマイトの体は全盛期の若さだ。その気になればこんな弾幕、軽く叩き落とせるだろう。だけど見た目の派手さに少しビビってるのかな?
「緑谷少年、私の後ろに下がっていなさい」
「お、オールマイトぉぉ……」
あらやだイケメン……、というよりプロヒーローの本能からか緑谷くんを庇うようにオールマイトが前へ出た。だが、それでは緑谷くんの練習にならない。除けてもらおう。
「アルフーラ!!!!」
「
風の魔法『フーラ』の最上位であるアルフーラと大量の弾幕がオールマイトのデトロイト・スマッシュと衝突し、大爆発を引き起こした。その衝撃で無数の魔法が周囲に飛び散り、大地を切り裂いていく。
「フッ笑」
私はすぐさまオールマイトの背後にまわり、腰の部分を両手でガッチリとホールドした。
「いつの間にッ! 魔理沙k」
「atomic♡」
テー ↓ テー → テー ⤴ テー ↑ テー → テー ↑ テー ↓
結依魔理沙の中心から放たれた核爆発級のエネルギーがオールマイトを包み込み、周囲の地面諸共粉々に打ち砕く。
「オ"オ"オ"オ"ル"マ"イ"ト"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!!!!!」
涙すら蒸発するほどの眩い閃光の中から白黒の魔法使いが現れ、さも何事も無かったかのように君臨した。
「さぁ、特訓の再開だぁ……緑谷くんが強くならない限り、俺は緑谷くんの筋肉を破壊し尽くすだけだァ」
「ヒッ……!!」
魔理沙は再び魔法・魔術・異能・個性・能力・スペルカード・呪術・術式・波紋を展開し、ジリジリとにじり寄る。
「強くなれェェエエエエエエエエエエエエ!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
■
その後も、地獄の特訓は続いた。竜王の攻撃を避ける特訓、禁断の星の封印から逃げる特訓、未来から来た鬼のシュートを受け止める特訓など。回避以外ももちろんやった。岩をひたすら殴り続けて拳の耐久を上げつつ、キック力増強シューズでひたすら蹴りの練習。かなり良い線まで仕上がった。そして現在、文字通り地獄で特訓している。
「ほら、はやくしねーと鬼に喰われるぞ」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
ブルーベリー色の化け物がすぐ後ろまで迫っていた。化け物は無言の表情で私達を舌なめずりしながら睨んでいるのが見える。緑谷くんはもうありとあらゆる穴から液体を噴射し、死にものぐるいで逃げていた。そして緑谷くんは気づいていないが、足を見るとワンフォーオールが自然と発動しているのだ。しかも壊さずに永遠と走っている。これは推測だが、生物の生存本能が無意識的に個性の制御を完璧にしたのだろう。やはり私は正しかった。緑谷くんを最強に導いたのは、私の特訓だった!!
「オ"オ"オ"ル"マ"イ"ト"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!!!」
■
さて、現世に戻ってきたが、緑谷くんは見事ノックダウン。完全に意識を失ってしまったため、仕方なく魔理沙はスキマを介して緑谷くんを自宅のベットに送り届けた。
ついでにオールマイトが組んだ特別プランに、私のメニューも追加した。土日は直接私が練習を手伝えるが、私も勉強を疎かにできない。なので某ハゲ頭のヒーローが三年間やり続けたという特訓メニューを平日に追加した。
そのメニューとはすなわち、腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、そしてランニング10キロ。これを毎日やる。もちろん1日3食きちんと食べ、精神を鍛えるために夏も冬もエアコンを使わない。
このメニューを三年間やり続けた某ヒーローは惑星すら破壊しかねないパンチと何をされても動じない体、そしてとてつもない動体視力を手に入れることができた。そのうえ海浜公園のゴミ掃除を行い、土日は私が直接行う特別な訓練で全ステータスを超強化する。
これが私の、緑谷くん特別改造プラン『緑谷出久のドキドキ大冒険』。絶対強くなる。逆にこれで強くならなかったらこれ以上にハードかつ超地獄級の特訓をしなければならない。多分しないけど。
雄英高校受験まであと七ヶ月。私も気合いを入れて頑張るとしよう。
【いろいろ紹介(死ぬほど長い)】
●蓬莱の薬
→飲むと不死身になる薬。かつてかぐや姫が地上を離れる際に置いていった代物。
●グングニル
→東方Projectのキャラクター、"レミリア・スカーレット"のスペルカード。紅く輝く悪魔の槍を豪速球で投げ飛ばす。使い手は悪魔だが名前の由来は北欧神話の神の武器。
●夢想封印
→東方Projectのキャラクター、"博麗霊夢"のスペルカード。神も妖怪も人間もみな等しく滅する光の玉を出す。 なお、使用時は無敵となる。
●ノンディレクショナルレーザー
→東方Projectのキャラクター、"霧雨魔理沙"のスペルカード。五色のレーザービームを放つ。しかしこのスペルカードはパチュリーのスペカをパクったものである。
●トライペガサス
→イナズマイレブンの必殺技の一つ。一ノ瀬、土門、円堂の3人が中心で交わり、ペガサスを解き放つ。
●ゴットキャノン
→イナズマイレブンの必殺技の一つ。円堂守のひ孫の円堂カノンが使う。
●エクスプロージョン
→爆裂魔法。世の中には同名の爆裂魔法がいくつも存在するが、この爆裂魔法は紅魔族の方。詠唱は省略。
●見えざる手
→魔女教大罪司教『怠惰』担当、ペテルギウス・ロマネコンティのもつ権能。常人には見えない数十本の手を使って攻撃する。
●デーモンハンド
→バトルゾーンにいる相手クリーチャーを一体選び、破壊する。
●
→異世界おじさんの魔法。鳳凰を模した炎の塊を相手にぶつける。なおバライブートが炎を指し、バストールが殲滅を指す。
●
→異世界おじさんの魔法。雷の槍を創造する。
●臥竜鳳雛
→グランブルーファンタジーのキャラクター、"ハイラ"のアビリティ。至宝の煌星を消費して相手全体に1.5倍の水属性ダメージを10回放つ。さらに感電レベルを1上昇させ、至宝の煌星の消費数に応じて攻撃行動の回数が増加する。
●インノートム・ユニバース
→グランブルーファンタジーのキャラクター、"ユニ" の奥義。倍率4.5倍、ダメージ上限168.5万の光属性ダメージを与え、"リヴァタライズ"(アビリティ)を発動する。
●トライディザスター(FF7仕様)
→ファイナルファンタジーシリーズに登場する技。炎・雷・冷気の3属性による同時攻撃を放つ。
●ギガバースト
→ドラゴンクエスト11に登場する連携技。主人公+二人がゾーン状態に入ることで発動するが、結依魔理沙は関係ない。
●アルフーマ
→Re:ゼロから始める異世界生活に登場する、風の上位魔法。