最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
ワンフォーオールの器としてついに仕上がった緑谷出久は、オールマイトから個性を譲渡され、ワンフォーオールを手に入れた。
そしてとうとう受験日を迎えた緑谷と魔理沙は、トラブルもありつつ、何やかんや説明を受け、演習場へと向かった。
【モニター室】
「……今年の受験生は粒ぞろいねぇ」
「あの爆発の個性を持ったあの子、たった一人でロボット100体も壊しちゃったよ。それでいて元気過ぎる」
「あっちの緑髪の子も中々凄いぞ。素早い動きで救助活動を行い、襲ってきた仮想ヴィランをたった一撃で粉々にするなんて……まるでオールマイトだ……!」
演習場A〜Eに設置された監視カメラの映像に爆豪と緑谷の姿が移り、次々とロボットを破壊していった。両者は幼なじみでありながらも正反対な動きをしており、それ故か総合点数の配分においても顕著に差が現れていた。
そんな受験生たちの踏ん張りを見守る中、突如モニター質に一人の男が入り込んた。
「こっ、公安から緊急連絡!!!」
「「? はい?」」
唐突の連絡に疑問が浮かぶ先生たち。公安とはあまり深い関係では無いが、何かとお世話になっているので無視することは出来ない。
「根津校長に繋ぐようにと! 米良さんから連絡が来ました!」
「米良さんって、あのヒーロー公安委員会の?」
先生たちがザワザワする中、校長はスタッフから電話を受け取り、連絡をとった。
「もしもし? ……はい、……はい?」
「"ごめんなさい"?」
ヒーロー公安委員会の委員長である米良さんからのお詫びの言葉に、先生たちは尚更頭を悩ました。何故急に謝ったのか、何に対してごめんなさいなのかも見当もつかないため、根津校長は改めて米良さんに直接を聞いてみた。
「……どういうことかな?」
校長の問いかけに対し、米良は疲れ気味に話した。
人類史上最も敵に回してはならない怪物が雄英高校を受験しているという話を。
■
【数刻前】
【雄英高校 演習会場E】
係員の案内の下、結依魔理沙は実技試験の会場にたどり着いた。
初めて目にする受験会場、その敷地面積の広さに多くの受験生が目を丸くした。その上これほど大規模な会場が他にも4個も存在するのだから、雄英の経済力は計り知れない。
「……おい、アレ……」
一人の生徒が指を指し、周囲の人が指先のある存在に目を向ける。それは雄英が用意した噂のロボット……ではなく、試験監督官であるプレゼントマイク……でもなく、白と黒の衣装に身を包んだ金髪のゴリ女。
「コォォォォォォォォオオオオオオオ!!!!」
その女は白い肌と黒い顔を併せ持ち、おおよそ人間とは思えないほどに黒く邪悪なオーラを発し、"波○"と呼ぶにはあまりにも荒すぎる呼吸をしながら、無自覚に周囲を圧倒していた。
「何か、やべぇ……」
「近づいたら殺されそうだな……」
「画風が違う……!」
オールマイトのようなアメコミヒーローの写し鏡ではなく、もっと白黒で、荒々しく、平和や日常とはかけ離れた世界の住人を彷彿とさせる存在感。
オールマイトとは違う意味で、異質な女であった。
「はい、スタート」
突然、プレゼントマイクが実技試験開始の合図を出した。
「「え?」」
「おいおいどーした? 実践にカウントダウンなんかねェんだよォ! 走れ走れェ!」
「出遅れた……ッて、あの女早ッ!?」
受験生が演習会場入口に向かおうとした時には、魔理沙は既に走り出し、誰よりも先頭で走っていた。
「ニンゲン! コ○ス!!」
脇道から現れたのは2ポイントのロボット。四脚型で動きはそこまで早くないが、
「エレクトロボルト」
魔理沙は冷静にエレクトロボルトの
プラスミドはバイオショックシリーズに登場する消費型の超能力であり、その中でもエレクトロボルトは敵を動きを瞬時に停止させることに特化している。特にロボなどの機械に対してはEMP攻撃に等しい効果を発揮する。
構わず攻撃を仕掛けるロボットに対し、魔理沙はプラスミドによって変質した左腕で頭部に狙いを定め、指先から青白い電撃を放つ。エレクトロボルトは全プラスミドの中で最も弾速が速く、拳を振り下ろす速度よりも速い。電撃による硬直でロボットの拳は直撃寸前で停止し、魔理沙はそのままロボットの股の下をくぐり抜けたあと、去り際にロボット足にタッチした。
「ぽち」
魔理沙の背後から髑髏のベルトを巻いた薄ピンク色の猫型獣人風スタンドが出現し、右手を爆弾の起動スイッチに見立てて点火した。
ドゴォォォォン!!!!
「キラークイーンの能力、それは触れたものを何でも爆弾に変える能力……」
スタンド能力によってロボットは塵も残さず爆散&消滅し、爆風と莫大な光が受験生の視界を白一色に塗り潰した。
「何じゃそりゃあああああああああああ!?!?!?」
「今!? 個性2つ使わなかった!?!?」
「爆発で何も見えない……!!」
予想外の足止めをくらう受験生たち。このままではあのよく分からない化け物に得点を持ってかれてしまう。
「なるべくアイツと同じルートを辿らず、アイツのいないところでポイント稼がなきゃ……!!」
明らかにヤバいと感じた受験生たちは次々と脇道に逸れていき、結依魔理沙から離れるように行動し始めた。
「甘い」
魔理沙は走りながら召喚魔法を
「……恐れ見よ、気高き日輪の粛清を」
「
魔理沙の掛け声に応じて上位精霊が謎の踊りを始めると、凸レンズ状の液体に太陽光が収束され、レンズ内で反射と収束を繰り返し、膨大な量の熱を蓄積。そして大賢者と
レーザーは次々とロボット達の装甲を貫き、光とは思えないほどに変則的な動きをしながら演習会場内の全ロボットを標的に突撃した。
「うわああああああああッッ!?!?!?」
当然光よりも速く動ける受験生は魔理沙以外にいないため、彼らが到着した頃には既に残骸と化したロボットが放置されていた。
「……意味、分からん」
目の前で起きている出来事があまりにも信じられず、膝から崩れ落ちる受験生たち。
どうあがいても勝てない、何をしても無駄、そんな言葉が脳裏に浮かび、現実に押しつぶされそうになる。
「……ヒーロー、全部アイツ一人でいいじゃん……」
栄光も、賞賛も、地位も、名誉も、すべてあの化け物がかっさらい、ヒーローとしての幸せを丸ごと独占しそうな勢いに、受験生たちは抵抗すら見せず、苦痛だけが残る。
(アイツがいるから……)
(夢なんて……)
心を持ち、知恵を得ても、弱肉強食の世界からは抜け出せない。圧倒的な力の前にして、まだ二十歳にも満たない青年に出来ることなど何も無い。分かったフリをして、痛みを和らげるだけ。
「そんな事ない!!!」
一人の受験生が叫んだ。
「私たちの夢は……こんなところで終わったりしない!!」
受験生は続けて叫ぶ。
「私たちはヒーロー志望だ!! ヒーローになるためにここに来たんだ!!! なのに、こんなところで終われるものか!!!」
絶望を跳ね除け、前を進もうとするものの雄叫びを聞き、受験生たちの心にフツフツと熱い何かが湧き上がる。
「……そうだ。俺たちは、ヒーローになるんだ!!」
「ジーニストみたいな、最高にカッコよくてイケてるヒーローに!!」
「カムイ様の隣を歩けるように!!」
「Mt.レディに近づくために!!!」
「ミッドナイトと■■するために!!!」
「待てや」
明らかにノイズが混じりつつも、全員の気合いが高まっていくのを感じる たとえ相手が誰であっても、この熱い心が消えることは無いだろう。
そう思わせてくれたのは、間違いなく……
「さぁ!! みんなであのクソデカ0ポイントヴィランを倒そう!!!」
最後まで心折れることなく叫び続けた、白黒金髪の魔法使いただ一人。まさに俺たちのリ
「「……」」
「……?」
静まり返る受験生たちを前に、魔理沙は首を傾げた。先程までの一体感がまるで嘘であったかのように消え、ただただ冷たい視線だけが魔理沙に向けられる。
「「死ね」」
シンプルな罵倒と共に同学年の生徒から個性の飽和攻撃を受けた魔理沙。しかし、マッハ20で体を自由自在に変形出来る魔理沙は難なくすべての攻撃を避けきった。
「何で!? あんなに励ましたのに!!!」
「あぁそうだね。お前じゃなかったら良かったよホントに。お 前 じ ゃ 無 か っ た ら な !!!」
避けてもなお続く飽和攻撃に魔理沙は時間停止を駆使してポーズを決めながら回避を繰り返し、受験生たちの怒りのボルテージを上昇させる。
ズシンッ!!
「あ、もう来た」
魔理沙はすべての飽和攻撃を
「チッ……!」
0ポイントヴィランたちを前にして次々と逃げ始める受験生たち。相手はヴィランロボットの中でも一番強く、一人では到底倒せない最強の敵。その上倒してもポイントは得られないという、コスパ最悪の敵を前にして戦うメリットは何ひとつとして無い。
「おい、戦わないのか?」
魔理沙は受験生たちに聞いた。
「は? 戦うわけないだろ」
「お前が戦えよ」
辛辣な言葉が帰ってくる中、魔理沙は冷静に言葉を返した。
「それ、家族の前でも言えるか?」
「?」
「今家族関係ねェだろ」
「いいやある。だってこれは実戦を想定した実技試験で、私たちは今試されているんだから」
「想定外の状況におかれても、冷静に自分の役割を理解し、状況に応じた行動を取ることが出来るか。それが今私たちに求められているものだから」
「じゃあなおさら逃げるだろ。状況的に」
「そりゃね。周りは全員戦える受験生で、この場所は雄英が壊れることを想定した架空の街で、相手は何の個性も持たないデカイだけの仮想ヴィランロボ。しかもこれは試験で、あのクソデカヴィランは倒したとしてもポイントにはならない。お前の言う通りだ」
「だが現実は違う。お前の周りには身動きが取れない市民が助けを乞い、総額ウン十億円かけて作られたビル群がお前を見下ろし、未知の個性をもったヴィランが所構わず暴れ回る。逃げれば当然市民も街も被害が出るような状況で、お前は足止めしようとすら思わない」
「……」
「目の前にヴィランがいて、自分の背後に家族や恋人、友達がいても、お前は戦わずに帰るつもりか?」
魔理沙の煽りが受験生たちの心を追い詰める。
「……しねェ……そんなことしねェ……けど、これは試験であって……」
「勝てる保証もないし……」
「勝つ勝たないはどうでもいい。大事なのは戦うか、戦わないかだ」
「それとヒーローに"戦わない"という選択肢は無い。相手が誰であろうと、ヒーローなら守るべきもののために戦え。負けてもいいが引き下がるな」
魔理沙の鋭い目付きに萎縮し、下を向きつつある受験生たち。言われっぱなしで癪に障るが、否定出来ないところがもどかしい。
「……お前は、強いからそう言えるんだ……!」
苦し紛れに答えた。
「かもな」
魔理沙は頷き、肯定の意志を見せる。
「……じゃあ!!」
「だから協力しろ! ヒーローなんだから倒せない敵が現れたら共同戦線を張れ! どうせお前ら私より友達多いんだからそんくらいいけるだろ!!」
「だからこれは試験だって……!」
「試験? そんなもん死んだよ!! 私が
「ふざけんな!!」
「いや怒るのは良いけどどの道変わらんから協力しろやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「嫌だぁぁぁぁああああああ!!!!」
互いの顔面を揉みくちゃにしている間、巨大ロボットはすぐ側まで近づいていた。
「……クソッ!」
葛藤の末に受験生たちは振り返り、ゼロポイントの巨大ロボと対峙した。
正直、戦うメリットは何ひとつとして無い。目の前に立つだけで足が震えるし、膝も言うことが聞かない。心臓もバクバクで、今すぐにでも逃げ出したくなるほどのプレッシャーに心が折れそうになる。
(……デカい……!)
必死に逃げの言葉を探す内に、ふと気づいた。もし、同じような状況が現実で起きた時、自分はまた同じような判断をしてしまうのか。
適材適所だとか、不要な行動がチームワークを乱すだとか、それっぽい言葉を並べて、言い訳していたのではないか? 自分は今、体を張って頑張るタイミングを見逃しているのではないか。
それでいいのか、それが本当になりたいヒーローの姿か。そう己に問いかけた受験生たちは決断した。
全員であのロボットをぶっ壊すことを。
「良いね。最高にヒーローだ」
魔理沙は過去一邪悪な笑顔で言いながら、亜空間から狩猟笛を取り出した。強敵に立ち向かう英雄たちを讃える唄、『英雄の証』を演奏し、受験生全員に攻撃力大up、防御力大up、会心率大up、体力大up、自動HP回復、スタミナ無限の効果を付与し、さらに複数の魔法とスキルでステータスを大幅に向上させた。
「何かすげぇ力が湧いてくる……!!」
「意味わからん……!!」
「狩猟笛だけじゃないぞ!」
魔理沙は『後ろで踊る事で生命力を引き出す程度の能力』でさらに力を引き出し、受験生全員の潜在能力を全開放させた。
「すっからかんかんカラッとキャロットォ!!」
魔理沙がとある曲の1フレーズを全力で踊るだけで、受験生全員の身体能力が急激に上昇するというこの事態に受験生たちはドン引きした。歌詞含め、何故このような踊りひとつで強さを実感してしまうのか。本当にコイツは何なのか、心底思った。
とはいえ、これですべて整った。後はあのクソデカロボットを狩るのみ。
「さぁハンター共、狩りの時間じゃああああああああああああああああああッッ!!!!!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
魔理沙の掛け声で完全にガンギマッえしまった受験生の大群が一斉に突撃し、ゼロポイントヴィランに立ち向かっていく。もはや試験もクソも関係なく、使命と力に促され、圧倒的な高揚感のみで恐怖の一線を乗り越えた。
蛮勇にしか見えないが、彼らのバッグには結依魔理沙がいる。
「攻撃が来るぞオオオオオオオオオオオ!!!!」
巨大ヴィランのグーパンチが受験生軍団に降り注ぐ瞬間、異形系個性と増強系個性をもつ受験生たちが率先して前に立ち、自ら体を張って拳を受け止めた。
ドゴォォォォンッ!!!!
「早く行けェェェエエエエエエエエエエ!!!!!」
体を張って受け止めてくれている間に、他の受験生たちはロボットの左腕に飛び乗り、ダメージを与えながら弱点と思わしき頭部へと向かっていく。
「ッ!? 危ないッ!!」
巨大ロボットが右拳を固め、よじ登ってくる受験生たちを迎撃しようとする。しかしパンチが到達するよりも先に神之怒のレーザーがロボットの右腕の関節を全部破壊した。
「キュッ! としてCRASH!!」
さらに魔理沙は"破壊の目"を掌握し、握り潰すことで落下中のロボットの右腕を跡形もなく粉々に破壊した。
「おらァ!! さっさとやっちまぇぇぇええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」
受験生たちの快進撃は順調に進み、ついに頭部にたどり着いた。
「「行けえええええええええええええッッ!!!」」
大量のバフを受けて超絶強化された受験生30人による一斉攻撃により、巨大ロボットの頭部は大爆発を起こした。
メインカメラのみならず、直立動作を制御するシステムの崩壊により巨大ロボットはバランスを崩し、そのまま地面へと倒れ込む。
「うおぉッ!? 落ちるッ!?」
「"飛翔の奇跡"」
ロボットの崩壊により空中に投げ出された受験生たちだったが、魔理沙の奇跡により空中に浮遊し、ゆっくりと地面に着地した。
「し、死ぬかと思った……」
「ホントヤバかった……!」
苦難を乗り越え、ホッと一安心する受験生たち。怖い場面はいくつもあったが、魔理沙の協力もあって誰一人怪我することなくやり遂げた。
「俺たち、マジでヒーローだったな!!」
「ね!」
そこには卑屈で否定的な自分ではなく、子どものように目を輝かせるあの頃の自分がいた。
「良い面構えじゃないか」
「お前……!」
そんな憑き物が落ちたような表情を見て、魔理沙は素直に拍手を送った。
バフをかけるまでは半分ギャグのつもりでやっていたが、想像以上にノリが良かったのでバフ盛り盛りにしてみたら普通に倒してしまった。やはり戦いはノリの良い方が勝つものだ。
「お前、名前は?」
受験生の一人が魔理沙に尋ねた。
「結依魔理沙」
「魔理沙、お前のおかげで逃げずに立ち向かえた。ありがとう」
そう告げると、受験生は深く頭を下げた。
「……めっちゃ言いづらいけど、本当にヤバい時は逃げてもいいからな。命は大切にな」
魔理沙はこのマッチポンプ的な状況の気まずさと常軌を逸した戦い方を脳に焼き付けてしまった責任感で板挟みになり、さりげなく責任から逃げようとした。
「なんだよ、急に臆病だな魔理沙。……分かってるよ、これはあくまで試験。現実は違う」
「だけど、大事なことを学ばせてもらった」
受験生の一人が魔理沙の肩を叩き、静かにその場から離れた。魔理沙の気持ちを察したのかどうかは分からないが、優しい対応に魔理沙は少し救われた。
その後、別の受験生たちも魔理沙に感謝を述べ、ハイタッチをしている内に試験終了。すべてのロボットを破壊し尽くし、ゼロポイントの巨大ロボットを受験生全員が協力して倒すという異例の事態に、雄英の先生全員が頭を抱えたが、それはまた別の話。
こうして、結依魔理沙の実技試験は幕を閉じた。
■
試験から数日後、結依魔理沙の下に手紙が届いた。UAマークの封蝋的に雄英からのもので、これが届いたということは合格が確定したということ。
心置き無く手紙を開けた魔理沙だったが、中には合格通知書だけで、例の丸っこい機械が見当たらない。
「アレ、投影機どこだ?」
「あ?」
合格通知書の他にもうひとつ紙が入っていることに気づいた魔理沙は、取り出して内容を確認した。
「
「来たよ」
「ッうぉっ!?」
家から100km以上離れた雄英高校に一瞬で移動し、隣でコーヒーを飲んでいたブラッドヒーローこと"ブラドキング"が驚きのあまり零してしまった。
が、念動力によって零れたはずのコーヒーはみるみる元に戻り、カップと共にブラドキングの手元に収まった。
「やぁ、結依魔理沙くん。よく来てくれたね」
「ちぃ……あ、校長先生」
一瞬誰だか分からず、反射的に心を読んだ魔理沙。その結果、目の前の二足歩行するスーツ姿のネズミ型獣人が雄英の校長先生だということに気づいた。
「そう! ネズミなのか犬なのかネコなのか、その正体は……校長さ!」
校長は両手を大きく広げて挨拶した。
「そしてキミは、ヒーロー公安委員会直属のヒーロー"結依魔理沙"。噂には聞いていたけど……」
校長は魔理沙の周りを3周した後、至極ご満悦の笑みを浮かべながらグッドサインを出した。
「やっぱり怖いね!」
「非常によく言われる」
魔理沙は半分虚ろになりながらも、校長にお返しのグッドサインを送った。
その後魔理沙は客室に案内され、校長にお茶と茶菓子を提供された。最近は緑谷くんとの特訓やら受験勉強にリソースを割いていたので、心做しか糖分が足りない気がする。有り難く頂こう。
魔理沙が茶菓子を食べている間、再び校長が話し始めた。
「まずは魔理沙くん、雄英合格おめでとう! 実技試験では随分と暴れたそうだね!」
「……怒ってる?」
心を読んでいないが、半分ほど嫌味に聞こえた。
「そんなことないさ! 君の潜在能力の一端をこんな形で見ることが出来るとはね! ビックリさ!」
「それに君は常に周囲への被害を考えて行動していた。やり方は派手だけど、他の受験生が怪我をしないようにロボットを破壊し、巨大ロボットにも臆することなく立ち向かった」
「それだけでなく、失意に陥った受験生たちを叱咤激励し、最後はまさか協力して巨大ロボを倒すなんて! もう拍手喝采さ!」
「めっちゃ褒めてくる……」
想像の100倍褒めてきたことに困惑する魔理沙。家族以外に褒められたことがあまりなかったため、非常にこそばゆく感じる。だけど悪い気はしない。
フッ、と照れ笑いをする魔理沙に対し、校長は畳み掛けるように話を続けた。
「ただね? ちょっと暴れすぎかな? 君がロボット全部壊しちゃったせいで、君以外の受験生50名以上が評価不能で再試験を受けることになっちゃったし、 ロボットの新造にも予算がかかって来年度カツカツになっちゃうしさ!」
「ん〜〜……」
「そもそも君が異例中の異例すぎてこっちは色々とパニックさ! 公安所属の15歳現役ヒーローで複数個性持ちで米国と直接取引きした子が雄英高校に受験なんて、一言くらい事前に連絡して欲しかったのサ!」
「ん〜〜〜……!」
「あと君、絶対
「ん"〜〜〜〜……!!」
そこまで見透かされるとは思っておらず、魔理沙は必死に唸り声を出して誤魔化すことしか出来なかった。
「というわけで、色々と大変なことを引き起こした君にも責任を取ってもらうことにした。協力してくれるね?」
満面の笑みで根津校長は手を差し伸べた。
「……ハイ」
絶対に断れない申し出を受け入れ、結依魔理沙は入学当日までの間、様々な問題の解決に働いた。
まずは個性届けの提出、魔理沙は例外措置として専用の書類が作成され、根津校長や公安長の押印を得て文部科学省に提出した。
次はロボットの修理で、各所から許可を得つつ能力で完全修復した。なおロボットの新造に関しては十数個以上の契約書にサインを書く必要がある他、魔理沙の社会的な立ち位置もあって許可されなかった。
最後に、魔理沙は公安長の許可の下で雄英の先生方に今までの経歴等に関する情報を共有し、魔理沙入学による影響や事案発生に関する対策会議が行われた。
もう長かった。とても中学生のやる内容とは思えない。あの時に比べたら遥かにマシだが、やはり会議は嫌いだ。緊張が止まらない。
大方落ち着いた頃にはもう4月になっており、あと数日で入学式を迎えてしまう。時の流れとは残酷なものだ。
新年度が始まる。
【結依魔理沙の総合ポイント数】
ヴィランポイント:300p(1p×90 2p×60 3p×30)
レスキューポイント:40p
合計:340p
【能力紹介】
●エレクトロボルト
→バイオショックシリーズに登場する超能力。電撃系。
●キラークイーン
→ジョジョの奇妙な冒険4部に登場するスタンド。スタンド使いは「
●
→オーバーロードの魔法強化系のスキル。文字通り魔法を三重で発動させる。
●
→オーバーロードの魔法強化系のスキル。文字通り魔法の威力を最強クラスにまで引き上げる。
●
→オーバーロードの魔法強化系のスキル。文字通り魔法の効果範囲を拡大する。
●神之怒
→転生したらスライムだった件に登場する物理魔法。主な使用者は「リムル=テンペスト」。ファルムス帝国の過半数を殲滅させるほどの殺傷能力と効果範囲をもつ。
●謎の踊り(新宿地獄阿波踊り)
→ドラッグオンドラグーン3
●
→とあるシリーズに登場する能力。能力者は「
●
→とあるシリーズに登場する能力。能力者は「
●英雄の証
→モンハンシリーズのメインテーマソング。
●後ろで踊る事で生命力を引き出す程度の能力
→東方projectに登場する能力。能力者は「
●ありとあらゆるものを破壊する程度の能力
→→東方projectに登場する能力。能力者は「フランドール・スカーレット」。破壊の目を形成し握りつぶすことで文字通りすべてを破壊することができる能力。