最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
雄英高校に入学してから初の授業日を迎えた魔理沙。楽しみのあまり普段の3倍のテンションで登校していたが、その途中で10年前の宿敵、NOUMUコード000と遭遇してしまう。
しかし、10年の歳月を経て完全体となった魔理沙によってコード000は跡形もなく消滅し、古き因縁に終止符を打ったのであった。
【雄英高校正門前】
米良さんへの連絡と口止めを完了し、なんやかんや紆余曲折を経た後に雄英高校にたどり着いた。
「前は受験票があっても全然認証されなくて勝手に防衛システムが起動したけど、流石に大丈夫だよね。学生証あるし」
魔理沙が正門の前で学生証をブンブン振り回すと、自動で扉が開いた。雰囲気的に学生証内に埋め込まれたチップを遠隔で認識しているっぽいので、わざわざ取り出す必要はなかったかもしれない。
「……やっぱデカイな」
門をくぐり抜けた先には、全面ガラス張りの巨大なH型の校舎が広がり、高校受験を受けたあの日を思い出す。
(高校というか、ほぼ大学だよな……規模が)
目に映る全てがデカく、派手で、近未来的で、まさしく今のヒーロー社会を象徴した雰囲気に、魔理沙の好奇心が刺激される。
同じ日本といえど、ここは前世よりも遥かに文明が進んだ世界。この世界でしか見られない魅力の数々に惹かれてしまうのは仕方のないこと。
ある程度景色を楽しんだ後に、魔理沙は自身が所属する雄英高校1年A組の教室の前にたどり着いた。案の定、アニメで見た通り教室の扉はバカでかく、ガタイのいい人でも通れるよう配慮された設計となっている。
(……何となく嫌な予感がする)
リアル聖地巡礼に歓喜の声を上げるかと思いきや、魔理沙は酷く警戒していた。それもそのはず、この世界は本来のストーリーから大分踏み外しているため、必ずしも1年A組が原作通りのキャラクター達で構成されているとは限らないからである。
もしかしたら、私と緑谷くん以外全員知らない人かもしれないし、仮に知っていたとしても性格なり何なりが改変されているかもしれない。担任の先生も相澤先生ではなく、ミッドナイト先生や微塵も知らない先生がやるかもしれない。
必ずしも思い通りに行くことは無いということを頭の片隅に置きながら、魔理沙は扉に手をかける。だが、開けたくない。マジで変わっていたら絶望のあまり世界を破壊しかねない。未来予知なり透視なりすれば開かずとも知ることが出来るが知りたくない。だが開けないと話が進まない!
(……落ち着け。スゥーーーッ! ……大丈夫。みんな絶対いる。居なかったらもう創る)
意味不明な落ち着き方で心を正常に戻した魔理沙は、覚悟を決めて勢いよく扉を開いた。
ゴシャァッ!!!!!
勢い余ってスライド式の扉を破壊し、教室の壁にヒビが入ってしまった。
(やべ)
魔理沙は慌てて扉を元通りに修復し、壊れた壁のヒビも"無かったことにした"。が、想像以上の爆音と巻き上がった埃で一気に教室が静まり返り、魔理沙の方に注目が集まった。
「スゥーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
全員と目が合ってしまった。非常に気まずい。マジで気まずい。が、一つ分かったこととしてはA組の皆は青山くんを除いて全員いるということだ。それは本当に良かった。良かったけど良かったでは済まされない気まずs
「師しょぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!」
魔理沙の顔を見て直ぐに緑谷が駆けつけ、勢いのあまり抱きつきそうになりかける。が、魔理沙が緑谷の顔面を片手で鷲掴みしたことによって止められた。
「
「うん、そうだね。色々言いたいことあるけどまずありがとうね、うん」
気まずい雰囲気を緑谷くんが真っ先にブチ壊してくれたおかげで、魔理沙は少し安堵した。やはり友達が同じクラスだと本当に助かる。
「アレが入試一位の……」
「たった一人で仮想ヴィランを全滅させたって噂の……」
「画風ヤバくね……?」
「アレが同学年……!?」
ところどころ聞こえる噂話が耳に入り、だいぶ知名度が上がっていることに気づいた魔理沙。受験のことに関しては特に情報封鎖していなかったため当然と言えば当然だが、変にマスメディアに流れるようであれば規制する必要がある。
「オイ、ボサボサ野郎」
「……! おぉ、爆豪! 久しぶり」
久しぶりに見る爆豪の姿に感動を覚える魔理沙。かれこれヘドロ事件以来だが、ずっと緑谷くんの特訓にかかりきりであったため、ヘドロ事件が遠い昔のように感じられる。
再会を素直に喜ぶ魔理沙だったが、爆豪の方はだいぶ不機嫌だった。
「テメェ、デクのヤツに何しやがった……!」
「……え、特訓」
「たかがテメェの特訓程度で俺の入試のスコアより上になるハズね!!!」
と、途中で言いかけた瞬間、爆豪は一旦冷静になり、言葉を止めた。
そして落ち着いた後に、爆豪から耳元で囁かれた。
「お前もデクも、ぜってェ潰してやる。
鬼気迫る勢いに、魔理沙は一切意に介さないまま返事をした。
「おう頑張れ」
「口答えすんなカス!!!!」
キレキレの怒号を浴びせる爆豪に対し、魔理沙は呆れていた。余程緑谷くんに実技のスコア敗北していたことが響いていたらしい。久しぶりの再会だというのに、感動もクソも無くて正直面白い。が、メンタルケアは必須と思われる。
爆豪が席に戻った瞬間、今か今かと待ちわびていたクラスメイトたちが次々と魔理沙に押しかけ、嬉々とした表情で質問攻めし始めた。
「なァなァ! アンタ入試一位のスゲェヤツだろ!? 名前は!?」
「個性は!? どんな個性!?」
「どうやってあのデカい仮想ヴィラン倒したの!?」
「出身地は!?」
「師匠ってどういうこと!?」
「あの目付き凄い子とどういう関係!?」
1年A組のボルテージが急上昇する中、魔理沙の足元にはいつの間にか寝袋を被った男性が倒れていた。
「……五月蝿い。私語は慎め。授業中だぞ」
男がボソッと呟くと、爆豪以外の全員がギョッとした表情で男に目線を向ける。すると男は寝袋を脱いでゆっくりと立ち上がり、教壇の前に立った。
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠けるね」
先生らしいセリフを吐く男性に対し、魔理沙を除く全員が懐疑的な目線を向ける。何故ならこの男は登場の仕方から身だしなみに至るまで何一つ先生らしい要素が無く、どう見ても校内に侵入してきた不審者。
クラス内が唖然とする中、男は話を続けた。
「担任の相澤だ、よろしくね」
まさかの担任の先生の登場に、魔理沙を除く全員が驚いた。が、そんな時間すらも非合理的なのか、相澤先生は淡々と話を続ける。
「早速だがこれ着てグラウンドにでろ」
学校指定のジャージを着るよう支持され、1年A組は皆ジャージに着替えてグラウンドへ移動した。
ついにこの時が来た。
■
「「「個性把握テストぉ!?!?」」」
「入学式は!? ガイダンスは!?」
「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事、出る時間はないよ」
相澤先生の言葉に魔理沙と爆豪を除く全員が目を丸くする中、相澤先生は話を続けた。
「雄英は『自由な校風』が売り文句、それは生徒だけではなく先生側もまた然り。お前達も中学の頃にやっただろう? 個性禁止の体力テスト。今からやる8種目の競技をお前達にはやってもらう。結依、お前は実技入試1位だったな」
「はい」
ザワザワし始めるクラスメイトたち。
「中学のソフトボール投げは何メートルだ?」
「測定不能です」
(((は? 測定不能?)))
「……、正確に言え」
「そうですね、正確に言うと5141mですね」
「「「なわけねーだろ!!!!!!」」」
緑谷と爆豪を除くクラスメイト全員からの特大ツッコミに耳を塞ぐ魔理沙。いやこれでも大分コントロールして投げた方だってば!! あの時は病気患ってたせいで力の制御難しかったし、先生からは個性の使用を疑われたおかげで再試験を回避するのに滅茶苦茶苦労したんだから!!!
「……1回個性使って投げてみろ。円の中から出なければ何してもいい」
追求するのが面倒になったのか、本番投げを催促された魔理沙。
「じゃ、本気でやります」
魔理沙はソフトボールに指をめり込ませ、力を蓄えた。
1番手っ取り早いのは投げた方向にスキマを設置して宇宙空間に放出する方法だが、あまりにも地味すぎるのでフィジカル込みで投げ飛ばす。
個性を発動させ、投げる体勢に移行。なるべく上向きに、放物線を描く様に投げるとよく飛ぶらしい。
「おぉぉぉぉおおいしょぉぉぉおおおおおおおおお!!」
目では視認できない速度でボールが飛んでゆく。衝撃吸収強化によって投げた際の反動も全てボールの推進力へと変換され、ソフト&ウェットによって摩擦を奪い、二重結界によって強化されたボールはロケットを遥かに超えるスピードで大気圏外に突入し、遥か宇宙の彼方まで消えていった。
「ホントナンナンダコイツ……、あー、まずは自分の限界を知ること。それがお前らの素質を知る合理的手段」
相澤先生が差し出したスマホの画面には∞の文字が表示されていた。
「すっげえええええ!!! なにあれやばっ!?」
「あれが実技入試1位の実力……!」
「単純な強化系だが、とんでもないパワーだな」
「オールマイトより強くね?」
「なんだか楽しそう! 私もやりたーい!」
相澤先生は生徒の声にピクっと反応し、厳しい視線を送る。
「楽しそう……か、お前たちはそんな腹づもりで3年間過ごすつもりか? よし、8種目トータルの成績最下位の者は除籍処分としよう」
唐突の除籍処分。本来なら余程の問題児に対してのみ行われる究極最終手段のはずが、こうもあっさりと引き出されたことに生徒たちはドン引きした。
「そんな……入学初日で除籍処分なんて……。いや、初日じゃなくても理不尽すぎる!」
丸顔で可愛らしい女の子こと麗日お茶子が相澤先生に抗議するも、相澤先生に効果はない。むしろ語気がやや強くなった。
「自然災害、大事故、そして好き勝手暴れるヴィランたち、いつ起こるかわからない厄災、日本は理不尽にまみれている」
「そんな理不尽を覆していくのがヒーロー、放課後マックで談笑したかったのならばお生憎。雄英はこの3年間、君たちに苦難を与え続ける。さらに向こうへ、Plus ultraさ」
「全力で乗り越えてこい、ここが君らの、雄英高校ヒーロー科だ」
レスポンス綺麗すぎて毎年コレ言ってるのか疑う魔理沙。しかし当のクラスメイトたちはヒーロー科最高峰ならではの授業スタンスにあてられ、殺伐とした雰囲気が流れる。
が、そんなこと微塵も気にしない男女が二名。
((
プライドモンスター"爆豪勝己"VS紛うことなき邪悪"結依魔理沙"。二人の仁義なき戦いが今、始まる(二人の心の中で)。
ごく普通の50m走。何もおかしい点はないが、しいて言うならば計測器が自立稼働型のロボだということ。技術の進歩を感じるが、同時にターミネーター的な展開を想像してしまう。
「イチニツイテ……」
ロボットが喋った……いや、それは珍しくないか。大手チェーン店とか民間企業だと割と前世でも採用されていた気がする。だが、学校内にこういうものがあると普通にテンション上がる。
「ヨーイ……」
さて、そろそろ走らねばならない。とりあえずタイミングよく時間停止を合わせるのが良さそうだ。
「ドンッ」 ブゥゥゥン カチッ
「ピッ 0.00066ビョウ」
タイミングを合わせたが、0秒にはならなかった。これは単純に自分が遅いのか、それとも機械側の問題なのか分からない。何度か試行錯誤したいが、テストなので1回切り。
「お〜い! 1位のヤツ〜〜どうだった!?」
「0.00066秒だったよ」
「れー……てん?」
意味不明な数値に、赤髪の子こと切島鋭児郎の思考は一瞬にして弾けた。なお、人間が刺激に対して反応を返すまでの時間は最短で約0.1秒であり、これ以上下回ることは無いとされている。が、素の身体能力が人智を超越している魔理沙にとって特に珍しくもなかった。
「個性いらね」
グシャッ!
そこにはぐしゃぐしゃに丸められた元握力測定器があった。数トン単位まで測れる優れモノだったが、素の身体能力すらイカれた彼女にとって造作もないことである。
「今……個性使った……?」
魔理沙の横で見ていた背の低い青年こと峰田実は、握力測定器の惨状と、それを個性無しでやり遂げた魔理沙にドン引きしていた。
結果、"測定不能"。
なんでもいうこと聞いてくれないけどかわりに暴走する魔理沙ちゃん、という歌があったら歌う。
【いろいろ紹介】
●ソフト&ウェット
→ジョジョの奇妙な冒険第8部『ジョジョリオン』の主人公、“東方定助”のスタンド。能力は、シャボン玉を生み出し、シャボン玉に触れたものから「何か」を奪う能力。例として「摩擦」「音」「光」など。物理的概念に干渉できるため汎用性は非常に高い。また、シャボン玉を破裂させることで奪ったものを解放することができる。また、爆発もする。回転もする。何でもできる。
●緑谷出久
→雄英高校1年A組の生徒であり、ワンフォーオール9代目の継承者。そして結依魔理沙の幼なじみのひとり。元は無個性だが、ナンバーワンヒーロー『オールマイト』から個性を受け継いだ。やる時はやる男。なお、魔理沙に魔改造を施されたことにより、短時間であれば40%までワンフォーオールの力を引き出せる。
●爆豪勝己
→雄英高校1年A組の生徒であり、結依魔理沙の幼なじみのひとり。個性は『爆破』。個性、頭の良さ、手先の器用さ、そのすべてにおいてハイスペックだったが故に自尊心が膨れ上がっていたが、頭のおかしい金髪娘によって木っ端微塵に破壊され、現在はやや大人しい。しかし本人の性格上諦めが悪いため、いかにして金髪娘を叩き潰すか常日頃考えている。
●切島鋭児郎
→雄英高校1年A組の生徒のひとり。個性は『硬化』。快活で社交的で、漢気全開の熱血漢。いずれはクラスの輪の中心に立つ男。憧れのヒーローはもちろん漢気ヒーロー『
●芦戸三奈
→雄英高校1年A組の生徒のひとり。エイリアン風の見た目で肌はピンク。個性は『酸』。元気ハツラツでお胸の発育がよろしい。
●麗日お茶子
→雄英高校1年A組の生徒のひとり。丸っとした顔と茶髪のショートボブが特徴的。個性は『
●峰田実
→雄英高校1年A組の生徒のひとりで、変態第1号。個性は『もぎもぎ』、頭から謎の紫色の丸い物体をもぎもぎできる。その謎の物体は峰田以外が触るとべったりくっつき、調子良ければ一日中くっつく。
●相澤先生
→ヒーロー名『イレイザーヘッド』、本名は『相澤消太』。個性は『抹消』、見た相手の個性を抹消することができる。合理主義者で、時間を無駄にするのが嫌い。