最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
個性把握テスト、無事に終了!!
放課後、全く職員室に来なかった魔理沙を教室から引っ張り出し、職員室に連行する相澤先生。
「戻りました」
相澤先生はそう言いながら椅子を用意し、魔理沙に座るよう指示した。
捕縛布で両手首を縛られた魔理沙はさながら囚人の様であり、傍から見ていたオールマイトこと八木俊典はおもわず「oh……」と言葉を漏らした。
「さて、単刀直入に言うんだが……」
特に勿体ぶることなく本題に入ろうとする相澤先生。あまりのスマートさに心の準備すらさせてくれない。
「お前、個性使わずともあんな記録叩き出せるのか?」
反射的に目を背けた魔理沙だったが、想像とは異なる言葉が耳に入り、ほんの一瞬だけ頭が真っ白になった。
「え……、はい」
特にふざけることもなく素直に答えると、相澤先生は溜め息をつきながら手で顔を覆った。
「……魔理沙、入学前にお前からあらかた個性について聞いたが、俺は最初からお前を制御できるとは思っていない」
「思っていないが……他の先生に任せるよりかは俺の方が適任だと思っていた」
随分と回りくどい言い回しをする相澤先生に違和感を感じた魔理沙は、手っ取り早く読心能力で相澤先生の言いたいことを読み取り、頭の中で要約した。
どうやら相澤先生、私のことをちゃんと一人の生徒として導いてあげようとしていたらしい。教養や社会常識を叩き込むことは当然だとして、もし私が過ちを犯しそうになったとしても、相澤先生自身がストッパーとして私を引き止める役割を担うつもりでいたが、今回のテストの結果を受けてだいぶ自信が無くなってしまったっぽい。
まぁ、私の体は私自身もよく分かっていないが、今のところは能力も制御出来ている。後は私自身の精神がヤサグレない限り人類は安泰だと思うが、仮にも肩書きが"高校生"である以上、傍から見て一般的な高校生の精神力でこの頭のおかしい異能力と馬鹿げた身体能力に振り回されないか心配してしまう気持ちも分かる。
が、私は普通の高校生ではない。年数だけでいえば累計停止時間10年+封印期間150年で160年以上この現世に留まっている。封印中に関しては寝ていたのでそれを加えずとも、年齢と合わせたら実に26年。そこだけ見れば立派な大人である。微塵も大人になった気がしないが。
つまり、大丈夫である。多分。味方から背中を刺されるくらい変なことが起きない限り大丈夫である。おそらく。
「相澤先生……」
私はそう言いながら相澤先生の肩に手を乗せた。
「私は大丈夫です。たとえ先生が止められなくても、私自身が私を止めます」
キラキラと光る魔理沙の瞳の輝きに当てられた相澤先生は、フッと笑みをこぼした。
「全然信用出来ねぇ」
「えぇ──ー?」
話の流れ的にもっとこう、期待されそうな雰囲気だったはずなのに正反対の反応が返ってきた。何でだ。
「俺を信用させたかったら、信頼に足るだけの実績を作ることだ」
「ま、実績と言っても、ヴィラン倒せば良いって話じゃねぇ。お前がクラスメイトに馴染んで充実した学生生活を送ってくれさえすりゃそれで良い」
相澤先生の表情がふと柔らかくなった。
「こういう経験は、ヴィラン退治よりもずっと大事だ。それを、ゆめゆめ忘れないように」
「……はい」
魔理沙は放心状態のままスっと立ち上がり、職員室を出た。
読心能力のスイッチを切らずに先生の話を聞いていた魔理沙は、あの時相澤先生の心から滲みだした記憶の残滓を無意識に読み込んでいた。
そこには、学生時代の相澤先生と、プレゼントマイク先生、ミッドナイト先生、そして名前の知らない白髪の生徒の4人が方を組み、笑いあっている姿があった。
前世の知識には無かった情報で内心思わず驚いた上に、これを踏まえた上で聞いてしまった相澤先生の言葉が変に刺さるせいで魔理沙の情緒が行方不明になってしまった。
その後、魔理沙は大人しく家に帰った。が、その日はしばらくの間放心状態であった。
■
【翌日】
「あー、あー、あー、あー」
「どうしたのよ、そんな廃人みたいな声を出して」
朝の食卓にて、魔理沙は珍しく能力を使わずにご飯を食べていた。が、昨日に引き続き心が上の空であった。
「きになることがおおすぎてよるもねむれなかった」
「夜更かしでもしたの? 早く寝ないとお肌が荒れるわよ」
「どんなにねてもわたしのかみがさらさらにならないのとおなじように、はやくねようがねまいがわたしのはだつやこんでぃしょんはかわらない」
「あ、そう」
サクッと娘の戯言をスルーする母。しかし、今の魔理沙は周りの反応など微塵も気にしておらず、ただただ相澤先生の過去事情が気になって仕方がなかった。
「とりあえず朝ごはん早く食べちゃいなさい」
「あーい」
魔理沙は言われた通り朝ごはんを食べ終えると、全ての荷物をプランクブレーンに収納し、家を出た。
その日は特にトラブルも無いまま、学校に到着した。
■
【一時限目:英語】
「じゃ、この英文の間違っているところを答えて」
「……」
雄英高校ヒーロー科は午前中に通常授業を行う。今日の1時間目はプレゼントマイクによる英語の授業で、普段のハイテンションが一切発揮されることなく授業が進行していた。
一方、魔理沙は英語の授業よりも相澤先生の過去事情についてずっと思いふけっていた。
昨日、学校から帰った後にこの地球の"記憶"にアクセスし、相澤先生の過去についてザックリと読んでいた。あの記憶の残滓に映っていたのは、同期である相澤先生とプレゼントマイク先生、そして一個上の先輩であるミッドナイト先生、そして白髪のあの人は……相澤先生とプレゼントマイク先生の共通の友人で同期の『"
相澤先生と彼の繋がりを、記憶を通じて舐めまわすように見ていたが、途中に差し込まれたある事件の一部始終を見て思わず魔理沙は声を失ってしまった。
原作が完結する前に転生してしまったが故に、このような形でネタバレを食らうとは思っていなかったが、これはこれで好都合。
なぜなら、私なら……
「Hey! 魔理沙ガール! ボーッとしている暇なんかないぜ! こうしている間に俺のエキセントリックなライブが終わっちまうぞぉ!!」
突如、プレゼントマイクが意味不明な供述をし、いきなり白チョークを魔理沙に向けてぶん投げた。等速直線運動で進んでいくチョークの軌跡はさながら昭和アニメの演出のようであったが、魔理沙は躊躇なくATフィールドでチョークを弾いた。
((なんかバリア出た))
「先生、今どきチョーク投げていいのは土井先生(忍たま乱太郎)だけです」
伝わりそうで伝わらないセリフを吐いたと同時に、このクラスで最も真面目な委員長こと
「魔理沙くん! 雄英の先生方による素晴らしい授業を無視するなど、先生に対する敬意が無さすぎる!! 君も学校という場にいる以上、態度を改めて授業を受けたまえ!!!」
そして先生の方に体を向ける飯田くん。
「そして先生!! いくら魔理沙くんの態度がよろしくなくとも、暴力で物事を解決してはいけません!!! 一流の教師たるもの、暴力ではなく言葉で解決するのが教育者としての道理ではないでしょうか!!!」
「先生、彼の口腔にチョークぶち込んでもよろしいですか?」
真顔で無からチョークを生み出し始めた魔理沙。あまりのカオスっぷりに授業が一時停止する。
「あ〜〜もうOK! 二人とも分かったから静かに授業を受けてくれ! あと10分で終わるから!!」
我の強い二人に翻弄され、なかなか授業が思いどおりにいかないプレゼントマイク。しかしパーティー好きな彼にとってこのようなカオスは大好物であり、これが授業でなければひたすら二人にディベートさせ続け、自分はMCとして実況解説を行っていたかもしれない。が、授業なのでスケジュール通りに進行させる。
一時限目『英語』、終了。
■
【12:00 ランチタイム】
2時限目も無事終了し、何やかんやお昼を迎えた。私は自前で用意した弁当をもって緑谷くんに声をかけようとしたが、いつの間にか教室から居なくなっていた。
クラスメイト曰く、緑谷くんは実技試験で仲良くなったお茶子ちゃんと飯田くんと一緒に学食のご飯を食べに行ったらしい。少々寂しいが原作にもあった描写なので、大人しく引き下がるとしよう。
じゃあ交流も兼ねてまだあんまり話せてない人と一緒にご飯を食べようと思ったが、いつの間にか教室がスカスカになっていた。切島くんも八百万さんも峰田くんも耳郎さんもいない。蛙水さんもいないし、庄司くんも尾白くんもいない。いるのは私と爆豪と轟くんのみ。
奇しくも1年A組の最高戦力が残ったが、この3人しかいない今、この教室、何だか死ぬほど空気が重い。
私目線、轟くんとはまだ一度も話したことが無い上に、原作での轟家の事情を知っているため非常に話しかけづらい。
爆豪に関してはあの一件から常に殺意? を向けられているため、私としてはもうどうしたら良いのかよく分からない。もうライバルというより親の仇みたいな存在になっている気がする。私が。
こういったもどかしい雰囲気が蓄積して、停滞するせいで、やたら空気が重く感じるのだ。
とはいえ、どうにかしたいと思う気持ちもある反面、正直面倒だし気にせず放置したいと思う気持ちもある。いや、9割9分面倒くさい。絶対に面倒くさい。
だから私は、この地獄のような雰囲気で大人しく自作の弁当を食べることにした。今日のメニューはモンハン世界の料理を参考に作ってみたお手製のランチ。材料はすべてセリエナと導きの地で調達し、調理法は直接ネコのおばあちゃんに聞いて習得。文字通りマジモンのモンハン飯である。
これを食えば体力増強、スタミナアップ、攻撃力増加、採取効率アップ、剥ぎ取り回数アップ間違いな
「隣、いいか?」
「うぇっ!? あっ、あぁいいけど……」
突然の来訪に変な声をあげてしまった魔理沙。訪れたのは当然爆豪ではなく、1年A組最高戦力の一人である轟焦凍。
「……自己紹介がまだだったな。俺は
「……私の名前は結依魔理沙だ。よろしく」
「……?」
魔理沙は挨拶のつもりで拳を前に突き出し、グータッチを誘ったが、轟は何故か魔理沙の拳を片手で握ろうとした。
「……ちゃうねん。グータッチやねん」
「……グータッチか」
理解した轟は魔理沙と改めてグータッチをした。
「そいで? 私に何か用?」
「……あぁ、そうだ。お前にひとつ礼がしたかった」
「礼?」
魔理沙は首を傾げた。お礼を言われるようなことをした覚えが無いため、全く検討がつかない。
「
轟冬美……、その名前を聞いて思い出したのは、11年ほど前の記憶。父の知り合いのボディガードから訓練という名目で初めてヴィランと戦い、傷を負いながらも何やかんや勝利したあの時。
あの時、被害にあっていた女性の名前が確か"轟冬美"だった……気がするが、あの時は父の都合で即刻海外に飛ぶ必要があり、急ぎだったのでたまたま父に担がれてる最中にチラッと名前が見えただけで、正直記憶が曖昧である。だが、言われてみると容姿もそれっぽかったような気がする。
「そっか、轟くんのお姉さんか。元気にしてる?」
「……あぁ、姉ちゃんは元気だ。あの日以降、ちゃんと飯食うようになったし、変にふらつくこともなくなった。家に置いてた変な神棚もちゃんと片付けたし」
「神棚?」
ちょいちょいワードに引っかかる魔理沙。轟家のイメージとは異なる単語にやや懐疑的になるが、気にしないことにした。
「その代わり、お前から貰った恩を返すために毎日自室で魔法陣書いてお祈りしてるよ」
「それ本当に大丈夫なの? ねぇ?」
信仰の対象が私に移り変わっていることに、魔理沙はただただ心配しかなかった
「お金もかからないし、姉ちゃんも無理せず自分なりのやり方で頑張っているから、大丈夫だ」
「……そう?」
「ただエスカレートするようであれば、俺が是が非でも止めてやる」
「是非そうしてあげてください……ッ」
魔理沙的に自分自身が信仰の対象になりうるほどの人間ではないと自覚しているため、心の拠り所にする分には構わないが、無理して私の虚像を追うのだけは心苦しいのでやめていただきたい。
「……アイツらが戻ってきたな」
「そだね」
そうこうしているうちにお昼休みもあと僅かとなり、先ほどまでいなかったクラスメイト達が続々と教室に戻ってきた。
「じゃ、席に戻るか」
「……あぁ」
二人は席に着席し、次の授業の担任の先生が現れるまで待機した。
■
【3〜5時限目:ヒーロー基礎学】
「わーたーしーがぁ──ー!!!」
「普通にドアから来たァ!!!!」
午後のヒーロー基礎学、担当教員はなんとNo.1ヒーロー『オールマイト』。しかも教員用のスーツではなく、テレビを通して何度も目に焼き付けたであろうヒーローコスチュームでの登場により、クラスメイトたちの瞳がキラキラと輝く。
「さっそくだが、今日やる訓練はコレ! 戦闘訓練!」
戦闘訓練。その単語に臆する者と奮い立つ者、そして全くもって反応を示さない者と、多種多様な反応が見られた。
「さらにそれにともなって! 入学前に送ってもらった個性届と、本人の要望にそってあつらえたコスチューム!!」
スイッチ操作によって教室の壁から飛び出したるは、クラスメイト全員分のヒーローコスチューム、Ver.1.0の完成品である。
「さぁコスチュームに着替えて、グラウンドβに集合だ!」
「「「はーい!!」」」
いよいよ始まるヒーロー基礎学最初の授業"戦闘訓練"、なおかつ初めてのヒーローコスチュームお披露目会である。当然ながら皆のテンションはだいぶ舞い上がっていた。
かくいう私もテンションが高い。何故なら授業という名目で個性を使えるこの状況が凄く背徳的で気持ちいいから……、というのは半分嘘で、やはりA組の皆と一緒に特訓できるのがシンプルに嬉しい。あと、1時限目のATフィールドはただの正当防衛なのでノーカンである。
ちなみに私のコスチュームは企業製ではなくハンドメイド。正確には複数の企業とのタイアップで作製したちょっと変わったオーダーメイドコスチューム(自作)である。元々は私一人で1から製作する予定だったが、やれ特許だの個人が勝手にヒーローコスチューム作るのは御法度だの何だの言われたため、色々話を通した上でこのような形になった。
性能に関する説明は省くとして、コスチュームのデザインについて少し語るとしよう。まず帽子は先の尖った黒の帽子を選択。ツバの部分が広く、白いリボンが付いている。メインの服は黒のドレス衣装と白いエプロンを掛け合わせたような見た目にし、下着は当然ドロワーズ。どんなに激しく動こうとも一切パンチラしないというコンプラの鏡のような配慮に、我ながら素晴らしく思う。
全体的な見た目としては"魔女"を意識し、色も白と黒の二色のみ。そして新品であるのにも関わらず細部が色褪せており、全体的にボロっとしたコスチュームとなっている。
完全に"異形魔理沙"である。誰がなんと言おうと見た目に関しては完全に異形魔理沙である。
この格好で困ってる人達を救うとか正気か? とか言われかねない格好だが、元々正気ではないので関係ない。そんなものは六法全書とともに川に捨てた。
これでやっと性格および人間性以外はほぼ完全に再現することが出来た。幼少期に苦労した能力制御も今では息をするように出来る。もう私は完璧な異形魔理沙だ。何も恐れることは無い。
出陣だ。
連絡通路を通り、悠々と足を進める魔理沙。抜けた先に広がる光景は、大きめの道路を中心に挟み、対をなすようにズラりと並び立った無数の建物たち。
久しぶりの光景だが、それもそのはずここグラウンドβは雄英高校の入試の実技試験会場である。あの時はヴィラン風ロボがあちこちに配置されていたが、今回はどうなることやら(原作視聴済み)。
「やぁ魔理沙くん! 君が一番乗りだね!」
「そだね」
「……それにしても……さ、君、コスチューム着ると普段の倍ぐらい圧を感じるね……」
「でしょ?」
魔理沙は両手を背に回してニッコリと笑った。が、どう見ても凶悪なヴィランにしか見えず、オールマイトはその恐ろしさからそっと目を背けた。
待機中、暇な魔理沙はディメンションポケットから八卦炉を取り出し、人差し指1本で八卦炉を回し始めた。
そして15分後、クラスメイトたちの着替えが終わり、順にグラウンドβへと移動した。
通路から鳴り響く無数の足音を聞き、オールマイトの口元が横に広がる。
「来たな、有精卵共……!」
グラウンドβに到着した1年A組のクラスメイトたち。待っていたのは今日のヒーロー基礎学の担当にしてNo.1ヒーロー、オールマイト。
そして、その隣に立つは、同じ高校1年生とは思えぬほどの覇気を備えた、最強にして災厄の魔法使い、結依魔理沙。
(え、早っ)
(男の俺らより着替え早いの凄ェ)
(何か怖ェ)
(……? なんか、震えがする?)
誰よりも先に着いていた魔理沙を見て、その早さと、えもいえない恐ろしさを感じた。
「いいじゃないか皆ァ! カッコイイぜェ!!」
オールマイトはサムズアップした。
「さぁ! 全員出揃ったところで戦闘訓練のお時間だ!!」
「先生! ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか?」
「いいや、もう二歩先に踏み込む!」
オールマイトは今回の戦闘訓練について解説した。その内容は、『屋内戦』。ヴィラン組とヒーロー組で二人ずつ分かれ、屋内でぶっつけ本番の戦闘訓練を行うというもの。
状況設定としては、ヴィラン側は1階から6階まで存在するアジト内に核兵器を隠し持っており、ヒーロー側はその核兵器を処理することが目的である。ヒーロー側の勝利条件は、時間内にアジト内にいるヴィラン二人を確保テープを使って確保するか、核兵器を見つけ出し回収するかの2つ。なお、核兵器は触れた時点で回収されたものと見なす。
対するヴィラン側は時間内まで核兵器を守り抜くか、ヒーロー側2名を捕まえれば勝利となる。
両チームにはアジト内の見取り図と小型通信機が配られ、仲間同士で連絡できるようになっている。また、ヴィラン側には核兵器の配置場所が教えられるが、ヒーロー側には教えられない。そしてヒーロー側は、確保テープ以外による拘束は確保にはならない。
制限時間は15分、圧倒的に不利な状況下においてヒーロー側がどう立ち回るかが試される。
「ただし! 魔理沙くんは特別ルールにより一人だけで頑張ってもらう!!」
「「えぇ────ッ!!?」」
突然の宣告に魔理沙以外の全員が驚いた。
「さらに君の応用力の高さから、以下の行動を禁ずる!!」
魔理沙はオールマイトから紙切れをもらい、内容を確認した。
【禁止内容:以下の行動を禁ずる】
・瞬間移動、ワープ、空間転移、座標移動等の、物理法則を無視した瞬間的長距離移動を使うことを禁ずる。
・時間、空間、過去、未来、因果律への干渉を禁ずる
・分身等による人数の増加を禁ずる
・核兵器に対する物理的接触、および核兵器の転移、縮小化、認識阻害を禁ずる
・ヒーロー側およびヴィラン側の勝利条件を有耶無耶にしかねない行為を禁ずる
・その他、人道に反する行為を禁ずる
「だいたい分かった」
魔理沙は納得した表情でオールマイトに紙切れを返した。
「いやちょっと待ってください!! いくら魔理沙が強いからってあんまりじゃないですか!?」
「それと先生! そのやり方ですと一人余ってしまいます!!」
「だったら俺も一人でやらせろや!!!!」
「先生!! 師匠は紛うことなき化け物なのでもっと制限かけた方が良いと思います!!!」
「んんんんタイム!! 順番に答えるから静かに! ね!」
オールマイトは咳払いしてから、話し始めた。
「まず! この特殊ルールは戦闘訓練において両チームが実りある実戦経験を積むための合理的な裁量であり、彼女がこのルールに合意することで始めてこのルールが施行される!」
「……それってつまりよォ、俺らがボサボサ野郎より格s」
「魔理沙くん、君はこの理不尽なルールに合意するかい?」
「話聞けや!!!!」
オールマイトから提案された魔理沙は、迷わず答えた。
「するよ」
「では改めて君は特殊チーム『魔』として、くじ引きの箱に入れておこう」
「そしてその分余ってしまう人には特別ルールとして、対戦相手が決まった際に魔理沙くんと相手チームのメンバーを除いた人達から好きな人をチームメイトに指定出来るようにする! チーム名は『X』だ!」
「なお爆豪くんと緑谷くんの意見に関しては、今回に限り棄却させてもらう。このルールは相澤先生と相談の上で出来たものだからね、既定通りにいかせてもらうよ」
「そして、この演習はヴィラン側とヒーロー側、両方の立場を経験してもらうため、2日間に分けて演習を行う。それらを踏まえた上でさっそく、くじ引きでチームを決めてもらおうか!!」
オールマイトは用意したくじ引き箱から、生徒たちに順番にくじを引かせ、チームを組ませた。
『Aチーム』:緑谷出久、麗日お茶子
『Bチーム』:轟焦凍、障子目蔵
『Cチーム』:八百万百、峰田実
『Dチーム』:爆豪勝己、飯田天哉
『Eチーム』:砂藤力道、口田甲司
『Fチーム』:耳郎響香、上鳴電気
『Gチーム』:蛙吹梅雨、常闇踏陰
『Hチーム』:葉隠透、尾白猿尾
『Iチーム』:切島鋭児郎、瀬呂範太
特殊チーム『魔』:結依魔理沙
特別チーム『X』:芦戸三奈
オールマイトのゴリ押しによってスムーズにチームが決定された。が、お茶子はまだ魔理沙の裁量に対して納得がいかなかったため、本人の意思を確認すべく魔理沙の元へ向かった。
「ねぇ、魔理沙さん。本当に一人でいいの?」
心配するお茶子を前に、魔理沙はグッと親指を立てた。
「大丈夫。心配しなくてもこのクラスで……、いいやこの世界で一番強いのは私だからね。誰が来ようが何をしようが、勝つ」
「あ"?」
「ちょっとかっちゃん! これ以上揉めちゃダメだって!」
事あるごとに魔理沙を睨みつける爆豪。その怒りの矛先を緑谷が可能な限り安全に処理しようとする最中、魔理沙は全力で爆豪の目線に入らないようにした。
(いつにもまして凄い)
爆豪の鬼気迫る眼圧に耐える魔理沙。一触即発の危機的状況において、オールマイトは全くもって関係なしにくじを引き始め、最初の対戦相手を決定した。
「さァ! 最初に戦うチームはこの2チームだ!!」
オールマイトが用意したヴィラン側とヒーロー側、それぞれのくじ引き箱からくじを引き、書かれた番号を読み上げる。
「ヒーローチームはB! そしてヴィランチームは"魔"だ!!」
対戦相手が決まった瞬間、クラスメイトの背筋に電撃が走った。
第一戦は"結依魔理沙VS轟焦凍&障子目蔵"。1年A組の中で最も魔理沙に勝てる可能性のある人物の選出に、クラスメイト達は湧き上がった。
To be continued...