最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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第四章EX:交流編
EX1:魔理沙で遊ぼう!


 

【昼休み】

 

 とある日の昼、食事を済ませた魔理沙が教室に戻ってボーッと考え事をしていると、誰かが背後から話しかけてきた。

 

「ねぇ、魔理沙だっけ?」

 

「? 何?」

 

 芦戸三奈からの突然の訪問に、魔理沙は反応した。

 

「魔理沙って、何でも出来るって言ってたけどホント?」

 

「ホント」

 

「! じゃあ何かやってみせてよ! 例えば……何かこう……凄いの!!」

 

「しょうがないなぁ……」

 

 突然の無茶ぶりに呆れつつも、丁度いい能力を思いついたのでやってみることにした。

 

 魔理沙が指を鳴らすと白煙が発生し、魔理沙の姿が一瞬見えなくなってしまった。

 そして煙が晴れると、中からオールマイトが現れた。

 

「HA──ッHAッHAッHAァッ!! ……こんなんで良い?」

 

「え、凄ッ!! オールマイトじゃん!! 魔理沙って変身も出来るの!? しかも声まで一緒!!」

 

「当然。しかも一度見た者なら何にでもなれるよ。当然、芦戸さんにも」

 

 魔理沙はさらにオールマイトの姿から芦戸三奈の姿に変身した。

 

「じゃんッ! こんな感じにね!」

 

「うわッ! アタシが二人になった!!」

 

 一瞬で自由自在に変身できる能力、その凄さに素直に驚く芦戸。とても変身しがいのある反応だ。

 

「どうしたどうした……ッて、芦戸が二人!?」

 

「え、どっちが本物?」

 

 二人の様子を見に来た上鳴と切島。しかし目の前には同じ姿の芦戸三奈が二人。

 

 困惑する二人の表情を見た芦戸と魔理沙は互いを見つめ合った後、ニヤリとした笑みを浮かべ、上鳴たちの方を向いた。

 

「私が本物の芦戸三奈だよ!! コイツは偽物だよ!」

 

「いやいや、アタシこそ本物の芦戸三奈だって!!」

 

 声まで瓜二つの二人に、上鳴たちはさらに頭を悩ませる。

 

「え、分からん……」

 

「ドッペルゲンガーってヤツか……?」

 

 ドッペルゲンガーならもうとっくに死んでいるが、そんなことに気づく暇もなく、二人は思考の迷路にドンドン沼り初めていった。

 

 流石にこのまま放置するのも癪なので、魔理沙はネタばらしすることにした。

 

「残念、私でしたぁ」

 

「うおッ!? 魔理沙か! ビックリしたぁ!」

 

「あと解除の仕方まんま怪○キッドなのな!」

 

 某大怪盗や某大泥棒を彷彿とさせる皮の剥ぎ方に二人はギョッとさせられるも、あまりのクオリティの高さに尊敬の気持ちが上回ってしまう。

 

「……随分と面白そうなことしてるな」

 

「おぉ、常闇。お前も見に来たのか」

 

 黒い鳥のような顔をした青年、常闇踏陰が様子を見に来た。

 

「魔理沙、俺から一つ頼み事をしていいか?」

 

「何だい?」

 

「……仮面ラ○ダー王蛇になってくれないか? ……ダークライダー、好きなんだ……」

 

「え、仮○ライダー!? 魔理沙、お前キャラクターもいけるのか!?」

 

「イケます」

 

 魔理沙が再び指を鳴らすと、魔理沙の体は一瞬にして煙に包まれた。モクモクと漂う煙の隙間から紫を基調とした鎧が見え隠れし、次にコブラモチーフの特徴的なヘッドが現れ、最後にコブラのレリーフが刻まれたバックルが現れる。

 

「祭りの場所はァ……ここかァ……ッ!!」

 

 紛うことなき仮面ラ○ダー王蛇が、常闇の目の前に爆誕した。

 

「すっ、スゲェ!! 本物の○面ライダーだ!!」

 

「魔理沙、……ありがとう」

 

「フッ、礼には及ばない。機会があればベノスネーカーも出してあげよう」

 

「……親友(とも)よ」

 

 常闇と王蛇(魔理沙)が友情のハグをかました。

 

「なぁなぁ! 次、俺リクエストしていい?」

 

「どうぞどうぞ」

 

 上鳴からの要請を受けた魔理沙は快く承諾した。

 

「う〜〜ん何しよっかなぁ……、あ!」

 

「相澤先生とかどう!?」

 

「え、めっちゃ面白そう!」

 

 芦戸が目を輝かせた。

 

「分かった」

 

 魔理沙が再び指を鳴らすと、王蛇の姿から相澤先生の姿にチェンジした。

 

「……俺が1年A組担当の相澤消太だ。よろしく」

 

 喋り方から声に至るまで完全再現された相澤クオリティに上鳴たちは爆笑した。

 

「ブはッwww本物だwwww!」

 

「ねwwwwねぇww何か言ってみてよwww」

 

 芦戸から前フリを用意され、少し悩む魔理沙。どうせなら相澤先生が普段言わなさそうなセリフを吐いてみたいが……

 

(相澤先生って100%アニメ興味無いよな……)

 

 自身の内面と照らし合わせ、趣味嗜好の違いに注目した魔理沙。さっそく机をやや前に押し出し、そこに足を乗っけた後、適当なラノベ小説をプランクブレーンから取り出した。

 

 そして小説を開いた状態で顔に乗せ、寡黙な表情を維持したまま、低音イケメンヴォイスを震わせた。

 

「……フッ、やっぱりアニメってのは素晴らしいなァぁ。特に女の声優がさァ、素晴らしくてさァ、耳が孕んじまうよなァ。う〜ん、らぶちゅ」

 

「ヒッwwwヒィ────ッ! wwwwらっwwらぶちゅwwwwwらぶちゅだってwwww」

 

「あっwwww相澤先生がアニオタなの面白過ぎだろwwww」

 

「らっwwwwらぁっwwwww」

 

 本人に知られたら名誉毀損で訴えられかねない禁断のギャグで魔理沙含め全員が爆笑する中、とある生徒が満を持して登場する。

 

「君たち! 昼休みとはいえ少々騒ぎ過ぎでっ……相澤先生!?」

 

 現れたのは眼鏡をかけたお堅い男子こと飯田天哉。授業開始5分前にも関わらず騒がしくしている生徒を注意すべく現れたが、騒ぎの中心にいたのは生徒ではなく担任の相澤先生。これには流石の飯田も驚いてしまう。

 

 全員の顔が一瞬、獲物を狩る時の猛禽類と同じ顔つきに変化した。

 

「……飯田、ちょっとこっち来い」

 

 ドスの効いた低音ボイスで場を支配し、ジェスチャーで近くに寄るよう伝える相澤先生……の皮を被った魔理沙。しかし、正体を知らない飯田は何が何だか理解出来ず、思考停止したまま魔理沙の近くへ寄っていく。

 

 飯田が十分近づいてきたタイミングで魔理沙は立ち上がり、飯田の左肩に右手を添えながら、耳元で囁いた。

 

「……らぶちゅ」

 

 唐突の『らぶちゅ』に脳を破壊された飯田は、キョトンとしたまま立ち尽くしてしまった。

 

「「ぶはははははははははははwwwwww!!」」

 

 あまりの滑稽さに飯田を除く全員が爆笑し、あるものは机を叩くほど興奮し、あるものは床を転げ回った。

 

 笑いすぎておかしくなりそうになる最中、刻刻と時間が過ぎてゆき、ついに授業開始1分前に到達した。

 

「おいお前ら! いつまで喋ってんだ、授業やる……ぞ……」

 

 容赦なく扉を開けた相澤先生。しかし目の前には、自分とそっくりな見た目をした謎の人物が教室内で立ち尽くしていた。

 

「……魔理沙」

 

「違うんです話聞いてください」

 

 察しのいい相澤先生に対し、青ざめる魔理沙。だが魔理沙は一人ではない。上鳴や常闇たちと一緒に弁明すればいくら鬼畜外道の(多くの生徒を除籍処分した)相澤先生といえど受け入れてくれ

 

(あ、アイツらァ……ッ!! いつの間にィ……ッ!!)

 

 相澤先生の視界に入る直前に席に着いていた上鳴たちは、まるで関係ないとでも言わんばかりの表情をしていた。

 

「何が違うんだ?」

 

 目がガンギマってきた相澤先生。

 

「これはね、アレです。アレ……」

 

 必死に言い訳を考えようとする魔理沙。だが何も思いつかない。

 

 かくなる上はアレを、やるしかない。

 

「仏ビィィィィィィッッッッムッッ!!!!」

 

 魔理沙は額にピースサインを2つ添え、その中心点から特殊な光線を発射した。

 

「ッ危な!!」

 

「避けたッ!?」

 

 外した。

 

「魔理沙……お前先生に向かって個性使ってタダで済むと思うなよ……」

 

(当たってればタダで済んだのに……ッ!)

 

 怒り喰らう相澤先生を前にして、魔理沙は思考する。

 どうにかしてあの怒りを沈めなければならないが、普通に謝ったところで許してもらえるか正直怪しい。

 

 特に仏ビームを外したのは完全にミスだ。当たっていれば記憶が消えて万々歳だが、外したことで怒りを買い、もう除籍処分をくらってもおかしくない段階に足を踏み入れてしまっている。

 

(こうなったら……無理やりにでも"怒り"を沈める!)

 

 魔理沙は指パッチンでCDを取り出し、体内に取り込んで中の音楽を再生した。

 

【BGM:Spirit (ウルトラマンコスモスのメインテーマ)】

 

 爽やかな音楽と共に魔理沙の気が青く変色し、無害かつ穏やかなオーラが解き放たれる。

 

「さぁ許すんだ、相澤先生。何がなんでも、ね」

 

 魔理沙はゆっくりとした所作で右手を突き出し、手のひらから青白く輝くオーラのような何かを噴出させた。

 

 これはウルトラマンコスモスの必殺技、"フルムーンレクト"。殺傷能力は無いが、相手の心を落ち着かせ、邪悪な心を浄化させる能力をもつ。

 

 さっきみたいに避けられないよう、魔理沙は教室全体に向けてフルムーンレクトを拡散させた。念の為、サイコキネシスで扉と窓を施錠したため、逃げることはほぼ不可能。

 完全密室空間で解き放たれたフルムーンレクトを浴びさえすれば、流石の相澤先生といえどカオスヘッダーでない限り落ち着くはず。そうすれば、相澤先生はおそらく私の所業を許してくれるだろう。仮に許されなくとも隙は出来るため、そこを狙ってゼロ距離仏ビームを撃てば万事解決である。

 

(幼少期からあらゆる都合の悪い情報を悉く隠滅してきた私に、勝てる者はいない)

 

「落ち着きました?」

 

「あぁ……」

 

 心做しか、相澤先生の声が柔らかく感じる。おそらくフルムーンレクトの影響で精神的にかなり寛容になっていると思われる。

 

 今の相澤先生の心は、あの窓の外の大空のごとく澄み渡っているのだろう。

 

「許して、もらえます?」

 

「あぁ……」

 

 相澤先生は魔理沙の左肩に右手を添えると、耳元で囁いた。

 

「許さん」

 

「ッ!?」

 

 相澤先生のピースサインが魔理沙の両目を潰しに襲いかかるが、超反応で魔理沙は回避し、数歩距離を取った。

 

「絶対そうなると思った! 絶対そうなると思った!! だってもうコレギャグだもん! 相澤先生をフルムーンレクトで沈めるとかどう考えてもギャグだもん!」

 

 魔理沙は確信した。今、自分が相手にしているのは相澤先生ではなく、ギャグ描写(最強の敵)であることを。

 

「魔理沙、お前大人しくしないとどうなるか分かってるのか?」

 

「どうなるんです?」

 

「お前んとこの上司(米良さん)に言いつけて地下監禁生活してもらう」

 

「鬼畜過ぎる……!」

 

 リアルな対処法に流石の魔理沙も冷や汗が垂れた。

 

「……こんな手は使いたくなかったが、かくなる上は……!!」

 

 精神的に追い詰められた魔理沙は容赦なく幽波紋(スタンド)を顕現させた。

 

「キング・クリムゾンで時間を消し飛ばしてる最中にラリホーマで確実に眠らせてゼロ距離仏ビームを撃ち込むしか……!」

 

「物騒だなオイ」

 

 警戒し様子を伺う相澤先生と、スタンドを顕現しながら相手の心を読み、タイミングを見計らう魔理沙。

 

 人間とは常に意識が働いている生き物である。思考するにせよ、動くにせよ、あらゆる行動には意識が関与している。その性質上、人間は一体一の緊迫とした状況において、複数の事柄に対して同時に意識を集中させることは非常に難しい。

 

 例えば相手が凶器を持っていたら、人間は凶器に注目する。相手が素早く動けるタイプなら手足の動きに注目すれば対処可能だ。ならば、相手が素早く動ける上に凶器を持っていた場合、相手の手足の動きと凶器の両方に注目すれば完璧に対処出来るだろう。しかし、人間は自然と物事を単純化しようとするクセが存在するため、先程の相手に対しては手足だけに注目することで凶器の動きも同時に把握しようとする。これが複雑になればなるほど単純化した際の()()()()が生まれ、そこが()()となって隙を生む。

 

 なら、相手が時間を消し飛ばしてくる能力者で他にも複数の能力を所持している場合、どこに注目すべきか。

 

 正解は、無い。どこに注目したとしても隙が生まれる。

 

「もう1分1秒たりとも、(ギャグ描写)は与えんッ!! キング・クリムゾンッッ!!!!」

 

 相澤先生の心の揺らぎを感知した魔理沙はその一瞬の油断を利用することでキング・クリムゾンを発動し、時間を消し飛ばした。

 

 

 

「……もうこんな時間か。じゃ、授業始めるぞ」

 

 魔理沙は消し飛ばした時間の中で事を済ませ、無かったことにした。ついでにクラスメイト全員の記憶を改竄したため、魔理沙が変身能力を使って相澤先生のモノマネをしたという事実は完全に消滅したのだった。

 

(傍から見たらラスボスだよなぁ、私)

 

 魔理沙は自身の行動を客観的に振り返った。今やったことを悪めに言うと、魔理沙はクラスメイトの記憶を操作して自分にとって都合のいい世界を構築した、となる。いかにも主人公サイドに滅ぼされそうなムーブをしているが、彼女は史上最強の魔法使い。

 

 彼女に敵う存在などこの世にいないのだ。

 

(ま、そういう星の下に生まれたから仕方ないよね)

 

 魔理沙は窓の外を見つめながら、授業に取り組んだ。

 

 

 

 

 

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