最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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【あらすじ】

USJに襲撃してきたチンピラたちを魔理沙は単騎で撃破。さらに続く脳無とNOUMU、そして死柄木と黒霧たちの連携攻撃を全ていなし、徐々に追い詰めていく。しかしコード000の機転によって個性因子誘発物質(イディオ・トリガー)を撃ち込まれてしまい、魔理沙の個性は暴走し始めてしまった。





災凶(24話)

 

 

(……ッ!)

 

 今まで取り込んできた個性が薬の力で暴走し始め、魔理沙の右腕が歪にねじれながら爆発と衝撃波を同時に引き起こしていた。

 

「その状態では体も満足に動かせられないのでしょう?」

 

 コード000は余裕ぶった表情で魔理沙を覗く。

 

「しかしこちらも貴女を殺す手段がありません。拘束するにしても暴走した個性がそれを阻むでしょう」

 

「したがって我々は貴女の命の身代わりとして、貴女と関わりの深い人間を殺します」

 

 冷たく吐き捨てられた言葉に反応し、魔理沙の目が強く開いた。が、冷静に感情を押し殺し、平常心を意識する。

 

「……別に、お前らが誰を殺そうと蘇生なり時間遡行なりでどうにでも……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 コード000の鋭い視線が、魔理沙を突き刺す。

 

「我々にその感情は理解できませんが、貴女の思考パターンは概ね読めています。貴女は自身の能力規模を把握しているが故に、その能力相当の働きが出来なければストレスを抱え込むタイプの人間です」

 

「全知全能に等しい貴女が関係者一人すらまともに守れないというのは、貴女にとって()()()()()()()()()()何でしょう?」

 

「たとえ蘇生や時間遡行したとしても貴女の心の傷は永遠に塞がず、これからも傷を負い続ける」

 

「貴女は最後まで立っていられますか?」

 

 コード000の目がさらに鋭く突き刺さり、魔理沙を牽制した。

 

「……では立ち話は以上。殺れ、脳無」

 

 コード000の指示を受け、雄叫びをあげた脳無はすぐさま相澤先生と13号先生に狙いを定め、進撃を開始した。

 

「チッ」

 

 すぐさま構える相澤と13号。そして一瞬で階段を登りきった脳無はその巨漢を活かしたタックルで二人同時に吹っ飛ばそうとしたが、綺麗に避けられた。

 

 徐々に顔から余裕が失われていく魔理沙。彼女の心境にさらなる追い討ちをかけるつもりか、コード000も脳無の元に向かおうとしていた。

 

 コード000の加勢だけは止めなければならない。そう判断した魔理沙はコード000を呼び止めようとした。

 

「ま……いや、止まれ。お前、ろくに装備も無い状態でプロヒーローとやり合うつもりか? もっと冷静に……」

 

「いいえ何も問題ありません。コレがあるので」

 

 コード000はどこからともなく銃を取り出した。その銃のデザインはこの世のものにしては近未来的すぎる上に、見覚えがあり過ぎた。

 

「……()()()()()()()()()()()()!」

 

「万が一のケースに備えて量産していました。貴女以外にこれを防げる人間はいません」

 

 コード000が取り出したのは、10年前の戦いの際にも使用した月の戦略兵器だった。それは狙撃対象者の"過去"に向けて弾丸を撃ち込む銃であり、()()()()によって銃撃を確定させる代物である。

 

 13号先生のヒーロースーツにどれほど銃弾に対する耐性があるかは知らないが、この兵器に対抗するには強力な再生能力をもつか、不死身か、常に実体をもたないといった銃撃自体を無効化できる能力者でなければ対処不可能である。しかも兵器であるため相澤先生の個性すら通用しない。

 

 このままでは二人が死ぬ。そんな絶望的な状況において結依魔理沙は、ニッコリと笑い始めた。

 

「何……?」

 

「いや、そろそろ茶番はやめようかなって」

 

 結依魔理沙の瞳から紫色の強い光が発すると、その場にいたヴィラン全員の肉体に強烈な負荷がかかった。

 

「……ッ!? 体が……ッ」

 

「いやぁ個性使えなくしたのは凄いよ? しかもキスで一方通行(アクセラレータ)を突破されるなんて、本物の一方通行(アクセラレータ)さんに見られたらグーか翼で殴られてただろう」

 

「しかし残念ながら個性を使えなくしたところで、他の能力が無事なら何の意味もない」

 

 魔理沙の瞳がさらに強く発光し、全身にさらに強烈な負荷がのしかかった。ヴィランたちは指一本すらまともに動かせず、空気もろとも負荷を掛けているため、呼吸すらもままならない状況であった。

 

「いい? 最強ってのは手の内が分かったところで対策の仕様がないから"最強"なんだよ」

 

「まァ私の手の内が真に明かされる日なんぞ、永久に来ないけどな」

 

 魔理沙が心の中で中指を立てた瞬間、コード000と脳無の体は念動力によって遥か上空まで吹き飛ばされた。

 

「この程度で……ッ!!」

 

 USJの天井を貫き、青空の広がる世界に落とされたコード000たちだったが、すぐさま空中で体勢を立て直した。

 

 しかし、目下に映った光景は紛れもない絶望そのものだった。

 

王の財宝(ゲートオブバビロン)

 

 黄金に輝く無数の"砲門"が大量に展開され、USJ全体を覆い尽くす。当然コード000たちは空中に放り出されているため、最高到達点に達した後に自由落下を開始し、無数の砲門の海へと落ちていく。

 

 落下開始と同時に無数の宝具が砲門から姿を現し、魔理沙の指パッチンに合わせて大量に射出された。撃ち出された宝具の一つ一つが神話級の代物であり、一本でも触れれば爆発四散は免れないほどの威力を有している。それを大量に、かつ制御の効かない空中で撃ち込まれるため、全てを避けることは不可能。

 

 無数に撃ち込まれた宝具を回避しようとするコード000だったが、避けきれなかった3本の宝具が脇腹などにカス当たりし、1本の宝具がコード000の下半身を粉砕した。同様に脳無も胴体に1本の宝具が直撃し、風穴を開けられつつ衝撃で四肢がもげたままUSJへと落下。再び天井を破壊して魔理沙の元へと落ちてきてしまった。

 

 全身をバラバラにされた二体のヴィランを前に、最強の魔法使いは君臨していた。

 

「本当なら念動力でお前らを固定してからゼロ距離でバビ(王の財宝)るつもりだったが、今日はこれで勘弁してやる」

 

「黙ってお縄につけ」

 

 魔女の冷たい視線に突き刺され、体力の尽きた二体のヴィランは静かに気絶した。

 

 魔理沙の理不尽かつ圧倒的な暴力により、完全に立場が逆転したのだった。

 

「魔理沙!!」「魔理沙さん!!」

 

 上で待機していた相澤先生と13号先生が魔理沙の元まで駆け寄ってきた。

 

「魔理沙、体は大丈夫か?」

 

「……一歩も動けません」

 

「分かった、お前はそこで大人しく待機していろ。後で医療用ロボに担架運ばせる」

 

「いや運ばなくて大丈夫です。むしろ運ばれると個性爆発して周囲一帯が消し飛びます……」

 

「……お前、今どういう状態なんだ?」

 

 周囲一帯が消し飛ぶほどの暴走を、その片鱗すらも見せずに抑え込めているこの状況があまりにも異質で、相澤は困惑した。

 

「今は念動力で各エリアに潜伏してるヴィランの動きを止めながら、自分の肉体を四重結界で囲ってます」

 

「一歩でも動くと均衡が崩れて大惨事です」

 

 プルプルと震えながらジッと待つ魔理沙。それを見て相澤先生は少し考え、そして閃いた。

 

「……その暴走は"個性"によるもの、なんだな?」

 

「はい」

 

「なら魔理沙、俺が個性(抹消)でお前を見てやる。それで暴走は解決するはずだ」

 

「……あ」

 

 個性『抹消』、その存在をすっかり忘れていた魔理沙は、さらなる妙案を思いついた。

 

「相澤先生、もっといい方法あります」

 

「何だ?」

 

()()()()

 

 魔理沙は一歩も動かずに斬撃魔法を放ち、相澤先生の髪の毛を一部切り裂いた。

 

「オイ、何する気だ?」

 

「いや、私の能力の"本命"はこっちだったなぁっていうのを思い出しまして」

 

 魔理沙はそのまま相澤先生の髪の毛の一部を一瞬で口内に移動させ、個性が暴走しない程度にゆっくりと咀嚼を行う。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 食べたことによって個性"抹消"を手に入れた魔理沙は、即座に体の内側に眼球を生成し"抹消"を発動。個性因子誘発剤(イディオ・トリガー)による暴走はこれにより完全に抑えられた。

 

「ほら、これで私も"抹消"が使えるようになりました。もう個性因子誘発剤(イディオ・トリガー)は通用しません」

 

 ギュッギュッと腰を捻り、魔理沙は体の調子を確認する。体感的に異常は特になく、暴走の片鱗は一切見られない。

 

「……本当(マジ)か?」

 

「何でこのタイミングで嘘付かなきゃならないんですか。ほら、今"抹消"使ってるんで相澤先生の"抹消"が使えるか試してみてくださいよ」

 

「……マジかよ」

 

「ね。これで名実ともに最強のヒーローですよ。何てったってこっちはバンバン個性使えるのに敵は無個性で私に突撃しなきゃいけないんで」

 

「……お前は元から最強だろ」

 

 フフンとドヤ顔で顎を触る魔理沙に対し、相澤は冷静にツッコミを入れた。

 

「……ところで、あの手と霧のヴィランは?」

 

「……逃げられたな。すまない」

 

「いや、私も調子こいて油断したんで……」

 

「僕に関しては今回、微塵も出番無かったです……」

 

「まぁ13号先生は災害救助専門ですし、何より相手がフィジカル系の脳無とアレ(コード000)なんで……適材適所です」

 

「あとシンプルに戦闘描写追いついてませんねコレ」

 

 魔理沙はこちらの方を見て、目を細めた。

 

「とりあえず警察と他のヒーローが来るまで待機。魔理沙は潜伏ヴィランの位置特定と逃亡者がいないか確認してくれ」

 

「はい」

 

「13号と俺はあの倒れたヴィラン二名を拘束し監視しておく」

 

「お願いします」

 

 魔理沙は一礼を終えると、目を閉じて周囲の"波動"を探知し始めた。波動とはすなわち生命エネルギー、ドラゴンボール風に言うならば"気"、HUNTER × HUNTER風に言うならば"オーラ"である。

 

 魔理沙の探知範囲は半径約4kmであり、これは水平線までの距離に相当する。能力を重ね掛けや場所によってさらに探知範囲を広げることもでき、地球全体までとはいかずとも日本全域にアンテナを張ることは可能である。

 

(……何でこんな理不尽オーバーザワールドな私から逃げられるんだ……あの"キン〇マ(AFO)")

 

 心の中で愚痴を漏らす魔理沙。AFOが捕まらない大きな理由としては、魔理沙が条約の関係で日本から出れない(認可さえでれば可能)ことが関係している。おそらくAFOは条約の内容を知った上で海外で幸せに暮らしているのだろう。反吐が出る。

 

 その気になれば完全ステルス状態で海外を飛び回ることも出来なくはないが、米良さん曰くこの10年間で先進国の科学技術力が飛躍的に上昇しているそうで、特に超音速で飛行するミサイルやステルス兵器を補足する自動探知機の技術が非常に進んでいるらしい。

 

 なので、『妙なこと考えないで』と米良さんには釘を刺された。

 

(……?)

 

 探知中に謎のノイズが混じり、魔理沙は違和感を感じた。魔理沙が周囲を見渡すと、ちょうど相澤先生らが居るあたりからノイズが発していた。

 

「……高エネルギー反応?」

 

 波動ではいまいち分かりにくかったので別の能力で見た結果、コード000の体から数千℃にも及ぶ高熱が検出された。

 

(先生!!! それ爆発する!!!!!!)

 

「サ ヨ ナ ラ」

 

 脳内に直接二人に語りかけた魔理沙。伝えはしたがこの距離では絶対に間に合わ……無くもないので、魔理沙は一瞬で先生らの前に立ち、爆発する寸前でコード000の体を蹴り、ワープゲートを介して地球外へと追放した。この間なんと0.13秒。

 

「何が起きた……?」

 

「彼女の体が爆発しそうだったので、蹴っ飛ばしてワープさせました。今ごろ某究極生物のごとく考えるの止めてますよ」

 

「……頭痛くなってきた」

 

 一挙手一投足が規格外過ぎるあまり、相澤先生の脳みそは完全に容量限界(キャパオーバー)である。もう彼女が生徒だとか人間だとか関係なく、脳無同様、留置所で拘束するべきではないかと相澤は考え始めた。

 

(だがコイツは、ヒーローだ)

 

(やり方が派手過ぎるあまりそっちに目が行きがちだが、コイツは俺たちやクラスの皆を無傷で守り通した)

 

(それは、オールマイトすら不可能な所業……)

 

 相澤はジッと魔理沙の顔を見つめた。

 

(……俺はコイツの担任として、キチンと責任を果たすべきだ)

 

(コイツが、この社会の中でも不自由なくヒーロー活動が出来るように……)

 

「……? もしもーし?」

 

 魔理沙は相澤先生の顔の前で何度か手を振ったものの反応せず、かと思いきや急に振り返り、倒れた脳無の方に向かっていった。

 

「さ、仕事再開だ。気を抜くなよ?」

 

「えぇ……何? 今の時間」

 

 コロコロと変化する様子に振り回されつつも、とりあえず魔理沙も仕事を再開した。

 

 

 

 USJ襲撃事件、完。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、オールマイト含む雄英教師陣および警察が到着し、事件の後処理が始まった。

 

 主犯格である死柄木と黒霧は逃したものの、USJ内に潜伏していたヴィランたち72名の捕縛に成功。身辺調査の結果、案の定捕縛したヴィランのほとんどがチンピラであった。

 

 コード000は、魔理沙が地球外に追放したことにより消息不明。なお、人工衛星の観測から大気圏上にて未知の発光現象が確認されたことから、おそらくコード000は追放後に自爆したと考えられる。

 

 一方、脳無に関しては問題なく警察に引き渡され、現在留置所で勾留中。輸送中においても非常に大人しく、目は開いているが意識不明であった。

 

 なお魔理沙がピンチに陥った際に爆速でUSJに向かった緑谷だったが、魔理沙たちとすれ違ってしまい、到着した時には既にいなくなっていた。

 

 

 To be continued...






【紹介コーナー】

王の財宝(ゲートオブバビロン)
→Fateシリーズに登場するキャラクター、『ギルガメッシュ』の宝具。Fateシリーズにおいて宝具とは、キャラクター1人につき1つ持っている特殊武装であり、必殺技そのものである。が、王の財宝はそれらの宝具を宝物庫から無数取り出し、無限に射出することが出来る宝具である。つまり必殺技が無限個存在するようなものである。


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