最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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【あらすじ】

結依魔理沙、最終的にコード000共々王の財宝(ゲートオブバビロン)で木っ端微塵に破壊し、個性の暴走も相澤先生の"抹消"で解決してしまったのであった。




USJ襲撃事件、終結(25話)

 

 

 

【ヴィラン連合第13アジト】

 

 

「……ッ!!」

 

 脳無らの奮闘により脱出に成功した死柄木たちであったが、その代償はあまりにも大き過ぎた。

 

「何だ……あンのクソ女!! チートにも程があんだろうが!!!」

 

 死柄木は思いっきり感情を込めた拳でテーブルを叩いた。

 

 今回の件に関して、死柄木は完全に無力であった。イレイザーヘッドに個性を封じられ、脳無やNOUMUたちに守られたまま、撤退を強いられた。計画ではオールマイトを殺すはずが登場すらせず、代わりに現れたあの女が全戦力をなぎ倒していった。

 

「しかもアイツ!! 俺たちが雄英のゲートブッ壊した時も急に出てきて、腹パンした上に前のアジトを手榴弾でぶっ壊しやがった女じゃねぇか……!! あのゴミカスがァ……!!!」

 

 そんな中、アジトに置かれた簡易モニターが自動的に起動し、音声が流れ始めた。

 

『だから言ったじゃないか弔、アレにはまだ関わるなと』

 

 モニターから、男の声が流れる。その男は、死柄木弔が先生と呼ぶ存在であり、育ての父であった。

 

「……先生、アレは何なんだ!! あのカスは何で複数個性持ってんだ!!!」

 

『残念だが彼女の能力について分かっていることは少ない。だがドクターが言うには……』

 

『アレは個性じゃない』

 

 突如通信回線に割り込んだのは、先生のパートナーにして脳無開発担当研究者、『殻木球大』であった。

 

「……は? 何だソレ」

 

(ヤツ)の資料によると……彼女の力は個性因子とは全く異なる未知の原理で超常現象を引き起こしておる』

 

「意味わからん」

 

『ワシだってわからん』

 

 ドクターは資料に目を通しながら溜め息をついた。彼の弟はかつてヴィラン連合の研究施設の一つであったとある地下刑務所で個性の研究を行っていたが、11年前に入所した彼女(結依魔理沙)の手によって施設は無慈悲に破壊され、刑務所そのものが停止させられた。

 先生の介入により弟は助かったものの、彼女に目を付けられた先生は次々とアジトを潰された。その後、コード000を使って一時的に彼女を無力化することに成功し、その間にオールマイトを処理する予定だったが、結果は敗北。しかし重症を負わせることに成功したため動けない間に脱出し、海外へ逃亡した。

 

 ここ最近の戦績の悪さはすべて"彼女"が原因であり、今回もそうである。

 

『ヤツに関しては考えるだけ無駄なんじゃが、避けては通れん』

 

『出来る限りデータを集め、対策を練るしかあるまい』

 

 ドクターの疲れきった声を聞き、死柄木は冷静になった。あの化け物はドクターすら手に負えない何かで、オールマイト以上に厄介な何か、それを肌で感じ取った。

 

『いいかい弔? これから先しばらくは活動休止だ。来たるべきに備えて、仲間と、物資の補充に専念するんだ』

 

「……イライラし過ぎて何も身に入らない。嫌だ」

 

『……分かった、好きにするといい。ただし、絶対に彼女には関わるな』

 

『彼女の相手は、引き続き"彼"と"ドクター"に任せるといい』

 

 そう言って少し間があいた後、ドクターが死柄木に聞いた。

 

『そういえば、ワシらが作った脳無と000はどうした?』

 

『? 回収出来なかったのかい?』

 

 二人からの問いに黒霧が応えた。

 

「はい……。全員で向かったのですが返り討ちにされ、最後は対オールマイト用脳無と000を犠牲に……敗走しました」

 

『戦闘データが回収できたなら、ええじゃろ。脳無は残念じゃが』

 

『000は金さえあればいくらでも素体は作れる。だが、毎回彼女に壊されてしまうから与えられる個性(ストック)がほぼ無いね』

 

『000以外にも同時並行で開発を進めておるから、これ以上やられるわけにはいかん』

 

『現状出撃可能な脳無は下位13体、中位14体、上位2体、だったかな? "彼"のコードシリーズも含めると、000も加味して3体……、()()()()()

 

『進捗自体は悪くないんじゃがのぅ……』

 

『時間さえあれば彼女とも渡り合えるってことさ。……勝てる保証は無いが』

 

『弔、()()()()()()()を迎える前に彼女のこと予習しておくといい。そろそろあの学校も体育祭をやるだろうから、敵を知るには丁度いいタイミングだ』

 

「……、分かった。先生」

 

『偉いぞ弔。では、また1ヶ月後くらいに連絡するよ』

 

『飢え死にだけはするんじゃないぞぉ〜』

 

 ブツンッ、とモニターの電源が落ちた。

 

 

「……クソが」

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 一通り警察からの事情聴取を受けた翌日の夜、相澤先生と13号先生、そして(結依魔理沙)はUSJ襲撃事件に関する緊急会議に参加することとなった。

 

「何で私まで……」

 

「お前が事件の当事者で、襲撃時にいたコード"000"と面識があり、敵側から明確に"お前"への対策がされている。これ以上に理由がいるか?」

 

「……」

 

 何も言い返せなかった。

 

「こんばんわ校長先生」

 

「や! こんばんわ相澤くん。 じゃ、席に座って!」

 

「おーはー(お〇スタ並感)」

 

「こんばんわ魔理沙くん! 先日に引き続き色々と大変だけど、もう少しの辛抱だから頑張ってね!」

 

「はい」

 

「校長先生、仮にもコイツは公安所属のヒーロー、公務員です。こういった業務もヒーロー活動の一環であり、やって当たり前のことです。コイツも重々承知しています」

 

「先生、それ以前に私は生徒です」

 

「うるさい」

 

「君たちが凄く仲良いのは分かるけど、とりあえず席に着こうか!」

 

「「はい」」

 

 根津校長の催促により二人は席につき、残りの先生方の到着を待った。

 その後ポツポツと先生方が出席し、予定通り全員が会議室に集合した。

 

「では全員揃ったことだし! 先日の襲撃事件に関する緊急会議を開始するよ! まずは塚内警部から」

 

「はい、では先日のヴィラン連合と呼ばれる組織による襲撃事件について……」

 

「……アイツら、ヴィラン連合なんて言ってたか?」

 

「チンピラが自白したんじゃないですか?」

 

 相澤先生と小話を交えつつ、議題に耳を傾ける。

 

「襲撃事件の主犯格は死柄木弔、個性は触れたものを粉々にする個性。そしてもう一人は黒霧と呼ばれる男で、個性はワープゲート……」

 

「どちらも20代から30代の個性登録に該当無し。無国籍かつ偽名の、裏世界の住人」

 

 二人の容姿がプロジェクターで映し出され、全員がまじまじと見つめる。どちらも和風ホラーゲームに出てきそうな恐ろしい見た目で、顔も人間らしくない。死柄木に至ってはあの白い手のせいで見えない。

 

 まさしくヴィラン、といった風貌だった。

 

(……)

 

 魔理沙は自分の頬をつまみ、そして考えるのをやめた。

 

「つまり何も分かってないってことか……」

 

「早くヤツの居場所を特定しねぇと、また事件が起きちまう……」

 

 ブラドキング先生とスナイプ先生が心配する中、魔理沙は虚空を見つめていた。

 

(本当はこの後、オールマイトが死柄木の性格について分析し始めるんだが……)

 

(……私が一方的にボコボコにしたせいで誰も死柄木に関する情報を持ってないんだよなぁ……)

 

 魔理沙はオールマイトのいる方をチラ見した。しかしオールマイトは微動だにせず、真剣な表情をしている。

 

(運命補正力か何かでオールマイトの脳内に原作世界線の記憶蘇ってくんないかなぁ……)

 

 面倒くさがりな彼女は特にフォローすることなく、再び虚空を見つめ始めた。

 

「そして彼らと共にいた"コード000"と呼ばれるヴィラン。彼女は自らを、自己進化型人工知能NOUMUと名乗り、11年前と1ヶ月ほど前に彼女、"結依魔理沙"への襲撃を行っています」

 

「11年前って……あなた4、5歳の時から狙われていたの?」

 

「はい」

 

「……本当に、強いのね」

 

 ミッドナイト先生は静かに引き下がった。

 

「そういえばNOUMUって……今拘留中のヴィランと同じ名前だよな? ヴィラン連合ってそんな昔からある団体なのか?」

 

 スナイプ先生の疑問に対し、塚内警部が答えた。

 

「これまでにヴィラン連合と名乗る反社会組織は確認されていません。……偽名かもしれませんが」

 

「もしくは、最近名乗り始めたとかな」

 

 ブラドキング先生や他の先生方がヴィラン連合について考察するも、情報が欠けているためなかなか議論が進まない。

 

 そうなると質問は必然的に彼女の方に飛ぶ。

 

「魔理沙くんは、彼らのことについて何か知っているかい?」

 

 根津校長に質問された魔理沙は静かに立ち上がり、自分の頭に指を突き立てた。

 

記憶再生(イキュラスエルラン)

 

「口頭じゃ伝わりづらいので自分の記憶映像使いますね」

 

「……はい?」

 

 空中に突如16:9の画面が出現し、先生方が驚く中、魔理沙は話を続けた。

 

「……彼ら、というよりヴィラン連合に関しては昔、その組織の大ボスと一度会って戦闘になりました」

 

「「は??」」

 

「オールマイトはもう分かりますね? あの組織のボスが誰か」

 

「……AFO(オールフォーワン)!」

 

AFO(オールフォーワン)!?」

 

 オールマイト、塚内警部、根津校長が反応した。

 

「死柄木も黒霧も脳無もコード000も、AFOの息がかかった組織に所属してる尖兵たちです。特に脳無とコード000は、全国各地に存在していたAFOの研究施設にある記録からも分かります」

 

「待って、AFOに関して詳しく教えてちょうだい? 誰なの?」

 

 

 ミッドナイト先生の疑問に対し、オールマイトが詳しく答えた。

 

 

「オールマイトが倒しきれなかった、悪の帝王……」

 

「それがコード000や脳無を使って、魔理沙に襲撃を仕掛けた……」

 

「狙いは"個性"か、"抹殺"だろうな」

 

「最近は"抹殺"に力を入れている気がします。あんなモノ(イディオ・トリガー)使ってまで私を無力化しようとしてきましたし」

 

「まぁ"抹消"が手に入った今じゃ効きませんが」

 

 ケロッとした表情で椅子に座る魔理沙。数日前にヴィランに串刺しにされたとは思えない態度である。

 

「……ねぇ、ずっと思ってたことなんだけど、あなたって本当に何者なの?」

 

 ミッドナイト先生が口を開いた。

 

「公安所属で、入学前からヒーロー免許を取得している時点で異例中の異例なのに、ヴィラン連合とも少なからず面識があって……」

 

「しかも個性……、あなたの"色んな人の個性をコピーする個性"に関しても、見たことない個性を複数持っているじゃない。()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「秘密です」

 

 魔理沙は即答した。が、間髪入れずに相澤先生が口を開けた。

 

「USA襲撃事件の時、お前は個性因子誘発剤(イディオ・トリガー)に全ての個性を暴走させられたが、それでもお前は力を使えた」

 

「その理由は?」

 

「……言えません」

 

「じゃあ当ててやる。アレ、()()()()()()()()()()?」

 

「お前はそれを理解していた。だからあんな無茶なことが出来た。そうだろう?」

 

「……」

 

「ここで改めて聞こう。お前は、何者だ」

 

 ここまで問い詰められると思わず、顔をしかめる魔理沙。この人達はいったい私に何を自白させようとしているのだろうか。何を言えば納得するのだろうか。というか話逸れ過ぎではないだろうか。

 

 いや正直に言うなら、私は転生者だ。女神からの特典か何か知らないが、私は異形魔理沙の容姿と力を手に入れ、今日まで生きてきた。それ以上に開示できる情報は無い。

 

 そしてそれを言ったとして、いったい誰が納得できるのか。まだ宇宙人と言った方が信じてもらえる気がするし、言ったとして別に私のすべてが明らかになるわけではない。余計に謎が深まるだけだ。

 

 私はただの調停者。それでいい。だからこれ以上詮索されて変に疑念を持たれるくらいなら、消す

 

あとこんなことに時間使ってたら夕飯下げられる。

 

「……はぁ」

 

「仏ビィィィィィィッッッム!!!」

 

「「わ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"」」

 

 

 魔理沙のおでこから解き放たれた聖なるビームが先生陣および塚内警部含む全員に直撃し、魔理沙にとって不都合な記憶が改ざんされた。

 

 

「……やっぱり、もう少しマインドコントロールで操作した方が良かったかな」

 

「まぁこれ以上やるとこの世からオタクが消えるから、やめとこう」

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、今回の事件は魔理沙の個性を狙った犯行だった……てことでいいのか?」

 

「いや、私一人を狙うならあんなにチンピラ共連れてきたりしませんよ。邪魔ですし」

 

「どちらかと言うとメインは雄英生徒……を襲うことでオールマイトを誘き寄せ、あの筋肉ムキムキの脳無で殺すつもりだったっぽいですが、私が皆を逃がしたので計画がおじゃんとなり、代わりに私を潰すプランに変えたんじゃないですかね」

 

「不完全な状態のコード000がわざわざ駆り出されたのは、単に私を抑えられるヤツが足りなかったからでしょうね。相手だって、本気で私を潰すならそれなりに準備するはずです」

 

「どうしてそこまで分かるの?」

 

「私がチンピラと相手してる時に目の前で彼らが相談してたので盗み聞きしたのと、状況考察ですね」

 

「メインターゲットはオールマイトで、サブターゲットは魔理沙か。そもそも今回の訓練は俺と13号とオールマイトで行う予定だったが、遅刻がたまたま功を奏したか」

 

「……面目ない」

 

「もし、オールマイトがこの授業に参加することを既に知っていて、あの時間あの場所で待ち構えていたとしたら、これは相当計画的に練られた犯行だね」

 

「どっから漏れたんだ……情報」

 

「ともかく、現時点においてヴィラン連合は非常に危険な組織であり、厳重に警戒する必要がある。対策案として雄英は雄英バリアのセキュリティ強化、外出を伴う授業プロトコルの見直し及び機密保持化、警察や公安委員会との連携強化を行う。異論はあるかい?」

 

「「ありません」」

 

「我々警察側もヴィラン連合の調査、およびアジトの特定に力を入れます。AFO(オールフォーワン)が関わっている以上、こちらも専門の組織を設立し犯人逮捕に全力を注ぐつもりです。 」

 

「ではこれにてUSJ襲撃事件に関する緊急会議を終了とする。以上、解散!」

 

「「はいッ!!」」

 

 根津校長の号令と共に立ち上がり、そのまま会議は終了。先生方に続き、魔理沙も部屋から出る。

 

(やっと終わった……)

 

 魔理沙の心境に光が差し、とてつもない解放感が風となって心の扉を突き抜ける。とても清々しい。

 

 魔理沙は先生方に別れを済ませ、そのまま帰路に着いたのであった。

 

 

 





USJ襲撃事件編、完。


Q. 何故、敵側に授業内容がバレたのでしょうか。彼はいません。


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