最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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【あらすじ】

ついに開かれた国内最大級の祭典、"雄英体育祭"。約束通り結依魔理沙にはそれなりのハンデをつけられた状態で参加し、一波乱ありつつも開幕式を終える。

そして始まった第一種目、"障害物競走"。ただし魔理沙はハンデにより、謎の建物の中に隔離された状態からのスタートとなる。何一つ知らされていない魔理沙は、期待に少し胸を膨らませながら、箱の中へ入っていった。




ブラックボックス(28話)

 

 

 

魔理沙は重厚な扉を開き、中に入った。地面は砂だらけで、左には謎の台座とモニター。足元には謎の足枷。そして右奥には何処かの守り神みたいな巨顔の石像が設置されていた。

 

「どう見ても"T〇RE! (ト■レ)"じゃねぇか!!!!」

 

 思わず突っ込み入れる魔理沙。そう、T〇RE! (ト■レ)とはかつて日■テレビ系列で放送された番組であり、正式名称は"宝探しアドベンチャー 謎解きバトル T〇RE! "。

 

 そしてここは、謎解きのステージの一つである"石像の間"。このステージを端的に言うなら、迫り来る巨顔の石像から逃げながらひたすら問題を解くステージ。

 

「いや面白いけども……」

 

 いつまでも遊び心を忘れない教師陣の御心に、魔理沙は何とも言い難い表情を見せる。

 

 [アンダァアァアァアァホイヤァアアアアア!!! ]

 

 突如、モニターに人影が映った。

 

「ファーラファラファラファラアッハッハ!! ようこそ! 雄英体育祭特別ステージへ!! みんな聞こえてるかな?」

 

 モニターに映し出されたのは、ファラオ像のコスプレをした南■キャンディーズの山ちゃ……ではなく、ファラオ象のコスプレをした根津校長。

 

 全身金ピカメッキのハツカネズミが画面の向こうで高笑いしていた。

 

「あまり時間はかけられないから、ルール説明は手短に話すのサ!」

 

 そう言うとモニターの画面が切り替わり、石像の間の具体的な構造と、チープな3D人体モデリングによるチュートリアル映像が始まった。

 

「まず両足に足枷を着け、着けたら5秒後に石像前まで引っ張られてスタート! 石像に追いつかれる前に3つの壁を攻略すると脱出出来るのサ!」

 

 魔理沙が下を向くと、そこには黒い足枷が二つ置かれており、鎖のの先は石像まで繋がっていた。

 

 そして背後には、いかにも横から壁が生えてきそうな仕掛けが3つ存在し、改めて内容を理解する。

 

「ちなみに、君のスタートと同時に他の生徒達は走り出すから要注意なのサ! では期待して観ているよ、結依魔理沙くん!」

 

「足枷壊すの無しですか?」

 

「施設への直接攻撃は禁止なのサ! もちろん、足枷も石像も台座もぜーんぶなのサ!!」

 

「それ意外は?」

 

「だいたいOKなのさ!」

 

 ルールチェックも済み、背筋を伸ばしてリラックスする魔理沙。なお、校長は画面の向こうで紅茶を取り出し、魔理沙を見据える。

 

「ま、せいぜい足掻くといいのサ!! アハハハハハHAハHAHAHAハハハハハHAハハHAHAHAハハハハハHAハハハハ!!!!」

 

 ダバダバと紅茶を零しながら校長は悦に浸る。その顔、絶対全国生放送にのせていい顔ではない。

 

「仕方ねェ、とことんやるか」

 

 [結依魔理沙さん。足枷を装着してください]

 

 アナウンスの指示に従い、足枷を装着する。その5秒後、宣言通り魔理沙の体は砂を巻き込みながら引きずられ、石像の近くまで引き寄せられた。

 

 ぶもぉぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉ!!!! 

 

 石像の装置が雄叫びを上げ、3つの壁が通路をふさぐ。

 

 [それでは、第一種目"障害物競走"開始まで……]

 

 [3……2……1……START! ]

 

 パァン!! と、破裂音が響いたと同時に、本日最初の種目たる"障害物競走"の幕が上がる。

 

 今頃、他のみんなは轟くんの初手凍結に苦しめられてるのだろうと思いながら、魔理沙はほふく前進で最初の壁に向かう。

 

 ぶもぉぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉ!!!!!! 

 

 再び、不気味な石像が雄叫びを上げた。石像の瞳が緑色に発光し、石像の間が本格的にスタートする。

 

 ドス……! ドス……! ドス……! 

 

 およほ秒速10センチメートルくらいの速度で石像が動き始め、魔理沙を喰らわんと圧をかける。

 魔理沙から石像までの距離は3メートル50センチほどのため、この第一の壁にかけられる時間は最大で35秒。余裕を持たすなら25秒程度で解く必要がある。

 

 モニターを見ると既に問題は表示されていた。第一の壁の問題は『逆さ言葉クイズ』。お題に合わせて、前後どちらから読んでも成立する言葉を見つけるクイズだ。

 

 モニターの下には平仮名が記入された10個の石版があり、そこから石板を取って解答用の溝に置き、正しい順に並べ替えた後に右の決定ボタンを押す……のが解答の流れだ。10個の石版は以下の通り。

 

【あ や り く め び と う す な】

 

 そして肝心の問題内容は、『片方から読むと医療品、逆から読むと危ないことになる3文字の言葉を並べよ』とある。

 

「……」

 

 真剣に考える魔理沙。いつもなら大賢者にでも任せて即解決させられる問題だが、今回の障害物競走における私は不死鳥(フェニックス)系女子。解析系スキルは使用できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く・す・り!」

 

 魔理沙は声に出しながら石版を取り出し、正しい順に並べる。そして雑に右のボタンを押すと、聞くからに正解の音が流れ、第一の壁が横に引っ込む。

 

「よっしゃあぁああぁああ!!!!」

 

 魔理沙は喜びに震えながら再びほふく前進する。ただ自分だけバラエティ番組の企画に巻き込まれているため、これが障害物競走の最中であることを忘れそうになる。

 

 続いて第二の壁に到達した魔理沙。石像との距離はおよそ6メートル20センチ。62秒で到達する距離だ。まだ余裕がある。

 

 [第二の壁はジャンルクロスワードクイズです。この問題に3問正解すると次の扉が開きます]

 

 アナウンスが流れ、簡易的な説明文が表示される。

 

 ジャンルクロスワードクイズとは、指定されたジャンルの言葉を当てはめ、縦と横それぞれの言葉を作るクイズである。

 

「ジャンルクロスワードクイズ……!」

 

 魔理沙は唇を噛み締め、苦い顔をする。……しかし、魔理沙はこの問題が特段苦手というわけではない。理由は他にあった。

 

「小説形式でクロスワード出来るわけねェだろ!!!」

 

 キッ! とモニターを睨みつける魔理沙。彼女が怒るべき相手は日■テレビではなく問題を考えた教師陣、ではなく全ての元凶たる作者にキレるべきだがそこはどうでもいい。

 

 ハーメルンは特殊タグで文字に様々なエフェクトをかけられるが、縦書きに表記するタグは存在しない。したがって本気でやるなら一文字ずつ丁寧に文字を配置する他ないが、そんなことはどうでもいい。

 

 既に第一問がモニターに映し出され、魔理沙は息を飲む。問題の内容はこうだ。

 

 指定ジャンル:地形

 縦の言葉:■■ふじいそうたのしょうぎとれーにんぐ

 横の言葉:た■■ーど

 

「分かりやすすぎるだろ」

 

 魔理沙は迷わず"き"、"し"の石版を取り出し、並べてボタンを押す。

 そして即鳴り響く正解のSEに、魔理沙は何とも言い難い表情を見せた。

 

(縦の……縦の言葉が戦犯過ぎる……!!)

 

 目線が既に出題者側に寄りつつも、気を取り直し第二問に入る。

 

 指定ジャンル:動物

 縦の言葉:■■むすめぷりてぃだーびー

 横の言葉:しゅ■■い

 

「いやだから縦ェ!!!!!」

 

 やる気あるのか、と死ぬほど問いたくなる内容に台パンしそうになる魔理沙。ルール上、施設への攻撃は禁止されているため、魔理沙の両腕がすんでのところで停止する。

 

 しかしストレスが、ストレスが魔理沙の脳の頂点を刺激し、破壊衝動が理性を苦しめる。

 

(これが狙いか!??!?!?!?)

 

 あえてチープな問題を出すことで期待を裏切り、冷静さを奪う作戦だとしたら、この問題の製作者はかなりの策士である。それも魔理沙の性質を十分に理解した上のもの、完璧である。

 

 だが、時間はまだある。カス問題のおかげで第2問も秒で突破し、ついに第二の壁最後の問題。もうカスだろうが何だろうが関係ない。さっさとこの箱から出ればいいのだ。

 

 そして、モニターに第3問が映し出される。

 

 指定ジャンル:特撮

 縦の言葉:■■■■■■■だぶる

 横の言葉:■■■■■■■がいむ

 

「舐めとんのかボケェエエエエエエエエエ!!!!!!!!」

 

 殴れない魔理沙が全力の叫びを上げる。もはやジャンルクロスですらなく、ただのシリーズ作品の代名詞たる言葉を伏字にしただけである。

 

 指定ジャンルを隠せば、その手の知識の無い人にとっては難しい問題になったかもしれない。だがこれは私専用のステージであり私専用の問題である。舐めプ依然におちょくられている。

 

 怒りに満ちながらも第二の壁を突破し、ほふく前進する魔理沙。石像までの距離はおよそ7メートル30センチ。怒りで少し削れたが時間にはまだ余裕がある。焦ってはいけない。

 

 [第三の壁の問題は"ウミガメのスープ"です。一問正解で壁は開き、最後にファイナルEX問題が出されます]

 

「……つまり2回答えるのね」

 

 何故別々の問題として分けるのかは分からないが、とりあえず問題と向きあう魔理沙。

 

 このクイズ、ウミガメのスープは問題となる物語の真相を質問形式で紐解いていくゲームだ。ただし、質問は「YES」か「NO」、または「どちらでもない」で答えられる問い方でなくてはならない。

 

 質問回数に制限はないが、このクイズはかなり時間がかかる。これまでのクイズがカスだったのは、このクイズに答えるための布石だったかもしれないが、それでも解答に割けられる時間は1分。後に控えているEX問題も考慮するなら30秒で解くしかない。

 

(意外とピンチか……)

 

 思ったより自分が追い詰められていることに感心する魔理沙。ツッコミどころは有り有りだが、先生方も先生なりに考えていたんだろう。

 

「……ん?」

 

 問題文を読み込む最中、魔理沙は下腹部に違和感を覚える。何が起きているのか分からないが、並列思考スキルが使えない以上、他のことに気を配る余裕は無い。

 

 だが、この違和感が後々地獄を引き起こすことを、この時の魔理沙は気づかなかった。

 

 

 

 

 障害物競走開始と同時に、轟の氷が多くの競走者の足を凍らせた。スタート地点の狭さが幸をそうし、ギチギチになるほど敷き詰められた生徒たちが切羽詰まる中、一部の生徒が氷の罠から抜け出した。

 

「くっ!!」

 

 そのうちの一人、緑谷出久が轟に続いて走り出す。轟との距離はだいぶ離れたものの、全力を出せば容易に追いつく距離である。

 

「ワンフォーオール常時発動形態(フルカウル)10%!!」

 

 しかし緑谷は全力を出さず、10%の強化状態で維持した。理由は当然、背後から追いついてくるであろう師匠の存在である。

 

 どのタイミングかは予測不可能だが、魔理沙は必ず先頭集団に追いつき、天衣無縫の力で盤面を軒並み破壊する。その猛攻をしのぎゴールへ向かうためにも、ここで切り札を切るのは避けたい。

 

 その上、轟がトップで走る以上、真っ先に妨害をくらうのは轟である。妨害を食らうという点においては競走者全員にも言えるが、後続である自分たちは轟の突破口を利用して進むことが出来る。

 

 もっとも、そう上手くはいかないのが世の常であるが、緑谷には海浜公園で鍛え抜かれた筋肉がある。これまでも、これからも、世の不条理は筋肉で吹き飛ばすのが緑谷のスタンスだ。オールマイトのように。

 

 緑谷はオールマイトの思いを噛み締めながら、真っ直ぐの道をひたすらに突き進む。背後には既に何十人もの生徒や仲間が罠から脱出し、続々と走り出している。

 

 中には既に緑谷の横を走る者もいて……

 

「かっちゃん!?!?!?」

 

「抜け駆けしてんじゃねェぞクソデク」

 

 個性「爆破」の反動で空に浮き、猛スピードで追随してきた爆豪。なお師匠曰く、かっちゃんも地獄の特訓で大幅にパワーアップしており、全く油断できぬ相手となった。

 

(かっちゃん相手に油断したこと無いけど……)

 

 思い耽る緑谷に対し、爆豪は舌打ちをしながら話を続ける。

 

「俺はテメェにも絶対負けねェ……ましてや走ッてッ時に余計なこと考えてるテメェには……なァ!!!!」

 

 爆豪の速度がさらに上昇し、グングンと緑谷との距離を離す。その凄まじさに緑谷は圧倒されながらも、ふと笑みが顔に浮かぶ。

 

「僕もかっちゃんには絶対、負けない!!!!」

 

 爆豪の強気に当てられた緑谷はワンフォーオールの出力をさらに5%跳ね上げ、爆豪の後を追随する。

 

 轟、爆豪、緑谷。ヒーロー科1年A組最強四人衆のうち三人が猛烈な勢いで駆け上がり、会場は盛り上がりを見せる。

 

 [一番先頭は足止めで時間を稼いだ轟ィ!!! 二番手は物凄い形相で迫り来る爆豪ォ!!! 三番手は緑谷ァ!!! ]

 

 [最初のアレは見事だった。自分の個性を最も効果的に使った戦法だな]

 

 実況・解説の補足が入る最中、他の生徒も個性を使って罠から抜け出し、懸命に走り出す。

 

「けどあの二人速すぎ!!!」

 

「魔理沙の影に隠れてはいるが、あの二人の実力は折り紙付き。まして緑谷は魔理沙に直接鍛えられてるからな」

 

 芦戸が驚く最中、その隣を懸命に走る常闇。緑谷・爆豪に追いつくのは中々に骨が折れるが、諦めるわけにはいかない。

 

「行くぞ! ダークシャドウ!!」

 

「アイヨッ!」

 

 常闇はダークシャドウを前に出し、両手を地面に突き刺す。その後、強く地面を掻き出す反動で常闇は宙へ飛び上がり、勢いを増しながら跳躍を繰り返す。

 

「負けてられませんわ!」

 

 続く八百万も個性「創造」で長い棒を創造し、反動を利用して前に突き進む。

 

 残る生徒たちも前に走り出すが、轟が地面ごと凍らせているため、非常に滑りやすい。そのため、可能な限り地面と接触せずに進む他ないが、多くの人がそれを出来ない。

 

 しかし、逆に凍結したことで恩恵を受ける者もいた。

 

「飯田くん!?」

 

 物凄いスピードで友達が横切り、唖然するお茶子。委員長、および飯田天哉の個性は「エンジン」。先ほどの凍結で温めておいた足が冷えてしまったが、それも時間とともに解決。

 走る競技において最も単純で暴力的な力を発揮し、先頭3人組に追いつかんとする。

 

「いや姿勢!!」

 

 あまりに不思議な格好にツッコミを入れるお茶子。それもそのはず、飯田は前傾姿勢で顔を前に突き出し、両手を斜め後方に伸ばしながら腰を落として尻をやや上げているのだから、傍から見れば滑稽である。

 

 しかしこれが、最も速度を出せる姿勢なのだからしょうがない。腰を落とし前傾姿勢になることで空気抵抗を減らし、斜め後方に手を伸ばすことでバランスを取り、尻を上げることで重心を後方に寄せないようにしているのだから。これが最適なのである。

 

 あとはエンジンの反動と摩擦係数0の地面で速度を維持するだけ。走る体力と姿勢を維持する体力、どっちがより失われやすいかについては議論の余地があるが、とにかくこれが最適解である。

 

 ただし、曲がれない。

 

「ぐおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

「飯田くん!??!?」

 

 物凄い勢いで曲がり角の壁に衝突する飯田。なかなかに痛ましい光景である。

 

 そんな最中、先頭三人組は既に第一関門に到着していた。

 

「な……ッ!?」

 

 三人の前に立ちはだかったのは、入試試験に登場した巨大仮想ヴィラン『ロボ・インフェルノ』。それが十数体並ぶ異常事態だった。

 






【いろいろ紹介】

●宝探しアドベンチャー 謎解きバトル T■RE!
→2011年から2016年(2013年〜2016年は不定期)まで放送された日■テレビ系列のバラエティー番組。ウルトラマンも参戦したことがある。

●山■亮太
→お笑いコンビ『南■キャンディーズ』で活動するお笑いタレント。通称、"■ちゃん"。吉■興業所属、19■■年生まれ。

●ハーメルン
→個人経営の大手Web小説投稿サイト。二次創作小説が多く投稿されており、クロスオーバー作品も多数存在する。

なお、作者が読みたいと思ったクロスオーバー作品は大抵の場合、無い。誰かァ!! 崩壊スターレイルと仮面ライダーフォーゼのクロスオーバー作品書いてくれる人いませんかァ!!!スタレの 星神(アイオーン)とかフォーゼのプレゼンター結構合うと思うんですよォ!!! コズミックエナジーとかフォーゼスイッチに興味持ってくれるヘルタさんとかいてもいいと思うんですよォ!!! 誰かァ!!!

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