最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
体育祭第二種目『騎馬戦』が始まり、複数チーム(主に鉄哲チーム)に狙われることとなった魔理沙、緑谷、麗日、発目の結依チーム。
結依チームは
鉄哲チームを出し抜くことに成功した結依チーム。1000万ポイントを取られても上位に食い込める程度のポイントを鉄哲たちから奪い、上空へと舞い上がる。
その後、ドッ可愛いベイビーこと発目明のジェットパックで距離を稼いだのちに、魔理沙のデコピン反作用とお茶子の
何気に凄いことを成し遂げた自分たちにチーム全員が内心驚嘆していたが、誰も口に出さなかった。今は体育祭に集中しなければ。
「総員、周囲を警戒しつつ逃げることを優先!! 私は引き続きデコピン連打で他チームの妨害と牽制に徹するから、皆は体力に気を使いつつなるべくエリアの端に沿って移動して!!!」
「「「了解!!」」」
魔理沙の指示通り、結依チームは乱戦に巻き込まれぬようエリア端の方へと移動する。端なら背後を取られることなく、周囲を安全に見渡せる。ただし、複数のチームに囲まれぬよう動き続ける必要があるが。
なお、現状こちらの動きを目で追っているのは轟、爆豪、拳藤、葉隠、常闇、小大チームの6つ。ハチマキを取られた鉄哲チームは早々に見切りを付けて他チームに意識を向けている。残りのチームは他チームに狙いを定めて機をうかがっている。
(常闇は常闇でチーム組んだのか……)
魔理沙は常闇チームに目を向ける。原作では魔理沙の枠が常闇であり、緑谷チームの守備および攻撃の要として活躍していた。だが、魔理沙の参戦によって弾き出された常闇は、黒色支配、穴田獣郎太、鱗飛竜? と手を組み、『常闇チーム』として参戦した。
(マジで何してくるか分からん)
闇だけにダークホースと化した常闇チームに魔理沙は渋い表情を浮かべる。何ぶん魔理沙はそれなりに原作知識を備えていたため、先程の鉄哲チームの攻撃も分かった上で完璧に避けることができた。
だが『常闇チーム』とかいう
「一位の人! 側方から頭が爆発した人達が来ます!!」
「爆豪ね。騎馬の芦戸ちゃんに注意しながら走り抜け!!!」
次に狙ってきたのは爆豪……いやさっきも狙いに来てたが鉄哲チームの方が初期位置的に近かったので、ついでで避けてはいた。だがあのボンバーマンが我々の逃
結依チームはエリア端に沿って移動するも、前方から拳藤チームが囲い込むように距離を詰める。分かりやすいほどにハイエナしに来た彼女らに加え、後方からは轟チームと葉隠チーム、峰田チームが追い打ちをかけるように囲み始め、1000万ポイント争奪戦が始まろうとしていた。
「総員!! 一時停止!!!!」
魔理沙の指示により、足を止めた結依チーム。これ以上進めばエリアの角際に追い込まれ、最終手段を使うハメになる。それは避けたい。
ならば戦わざるを得ないが、まず轟チームは論外。というか後ろにいるチームは全員論外。もみくちゃにされてハチマキ取られるのがオチである。
なので爆豪チームと拳藤チームの二択なのだが、どちらにするかは既に決めている。
「総員、戦闘態勢!!! 爆豪チームに向かって突っ走れ!!!!」
「え?」と声を漏らすお茶子の気持ちを置き去りに、結依チームは側方にいた爆豪チームに向かって正面から突っ込む。既に走り出していた緑谷にお茶子たちは引っ張られるように動かされ、最強チーム同士の正面衝突が勃発する。
「ちょちょちょ!? なんで爆豪くんの方に向かうん!?」
お茶子は疑問の一声を魔理沙にぶつける。それに対して魔理沙は早口で答えた。
「まず後ろには下がれない。轟チームの他に葉隠ちゃんと峰田チームが来てる。下がったら乱戦になる」
「だから爆豪かB組のあのチームのどっちかだが、私は断然爆豪と真正面からやり合うのがマシ。
「よく分かんないけど分かった!」
早口過ぎた上に周囲の声量に圧倒されたせいでお茶子ちゃんにあまり伝わらなかったが、ともかく全会一致で爆豪たちとの勝負に挑むこととなった。
なお付け足すと爆豪は魔理沙との特訓によってマッスルフォームの緑谷くんに匹敵するほどの力をつけているため、なおさら魔理沙的には目を離せない存在。しかも爆豪は体育祭の1週間前あたりから、「テメェに手の内全部晒したくねェ、帰れ!!!」と私をまくし立て、ろくに手合わせすることなく今日この日を迎えている。
(アイツ、マジセンスの塊だからどこまで成長してるか分からねェ……!)
魔理沙の爆豪に対する警戒心がピークに達する中、前方から怒号のような叫びが響いた。
「ボサボサァァアアアア!!!!」
「なんだよボンバーマン」
爆豪の叫びに魔理沙は軽口で返す。
「これは俺を鍛えてくれたお礼だ!! 受け取って死ねぇぇええええええええええ!!!! 」
「「「「死ね!?」」」」
結依チーム全員の声がハモると同時に、爆豪は右腕のみを黒く変色させ、掌の内側で作り出した球体上の何かを握りつぶし、圧縮されたエネルギーを結依チームに向けて解き放った。
それが『爆発』であると認識した頃には、既に爆炎が魔理沙たちの眼前にまで迫っていた。
魔理沙は即座に緑谷の肩を足場にして飛び上がり、渾身の蹴りで爆炎と爆風を相殺。打ち消しきれなかった衝撃波が結依チームと爆豪チーム両方のみならず、機をうかがっていた他チームにまで飛び火し、周囲一帯を消し飛ばした。
その威力は凄まじく、結依チームは緑谷が肩を負傷(これは魔理沙がジャンプした際の反動のほとんどを肩代わりしたため)、お茶子および発目は一時的に呼吸困難に陥り、爆豪チームは切島が全ダメージを請け負い満身創痍寸前にまで追い込まれ、その他機をうかがっていた拳藤チームは壁に叩きつけられ全員負傷。やや遠くにいた轟チームおよび葉隠チーム、峰田チームは衝撃波でバランスを崩した。
また常闇チームも衝撃波によって体勢を崩し、その隙を心操チームが突いたことでハチマキを失ってしまう。
たった一撃でほぼ全ての戦場に影響を与えた爆豪。そのあまりの惨状に会場はドン引きし、審判のミッドナイト先生すらも言葉を失う。
そんな中、声を上げたのは魔理沙だった。
「テメェ!!! それどう見ても完全に崩し行為だろーが!!!! 殺す気かバカ!!!!」
「うるせぇ!!! テメェこの程度で死なねぇ癖に弱音吐いてんじゃねェよボサボサァ!!!」
「ちげーよボンバーマン!! 私は良くても他のみんなが危ねねぇだろうがこのスカポンタン!!!!」
「そんなの俺が知るかこのクソビッチが!!!」
ブチギレの応酬の果てに待っていたのは二度目の爆撃の予備動作。爆豪は再びこの場を灰燼に帰す気なのか、躊躇うことなく爆破エネルギーを手のひらの内に凝縮させる。
「おい爆豪!! このままじゃ俺たち騎馬ももたねぇよ!!!」
「爆豪マジストップ!! 止まって!!!」
「こんなん次やられたらウチ死んでまう……!」
「私はどうなってもいいですがベイビーだけは逃がしてくださいッ!!!!」
「師匠!!!!!」
「全員落ち着け!!! とにかくもうダメだ、マジで爆豪はもう止められん!!」
「ダメじゃないですか!!」
「ダメだけどあの目は完全に
「それで私たち置き去りにしてドッ可愛いベイビーごと焼き殺されたらどうするんですか!? 恨みますからね!?」
「まぁ今更一人に恨まれても何も、ねぇ……」
「私も恨みますよ!!?」
「流石の僕も師匠恨みます」
「急にチーム全員敵になっちゃった……」
某国民的人気の小さくて可愛いヤツ、略してち■かわに似た表情を浮かべる魔理沙。ちょっと冗談でチョケただけなのに。
「準備はいいかボサボサァ!!!」
「あ、ちゃんと待っててくれてたのね。お約束はきちんと守る派なのね」
割と紳士だった爆豪。流石の爆豪も会話中に爆撃かますほどの外道に落ちぶれたわけではなかった。
魔理沙は安心して爆豪に全幅の信頼を寄せ、そして息をするように飛び上がり、単独で宙を蹴りながら空高く舞い上がった。個性"無し"で。
なおこの瞬間、体育祭に集中するあまり誰一人として結依魔理沙が個性無しで空を駆け上がっていく様子にツッコむ者は誰一人としていなかった。
「死ね、『
案の定爆豪は宙に逃げた魔理沙をロックオンし、右手を筒状に丸めてエネルギーの射出方向を調整。そして左手で反動を抑え込む。
解き放たれた青白い爆破は一直線のエネルギー波となって空中を闊歩する魔理沙に襲いかかる。
魔理沙の脳内に一瞬、"
爆豪の攻撃は観客席よりも遥か上の彼方へと飛び、無事やり過ごした魔理沙は位置を調整しつつ騎馬の元へと着地。
爆豪も反動を考慮して空中で爆撃しており、自由落下するところを瀬呂の個性『テープ』で回収。こちらも無事に着地した。
「ほらね?」
予想通りと言わんばかりのドヤ顔に魔理沙を除くチーム全員が魔理沙の腹と脇腹に頭突きとパンチを繰り出した
「無茶苦茶し過ぎですよ師匠!!!」
「ホンマに死ぬかと思った……!」
「私あんまり冷や汗かかないんですけど今日初めてかきました。責任取ってください」
思っていた反応と全く違う反応され、ションボリする結依魔理沙。だがそんな顔をしている暇はない。
ここは戦場だ。一部の人間は爆豪の攻撃にビビって近づかないが、轟チームは既に着地隙を狙って距離を詰めようとしている。
「みんな、まだ走れるか?」
魔理沙は不安げにチームメイトを見つめる。
「まだ、行けます……!」
「ウチも大丈夫……!」
「ノープロブレムですよ!」
負傷しつつもガッツを見せる3人。憂いが消えたわけではないが、まだ抗えそうだ。
「無理せずいきたいとこだが、ここは正念場だ。無理してでもここを突破し、爆豪たちを追い越して脱出する!!!」
「「「了解!!!」」」
「目潰しは私に任せとけ」
結依チームはダッシュと同時に騎手の魔理沙が両手デコピンで風圧弾丸を繰り出し、爆豪チーム全員の目を的確に当てに行く。
芦戸と瀬呂は精一杯目を瞑ったが、瞼の上から鉛筆の先端で強く押されているような鋭い圧迫感に耐えきれず顔を伏せてしまう。
一方、切島は個性『硬化』によって眼球すらも硬化することで風圧をしのぎ、爆豪は持ち前の『爆破』による風圧で相殺する。
しかし後衛騎馬2名が動けなくなった以上、騎馬は完全に無力化され、その隙に結依チームは爆豪チームの横を駆け抜けていく。
抜け駆けザマに爆豪からハチマキを取るか迷ったが、目潰しを防がれた以上揉み合いになりかねないため、ハチマキは断念し逃げることを優先する。
「ぜってェ逃がさねェ……!!」
爆豪が睨みを効かせるも、芦戸たちの回復が間に合わず、結依チームは包囲網を脱出。爆豪は今すぐにでも結依たちを追いかけたいところだが、すぐ背後に轟チームが迫っている以上、追いかけている最中に騎馬の体力差で追いつかれ、背後からポイントを取られる可能性がある。
「おっと、失礼……!」
「あ"?」
既に爆豪の背後からハチマキを掠め取り、颯爽と立ち去ったのは物間チームのリーダー『物間寧人』。
物間は奪ったハチマキを指先でクルクルと回しながら、爆豪チームに振り向き、嘲笑う。
「いやぁキミ達A組ってホント単純だよねぇ。目の前にぶら下がった人参に食いつくだけの馬、つまり『馬鹿』ってこと」
「テメェ……!!」
歯に衣着せぬ物言いに爆豪の怒りのボルテージがフツフツと湧き上がる。
「考えてみなよ? ミッドナイトが『第一種目』と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいとは思わない?」
「おおよその目安を40位以内と仮定し、その順位以下にならない程度に後方からライバルになる相手を観察。情報アドバンテージを一方的に得ることで、キミたちA組をこの騎馬戦でまとめて叩き潰す」
「キミ達A組と違って、僕たちB組は頭使ってプレーしてるのさ」
悦に浸る物間に爆豪は心底腹を立てるも、物間が明かしたB組の作戦を理解し、冷静に状況を把握する。
「テメェらがろくに順位を上げられなかったのは"作戦"だッたッてことか?」
「フッ、愚問だね。その場限りの優位に執着したところで意味無いだろう?」
物間は分かったような口で爆豪に言い返す。
「……ハ!」
B組の術中に嵌められ、ブチギレ寸前だと思われた爆豪だったが、何のマネか不敵な笑みを浮かべ始めた。
「言い訳はそれで十分か?」
爆豪の鋭い視線が物間の眼孔を容赦なく突き刺し、身をたじろがせる。
「テメェらがどんな作戦を考えてこようが関係ねェ。テメェが俺の前に立つなら、俺はテメェを消し潰すだけだ」
「……キミがそう言うならホラ、かかってきなよ。
「……ブッ殺す!!」
しっかりと地雷ワードを踏み抜いた物間に爆豪の怒りのボルテージは頂点へと達した。
「爆豪……お前マジでさっきの爆発だけは二度とやるなよ!?」
「それはアイツの態度次第だ!!! 走れ!!!!」
爆豪の言われるままに走り出す切島、瀬呂、芦戸。既にカチキレている爆豪を止められる者などこの場におらず、爆豪チームと物間チームの一騎打ちが始まる。
■
[ 結依チーム!! 爆豪チームを振り切って包囲網を突破ァ!!! というか結依魔理沙ァ!! お前ホントに個性無しでやってんのかァ!?!? ]
[ アイツには個性発動時に反応する特殊なバンドを付けている。反応がねェならそういうことだろ ]
[ え? じゃあホントに素でアレやってんの? 怖……! ]
ドン引きするプレゼントマイクの反応が拡声器によって会場内に拡散される。なお、一部の観客たちは結依魔理沙の風圧弾丸や空中歩行を見てルール違反しているなどと声をあげていたが、相澤先生の補足が入り一気に会場はしんと静まり返った。
[ アイツ、あぁ見えてムキムキなんですよ。]
ムキムキ、なんて言葉で説明出来ない程度には人外的な挙動を見せている魔理沙。
こんな人間存在するわけがない、そう信じたい人々の気持ちと、これまでのスーパーヒーローたちの偉業を見届けたが故にバグった感覚が合わさり、『めちゃくちゃ鍛えてる凄い人ならワンチャンギリ個性無しでも空飛べるんじゃね?』というだいぶ無理のある結論に多くの人が達した。
そんな世間の感情も露知らず、結依チームは爆豪チームを出し抜いた後も他チームに狙われ続け、現在は常闇チームと鉄哲チームの両方と対面していた。
「結依!! 俺たち後が無いんでな、1000万貰うぞ!!」
「おうおうおう!!! 俺たちのことも忘れてもらっちゃ困るぜ! テメェが奪ったポイントも含めて、俺たちが総取りだ!!!」
ジリジリと追い詰めにくる2チーム。これ以上近づかれるとジェットパックの展開が間に合わなくなるため、魔理沙は早急に指示を出す。
「発目ェ!! バックパック展開!!!」
「了解です! ボス!!」
「させるか……!」
指示通りバックパックの展開用ボタンを押そうとするが、先に常闇のダークシャドウの魔の手が迫る。
漆黒の鳥の影が翼脚を鋭い爪のように振りかざすも、魔理沙は片腕でダークシャドウの攻撃を弾き、バックパックへの攻撃を防ぐ。
だが次の瞬間、ダークシャドウの顔面から
「ッ!?」
第3の手は一瞬で魔理沙からハチマキを奪い、シュルシュルとダークシャドウごと常闇の元に戻っていく。
ダークシャドウと同化していた
そのハチマキのポイントは……
「ケヒヒ、取ったぜ……1000万!!!」
紛れもない、
[ なななんと!!! 結依チーム首位陥落ゥ!!! 最強王者から1000万ポイントを奪ったのはァ……!! チーム常闇ィィイイイイイイイイイ!!!!! ]
ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
大歓声と共に盛り上がる会場。それもそのはず、今まで無敵の快進撃を見せつけ、他の追随を許さなかった結依魔理沙から1000万ポイントを奪うという快挙を成し遂げたのだから。
黒色支配、個性『
(常闇チームに
「おまけにルール対策で左腕以外の上半身をダークシャドウに同化させて騎馬の状態を保ってるし……!!」
細かい部分まで考えられているところに抜け目のなさを感じる魔理沙。だが戦場は刻一刻と変化し、波乱が波乱を呼ぶ。
「逃がさねェ」
既に鉄哲チームの骨抜柔造が個性で地面を柔くし、結依チームと常闇チームの足場が泥沼に変化する。
「ちッ……!」
出遅れた結依チーム。バックパックの展開もままならず、足元を取られて中々身動きが取れない。そして既に鉄哲チームの騎馬「塩崎茨」の個性『ツル』の魔の手が、結依チームと常闇チーム両方に襲いかかる。
「バックパック展開!!!」
魔理沙の指示により今度こそ展開し、内部エンジンが起動。しかし大量のツルが結依魔理沙の両手を封じようと襲い掛かる。
魔理沙は拳で空気を『面』で弾き、衝撃波で大量のツルを弾き飛ばす。その隙に結依チームは緑谷の跳躍力を活かして泥沼を脱出し、再び空へ退避する。
「このままじゃ1000万ポイントが鉄哲チームに行き渡る……!」
既に鉄哲チームは身動きの取れない常闇チームにツルを差し向け、1000万ポイントを奪い取ろうと猛攻を仕掛けていた。
一方、常闇チームはダークシャドウと個性『鱗』による防衛力で、身動きが取れない状況下においても何とか凌いでいる。
だが時間の問題だ。さっきの放送で1000万ポイントが常闇チームに行き渡ったことを全チームが知ってしまっている。このままでは常闇チームは全チームの集中砲火にあい、乱戦状態に陥る。
「マジで轟チームには絶対取らせない……!!」
この場で最も危険なのは轟チームだ。上鳴と轟の無差別範囲攻撃、それをサポートする八百万と機動力の飯田、どれをとっても申し分ない完璧構成。
ヤツらに取られる前にサッサと取り返す。そう思うと同時に結依チームは泥沼になってない地面に着地し、常闇チームの背後へと回る。
「師匠!!」
「あぁ分かってる……
結依チームの真正面、遥か先から猛スピードで向かってくるチームがいる。お互い狙っているのは1000万ポイント。だがそれを奪うには、目の前の敵を退かさなければならない。
「遅かれ早かれこうなる予定だったなァ! 轟ィ!!!」
「負け犬に要はねぇ……。だが邪魔するなら……潰す」
威勢よく宣言する轟。その態度が魔理沙のエンジンに火を灯し、期待と興奮に狂った眼で轟を見据える。
「あまり私を舐めるなよ。勝つためなら地球ブッ潰してでも勝つぞ」
「冗談ですよね……?」
「冗談だよ」
狂気的な表情から一瞬で元の顔に戻る魔理沙。この緊迫とした状況下においてなおチョケる魔理沙に対し、チームメイトは一抹の不安を覚える。
騎馬戦終了まで残り10分。まだ半分も経過していないこの前半戦において、轟チームと結依チームによる一騎打ちが、常闇チームの背後にて行われることとなった。
■
結依チームが包囲網を突破する最中、轟チームは結依チームを背後から追いかけていた。
「目の前に爆豪くんたちがいるが、どうする?」
「手に入れるのは1000万だ。それ以外はどうだっていい」
飯田の問いに轟は冷徹に答えを返す。そこに、八百万がフォローを入れた。
「不必要に爆豪さんのヘイトを買うのは得策ではありませんし、轟さんの言う通り、1000万ポイントさえ手に入れれば一位通過は確定。その後の防衛戦も、私たちであれば問題ありません」
「あぁ、さっさと行くぞ」
轟、八百万の出した方針に従い、爆豪たちは避ける方向にシフトする。なお、爆豪チームは割り込んできたB組のチームと揉み合いになり、そのままフェードアウトしていった。
スススと、爆豪チームの視界に入らないようゆっくりと回りこみながら結依チームに近づく轟たち。しかし、結依チームを狙っていたのは轟たちだけではない。
後方から紫色の玉が大量に降りかかり、それに気づいた八百万は即席で作り出したマントによって防御する。紫の玉はマントにへばりつき、凝固に結合した。
八百万は即座にマントを捨て、後方のチームに目を向ける。そこには、個性『複製腕』で防御を固めた障子目蔵一人が単独でこちらに向かってきていた。
「轟さん! 後方から障子さんが!」
「……何だアレは? 騎手の姿が見えねェが……」
「ここだぜ轟ィ……!!」
障子が増やした大量の腕、それをドーム状に組んで作り出した堅固な城の僅かなスキマから、ハチマキを身につけた「峰田実」の姿がゆっくりと姿を見せる。
「ホントーは結依から奪いたかったが、先にお前から奪うことにするぜェ! 轟ィィイイイイイ!!!!」
「峰田ちゃんうるさい」
大声でどうどうと宣言する峰田と、それを冷たくあしらう梅雨ちゃんこと蛙吹梅雨。身体的特徴を活かし、機動力と防御力を最大限高めた峰田チームの登場に、轟は舌打ちする。
「飯田、いったん止まれ。まずは後ろのヤツらを蹴散らす」
轟チームが峰田チームと向かい合うと、さらに別のチームが寄って集まる。
「私たちもいるわ!」
「ぐぇッ! 轟チームだ! でも他のみんなもいるし、ワンチャン……?」
拳藤チームと葉隠チームの合流により、計らずとも3対1の構図となる轟チーム。
「上鳴、八百万。アレ行くぞ」
「「
八百万は絶縁シートと導電性の高い金属製の避雷針を個性で創造し、電圧耐性を高めた状態で上鳴の個性『帯電』による無差別放電が放たれる。
上鳴の個性はその性質上、指向性を持たせることが難しく、サポートアイテム等の補助器具の使用が原則禁止(サポート科を除く)である今大会に関しては、味方との連携プレイにおける致命的な弱点となっていた。
しかし、そこを八百万の個性でカバーすることによって、相手チームにのみ無差別的に電撃を与える"究極の矛"へと進化。さらに轟の"冷却"の個性が加わることで、電撃と凍結による確殺コンボが完成。
どちらにも耐性のない拳藤チーム、葉隠チーム、峰田はあえなく足を凍結され、拳道チーム、葉隠チームは反撃出来ず、逆にハチマキを取られてしまう。
なお峰田チームはそもそもガードが堅かったため、反撃を警戒した轟はハチマキを取ることなく立ち去っていった。
3チームに時間を取られたが、轟チームは元より一位狙い。結依チームから一千万ポイントを奪うことが第一である。ここで道草を食っている暇は無い。
結依チームの居場所を探す中、突如、放送が鳴り響く。
[ なななんと!!! 結依チーム首位陥落ゥ!!! 最強王者から1000万ポイントを奪ったのはァ……!! チーム常闇ィィイイイイイイイイイ!!!!! ]
プレゼントマイクの声で打ち明かされた衝撃の事実。あの結依チームが敗北し、1000万ポイントのハチマキが常闇チームへと渡った。
轟はすぐに常闇チームに目を向ける。そこには、B組の人間によって泥沼化した地面にハマり、抜け出せないまま防戦一方になっている常闇チームと、先ほどのB組のチームがいた。
同じ目にあっているはずの結依チームが見当たらない、かと思いきや、少し目線を上に向けた先に空を飛ぶ結依チームが見えた。
「轟さん!!」
「あぁ」
轟チームは即座に動き出し、常闇チームに回り込む。狙いはただ一つ、1000万ポイントの獲得のみ。当然向こうも同じことを考えている。そうなれば衝突は避けられない。
「遅かれ早かれこうなる予定だったなァ! 轟ィ!!!」
「負け犬に要はねぇ……。だが邪魔するなら……潰す」
轟チームVS結依チームの真っ向勝負が、今始まる。
【各チームメンバーと総合ポイント数】
●結依チーム(結依、緑谷、お茶子、発目)の所持ハチマキ
・675ポイント(鉄哲チームハチマキ)(暫定4位)
●爆豪チーム(爆豪、切島、瀬呂、芦戸)の所持ハチマキ
・ゼロポイント(最下位)
●轟チーム(轟、飯田、八百万、上鳴)
・595ポイント
・205ポイント(拳道チームハチマキ)
・355ポイント(葉隠チームハチマキ)
➝合計1155ポイント(暫定2位)
●鉄哲チーム(鉄哲、泡瀬、骨抜、塩崎)
→ゼロポイント(最下位)
●拳藤チーム(拳藤、柳レイ子、取蔭、小森)
・ゼロポイント(最下位)
●常闇チーム(常闇、黒色、鱗、穴田)
・440ポイント
・1000万325ポイント(結依チームハチマキ)
➝合計1000万765ポイント(暫定1位)
●峰田チーム(峰田、障子、蛙吹)
・400ポイント(暫定6位)
●物間チーム(物間、???、???、???)
・235ポイント
・635ポイント(爆豪チームハチマキ)
➝合計870ポイント(暫定3位)
●葉隠チーム(葉隠、耳郎、砂藤、口田)
・ゼロポイント(最下位)
●心操チーム(心操、???、???、???)
・285ポイント
・155ポイント(小大チームハチマキ)
➝合計440ポイント(暫定5位)
●小大チーム(小大、???、???)
→ゼロポイント(最下位)
次回、分身編。