最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
【あらすじ】
雄英体育祭第二種目『騎馬戦』が終了し、無事一位通過した魔理沙たち。ついに体育祭は最終種目に向けて準備を始めていた。
【雄英高校 ── 食堂 ──】
昼休憩で賑わう食堂。午前の部が終わった直後ゆえか、普段よりも人の入りが多い。
席が埋まる前に場所を確保したい八百万と耳郎だったが、背後から声をかけられる。
「耳郎、八百万……」
「どうしましたか? 上鳴さん、峰田さん」
神妙な面持ちをした二人が現れ、八百万が首を傾げる。
「いや、クラス委員なら知っているはずなんだけど、午後は全員あのチアの服を着て応援合戦しなきゃいけないんだって」
「えぇ!?」
「そんなイベントがあるなんて聞いていないのですが……」
峰田が指さした先、そこには雄英が招待した海外からのチアゲストが、声掛けの練習をしながら会場に向かう姿があった。
その服装、ノースリーブへそ出しミニスカート。素肌の露出度の高いチアらしい制服に、耳郎が頬を赤らめる。
事前告知されていない八百万は尚のこと訝しむが、峰田が話を続ける。
「信じねぇのは勝手だけどよ、相澤先生から言伝を頼まれたんだ。忘れてるかもしれないから一応教えてやれって……」
相澤先生からの言伝、それなら本当かもしれない。そう信じかけた矢先にもう一人、女子が現れた。
「うぃッス。何の話?」
((ゲッ!? 結依!!))
A組のキリングマシーン、結依魔理沙が現れた。
「先程、上鳴さんと峰田さんが仰っていたのですが、午後からはチアの服を着て、全員で応援合戦をすると聞きまして……」
「あぁ、はいはいなるほどね……」
魔理沙がチラッと峰田たちの方に目を向けると、二人は思わず息を飲む。
すると、魔理沙は真顔で八百万たちの方に振り向いた。
「私もこの体育祭の手伝いをしてるから耳にするんだけど、峰田の言ってることは本当だぞ。まぁ、私はコスチューム持ってるからいいけど……委員長は大丈夫なん?」
「そうなんですか……私としたことが、こんな重大なことを忘れていたなんて……」
うぅ……と、落ち込む八百万。だがそれ以上に、峰田と上鳴が動揺のあまり口をあんぐりと開けていた。
「まだ時間あるし、個性でチャチャッと作っちゃえば問題ないよ。何なら私手伝うし」
「本当ですか!? ありがとうございます、結依さん」
「あ、でも私ちょっと用事あるから、それ済ましたら手伝いにいくね」
「分かりましたわ」
そう言って後を去る魔理沙。そして八百万も、席を探して離れていく。
(何が起きてるんだ……?)
終始理解できぬまま放置された峰田と上鳴。でっちあげの嘘に、結依が乗ってきた事実。その理由も分からぬまま、ただただ結依の背後を見送る。
しかし結依は振り返ることなく、二人に向けてグッジョブサインを送り返した。
「「アイツ仲間じゃね!?」」
指をさしながら叫ぶ二人。まさかの助っ人登場に思わず仲間意識が芽生えてしまう。
二人はウキウキしながら、ご飯を取りに行った。
■
昼下がりの午後、再び会場に集結する雄英生徒たち。体育祭後半、午後の部を開始するべく、プレゼントマイクがマイクを取る。
〔最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ! あくまで体育祭! ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ! 〕
プレゼントマイクの合図と共に現れたのは、食堂でも見かけた海外からのチアガールたち。そのスタイルの良さを活かしたパフォーマンスに、観客たちは魅力される。
〔本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん? アリャ?〕
〔なーにやってんだ……?〕
実況席の先生二人、ならびに観客全員の注目が一点に集中する。そこには、巨大スクリーンに映された一年A組の女子陣。
その全員が、チアガールと全く同じ服装をしており、そして全員もれなく死んだ魚の目をしていた。
『どうしたA組!!? どんなサービスだ!?!?』
チアガールたちにも劣らないスタイルの良さを全国中継に晒し、絶望する女子陣。なお、
「峰田さん、上鳴さん!! 騙しましたね!?」
「やったぜ上鳴! チアコスだぜチアコス!!」
「まさか結依が乗るとは予想外だったが、まぁやったぜ! うひょー!!」
作戦成功に喜ぶ二人。この怒りを二人にぶつけたい八百万だったが、まず先に問い詰めるべき人物がいる。
「これはどういうことなんですか結依さん!!!」
「本当だとは言ったけど、何が本当かは言ってないよ?」
「屁理屈が過ぎます! 今すぐ何とかしてください!!」
「まぁまぁまぁ落ち着いて百ちゃん。結依ちゃんも悪気があったわけじゃあ……」
「いや透ちゃん、結依ちゃんは表情隠しているけど、内心ほくそ笑んでるわ」
「何故バレたし」
梅雨ちゃんに見透かされる魔理沙。こんな面白いイベント、乗っかる以外の選択肢は無い。あと、チアコスした私が優勝したら面白い。
〔さぁさぁ皆楽しく競えよレクリエーション! それが終われば最終種目……〕
〔進出4チームからなるトーナメント形式!! 一対一のガチバトルだ!!〕
盛り上がる会場。歓声が鳴り響き、喝采が湧き上がる。
最終種目は毎年恒例、サシでの真剣勝負。個性と個性がぶつかり合う戦いであり、ここまで大規模かつイベントとして執り行われるのは雄英体育祭以外にない。だからこそ人気なのだろう。
生徒たちがワクワクする中、ミッドナイト先生が壇上に立つ。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうよ!」
「組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります。レクに関しては進出者16名は参加するもしないも個人の判断に任せるわ!」
「息抜きしたい人も温存したい人もいるだろうしね!」
「ではまず一位のチームから!」
「ちょっと待ってください」
くじ引きが始まる直前、尾白がすかさず手を挙げた。
「俺、棄権します」
唐突の宣言に驚く生徒と観客たち。なお、全てを知っている魔理沙は目を細めながら腕を組み、頷いていた。
尾白は心操チームに所属していたが、心操の個性の影響で終盤まで記憶が朧気らしく、いつの間にか入賞していたそうだ。
尾白は何もしていない自分が最終種目の舞台に立つのは相応しくないと考えたらしく、辞退を宣言した流れだ。
また同様の理由で同チームの庄田二連撃、角取ポニーも棄権を宣言した。神聖な舞台を汚したくないという強い意志を、二人から感じた。
これにより3名が繰り上がって出場することになったが、上位入賞チーム以外は全員ゼロポイントだったため決まらず、仕方なくさらに巻き戻って障害物競走の上位入賞者を上から入れていくことになった。
その結果、骨抜柔造、塩崎茨、常闇踏陰が出場することになった。
そして出場者全員くじ引きを引き終え、トーナメント表が決定した。
《雄英体育祭最終種目 ── 第1回戦 ──》
●第一試合
→A組 『結依魔理沙』 VS B組『塩崎茨』
●第二試合
→A組 『常闇踏陰』 VS A組 『八百万百』
●第三試合
→A組 『緑谷出久』 VS C組 『心操人使』
●第四試合
→A組 『轟焦凍』 VS A組 『瀬呂範太』
●第五試合
→B組 『骨抜柔造』 VS A組 『切島鋭児郎』
●第六試合
→A組 『爆豪勝己』 VS A組 『麗日お茶子』
●第七試合
→A組 『上鳴電気』 VS A組 『芦戸三奈』
●第八試合
→A組 『飯田天哉』 VS サポート科 『発目明』
概ね、原作通りである。だが
〔あ、言い忘れてたが結依魔理沙のルーレットは毎試合ごと行われるぜ!!〕
プレゼントマイクからの補足説明が入った。忘れられてるかもしれないが、結依魔理沙は試合ごとに使える能力がルーレットで決定される。今回は勝ち抜きトーナメントなので、勝ち抜く度にルーレットが行われる。
傍から見れば対策不可能な仕様だが、元より結依魔理沙という存在は対策不能であるため、気にしたら負けである。
〔よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといて、イッツ束の間! 楽しく遊ぶぞレクリエーション!〕
オオオオオオオオオオオオ!!!!!
生徒も観客も揃って声を出し、盛り上がる雄英体育祭。その後のレクリエーションも多いに盛り上がった。借り物競争、大玉転がし、三角ベースの3種類があり、予選敗退者含め多くの人が参加した。
なお、結依魔理沙はチア姿のままレクリエーション3種目全てに参加。試合ではないことから全能力の使用が許可され、借り物競争では瞬間移動と千里眼で攻略、大玉転がしはフィジカルでブッチギリ勝利。三角ベースでは素手でホームランを叩き込むなど、暴れに暴れまくっていた。
様々なイベントを終え、ついに雄英体育祭最終種目『1V1ガチトーナメント』が開催される。
テレビで見たあの大舞台に立てることへの緊張、高揚感。それをひしひしと感じる16名の選手たち。
終わりが近い、あの騎馬戦をやってた時が嘘のように遠く感じる。そう思う観客たちもいることだろう。
だが本当の意味で"終わり"が近づいていることに気がつく者は、この時誰もいなかった。
■
〔ヘイガイズアァユゥレディ!? 色々やってきましたが!! 結局これだぜガチンコ勝負!! 〕
〔頼れるのは己のみ! ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ! わかるよな!! 心・技・体に知恵知識!! 総動員して駆け上がれ!! 〕
選手入場口前、結依魔理沙はプレゼントマイクのアナウンスを聞きながら、体を伸ばしリラックスしていた。
その最中、背後から肩を叩かれる。
「魔理沙くん!」
「ん? ……オールマイト?」
大柄な体躯でひょっこり現れたのは、我らが教師オールマイト。
「そうそう私だよ私、オールマイトさ!!」
「知ってますよ」
「……緑谷少年は毎回喜んでくれるのに」
期待されていた反応を貰えなかったのか、少しイジけるオールマイト。乙女である。
気を取り直し、オールマイトが人差し指を前に突き出しながら口を開く。
「私が君に言えることはあまりないんだが、一つだけ! 私から一言、言わせてくれないかな?」
「どうぞ」
オールマイトは魔理沙の素っ気ない返事に困り顔をしつつも、すぐに元の笑顔に戻って、私の手を握った。
「魔理沙くん、頑張って!!」
笑顔で、大きな声で告げるオールマイト。それに対して魔理沙は、キョトンとしていた。
「……それだけ?」
「あぁ!」
「だったら私に言うより、相手に言ってあげた方が良いですよ。喜びますし」
再び素っ気なく返す魔理沙。我ながら何故こうも素っ気なくしてしまうのか分からないが、今の言葉に嘘はない。
私なんかより、他の人に時間を割いてあげてほしい。その方が世のためになる。
「既にもう言ってある。それに……私は誰に対しても平等に接するつもりさ。たとえキミが、誰の応援も必要としないくらい強い生徒だとしてもね」
「……」
言葉を聞き、押し黙る魔理沙。見透かされているような気がして、少し恥ずかしい。恥ずかしいのでそっぽを向いた。
「キミは強い。普通の人の何倍も重い物を背負い込める。だけど、今は体育祭だ。今は気にせず、前に進むといい」
オールマイトは膝を着き、真っ直ぐ私の顔を見た。
「……ありがとう、ございます。オールマイト」
魔理沙は恥ずかしがりながら、感謝を述べた。
「いいってことさ!! ハーッハッハッハ!!!」
バシバシと背中を叩き、前に送り出してくれたオールマイト。
これ、きっと全員にやるんだろうなぁと思いながら、魔理沙はステージへ足を運ぶ。
魔理沙の姿が見えた瞬間、観客の声が一気に盛り上がった。相手方も同様に登場し、ピリピリとした緊張感が伝わる。
二人が揃ったことを確認したプレゼントマイクは、一回戦第一試合のコールをかけた。
〔一回戦!! 立てば厄災、座れば魔王、歩く姿は破壊神!! ヒーロー科、結依魔理沙!!〕
〔バーサス!! B組からの刺客!! キレイなアレにはトゲがある!? 塩崎茨!〕
酷い言われように内心苦笑いする魔理沙。概ね事実なので文句のつけようがない。
〔さぁ戦いの前にまずはルーレットだ!! ミッドナイトカモン!!!〕
「さぁ回すわよ!!!」
ホログラムモニター内で回転するスロット、それがミッドナイトの合図でストップする。
「"四大元素"!!」
〔イレイザー!! 四大元素ッて何だ!?〕
〔……古代ギリシア人が考えた世界を構成する4つの要素、火、風、水、土のことだ。魔理沙はそれら属性魔法のみ使用できる〕
〔解説サンキュー!! イレイザー!!〕
相澤先生の補足説明に内心感謝を述べる魔理沙。ドラクエで言うところの、メラガイアー、バギムーチョ、ザバトローム、ドガンタロスが使えるということになる。
〔では第一回戦!! スタート!!!〕
ワアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
「改めまして、私の名は結依魔理沙。年齢16歳。自宅は東京都以下略……」
「……クスッ」
処刑の前口上を述べている途中、塩崎さんが笑った。ジョジョファンだったのだろうか。であれば気が合いそうだが。
「やっと会えたわ結依魔理沙。いえ、異形魔理沙」
「は?」
真っ白になる頭の中。その名は、この世界の人間から到底出ることのない言葉。何故ならこの世界に、"東方異形郷"はコンテンツとして存在していない。だから私を見てその名を呼ぶことは本来ありえないことだ。
「お前、
一番考えられる可能性としたらここだ。私と同じ別世界から来たという可能性。別世界でそのコンテンツを知り、記憶を引き継いでこの世界に現れた。
そんな偶然の重なりのような奇跡が起きるとは到底思えないが、これ以外に考えられない。そう魔理沙は感じた。
しかし、予想は大きく裏切られる。
「いいえ違うわ。私の正体は……」
塩崎茨。茨。茨、茨。茨、茨。茨、茨、茨、茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨茨
薔薇の鋭いトゲが、私の腹部を貫通していた。
「かハッ……!!」
逆流した血液が口から吐き出され、ゲホゲホと咳き込む魔理沙。茨の硬いトゲが魔理沙を内側からズタズタに引き裂き、臓器全てを貫く。
魔理沙が視線を塩崎茨に戻した。のだが、そこにあったのは塩崎茨ではない。真っ二つに裂かれた塩崎茨の中心に、悍ましい姿をした異形が立っている。
上半身ははだけた服装の女性、下半身は巨大な食虫植物で構成され、無数の蔓が彼女の手足として蠢いている。ハエトリグサ、向日葵、ウツボカズラなど、様々な植物が動物のようにひしめき合い、彼女の周囲を囲い、異様な雰囲気を醸し出している。
人間の部分はもはや塩崎茨の姿の欠片も無い。全くの別人であり、豊満な胸と恍惚とした表情を浮かべてこちらを見下ろしている。
「……何で」
「嘘だと思ってる? 現実よ魔理沙さん。いや、コイツは魔理沙さんの姿をしているだけだから、敬語はいらなかったわね。あの人曰く、『ただの器』らしいし」
響めく会場。誰もが異常事態に反応できず、唖然とする中、魔理沙が声を出す。
「異形……幽香…………!!」
「怖がらなくても大丈夫よ♡♡ 優しく、ゆっくり、じっくりいたぶって、陵辱してあげるわ♡ みんなが見ている前で……ね♡」
惡の華が咲いた。
【紹介コーナー】
●異形幽香
→東方異形郷に登場するキャラクター。原作の原作である東方Projectの『風見幽香』に似ているようで違うナニカ。
風見幽香と比較すると、体に複数種のグロッキーな植物が取り付いている。下半身についた人面植物のようなものは『笑い草』と呼ばれ、虚しい笑い声をいつも上げている。
さらにトゲや目玉のついたツルや、中心に三つほど目玉がついた向日葵、人食いハエトリグサ、あらゆるものを溶かす溶解液を持ったウツボカズラ、ドラゴンの見た目をした植物、そしてマスタースパークの射出口である巨大な向日葵など、様々な植物(兵器)を持っている。
また、強力な神経毒を持ち、一呼吸しただけで相手は一分も待たずに死ぬ。