最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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金髪イカレ魔女と金髪全裸高校生(38話)

 

 

 

 

【雄英体育祭会場 ── 出張保健所 ──】

 

 

 結依魔理沙は塩崎茨を抱きかかえ、医務室に訪れた。その途中で塩崎茨の体に異常がないかチェックしたが、異常どころか全身の内臓がグチャグチャのまま心拍停止していた。

 

 魔理沙は慌てて最上級回復魔法(ベホマ)を連唱し、透視とサイコキネシスで回復した内臓の位置が正しい場所になるよう誘導し、気道内に詰まった血の塊も除去。傷一つ残すとことなく再生させ、心拍も復活。一命を取り留めた。

 

 同化の後遺症も見られなかったので、魔理沙はそのまま医務室にてリカバリーガールに塩崎を引渡した。

 

「わざわざ自分で連れてくるなんて、よほど心配だったのかい?」

 

「めちゃくちゃ心配でした」

 

 魔理沙は素直に答えた。マジで私が連れてきて良かったと、心の底から思う。

 

「……アンタ、顔暗いね? ちゃんと栄養取ってるのかい?」

 

「それは元からです」

 

 魔理沙は素直に答えた。久しぶりに顔面のことで弄られた気がする。

 

「違うよ、心の話さね。何か悩み事があるんだろう?」

 

「……まぁ、ハイ」

 

 魔理沙は顔を背けながら答えた。

 

「悩みはね、吐き出すことで楽になるもんさね」

 

 リカバリーガールは塩崎のベッドに氷枕を用意した後に、魔理沙の前に現れてドカッと座り込んだ。

 

「次の試合まで長いんだ、今のうちに吐き出しときな」

 

 まさかの催促に魔理沙が再び頭を悩ませる。吐き出すにも、この陰謀論的悩みをどうボヤかして言語化すればいいのか分からない。

 

 まだフリーメイソンが世界を牛耳ってくれた方がマシと思えるほどの危機に、結依魔理沙の脳は追いついていないのだ。

 

(……グッ!? ……しくった……下痢の呪いだ……!!)

 

 ギュルギュルと鳴り響く消化器官の音。我らの腸様が相澤先生との密約を破ったことへの制裁を下し、魔理沙を苦しめる。

 

「き、気が向いたら話します……」

 

「そうかね。それじゃ、その時になったら話を……? アンタ、ドンドン顔が青ざめてるけど、どうしたんだい?」

 

「ホンマ大丈夫です……マジ大丈夫なんで失礼します……」

 

 魔理沙は中腰になりながら離席し、保健所を出た。早く……! 早く不死鳥の加護で呪いをリセットしないと……! 今度は私が社会的に死ぬ……! 

 

「やれやれ……休んでいけばいいのに」

 

 リカバリーガールはそう言うと、自分のやるべきことをし始めた。

 

 

 

 

 

 

【雄英体育祭会場内】

 

 

 塩崎を送り届けた後、魔理沙は観客席に戻ろうとした。瞬間移動で緑谷くんの気を目印に戻りたかったが、いちいち不死鳥の加護で呪いを打ち消すのも面倒なので、歩いて帰ることにした。

 

 したのだが……

 

「迷った」

 

 体育祭会場内にて、結依魔理沙、なんと迷子。何処の通路を辿ってもA組の席に戻れず、観客席ばかり。すれ違う人も一般客ばかりでヒーロー科の人間と出会えない。

 

「一旦、外に出るしかねぇ」

 

 魔理沙は階段のあった場所まで逆走し、1階へ到着。人混みの流れに逆らうように動き、ついに会場入口にたどり着いた。

 

「うし。ここからなら道分かるぞ」

 

 フンスと胸を張る魔理沙。なおここは一般客の入場口のため、クラスの観戦席に戻るにはグルっと外周を回ったところにある関係者専用入口から入る必要がある。

 

 魔理沙は人混みを避け、会場の外周をスタスタと歩いていった。

 

「やぁ!! こんにちわ!!!」

 

「ッ!?」

 

 突如、会場の壁から生首がニョキっと生えた。

 

「アハハハ! 良い反応だね!」

 

 ニョキニョキと、壁から人間の体が生え始め、そして首と繋がった。

 

「初めまして! 僕は()()()、雄英高校ヒーロー科3年のミリオだよ!! ビックリしたかい?」

 

 魔理沙の前に立ちはだかったのは、ミリオと名乗る青年だった。

 壁貫通マジック……で誤魔化せるのは赤ちゃんまでであり、これは彼の個性によるもの。ネタバレだが彼は『透過』の個性の持ち主である。

 

 あらゆるものをすり抜けることができる個性、その力で結依魔理沙にドッキリを仕掛けてきたのだが、それ以上に大きなドッキリが控えている。

 

 彼は全裸のまま、女子高生の前に立ちはだかっていた。裸だけに。

 

「くたばれ露出狂がああああああああぁ!!!」

 

「いやゴメンね!! ホントに!!!」

 

 謎のヒーロー科三年(露出狂)の言葉など、魔理沙の耳に届くことなく、容赦のない一撃がミリオを襲う。

 

 だが拳はミリオの体をすり抜け、見事に貫通した。

 

「わー、当たったら痛そう」

 

「……何だ、雄英BIG3のミリオ先輩か。初対面だけど」

 

「俺のことを知ってくれているなんて嬉しい限りだよね! そういう君は雄英高校四天王のニューホース! 結依魔理沙ちゃんだよね! もちろん知っているさ!」

 

「とりあえず服着てください」

 

 魔理沙に催促され、いそいそとパンツとジャージを着る通形先輩。それを見守ることはせず、魔理沙は着替え終わるまでそっぽを向いていた。

 

「で、何の用ですか。ここ一年ステージですよ?」

 

 魔理沙が素っ気なく質問する。

 

 この体育祭は学年ごとに会場を分けられている。会場同士が凄く離れているわけではないが、最終種目進出者が行き来するには不便な距離だ。

 

 3年生の結果がどうなってるかは知らないが、雄英ビッグ3と呼ばれる男の一人が最終種目に進出してないわけがない。時間が限られてる中でわざわざ会いに来たということは、何か重大な理由があるはずだ。

 

「知りたい? それはね、一度キミのことを見てみたいと思って来たんだ!」キタンダキタンダキタンダ……(セルフエコー)

 

 上半身裸のままバンザイする通形。それに対し魔理沙は唖然としていた。

 

「君は学年の壁を越えて有名人だしね! もっと親密にお話したかっただけさ! それに会場が離れているとはいえ、そこまで苦労しないしね!」

 

「あぁ、そうですか……はい、お疲れ様です」

 

 ぺこりと、一礼する魔理沙。彼女は珍しく、疲れていた。

 

「それと、ここだけの話をしていいかい?」

 

 先程までの快活な声とうってかわり、小声で囁く通形。急に雰囲気を変えられると気になってしまうのは、新手の心理テクニックだろうか。

 

「なんでしょう」

 

「サー・ナイトアイって知っているかい? 昔、オールマイトのサイドキックを務めていて、今は俺の校外活動(インターン)先の事務所の所長をやってるんだけど……」

 

 サー・ナイトアイ、その名前を魔理沙は知っている。面と向かって話したことは無いが、これも前世知識ゆえのもの。ただ、名前以外の記憶が無い。

 

「サーの個性は『予知』、条件を満たすと対象の人物の行動を先読みできる! その個性でナンバーワンヒーロー、オールマイトをずっと支えていたんだけどね……」

 

 含みのある言い方をする通形。何か、言いづらい部分でもあるのか。

 

「時々サーがボヤくのさ、『魔女と災厄が世界を破滅させる……』ってね」

 

 予知、魔理沙の背筋が凍った。

 

「言っていることが全然理解できないけど、君のことをイレイザーヘッドから聞いていたから、何か知っているか聞いてみようと思ったんだよね。魔理沙ちゃん!」

 

 無理矢理な笑顔で悲しさを塗りつぶしている通形ミリオ。きっと、サー・ナイトアイが見た予知の内容が、想像絶するものだったのだろう。

 

 プロヒーローすら絶望する、未来を。

 

それはまるで奇怪な跡のような

 

 嫌な想像をした。いや、この想像は限りなく近い"未来"の話だ。定まった運命、その不条理から解き放てるのは、同じ不条理たる存在、結依魔理沙以外に他ない。

 

「おーい魔理ちゃん、話聞いているよね!?」

 

「……聞いてます」

 

「それは良かった……けど、顔が凄いよ……?」

 

 通形は顔を覗きながらそう言った。それは元から……では無い。これは、私の覚悟だ。私が守るべき世界だ。

 

「顔が怖い!!」

 

「イっ!!?」

 

 ストレートな言葉に加え、ミリオは魔理沙の頬っぺたをニュッと引っ張り上げた。

 

「なんですか!?」

 

「これもサーが言っていたことなんだけどさ、"元気とユーモアの無い社会に明るい未来は無い"って。険しい顔をしたって、みんなは笑ってくれないだろう?」

 

 通形はそっと手を離すと、ニカッと笑った。

 

「頑張るなら、笑顔で頑張らないとね!」

 

「通形先輩……」

 

 芯の通った言葉、きっと普段からそう心掛けているからこそ、自信を持って言えるのだろう。人間性の良さが垣間見える。

 

「……でも露出狂なんだよなぁ」

 

「それは誤解オブゴカイさ!!」

 

 通形はゴカイの真似をしながら、魔理沙に訴えた。

 

「けど、確かに笑顔は大事だ」

 

 そう言うと、魔理沙は珍しくニッコリ笑った。

 

「……」

 

 通形は真顔でそれを見つめると、天を見つめ、そして再び魔理沙に焦点を合わした。

 

「……やっぱり、笑わない方がいいかも」

 

「うーん、辛辣」

 

 真顔で返す魔理沙。その様子がどこか可笑しくて……

 

「……プフッ! ハハハハハ!!!」

 

 通形は笑い出した。

 

 

 

 

「じゃ、俺はこの辺で! 今度またお話しよう! 友達も呼ぶからさ!!」

 

「うい」

 

「一緒に変な未来ブッ飛ばそうなー!!」

 

「はーい……ってか、元気過ぎる。あの人」

 

 3年ステージへと走っていく通形先輩の背中を、魔理沙は手を振って見送った。何というか、爽やかな松岡〇造のような人だった。芯も通ってて、まさに理想の先輩像というべきか。

 

(露出癖さえなければ……)

 

 完璧、そう思う魔理沙であった。

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 魔理沙が観客席に戻ってきた頃には、一回戦はほとんど終わっていた。多少寄り道したとはいえ、時の流れとはなんと早いものか。

 

 クラスメイトから話を聞いたところ、第2試合の常闇VS八百万は常闇の先手必勝で常闇の勝利。第3試合の緑谷VS心操は、心操の洗脳を緑谷が自力で解き、そのまま力技で緑谷が勝利。

 

 第4試合の轟VS瀬呂は氷ブッパで轟が勝利し、第5試合の骨抜VS切島は、切島が泥沼に身動きを封じられたことで、骨抜の勝利。第6試合の爆豪VSお茶子は、爆豪が一撃でお茶子ちゃんを吹き飛ばし、爆豪の勝利。

 

 第7試合の上鳴VS芦戸は、放電ブッパで上鳴の勝利。そして最後の試合、飯田VS発目の勝負は現在進行形で行われているが、飯田にサポートアイテムを貸し出しつつ自身もフル活用し、現在もなおサポートアイテムを活用したプロモーションを行っていた。

 

 〔あぁッと発目明!! 満足したのか自主退場!! 場外に出たァ──ッ!!! 〕

 

「勝者、飯田天哉!!」

 

 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 

 

 湧き上がる歓声。果たして真の勝者は誰なのか、分からないが、とりあえず私も拍手を送るとしよう。

 

 そして遂に、最終種目『第二回戦』のトーナメント表が決定された。

 

《第二回戦》

 

 ●第1試合『結依魔理沙』VS『常闇踏陰』

 

 ●第2試合『緑谷出久』 VS 『轟焦凍』

 

 ●第3試合『骨抜柔造』VS『爆豪勝己』

 

 ●第4試合『上鳴電気』 VS 『飯田天哉』

 

 原作と微妙に変化しているが、特に上鳴の躍進が凄い。原作では雷耐性の高い塩崎さんと当たったことで瞬殺されたが、やはり広範囲の雷属性攻撃というだけで強さが抜きん出ている。

 

 爆豪と骨抜くんの戦いは、悲しいことに骨抜くんの個性が地面特化すぎる故に空中への対処法が無い。健闘を祈る。

 

「なぁなぁ結依、一回戦のアレってどうやったの?」

 

 上鳴が急に質問してきた。一回戦のアレとは、塩崎さんを場外に吹っ飛ばした時のことだろう。

 

「そりゃあ、普通にサッと近づいてグーパンよグーパン」

 

「それでああなるのかよ……」

 

 ドン引きする上鳴。おそらく彼があの真実を知ったら、もっとドン引きすることだろう。

 

「気をつけろよ常闇……! お前も瞬殺されるかもしれねぇからな……」

 

「あぁ……」

 

 常闇は返事を返すと、再び瞳を閉じた。おそらく、二戦目に向けて精神統一をしている。

 

 相手はA組の悪魔、"結依魔理沙"。あの轟すら霞むほどの力を有した怪物を相手に、常闇はどう動くか。

 

 小休憩を挟んだ後に、体育祭最終種目『第二回戦』が始まる。

 

 

 

 

 

 

 〔障害物競走、騎馬戦ともに一位を獲得した雄英史上最強の実力者、結依魔理沙!! またしても相手を瞬殺するのかァ!? 今度こそ魔法見せてくれよなァ!? 〕

 

 \\わあああああああああああああ!!! //

 

 〔バーサス!! ダークシャドウの使い手! 常闇踏陰ェ!! ラスボス相手にどう攻略するか注目だァ!!! 〕

 

 \\わあああああああああああああ!!! //

 

 〔まずは恒例! ルゥゥゥレットの時間だァ!! 常闇の運命はコレにかかっているといっても過言ではないぞォ!!? 〕

 

 モニターに映し出されたスロット。それが軽快なBGMとともにグルグルと回転し続け、ミッドナイト先生の合図と共に停止する。

 

「"糸"!!!」

 

 \\わあああああああああああああ!!! //

 

 ランダム抽選の結果、魔理沙が使える魔法(能力)は糸系になった。

 

 〔さぁ行くぞ第二試合! 結依魔理沙VS常闇踏陰ェ!! スタートッッ!!! 〕

 

 \\わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! //

 

「悪いが、先手必勝といかせてもらう……!」

 

 先に仕掛けたのは常闇。動きを読まれぬよう、ジグザグに動きながら接近するダークシャドウに対し、魔理沙は右手を構える。

 

「勝負の世界で、善し悪しは気にするもんじゃねェぜ」

 

 魔理沙は手首の付け根から糸の弾丸を飛ばすと同時に、真っ直ぐ走る。そのタイミングはちょうどダークシャドウが攻撃するタイミングであり、対応する間もなく魔理沙はダークシャドウの背後を駆け抜ける。

 

 糸の弾丸は容赦なく常闇の目を覆い、著しく視野を低下させる。既に魔理沙は本体である常闇に急接近しているが、距離感が分からない。

 

「戻れ! ダークシャドウ!!」

 

 常闇は指示を出し、素早くダークシャドウを手前まで戻す。だが魔理沙は攻撃することなく股下をスライディングで抜け、背後に回る。

 

「五色糸」

 

 魔理沙は両指の先から糸を出し、常闇の両腕を縛り付ける。

 

「ダークシャドウ!!」

 

 常闇はすかさず背側からダークシャドウを出し、迎撃しようとする。だがその瞬間、常闇の体が天に向けて急上昇した。

 

(浮かされた……ッ!)

 

 力技で空中に投げられた常闇。これで縛られていた両腕は解放されたが、本体は依然として無防備である。

 

羽撃糸(フラップスレッド)

 

 魔理沙はコンクリートで固められた地面を"糸"に変換し、大量の糸の矢を常闇に向けて放つ。

 

 本来はこれで相手を串刺しにするのだが、ケガ防止のため糸の強度はかなり抑えている。そのため、この矢に触れると粘っこい糸が全身に絡まり、糸まみれにしてしまう。

 

 結果、ダークシャドウもろとも糸でグルグル巻きにされた常闇。姿勢制御すらままならず、常闇は地面に衝突する。

 

「動ける?」

 

「……ッ! …………参った」

 

「勝負アリ!! 結依魔理沙進出決定!!!」

 

 \\わあああああああああああああ!!! //

 

 〔またしても瞬殺してしまった魔理沙ァ!!! お前はいったいどこまで突き進んでしまうんだァ!!? 〕

 

 〔パワーとテクニック、両方とも活かしつつ相手を無傷で拘束する。器用なヤツだ〕

 

 相澤先生から好評を貰いつつ、常闇に絡みついた糸を解く魔理沙。

 

「……結依魔理沙」

 

「……なんだい」

 

 常闇から呼びかけられる魔理沙。

 

「お前と戦えて……良かった」

 

「……そうか」

 

 解かれて自由になった常闇の右腕が、魔理沙に握り拳を向ける。

 

 魔理沙はフッと笑いながら、右手でグータッチをした。

 

「くぅー〜ー〜!!! 青いわァ!! ♡」

 

 二人が称え合うシーンを見て、腰をくねらせるミッドナイト先生。台無しである。

 

 

 

 

 to be continued...

 

 






【紹介コーナー】

●イトイトの実
→『ONEPIECE』に登場する悪魔の実。食べるとカナヅチになる代わりに糸を自在に生み出し、操作できる。超人(パラミシア)系。五色糸や羽撃糸はこの実の能力者である『ドンキホーテ・ドフラミンゴ』の技である。

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