最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
ついに40話まで来てしまった。
USJ編の序盤あたりを編集しました。うん。
エンデヴァーに無視され、心が沈んだ状態で観客席に戻った結依魔理沙。こんな悲しい最強の魔法使いがあっていいだろうか.......、良くないよクソッタレ。
「おかえり魔理沙ちゃん、随分と落ち込んでいる様子だけど、どうしたのかしら?」
「あぁ梅雨ちゃん聞いてくれよ....、エンデヴァーに無視されたんだよ......酷くねぇか?」
「きっと常闇ちゃんとの戦いで引かれたんだわ。やりすぎよ魔理沙ちゃん」
「お前まで言うんかーい(´TωT`)」
先生にもメガホンで叱られ、可愛い梅雨ちゃんにも叱られ、もう生きていける気がしません。帰ったら分身回収して崖に突っ込みます。......死なないけど。
「それより見ろよ緑谷と轟の試合! さっきもやべーけどこっちもヤベーよ!!」
珍しく峰田が熱心に試合を観戦しているかと思ってたら......、そうか、緑谷くんと轟くんの勝負か。私が特訓した分、戦闘技術は原作と比にならないくらい強くなっているから......ワンチャン勝利あるかもな。とにかく、見物だな。
____________________
〜 緑谷サイド 〜
「スマァァアアアアアアアシュッ!!!」
ドゴォォォン!!
緑谷は己が制御出来る10%の範囲内で、轟の氷の猛攻を防ぎ切っている。いや、捌ききっていると言ったほうが正しい。師匠から学んだ対範囲攻撃用戦闘訓練の成果を活かし、迫り来る大氷河を最小限のエネルギーで確実に避けていく。
地面の氷も油断ならない。凍った地面に軽く足を踏み込めば、そこから一気に足を凍らせられて身動きを封じられてしまう。氷の上を歩く際はしっかりと氷を叩き割って歩く。そこさえ注意していれば後はどうにかなるだろう。
『緑谷!! 一回戦の地味な戦いの時とは正反対のスタイルで轟の猛攻を回避し続ける!!! 何だよ、全然イメージと違うじゃん!!』
『入学試験の時よりも格段に動きがパワーアップしているな.........。ッたく、結依に毒されやがって』
氷に道を阻まれる緑谷だが、次々に氷の壁をぶち破り、少しずつ轟に近づいている。普通は近づけば近づくほど、少量のエネルギーでは捌ききれない攻撃が襲い掛かってくるはずなのだが、緑谷はそれすらを乗り越え、確実に轟との距離を縮めている。直接攻撃に変わるのも時間の問題だろう。
「緑谷.........ッ!!」
流石の轟も焦りを覚え、大雑把な範囲攻撃のスタイルから緑谷への直接攻撃+氷の追撃のスタイルに変更。範囲攻撃を酷使し過ぎると低温のあまり、体が動かなくなるという弱点があるため、慎重に個性を使わなければならない。
「轟くん......轟くんと師匠の会話を盗み聞きした僕は最低なヤツかもしれないけど、これだけは言わせてほしい......」
緑谷の言葉を聞いた轟は一瞬、驚きで動きが固まった。聞かれていたのか......と、轟が思考している間には既に緑谷の射程圏内。
(しまった......ッ!!)
「君は! 間違っているよ!!!」
轟の腹にぶち込まれる怒りの鉄拳。ダメージはある程度軽減されているが、それでも人が数メートル後方へ吹っ飛ぶほどの威力はある。熱の篭った緑谷のスマッシュは、冷却された鉄壁の鎧にひとつ、キズをつけた。
「君の家族関係について僕から言えることなんて何一つない......、壮絶すぎて、僕の介入する場所なんてどこにもない......。けど......、どんな事情があったとしても! 自分の半分だけの力で優勝しようなんて考えは間違っている!! みんな本気で優勝目指して頑張っているのに! 君だけ.....、君だけ家族の事情に囚われて、みんなと違う目標を達成しようと独りでもがこうとするなんて馬鹿げてるよ!!」
緑谷は自分の正直な思いを精一杯、轟にぶつけた。自分には轟くんの家庭を、一般的で優しさに満ちた家庭に変えることなんてできない。できるはずがない。......けど、轟くんが見失ってしまった大切な夢を取り戻すことはできる。
"お前はどんなヒーローになりたいんだ?"
師匠はあの時、轟くんの見失ってしまったものをわかっていた。ほんとに師匠は完璧で、何でも解決する最強のヒーローだけど、だからってずっと師匠に頼っていいわけじゃない。憧れのオールマイトも、六年前の大怪我で活動限界時間が三時間になってしまった。どんなに完璧なヒーローでも、終わりは必ず訪れる。誰かに頼りっぱなしじゃダメなんだ!!
緑谷は轟の大切なものを取り戻すべく、再び轟と対面する。やっぱり師匠なら一発で解決してくれるかもしれないけど......、それでも、僕が助けてあげるんだ。余計なお世話はヒーローの本質ってね!
「僕はいつだって全力だ!!! みんなを助けられる最高のヒーローになりたいから、全力でみんなと向き合いたいんだ!! だから轟くんも......」
『全力でかかって来い!!』
"立て。こんなもので倒れていてはオールマイトはおろか雑魚敵にすら..."
"もうダメ、子供たちが...日に日にあの人に似てくる...。焦凍の...あの子の左側が、時折とても醜く思えてしまうの"
(俺は親父を......許さない)
"お前はどんなヒーローになりたいんだ?"
"君だけ......、君だけ家族の事情に囚われて、みんなと違う目標を達成しようと独りでもがこうとするなんて馬鹿げてるよ!!"
(俺は間違っていないはずだ......、俺は......)
再び立ち上がった轟は、緑谷に向けて再度巨大な氷河を放った。
「100%デトロイト・スマッシュ!!」
右人差し指を犠牲にしたワンフォーオールの本気の力で、迫り来る大氷河を粉々に打ち砕き、相殺した。実技試験以来の許容オーバーデトロイト・スマッシュだったため、痛みが尋常じゃないくらい血肉に響く。
それでも緑谷は痛みを耐え、弱みを見せず、轟の前に立った。
「.......轟くんは全然自分のことを理解していない。その半冷半燃の個性は、轟くんのお母さんとお父さんから遺伝的に受け継がれた個性だけど、それは単なる生物的観点から判断した結果であって、それは正解じゃない。」
「誰から受け継いだとか、血筋がどうとかは関係ない。個性っていうものは、他の誰かに縛られる存在じゃあない。自分自身が誇りに思える......、自分らしさという概念そのものこそが個性、僕はそう思っている。」
「だから、半冷半燃はお母さんとお父さんのハイブリッド個性なんかじゃない。君の個性だ!!」
俺の個性......
"いいのよ......お前は...、血に囚われることなんかない"
"なりたいヒーローになってもいいんだよ......"
いつからか忘れてしまっていた母の言葉......
俺がなりたいヒーロー......
"お前はどんなヒーローになりたいんだ?"
俺は......
((焦凍......))
自分の名前を囁く声が聞こえる。
......嘘だ。なんで、なんで母さんの声が.....、聞こえるはずのない本物の母さんの声が、どこからか聞こえてくる......。
((貴方にあんなことしてしまって.....母さんは母さん失格だけど......、これだけ言わせて頂戴...))
((応援してるわ......頑張ってね、焦凍.....。))
打ち砕かれた氷の心。解放された熱が内側から外側へと広がっていく。彼の心を縛るものはもう何も無い。ただ進むべき己のヒーローの道を、一歩ずつ、歩んでいくだけ。
心の解放を象徴するかのように、彼の周りから急激な吹雪と熱風が吹き荒れた。混じって温風になるという生易しいものではなく、互いの個性が尊重された、凶悪な嵐へと変貌する。
あまりの暴風に緑谷は空中へ吹き飛ばされ、およそ3秒後に地面に着地した。なんとか綺麗に着地出来たものの、轟の様子が急変し、さっきまでとの雰囲気の違いがビシビシと肌に伝わる。
『轟が巻き返したァ!! 轟の反撃がここから始まるのかッ!!?』
『......青い炎だと......?』
轟から憎悪の心が消え失せ、蒼き誠実な心を手に入れ、普段とは全く違う個性の姿を見せていた。
彼のエンデヴァー譲りの紅き炎は、蒼き炎へと変わり、右側の氷は、ドライアイスのような真っ白な色へと変わっている。その上、炎の温度は紅の時より高い温度を放ち、氷の温度は絶対零度に近い低温を保ち続けている。進化と呼んでも過言ではないほどの超強化に、轟自身も驚きを隠せないが、緑谷に勝つことだけを頭に入れ、心を落ち着かせる。
覚醒轟焦凍が今ここにて、爆誕した。
「かっちゃんといっしょだ......、轟くん...君は......」
「緑谷......ありがとう。お前もお前の師匠も、俺の傷口に容赦なく塩を送り込みやがって.....、イカれてるよ......。.........もうどうなっても知らねぇぞ」
ゴクリ......と唾を飲み込み、次の攻撃を警戒する緑谷。師匠からあらゆる攻撃の避け方を学んだが、まだ体がそれについていけるほどのパワーや技術がない。もし轟くんがとてつもないエネルギーのこもった攻撃を先に仕掛けられたら、僕の勝ち筋は完全にゼロへと終着する。不味い、絶対に負けられない!!
轟くんがどれほどの規模の攻撃を放ってくるか予測できないため、己が出せる最大火力で応対するしかない。両腕を犠牲にした......、デトロイト・スマッシュ......いや、デトロイト・フィストで。
仮にダメだったとしても、足さえ残っていれば僕はまだ戦える。あの事件以降ずっと足技を鍛えてきたんだ......、支障は出ないはずだ。
「行くぞ緑谷......、これが俺の全力だ。」
「来いッ......轟くん!!!」
両者ともに両腕に力を込め、最大火力の一撃に全てを賭けた。互いに譲れぬ戦い、果たしてどちらが勝つのか......
「アブソリュートフレア!!」
「最大出力デトロイト・フィスト!!!」
極限まで冷却された空気と膨大なまでの熱量がぶつかり合い、会場が消滅してもおかしくないほどの大規模な爆発が発生する。しかし、事前に魔理沙が張っていた固有結界のおかげで会場への影響は大幅に削減されたが、とてつもない光量と衝撃波で会場の様子を確認することができない。もう、そこらのプロヒーローなんて比べ物にならないくらいのエネルギー波に観客は意気消沈。あの魔理沙って子だけが異常だと思っていたのに......、今年の雄英高校一年はいったいどうなっているのやら。
煙が晴れ、姿を現したのは轟焦凍。しかし全力を尽くしたのか、元の姿に戻っていた。覚醒状態には時間制限か何かしらの制約があるのかもしれないと、轟は自分の身に起きた事象を考察する。
「......緑谷は.........!」
考察なんてしている場合ではない。仮にあの攻撃を緑谷が耐え切った場合、また試合の始まりに逆戻り。もう氷も炎も少ししか出せない今の俺では、緑谷に勝つことはできない......。起き上がられる前にトドメを刺さなければ、母さんの想いが無駄に..
「轟......くん.........」
「緑谷.........お前............」
緑谷は立っていた。両手両足を震えさせながら、そこに立っていた。もう立っていることが奇跡と呼べるほど、彼の体は弱っていたが、諦めの悪い彼は己が倒れることを許さない。
「.........。」
「緑谷.........?」
いや、もう既に限界だったのだ。倒れなかったのは、最後まで戦おうとする気持ちの表れであったのかもしれない。しかし、彼の意識はもう、虚空の闇へと葬られてしまっていたのだ。立ったまま、そう、立ったまま気絶したのである。
その後、二人とも保健室へ連行。緑谷は絶対安静、轟は次の試合まで保健室で休むことになった。
____________________
「とんでもねぇ試合になったな......」
会場を観戦していた魔理沙は、轟が覚醒したり、いつの間にか来ていた轟のお母さんにビックリしたり、そのことに気づいたエンデヴァーが何考えてたか知らないけど、轟の母さんに近づこうとしてたから全力で守ったりと、いろいろ仕事をしていた。
これ3回戦目で私、轟と当たるよね。うへぇ、ただでさえ最近、強キャラが続出しすぎて対処が追いつかないというのに、何なんだよこの世界は。もういやや。後でお見舞いに行くか。
「轟......、アイツあんなの隠してたのか」
「ピカードゴーン。ピカードゴーン。ピカーd」
「峰田ちゃん、気持ちはわかるけど少し落ち着いてくれないかしら」
「風がぶわーって来たよぶわーって! 轟くんやっぱ強い!!」
「大丈夫かな......デクくん......。」
「仮にも私の弟子を名乗ってんだから、この程度じゃ死なないさ。多分。」
時間は刻刻と流れ続ける。
割と内容少なかったかもしれない。すまぬ!!
でもやりたいシーンはやれたからちょっと満足。
いろいろ紹介
アブソリュートフレア:覚醒状態限定技。一瞬で相手を絶対零度の個体に閉じ込め、一気に何千万度の炎で大爆発を起こさせる究極必殺技。よく死ななかったな。
実は今日、4月27日ということで、記念に番外編EXを作っておりました。今日中に出すのでもうしばしお待ちを......