最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
今回はただの異形郷です。おまけ。
ほのぼのしてるよ。
数ある世界の中でも珍しいとされる世界、異形郷。この世界には一人の母なる存在から生み出された異形なる者達が複数暮らしている。彼らを種族別に分けると人間、妖怪、神や獣など多種多様だが、特に争いも起きることなく、それぞれの住処を持って生活している。
ここは異形郷、美しくも残酷なこの世界で一つ、彼らの歴史を揺るがすほどの出来事が発生することに気がつくものは、極小数を除き誰もいなかった。
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〜 魔王城王室 〜
「全員集まったようだし、UNOやるわよ」
「オイ!? 聴いてネェぞそえなこと!! おま、ヒョットしてアホなの魔王? 亜保! こんなクソ妄想思考を文字に変えても誰も得しないぞ。」
「カチカチカチカチカチカチカチカチ......」
状況を全く把握出来ていない異形魔理沙と異形霊夢。いきなり魔王城への招待状を咲夜から直接貰ったため、宴会でも開くのかと淡い期待を寄せていた二人だったが、見事に打ち砕かれた。
「煩いわコソ泥。私が決めた以上、貴方達に拒否する運命はないのよ。理解したらUNOやるわよ」
意見を曲げる気のない魔王、異形レミリア。どんな理由があってUNOをやりたがるのかは誰も察することができないが、とにかくUNOをやりたいらしい。
頑固なレミリアに対し、眉間にシワを寄せる異形魔理沙。あまりにも期待ハズレな結果に腹を立てている模様。
「諦めましょう魔理沙さん。魔王様の意見を曲げられるのはお母様しかいません。そしてそのお母様もダウトにノリノリである以上、私達に勝ち目はありません。そうでしょう、お母様?」
「そうよ魔理ちゃん。嫌々言ってないで大人しく参加しなさい。......ほら霊夢も!」
既に諦め気味な異形妖夢が魔理沙にゲームの参加を促そうとする。と、同時に異形の母である異形紫も、不服な様子の霊夢を宥めようと頭をよしよしと撫でている。
「母上まで......、はぁ、さっさと終らせて蛙とするか」
「カチカチカチカチ......」
両者ともに夢を諦め、大人しくゲームに参加しようとする。なんだかんだお母様も参加するし、他のメンツも一緒にこういうことをするのも珍しいから、ちょっとくらい付き合ってやるかと、自分の行動を無理矢理正当化させた魔理沙。果たしてこのゲームをやる必要性が何処に存在するというのか。否、全く無いだろう。これはただのお遊びであるのだから。
魔王城にて、熾烈な戦いが幕を開ける。
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参加メンバーは異形霊夢、異形魔理沙、異形レミリア、異形紫、異形妖夢、そして主人に強制参加させられた十三騎士団団長、異形咲夜の六名に決定された。
「能力の使用は禁止よ。その証として、母上特性の『能力封じの腕輪』をしてもらうわ。ほらさっさと付けなさいイナゴ共。母上は別につけなくてもいいわよ」
「母上だけECO非遺棄だぞチスイコウモリ....っと間違つた魔王様wwwwww」
「霧雨魔理沙様、今すぐ撤回を。魔王様への不敬が見受けられます」
「まぁまぁまぁ、落ち着いて。レミィ、私も腕輪を付けるわ......だからもっとみんなに優しくしてあげて。魔理ちゃんは直ぐに煽り返すのは悪い癖よ、もっと仲良くね?」
「「母上......」」
場がなんとか収まったところで、再びルール説明が始まる。ルールは普通のUNOと同じ、手札が残り一枚になったらスペルカードと宣言し、誰かを攻撃する。最後の一枚を捨てた時に「ラストスペル」と宣言し、誰かに特大級のスペカをぶつけて勝利する。なお、スキップやドローカード、リバース、ワイルドカード(色を指定できるカード)といった特殊カードでのラストスペルは無効。した場合は二枚ドローする。スペカ宣言を忘れた場合も二枚ドローする。
また今回のルールでは、手札に同じ色も数字もない場合、山札から一枚ドローする。それが場のカードと同じ色または同じ数字、ワイルドカードならばそのまま場に出すことが可能。でなければそのままターン終了となる。
「理解出来たかしら?」
「カチカチカチカチ......」
「ささと殺ろーか」
「みなさん、割とせっかちなんですね」
「さぁ、始めましょう。美しく咲く
さっそく山札がシャッフルされ、それぞれ七枚ずつ配られる。あるものはニヤつき、あるものは困り顔に、あるものは無表情だったりと、それぞれ配られたカードに対する反応はまちまちであった。
「......?」
「オイオイ霊夢ゥ、このカードはreverseつって、出したら流れを逆転できるカード......うわ、トゲでカードが穴ぼこだなこりゃ」
「泥棒、他人のカードを盗み見するのはルール違反よ」
「うっせーな、俺とレイイムは一新胴体よ」
「魔理沙さん、それ言い訳になってないです。」
少々準備に時間を要したが、ついに場は整えられた。能力封じの腕輪を付け、隣のプレイヤーに自分の手札を見られないよう両腕を胸に引きつける。
「まずはジャンケンね......」
どのゲームであれ、先行を取ることは場の流れを作る絶好のチャンス。この場にいる全員が敵の行動を予測し、己が勝利する道を切り開こうとし、視線が交差する。全員、本気なのだ。
『『最初はグー!! じゃんけん......』』
『『ポンッ!!!』』
「ッしゃあ! 私の勝ちィ!!」
「じゃあ魔理ちゃんから時計回りね」
「能力さえあれば私が先行になる運命だったのに......」
「自分で能力禁止にしといて何言ってるんですか........。」
勝った異形魔理沙から時計回りのため、順番は魔理沙→紫→霊夢→妖夢→咲夜→レミリアの順となった。
不服な様子のレミリアを置いてけぼりにして、順に手札を捨てていく彼女たち。前半は手札不足による山札からのドローということは起きないため、特に何も無く順番が回る。現在の場のカードは緑の5、ここでレミリアが変なことしなければ、二周目のスタートである。
「リバース」
ここでレミリア、緑のリバースを使用。時計回りから反時計回りへと順番が変わり、魔理沙のターンが先延ばしされる。
「は??? おい、俺の番何取ってくんすか」
「ルール上何も問題ないでしょう? これも一興よ」
「ドンマイです、魔理沙さん」
あっけらかんとしたレミリアの態度に腹を立てつつも、次の自分のターンが来るまでじっと堪える異形魔理沙。魔理沙の手札にはドローカード二枚とワイルドドローカード(相手に四枚引かせて、色を指定できるカード)一枚が入っているため、自分のターンさえ回ってくれば、レミリアの手札に打撃を与えられるのだ。サァッッ!! 濃い!!
「スキップ♡」
「母上ェェエエエエエエ!!!!」
「フフフごめんなさい魔理ちゃん。ちょっと苛めたくなっちゃった♡」
「流石ね母上。ドンマイ、ドブネズミ」
「お前次のターンこそ覚悟しておけ。泣き叫んでカリスマブレイクしても許しを乞わねぇから」
やっと魔理沙のターンが訪れると思いきや、母上がスキップを使ったため、次のターンはレミリアへと移行する。グッと唇を噛み締め、レミリアに中指を立ててなんとか自我を保つ魔理沙。その様子を嘲笑う魔王。姿が異形と言えど、雰囲気はまるで仲の良い家族のようだ。
三周目、今度こそはと待ち構える魔理沙。逆に言うなら、もう二度と特殊カード使うなカス。
「ほら魔理沙、貴方の番よ」
「はぁ〜、殺っとKitaca。レメィ、てまえはここで終りだッッ!!!」
ドンッと音を立てながら魔理沙は二枚のカードを一気に出した。それは一周目からずっと大切に持っていたドローカード二枚。あのクソッタレ魔王に会心の一撃を与えるべくずっと堪えていた鬱憤を今、解き放ったのだ!!
「奇遇ねドブネズミ、私もドローカードあるわよ」
「合計三枚のドローカードを確認、ドローカードで対処」
「えぇっ八枚!? そんなぁ......あんまりだ」
「痛てぇ、ちょ痛んだけど!! おい半人! お前の半霊がさっきからチクチク刺してくんだ!! 止めさせて差し上げろ」
「あー、私が八枚カード引いた原因が魔理沙さんだったからですかね.........。もう、チクチクしたらダメって言ってるのに......」
八つ当たり気味に異形妖夢の半霊が魔理沙にネチネチと突っかかる。たかが半霊ごときの弱めなタックルに負けるほど魔理沙は弱くないが、この半霊、体中から刃が飛び出ているため、タックルするたびに目や脳に刃が突き刺さるのだ。
なんとか半霊を宥めさせ、ゲームが再開される。現在最も手札が多いのは妖夢だが、次に多いのは魔理沙である。この流れのままだと妖夢とサシで勝負するハメになるため、なんとしてでもこの流れを断ち切らなければならないが、方法が全く思いつかない。
「......スペ......スペカ......スペカッ!!」
ここで霊夢のスペカ宣言。身体中から無数の針が飛び出し、いつでも準備万端。最初の犠牲者はいったい誰になるのか。
「えっ......私?」
「...............」コクリ
霊夢は無言で妖夢に近づき、無数の針で妖夢を滅多刺しにする。肌が見えないほどに針が敷き詰められ、あらゆる関節という関節に針を突き刺した。これが誰も血を流す必要の無いスペルカードゲームだなんて口走るものがいれば、即刻処分されるだろう。ガンジーでも助走つけて殴るレベル。
だが滅多刺しにされた妖夢は何事も無かったかのようにゲームを再開。異形妖夢の骨は何者にも切断されない頑丈な骨なため、霊夢の針攻撃も難なく受け止めることができた。
こうして、ちゃくちゃくとゲームは進行していった。
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「結局残ったのは俺とお前か」
「タイマンよ変態魔法使い。ま、貴女が私に勝つ運命なんてないけどね」
現在残っているプレイヤーは二名。異形魔理沙と異形レミリアである。一抜けは霊夢、次に咲夜、その次は紫、妖夢と抜けていき、残ったのはあの二人だけ。スペカとラストスペルのせいで魔王城が血まみれになってしまったが、ゲームはまだ終わらない。
「勝つ運命? 知ったこちゃあないね。相手が魔王だろうとなんだろうと、お前が臨む未来が全て現実になるでも? 魔理沙さんのこの手札見て諦めをつけろッッ!!!!」
魔理沙が必死に手札を整え、わざと手札から出せるカードが無いと言って山札から集めに集めた特殊カードたち。上手く要らないカードを処理し、ついに魔理沙の手札は四枚、相手は二枚。勝つる。
「ワイルドドローカード×3枚、色は蒼な。」
相手にカードを四枚引かせる+色を指定できるワイルドドローカードが三枚、つまり相手は12枚もののカードを引かなければならない。そして魔理沙は......
「スペルカードッ!! 弧野兎螺未歯羅沙頽雄繰辺黄可!!」
字的に全く読み方の分からない攻撃がレミリアの頬を襲い、レミリアごと壁に叩きつける。要はただのグーパンチ、そうとうストレスを溜めていたようだ。
だがこれで手札の差は11枚。カードを引いたとはいえ、ヤツが取れる手段と言えば私の指定した青色のカードを出さないことだ。普通に考えて、この局面で色を青にしたということは、最後の手札が青なんだろうと相手が予測するのは必然的。
駄菓子菓子!! 私が青と言ったのはただのフェイク、私の最後の一枚の色の正体は黄色だ。これで私がこのゲームを抜けられる確率は三分の一までに絞ることができただろう。後はこの確率を引き当てるだけで私の勝利は確定する。さぁ、とびきりのエンターテイナーによるフィニッシュを。
「あら、いつから勝利したと勘違いしているのかしら? 頭が幸せそうでなによりだわムシケラ」
「あ"ー? 日本語喋れるぅ? この状況を把握出来ないのかチスイコウモリ。お前はッ! 負けるんだよ!」
「そんなに自信満々なのね。じゃあ、負けた方は罰ゲームをするっていうのはどうかしら。負けないんでしょ?」
「ほーん。自分から死んでいくスタンスは嫌いじゃないよ。彫ら、さっさとカードを場に出せや」
はよ出せと急かす魔理沙の顔を見て、笑いを堪える魔王様。いや、隠すことなく笑っていた。魔理沙の姿を嘲笑いながら、彼女は手札を公開した。
「リバース、リバース、リバース、リバース、リバース、スキップ、スキップ、スキップ、スキップ、4、2、スペカ、7、ラストスペル」
「は? ちょ? おま、おママっ、おまっ、え? それ犯則だろ。リバースの後、naturalにスキップ入れる上に数字? それ犯s」
「いつから普通のルールだと勘違いしてたのかしら? 常識に囚われているようじゃ、この世界を生き抜くことなんて出来ないわよ最強の魔法使い(自称)」
「それとコレは関係ねぇーだrグゲバァ!!!」
グングニルが地面から無数に生えだし、魔理沙の五臓六腑+顔面が容赦なく貫かれる。肉片が零れ落ち、内臓が丸見えになり、見るも無惨な死体が完成された。なお、生きている模様。
「じゃ、罰ゲームね」
「これも十分罰ゲームだとおまわん?」
「当たり前じゃない。じゃ、罰ゲームの内容を伝えるわ、心して聞きなさい泥棒」
「帰っていい?」
とてつもなくお家に帰りたい魔理沙だが、何はどうあれ負けた以上は話を聞こうと、そう思った魔理沙であったが。
まさかこれが原因でアレがこーなるなど、この時、一人を除いて誰も知ることは無かった。
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レミリアは機密事項なのか、魔理沙の耳元でコソコソと内容を告げる。そのとんでもない内容に魔理沙は嫌な顔をするが、こちらにもメリットはあるにはあるので、その計画に参加することにした。
「母上を喜ばせるいい機会じゃない?」
「そうだが......、俺の役割が酷くね?」
「我慢しなさい。」
再び魔理沙が苦い顔をしたが、ちらと後ろを向くと、母上がニッコリと笑顔で手を振っていたため、逃げられないのだろうと悟り、観念した。
「カチカチカチカチ......」
「あー? 何の話すてたって?」
レミリアと魔理沙のセリフが気になったのか、魔理沙に内容を説明してもらうとせがんできた異形霊夢。すると魔理沙は少し深呼吸を入れた後、クルリと出入口への道を歩みながら言葉を漏らした。
「ちょっと世界征服の計画をな」
時間ギリギリィ!! なんとか間に合ったぞい。
虐殺系出来なくてすまん。あまり私の性分には合わないようだ。代わりに彼女らが身を削った遊戯をしてくださったから勘弁しt((r
いろいろ紹介
異形レミリア:ここでのオリ設定。人の名前を覚えない(覚える気がない)。常に相手を見下し、いつでも強者の余裕を見せつける魔王城の主。カリスマブレイクは一切することは無く、常に王者の風格。能力は最上位の運命系能力だが、能力はフメイ。
ガチのオリ設定。
異形紫:全ての異形たちの母親らしく、姿はほぼ八雲紫と変わらない。一応ここでの設定は、自分の生み出した異形達が大好きで、愛している。それ以外は全て利用されるだけのただの道具。
最近はよく魔理沙を弄る。
ギリギリアウトか。