最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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【あらすじ】

おきのどくですが
ぼうけんのしょ1ばんは
きえてしまいました。




番外編EX 異形のワンダーランド(427話)

 

 

 数ある世界の中でも珍しいとされる世界、異形郷。

 

 この世界には一人の母なる存在から生み出された異形なる者達が複数暮らしている。彼らを種族別に分けると人間、妖怪、神や獣など多種多様だが、特に争いも起きることなく、それぞれの住処を持って生活している。

 

 ここは異形郷、美しくも残酷なこの世界で一つ、彼らの歴史を揺るがすほどの出来事が発生することに気がつくものは、極小数を除き誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

【魔王城王室】

 

 

 魔王城、それは"魔王"と呼ばれる最凶の悪魔が根城とする場所。

 

 あらゆる怪物が跋扈する異形郷において、"魔王城"ほど危険な場所はない。龍人に魔女、十三騎士団、そして魔王と、他の怪物とは一線を画す存在が何体も存在している。

 

 そんな悪夢のような城の王室に、二匹の怪物が招かれた。

 

 片方は紅白の巫女姿をした怪物、もう片方は白黒の魔法使い姿の怪物だった。

 

 魔王は座っていた玉座から立ち上がり、テーブルに置かれた"あるもの"を手に掲げ、宣言する。

 

「UNOをやるぞ」

 

 魔王はUNOのカードを取り出し、シャッフルし始めた。

 

「……気でも狂ウたか? まサかそな事のタめに俺達を呼ン出したワけじゃねェかろうな魔王(笑)さンよォ?」

 

「カチカチカチカチカチカチカチカチ……」

 

 最強の魔法使い『異形魔理沙』は手に持っていた招待状を目の前でビリビリに破き、投げ捨てた。

 

 タダ飯が食えると踏んでわざわざ足を運んだというのに、用意されたのは飯ではなくUNO。そんな児戯に付き合っている暇はないと、二人は強く不満の声をあげる。

 

「私が決めた以上、貴様らに拒否する運命はない。さァ、UNOをやるぞ」

 

 魔王『異形レミリア』は意地でも二人にカードゲームをやらせる気のようだ。既に二人の運命はUNOをやる未来に固定され、あらゆる可能性が収束している。

 

「オイ、手前も自称魔王に呼ばレた口だろ。何とかシろ」

 

 異形魔理沙は隣りの、さらに隣りに鎮座するもう一人の異形に声をかける。

 

 その者は二本の剣を持ち、四本の腕を持つ全身傷だらけの怪物『異形妖夢』。彼女は膝を着いたまま、二人の方に視線を向ける。

 

「……諦めましょう魔理沙さん。魔王様の意見を曲げられるのはお母様しかいません」

 

「そして母上も乗り気である以上、私達に勝ち目はありません。そうでしょう、母上?」

 

 剣士、"異形妖夢"が視線を向けると、この異形郷の母たる存在、"八雲紫"が現れる。

 

「たまには息抜きするのも良いじゃない」

 

 紫は異形魔理沙と針巫女『異形霊夢』の肩を抱き寄せ、ゲームへの参加を催促する。

 

「母上まで……。ハァ、さっさと終らせてけぇルとすろか」

 

「カチカチカチカチ……」

 

 二人は渋々ゲームに参加することとなった。この面子、こうも出揃うのは数千年ぶりか。知り合いのよしみで付き合ってやるのも行幸かもしれんと、異形魔理沙はそう考えた。いや、そういう運命(シナリオ)なのだろう。

 

「ホラ、配れよ従者。ゲームにイ寸き合ってやる」

 

 こうして、魔王城にて地獄のUNOが始まった。

 

 

 

 

 

 

 ゲームへの参加者は異形霊夢、異形魔理沙、異形レミリア、紫、異形妖夢、そして強制参加させられた十三騎士団団長兼従者『異形咲夜』の六名に決定された。

 

「能力の使用は禁止。その証として、母上特性の『能力封じの腕輪』をしてもらう。ホラ、さっさと付けるがいいイナゴ共。母上は別だがな」

 

「母上だけECO贔屓だぞチスイコウモリ……っと間違ッた魔王様(笑)wwwwww」

 

「霧雨魔理沙様、今すぐ撤回を。魔王様への不敬が見受けられます」

 

「落ち着きなさい、咲夜」

 

 二人が揉める中、紫が咲夜を呼び止める。

 

「……レミィ、私も腕輪を付けるわ。これで公平でしょう?」

 

「貴様が口答えしたせいで母上が貴様の戯言に耳を傾けたぞ。どう責任を取るつもりだ?」

 

「手前が巫山戯たルゥルキメるからだろが」

 

「喧嘩しない」

 

 紫の手腕によって場が一時収まったところで、再びルール説明が始まる。

 

 ルールは通常のUNOと基本的には同じであり、手札が残り一枚になったら"スペルカード"と宣言し、誰かを攻撃する。最後の一枚を捨てた際には「ラストスペル」と宣言し、誰かに特大級のスペカをぶつけて勝利する。

 

 なお、スキップやドローカード、リバース、ワイルドカード(色指定カード)といった特殊カードでのラストスペルは無効。した場合は山札からニ枚カードを引く。スペカ宣言を忘れた場合も二枚カードを引く。

 

 また今回のルールでは、手札に同じ色も数字もない場合、山札から一枚カードを引く。それが場のカードと同じ色または同じ数字、ワイルドカードであればそのまま場に出すことが可能。でなければそのまま次のプレイヤーの番となる。

 

 また、ドローカードでカードを引かされた人は強制的に順番を飛ばされることも覚えておく必要がある。

 

「質問はあるか?」

 

「カチカチカチカチ……」

 

「ささと殺ろーか」

 

「みなさん、割とせっかちなんですね」

 

「では、始めよう」

 

 さっそく山札がシャッフルされ、それぞれ七枚ずつ配られる。あるものはニヤつき、あるものは困り顔に、あるものは無表情だったりと、それぞれ配られたカードに対する反応はバラバラであった。

 

「……?」

 

「オイオイ霊夢ゥ、このカードはreverseつって、出したら流れを逆転できるカード……うわ、トゲでカードが穴ぼこだなこりゃ」

 

「霧雨魔理沙様、他のプレイヤーのカードを盗み見するのは原則厳禁です」

 

「うっせーな、俺とレイイムは一新胴体よ」

 

「魔理沙さん、それ言い訳になってないです」

 

 少々準備に時間を要したものの、ついに場は整えられた。能力封じの腕輪を付け、隣のプレイヤーに自分の手札を見られないよう両腕を胸に引きつける。

 

「まずはジャンケンね」

 

 紫が握り拳を出すのに合わせて、他の異形たちも片手を前に出す。

 

「じゃんけん……」

 

「ぽん」

 

 紫の掛け声に合わせてジャンケンを行った結果、異形魔理沙が単独で勝利した。

 

「ッしゃあ! 俺の勝ちだクソボケェ!!」

 

「じゃあ魔理ちゃんから時計回りね」

 

「不愉快だな」

 

「カチカチカチカチ……」

 

 勝者である異形魔理沙から時計回りで順番を回すこととなり、結果として魔理沙→紫→霊夢→妖夢→咲夜→レミリアの順となった。

 

 大層不服な様子のレミリアを放置し、順に手札を捨てていく彼女たち。現在の場のカードは緑の5、ここでレミリアが動かなければ、二周目のスタートである。

 

「リバース」

 

 ここでレミリア、緑のリバースを使用。時計回りから反時計回りへと順番が変わり、魔理沙のターンが先延ばしされる。

 

「は??? おい、俺の番何取ってやがる」

 

 真顔で訴える魔理沙に対し、レミリアはフッ……とほくそ笑んだ。

 

「良い気味だな。貴様の腑抜けたツラを肴に、ワインを嗜みたいところだ」

 

「ドンマイです、魔理沙さん」

 

 妖夢がフォローするも、依然として眉間に皺を寄せる魔理沙。だが魔理沙は自身の手札を見て、レミリアと同様にほくそ笑む。

 

 魔理沙の手札にはドローカード二枚とワイルドドローカード(相手に四枚カードを引かせつつ、色指定ができるカード)一枚。したがって自分の番さえ回ってくれば、レミリアの手札に大打撃を与えられる。

 

 その時を今か今かと待ちわびていた魔理沙だったが、思わぬ攻撃が襲いかかる。

 

「スキップ♡」

 

「母上ェェエエエエエエ!!!!」

 

 紫がスキップカードを使用したことで魔理沙の番が強制的に飛ばされてしまった。

 

「流石だ母上。犬畜生に相応しい末路といったところか」

 

「手前次の番が来たらマジで殺すかンな?」

 

 相も変わらずレミリアが煽ったことで、魔理沙の殺意は頂点に達していた。

 

 三周目。ようやく魔理沙の出番が回ってきた。

 

「やっトか。レメィ、手前はここで死ね」

 

 ドンッと音を立てながら魔理沙は二枚のカードを一気に出した。それは、一周目からずっと抱えていたドローカード二枚。ここにきて攻勢が逆転する。

 

「残念だが、余も持っている」

 

「合計三枚のドローカードを確認、ドローカードで対処」

 

 しかしレミリアと咲夜もドローカードを出すことで回避し、最終的に異形妖夢が場に出たドローカードの枚数×2、すなわち8枚、カードを引くこととなった。

 

「えぇっ八枚!? そんなぁ……あんまりだ」

 

 悲しむ妖夢を見かねたのか、半霊がひっそりと魔理沙の背後に周り、幽体から飛び出た刃で何度も魔理沙の背中を突き刺した。

 

「痛てぇ、ちょ痛ンだけド!! オイ半怪人! 手前の半霊がさッきからチクチク刺してくンだ!! 止めさせて差し上げろ」

 

「あー、魔理沙さんがドローカード出したせいで半霊が…………もう、チクチクしたらダメって言ってるのに……」

 

 ヨシヨシと、半霊を宥める異形妖夢。躾のなってない半霊に一発分からせるべく、魔理沙は立ち上がって妖夢の半霊に殴りかかる。

 

 しかし魔理沙の蛮行は霊夢と紫の手によって阻止され、再びゲームが再開する。

 

 現在、最も手札が多いのは妖夢だが、次に多いのは魔理沙だ。この流れだと魔理沙は妖夢とサシで勝負することになるため、どうにかしてこの流れを断ち切りたいところ。しかし、魔理沙の手札はさして強くない。

 

「……スペ……スペカ……スペカッ!!」

 

 ここで霊夢のスペカ宣言。身体中から無数の針が飛び出し、臨戦態勢に移行する。

 

 霊夢は無言で妖夢の方を見た。

 

「えっ.私?」

 

「………………」コクリ

 

 霊夢は無言で妖夢に近づき、無数の針で妖夢を滅多刺しにする。肌が見えないほどに針が敷き詰められ、あらゆる関節という関節に針を突き刺した。

 

 だが滅多刺しにされた妖夢は何事も無かったかのように、落としたカードを拾い始める。

 

 こうして、着々とゲームは進行していった。

 

 

 

 

 

 

「結局残ったのは俺とお前か」

 

「これで貴様が最下位であることは確定したな」

 

「負けてねェよ」

 

 現在残っているプレイヤーは異形魔理沙と異形レミリアのみ。スペルカードとラストスペルにより王室が血まみれになるも、両者は真剣にカードと向き合う。

 

「負けるのはテメェだよ、コウモリ野郎」

 

 魔理沙が必死に手札を整え、わざと手札から出せるカードが無いと言って山札から集めに集めた特殊カードたち。その気になれば何時でもアガれたが、このコウモリを高みから嘲笑うためにわざと最下位争いにもつれ込んだ。

 

 要らないカードを処分し、ついに魔理沙の手札は5枚、相手は二枚。ここから魔理沙の逆転劇が始まる。

 

「ワイルドドローカード×3枚、色は蒼な」

 

 相手にカードを四枚引かせる+色を指定できるワイルドドローカードが三枚、つまりレミリアは12枚ものカードを強制的に引くこととなった。

 

「そんでスペルカードッ!! 弧野兎螺未歯羅沙頽雄繰辺黄可!!」

 

 字的に全く読み方の分からない攻撃がレミリアの頬を襲い、レミリアごと壁に叩きつける。気に入らないヤツをブン殴るのは、なんと心地のいいものか。ゾクゾクとした快感が魔理沙の背筋を伝う。

 

 そして、盤面に出された青色の5のカード。そして魔理沙の最後の手札は青色の3。レミリアは場のカードの色を変えるか、ドローカードを出さない限り敗北が確定する。

 

 捨て札には全てのワイルドドローカードが見えているため、レミリアの手札には確定でワイルドドローカードが無い。その上、他のドローカードもだいぶ捨て札に溜まっているため、その選択肢も限りなく細い。

 

 せいぜいその細い勝ち筋を祈りながら死ぬがよい、そうほくそ笑む異形魔理沙。だが、魔王は不敵な笑みを浮かべた。

 

「余は言ったはずだ、"貴様が最下位であることは確定している"と」

 

「あ"ー? 日本語喋れるゥ? この状況を把握出来ないのかデスモダス野郎。お前はッ! 負けるんだよ!!」

 

「大層な自信だな。余が敗北する未来など無いが、余興だ。この試合で最下位になったものは罰ゲームを受ける、というのはどうだ」

 

「ほーん? 自ら死んでいくスタンスは嫌いじゃないよ。彫ら、さっさとカードを場に出せや」

 

 はよ出せと急かす魔理沙の顔を見て、笑いを堪える魔王様。いや、隠すことなく笑っていた。魔理沙の姿を嘲笑いながら、彼女は手札を公開した。

 

「リバース、リバース、リバース、リバース、リバース、スキップ、スキップ、スキップ、スキップ、4、2、スペカ、7、ラストスペル」

 

「は? ちょ? おま、おママっ、おまっ、は? それ犯則だろ。何スキップの後普通に数連続で出して……それ犯s」

 

「いったいいつから、"通常"のルールだと勘違いしてた?」

 

「なに……?」

 

「基本的なルールはUNOと同じだが、別に自分の番に別の数字を連続で出してはいけないルールなど、無い」

 

 魔王が宣言したスペルカードとラストスペルが同時に発動し、王室内が血の紋章で紅く染まる。

 

「おま巫山戯んnグごバッッ!!!」

 

 一瞬の刹那、異形魔理沙の真下から無数のグングニルが生えだし、魔理沙の五臓六腑+顔面がくり抜かれる。肉片が爛れ落ち、内臓が丸見えになりがらも、ピクピクと彼女は痙攣していた。

 

「では、罰ゲームだ」

 

「これでも十分罰ゲームだとおまわん?」

 

 目をくり抜かれたまま口を開く魔理沙。だが誰も耳を貸さない。

 

「余がこんな下らぬ茶番を開いたのには、理由がある」

 

「何だよ」

 

 不機嫌そうにグングニルを引き抜く魔理沙に対し、魔王は近くに寄るよう手招きをする。

 

「耳を貸せ。ついでに罰ゲームの内容も教えてやる」

 

「いらねェ」

 

 はァ……と溜め息をつきつつも、魔王の口元に耳を寄せる異形魔理沙。

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 機密事項なのか、レミリアは魔理沙の耳元でコソコソと内容を告げる。その内容に魔理沙は心底嫌な顔をした。

 

「はァ……クソゲー過ぎる」

 

「それが敗北した者の末路だ」

 

「気に食わねぇな。マジでコレ終わったら真っ先にお前をブッ殺してやる」

 

 魔理沙はそう言い残した後、チラッと背後に目を向ける。そこには、優しく微笑みながら手を振る母上の姿があった。

 

(気に食わねェ)

 

 異形魔理沙はここまでの流れを理解し、そして魔王のシナリオの上で転がされることに、苛立ちを覚えた。

 

「カチカチカチカチ……」

 

「あー? 何の話すてたって?」

 

 レミリアと魔理沙の会話が気になったのか、魔理沙に内容を説明してもらうと、異形霊夢はせがんだ。すると魔理沙は少し深呼吸をした後、クルリと出入口の方へ進みながら言葉を漏らした。

 

 

「ちょっと()()()()の計画をな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






【紹介コーナー】

●異形レミリア
→東方異形郷に登場するキャラクター。初登場は『ルーミア編第3話』。通称"魔王"。尋常ならざる運命力の持ち主らしいが、能力は不明。配下に十三騎士団がいる。

●異形霊夢
→東方異形郷に登場するキャラクター。初登場は『プロローグ』。博麗霊夢と容姿が似ているが、顔面が陰陽玉で形成され、陰陽の境目が口のようになっている。針の扱いが上手く、勘がよく働く。

●異形妖夢
→東方異形郷外伝作品『異形の廃園』に登場するキャラクター。全身の骨が死ぬほど固く、たとえ主人に噛みつかれても耐えうる強度を持つ。また半霊の見た目が物騒。

●異形咲夜
→東方異形郷に登場するキャラクター。初登場は『フラン編第1話』。十三騎士団と呼ばれるエリート集団の頂点に立つ騎士団長。巨大な剣と時間停止能力を持つ。







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