最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
爆豪VS結依......ここに極まれり。
雄英高校受験編を編集。大筋はあまり変えず、説明を書き足した感じで......、難しいなぁ。
50話到達!! よし、次は100話だ!!
お気に入り400突破!! なんか色々とめでたい!
幾多の戦いをくぐり抜け、ついに最後となった雄英体育祭一年勝ち抜きトーナメント。TOREやったり、騎馬戦やったり、アクシデント発生したりと大変だったが、この決勝戦を持って全てが閉幕する。そう、爆豪との決着をつけてラストだ。
「爆豪ォオオオオオオオオオ!!!!!」
「ボサボサァアアアアアアアアア!!!!」
互いに右手を構えながら一直線に走り、立ち向かう。なんだろう、このTHE・最終決戦みたいな雰囲気は......シチュエーションが私好みで興奮度MAXなんだが。やる気が湧いてくるぜ。
爆豪の右手の大振りが目前まで迫っている。だが遅い、私の鍛え上げた動体視力の前では、爆豪の動きなどカタツムリ同然。しかも何度も見慣れた右手の大振りが来たのだから尚更喰らうわけがない。
私は爆豪の攻撃を弾きつつ、投げ技でカウンターを決めようと仕掛ける。やはり遅い、覚醒すれば反応できると思うがどうやら今は使う気配はないようだ。初手の一撃は私が頂くとしよう。
「見えてるわボケ」
首根っこを掴んだ途端、腹部でかなり強烈な爆発が発生し、衝撃で吹き飛ばされる。うへぇ、足の皮剥けてそうで怖いわぁ。というか、カウンターをカウンターで返すなんて相当強くなってんな爆豪。
「初反撃じゃない? 爆豪きゅん」
「テメェと訓練した時もこれくらいやってるわボサボサ」
「まぁ、そうだねぇ。でもまだまだだよなぁ!」
爆豪のいる方向に右手をかざし、個性を発動させる。昔手に入れた爆豪の個性と炸裂の個性、組み合わせることで強力な攻撃へと転じる。私の今までの努力を見るがいい......
「エクスバースト」
直線上に連鎖爆発を起こしながら襲いかかる魔理沙の攻撃。いきなり初見技を撃ってきた魔理沙を睨みつつ、爆破を使って爆豪は大きく右に回避した。やりおるな......だがまだ私のターンだ。
「からのザ・マウンテン!!」
追撃は戦闘の基本、回避後は隙が出やすいのでちょっとデカめの技を放つ。本来は超次元サッカーで使うべきブロック技だが、下から山が突き出るだけでも十分な破壊力を出せるので採用した。案の定、爆豪も空中に投げ出されてるしな。
「ほんとテメェの個性何でもありだな。対策もクソもねぇ」
「それは私への褒め言葉として受け取っておくよ。青山レーザー!!」
最近使ってあげてなかった青山の個性、ネビルレーザーで空中にいる爆豪へさらに追撃をかける。三秒以上射出すると下痢になりかねないので気をつけなければ。試したことないけど。
「二度も効くかよ」
余裕をかます魔理沙の隙を利用し、爆轟は軽くビームを避けて錐揉み回転しながら魔理沙に突撃。その行動が次にどう繋がるか悟った魔理沙だが、時既に遅し。素の回避もガードも出来ないまま攻撃が放たれた。
「
ゲボハァッッ!!!!!
ステージの半分が爆発で見えなくなるほどの大規模かつ強烈な爆発が前半身を焦土に変え、爆風が魔理沙をステージから追い出そうと襲いかかる。立ち位置がステージの端だったのも悪く、普通に考えれば場外アウトでゲームセットだろう。
しかし魔理沙の辞書に「敗北」の文字は無い。
煙が晴れ、爆豪が次の動きを読むべく警戒態勢をとるが、魔理沙の姿は見当たらない。代わりに何故か見たことの無いコウモリのような動物が複数、爆豪の周りを煽るように漂っていた。
怪しさを隠しきれないコウモリに、爆豪は容赦なく攻撃を仕掛ける。するとコウモリは、キキキッ! と不思議な鳴き声を上げながら逃げていき、爆豪の目の前で人の形を形成する。勘のいい爆豪は既に気づいていた、あのコウモリの正体は......
「魔理ちゃん復活!! さぁ、まだまだ勝負は終わんないぜ?」
結依魔理沙が正体を現す。コウモリの姿へと変えることでダメージを最小限に抑えるかつ移動も可能にする技、「バットウィズイン」によって爆豪のハウザーを避けることに成功した。カッコイイよねこれ、出来ればウィッチタイムも使いたいけど、流石に面白くないのでピンチの時以外使わない。ん、常闇にザ・ワールド使ったからウィッチタイムくらいいいだろって? あれはノリだ。
「コウモリにもなれんのかボサボサ野郎」
「リクエストがあるのならご自由にどうぞ爆豪きゅん。例えば......ドラゴンとかな」
たった今思いついたことを即実行する魔理沙。こういう対策の取りようのない変幻自在のスタイルが魔理沙の強みであり、最強と呼ばれる所以であろう。いくら相手が見ただけで完璧に把握することが出来たとしても、次から次へと新しい牙を差し向けられてはどうしようもないのと同じであり、その事実に気づいている爆豪は終始しかめっ面である。いや、気づいてなくても終始しかめっ面でいるだろう。
魔理沙の背中には変幻自在の銀の翼が飛び出し、肌には並の金属を軽々と弾く強力な鱗がビッシリと生え、顔は完全に霧雨魔理沙とかけ離れた龍の顔へと変貌していた。おまけに尻尾も生えている。
魔理沙が変身したのはモンスターハンターの古龍、バルファルク。古龍なのに間違ってシビレ罠置いてしまったランキング上位にランクインする彼の速さはジェットエンジンのごとく、あらゆるものを吹き飛ばすスタイリッシュなモンスター。そのためか体は流線型の形で、翼は二種類の形に変形できる。カッコイイ。
「キィィィィィィィィィィィィン!!!!!」
バルファルク特有の咆哮を天に向けて叫び、爆豪に向かって超音速アタックをかます。ごめん嘘、ステージが小さいため超音速というよりただの巨体を活かしたタックル。だがしかし爆豪にとっては有効打になるはずだ。だってデカいし。
しかし爆豪の姿が見当たらない。背後に周りこんだ形跡は見られなかったはずだgケバブッッ!!!
体の真下から膨大な爆発により体勢を崩したバルファルクもとい結依魔理沙。どうやら爆豪は瞬時に弱点を見抜いてバルファルクの真下に潜り込み、強烈な一撃を加えたようだ。クソッ、逆に巨体を利用されてしまったか!
「
だがしかし、魔理沙は爆豪の爆発の反動を利用してバルファルクお得意のカウンター、振り返ってからの刺突翼叩きつけが見事爆豪に命中し、翼爪で体の動きを封じる。フフフ、甘いんだよ爆豪きゅん。ブレイブ回避も出来ないお前がバルファルクの翼叩きつけを避けられるわけなかろう。もっと学んでくるがよい(上から目線)。
「が......ぅごけねぇ!」
「ほらほらどうした爆豪きゅん。最初の勢いはどうしたんだい、ほらぁ?」
時間経過と共に爆豪に重心を傾ける結依魔理沙。時間が経てば経つほど爆豪の体への負荷がドンドン増えていき、早めに脱出しなければ背骨がへし折れるだろう。しかし人間と比べ物にならないくらいの体重を持つ古龍の押さえつけから脱出するのは不可能なため、押さえられた時点で爆豪は負け確定なのだ。
だが爆豪にはたったひとつ、脱出の手段がある。それは爆豪が障害物競走で緑谷に見せた最強状態、「覚醒」.....魔理沙がこの戦いで最も注意を払っているチート能力である。使い時は今まさにこの時であろう。
だがしかし! そんなこと心を読まなくてもお見通しだぜ爆豪きゅん!! 最大火力の爆発による反動と爆煙を利用して脱出し、油断している私を狩りに来るんだろう? だったらこっちは変身解除して甲虫王者ムシキングで定番の「スーパートルネードスロー」でカウンター&場外ENDに導いてやろうではないか!!
爆豪の体が武装色の覇気のごとく黒く染まり、手からはニトログリセリンのような汗がフツフツと吹き上がる。どうやらそろそろのようだ。いつでも来い。
「
障害物競走で巨大ロボを跡形もなく消し飛ばした覚醒爆豪の必殺技が発動。巨大な龍の姿は爆発と爆煙によって観客の目から消え、莫大な熱エネルギーがステージ全体に容赦なく拡散されていく。その隙に爆豪は魔理沙との距離を置き、体勢を立て直す。一方魔理沙は通常姿に戻り、爆心地にて「スーパートルネードスロー」の構えをとっていた。爆心地の温度は数千度。アスファルトの沸点は300度、完全に気化され、まともな足場など存在しない。足場ないくせにどう構えをとるんだよ......とか言った人は北斗百裂拳の刑に処す。
冗談はさておき、あの野郎。後始末するこっちの身を知らずに大火力技出しやがって、いつでも来いと言ったがもっと加減ができないのか......。熱変動無効とか空中浮遊とか持ってなかったら死んでたぞ。......そろそろウザイと言われかねないが私は言うぞ......「死なないけど」。
ジュッ
急に横腹あたりに温かさを感じ、視線をズラすと私の体が超高温の熱線か何かで穴を空けられているのが見えた。うっかり横腹の穴を見続けていると、爆豪が反撃の隙を与えないようにするためか、次から次へと熱線を撃ってくる。
魔理沙が腕を払うと、周りの炎がスっと消えていく。横腹も超再生によって修復され、地形も元に戻って状況は再びリセットされてしまった。これじゃ泥試合だ。私の能力の大半は危険だからセーブしなきゃ扱えないし、かといって相手を場外にワープさせるなんてことは、最終決戦的に私が許さない。だが投げ主体のこの状態でやり合うのはイマイチ火力が足りん......。
「......やめだ。せっかくの最終決戦なのに何で相手に気を使わなければならないんだ。」
何かが吹っ切れたのか、魔理沙はやれやれと両手を振りながら、ため息を吐くように言葉を続ける。
「もう幼馴染だからとか、人間だからとか、そんな理由で手加減しても面白くない。私は異形魔理沙、ギリギリの戦いをするのも好きだが、常識外れの火力で上から捩じ伏せるのも、割と嫌いじゃないんだぜ?」
「お前も好きだろう?」
直後魔理沙の殺気に近いオーラが爆豪にのみ押し寄せる。魔理沙の目付きが明らかに変化し、顔の皮が破かれて本来隠れている口元が明らかとなる。
「......最初から本気だしやがれ」
「それは悪かったな。謝るからお前もそろそろ本気出せ」
「わーかってるわクソボサボサ。テメェがいない間に練習した俺の新技を食らって死ね」
爆豪を見て魔理沙はニンマリとした悪い笑顔を見せると、首を90度曲げながら自分のこめかみに何処かから取り出した拳銃を当てた。
「顕現せよ
魔理沙はその言葉と同時に自分のこめかみを拳銃で撃ち抜き、その後爆豪の視界から消える。何が起こっているのか全く理解できず、周囲を警戒する爆豪だが、既に魔理沙の第二の攻撃は始まっていた。
「ゴールド・エクスペ「死ねッ!」ンん"!!?」
だが爆豪は起点を利かした一撃を結依の顔面に叩き込む。かなり強烈な威力が顔面に入り、流石の魔理沙も怯んだかと思えたが......
「にぃ......」
煙の中からニンマリ笑った魔理沙が爆豪の首根っこを掴み、片手で地面に叩き付ける。爆豪の一撃はザフキエルで加速した魔理沙にとって避けられるものであったが、あえて食らうことで油断させ、爆豪に一撃を食らわせる。そして薙ぎ払うように爆豪をぶん投げ、手を差し向けた。
「廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」
別空間から現れた廃れた電車が爆豪に迫る。体育祭ステージ中央に突如電車が登場したことに、観客はもう驚きの表情すら見せることは無かった。ロードローラーを境に人が殴り合いしたあの時の時点で既に感覚は麻痺し、諦めにも見える深い眼差しを彼女らに向けて、親の如く見守る。オーディエンスはそれしかできない。
これも初見技だから反応が遅れるだろうと考えた魔理沙は、自分の出した廃車の中に突っ込む。ザフキエルの力により圧倒的な速さで廃車の中を突き進み、真横から奇襲をかけようと距離を詰める。
だがその作戦はすぐさま瓦解した。爆豪が廃車内に入り込んできていたのだ。勘か、はたまた思慮深い脳みその計算結果によってか否かは定かではないが、どうやら奇襲はバレてしまったようだ。鉢合わせた二人は同時に走り、ぶつかり、近接格闘技術の応酬が始まる。魔理沙はあらゆる世界の武術を組み込んだある意味自己流の武術、爆豪は己のフィジカルを最大限に引き出す立ち回りで殴り、蹴る。狭い電車の中で二人は壮絶な戦いを繰り広げた後、天井を突破って再びステージへと復帰する。
おかしい、割と真面目に攻撃しているはずなのにドンドン適応されていく。ザフキエルで速度を上げたにも関わらずに私のCQCに応対できているのも理解し難いし、まぁとにかく攻め続けるしかない。
「マキシマムドライブ」
別空間から取り出したジョーカーのガイアメモリを能力で無理矢理引き出し、引き出されたエネルギーを拳に纏って爆豪の腹に会心の一撃を加える。
流石に今のは効いたのか、腹を押さえて後退りする爆豪。そこへさらにラッシュを撃ち込み、爆豪を大きく吹っ飛ばした。
「もうそろそろ諦めろ。腐れ縁とはいえ、別に私は爆豪を一方的にボコしたくねぇんだよ。いやあんなこと言ったけどさ、うんアレだよ、わたしも見栄を張っただけだから......な?」
少し息切れを起こしている魔理沙の下で、立ち上がろうとする爆豪。何が彼をここまで動かしているのか。その決して折れない不屈の精神はいったい何処から来ているのか。理解し難い現状を見せつけられ、表情に困る魔理沙。爆豪に向けていた殺気も消し去って様子を伺う。
「お断りだ真っ黒ボサボサ野郎。テメェに勝たなきゃ俺は一生の恥晒しだ」
「いや、別に私に負けたくらいで恥って「黙れ!!」アッハイ」
「お前に世話されたくねぇんだよ。助けられ、強くされ、手取り足取りテメェの指示に従うのはウンザリだ。女に世話される男なんて洒落にならねぇ」
爆豪の言葉に目を丸くする魔理沙だが、言葉の意味を理解したのか、頭に電球を発生させながら口を開ける。
「つまり爆豪きゅんは私を女として見ている+素直になれない自分にやきもきしてい「んなわけあるかボケカスクソゴミボサボサ野郎ォォオオオオオオオオオオオオ!!!」盛大な罵倒ッッるっはぁぁあああああ!!!!」
ローアングルからの強烈な爆裂に仰け反ってしまったが、体勢を持ち直して相見える魔理沙。爆豪も力を振り絞って立ち上がり、相手の目を見据えている。
「けどよォ、こんなクソみてぇな弱音を吐くのは恥辱の極みだが、俺の身体はもう限界だ。せいぜいあと一発、テメーの身体を場外に吹き飛ばすことしか出来ねぇ。」
「だからボサボサ、最後の一発勝負だ。全身全霊かけて俺と戦うことを誓え。微塵も手加減するな、正真正銘の一撃を全力で込めろ。それで負けたら、後はテメェが好きにやれ。悔いは残さない」
「....わかったよ爆豪、もう決着をつけよう。」
二人の立ち姿からおふざけの気配は消え、まるで永きに渡る因縁を断ち切るために戦う勇者のような雰囲気が溢れていた。悔いは残さないと、あの諦めの悪い爆豪がそう言ったのだ。それほどこの戦いに何かを見出していたのかもしれない。よくわからないがとにかく、爆豪の想いに応えてやらねば。
精神を統一し、この星に感謝するように気を高める。一万回の正拳突きとかいうネテロみたいなことはやらないが、たった一秒にこの私の全てを注ぎ込もう。大丈夫、固有結界はまだ健在のはずだ。死なない......よなぁきっと。でも手を抜いたらきっと爆豪に殺される。なら、お前の言う通り悔いの無い一撃を決めよう。それでお前が満足すらなら......それでいい。
爆豪も準備が整ったのか、覚醒全開で私と決着をつけるようだ。しかし体力の消耗が激しく、吸っても吸っても落ち着かない爆豪の姿を見て、手加減したくなる気持ちが湧いてきたが、そっとこころの隅に置いていった。それがアイツへの優しさだ。
「ウオオオオオオオオオオオ!!!!」
「ハァァァァァァァァァアア!!!!」
「ツァーリ・ボンバアアアアア!!!!」
「ふんッッ!!!!!!」
世界史上最強の核爆弾の名を冠した爆豪の全力を右腕で無理矢理ぶん殴った魔理沙。己のもつ全てのバフスキル・魔法を右腕に一気に集中させ、爆発が広がる前に一撃を叩き込む。その威力は当然ながら凄まじいものとなり、固有結界はその莫大な衝撃に耐えきれず崩壊。勢い余って壁が貫通し、爆豪は本当の場外へと飛び出してしまった。
もちろん代償も多く、魔理沙は右半身を衝撃波にもってかれた。が、お得意の超再生と別空間から取り出した完全回復薬によって復活を果たした。いや、私のことはどうでもいい。この様子だと爆豪はとんでもないグロテスクな姿へと変わってるに違いない。ごめん、思ってたより酷い結果だコレ。早く救出しないと!!
「時間停止」ブゥゥン
時を止め、ワープを使って爆豪の救出に向かう魔理沙。何はともあれ、これで体育祭全種目が無事に(マインドコントロール)終了した。生徒たちの熱い思いと観客の声援で溢れた体育祭は遂に閉会式へと移り、歴史が刻まれる。
この日を境に、魔理沙はより多くの受難と立ち向かうはめになることを、今の彼女は知る由もなかった。
____________________
「それではこれより!! 表彰式に移ります!」
わあああああああああああああああ!!!!!
......いやぁ、ヤバかった。まさか爆豪の身体が大気圏を突破して、太陽の重力を振り切って、後もう少ししたらオールトの雲を抜けそうなくらいの速さで吹っ飛ばされてたとは思わなかった。しかもあまりの極低温で冷凍保存されてるし、秒で復活させたら全ての記憶を失っていたもんだから酷く焦ったよ。上手く弄って元に戻し、私は保健室で爆豪に全身全霊の土下座をかましたのだが、何故か怒られなかった。「全力を尽くしたなら、それでいい」と、爆豪は言ったのだが私にはよくわからない。
そして現在、私達は表彰台の上に立っている。てっきり爆豪は原作のように枷でも付けられているかと思いきや、割と普通に佇んでいた。また、分身のおかげで飯田くんが轟くんと一緒に三位の台に並んで立っている。良かった、本当に良かった。マジで頑張って良かったと、心の底から涙を流したい。出ないけどな!
「メダル授与よ!! 今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」
「私がメダルを持ってk「我らがヒーロー『オールマイト』ォ!!!」」
シーン...
空高くから派手に着地したオールマイトとミッドナイトのセリフが見事にカブり、生徒たち及び観客全員に沈黙が走る。反応に困ったオールマイトが何も言わずに三位の表彰台へ歩いていくのを見て、結依は笑いを堪えていた。
「飯田少年、おめでとう! 爆豪少年に必殺技を止められてしまったのは仕方がない。が、そこで諦めずに次の一手を考えることができれば、君はさらに成長できるだろう」
「はい! ありがとうございます、先生!!」
ピシッと直角90度腰を曲げてお礼を申す飯田天哉。あまりの真面目さにオールマイトはやや狼狽えたが、いつものスマイルを見せて次の表彰へと移る。
「轟少年、おめでとう! 前より顔つきが変わったのには、何かワケがあるのかな」
「...俺は緑谷と結依にキッカケをもらって、気持ちが変わりました。ただ、まだ俺にはやらなくちゃいけないことがある。まだ取り戻せるとわかったから......」
「......深くは聞くまいよ。今の君ならきっと取り戻せる」
オールマイトが優しくハグし、次の表彰台へと移る。そこには、何か思い耽っている爆豪の姿があった。
「爆豪少年、よく頑張った。君は最後まで全力で自分と向き合い、ここまで辿り着いたね。私が君に言うことは何一つ無い、君が君自身の思い描くヒーローになれるよう、応援しているよ」
「.........次は絶対アイツをぶっ飛ばす」
「......ほどほどにね?」
相も変わらない爆豪にオールマイトは微妙な心境になりつつも、最後の表彰台へと移る。地球上で最も厄介で何考えているか全く読めない生徒、結依魔理沙の元へ。
「結依少女、三冠おめでとう! 君はこの体育祭でまた一つ、栄誉ある伝説を歴史に刻んだ。とても素晴らしいことだ、君は学校の誇りだよ」
「ありがとうございまs」
「けどね!? ちょっとやり過ぎな気がしてならないんだよねオジサン!! 君の個性は非常に強力とはいえ、制御出来ないわけではないのだろう? もっと慎みを持って、立派なヒーローになろう!! 期待しているよ!」
「はい! これからも頑張ります、先生!」
サラッと返事を返す彼女に呆れを感じながら、オールマイトは最後のメダルを魔理沙の首にかけてあげた。魔理沙は金メダルを手にすると、何処か嬉々とした表情を浮かべて大切にジャージの中へ仕舞う。人らしい表情もちゃんとあるじゃないか......と、オールマイトは失礼ながらそう感じた。
気を取り戻し、最後に一言。
「......さァ!! 今回は彼らだった!! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった!! ご覧いただいた通りだ! 競い! 高め合い! さらに先へと登っていくその姿!! 次代のヒーローは確実にその目を伸ばしている!!」
「てな感じで最後に一言!! 皆さんご唱和ください!!」
「せーのッ」
「プルスu『おつかれさまでした!!!』ルト...」
「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!」
「ああいや...疲れだろうなと思って......」
オールマイトの配慮が仇となり、観客や生徒から一斉に突っ込まれるオールマイト。お茶目なところもまた、彼の魅力なのだろう。
最後まで人を笑顔に変えたオールマイトを横目に、終始笑っている魔理沙。ガタイのいいオールマイトがお茶目な行動を連発しているせいでもあるが、何よりこの体育祭が無事に終わってくれたことに喜びを感じていたのだ。
恐らくこれからも何かしらの事件に巻き込まれるかもしれないが、今はこの束の間の平和を楽しんでもいいかな。
的なこと言っておけば少しは私の好感度はアップすると思い、言ってみた。
雄英高校体育祭編 完。
長かった。マジで。
今週から六月中旬まで酷く忙しくなるので、投稿頻度が低下もしくはしない可能性大です。六月下旬からおそらく復活するのでよろしくお願いします。テストなんてクソ喰らえ。
いろいろ紹介
ザ・マウンテン:イナズマイレブンの壁山くんが使うブロック技。ふとましい。
バットウィズイン:アンブラの魔女、ベヨネッタの技。ベヨ姉、スマブラばっかじゃなくて原作もやってあげるから...、だから私に拳銃を向けないで。
バルファルク:銀翼の凶星。天彗龍の異名を持つ。個人的にブレイブスタイルだったら楽に狩れる気がする。ただし翼での突き二連続は避けられない。
スーパートルネードスロー:甲虫王者ムシキングに登場するカブトムシのパーの超必殺技。カッコイイ。
ザフキエル(刻刻帝):デート・ア・ライブ、時崎狂三の扱う天使の力。時計の時刻の数と同じ能力数(12個)が使える。能力は全て時間関連。可愛い。
廃線『ぶらり廃駅下車の旅』:ぶらり途中下車の旅をもじった八雲紫のスペルカード。忘れ去られたものがたどり着く幻想郷に、役目を終えた電車が流れ着いたのかな。
マキシマムドライブ:ガイアメモリの力を最大限に引き出すこと。
ガイアメモリ:仮面ライダーダブルに登場する変身アイテム。そのまま使うとドーパントと呼ばれる怪物になるが、ベルトがあれば仮面ライダーに変身できる。詳しくはウェブで。
ツァーリ・ボンバ:核爆弾の皇帝、ソ連が開発した最もエネルギー放出量の高い爆弾。発生するキノコ雲はエベレストの高さの10倍ほどの高さまで成長する。なんつーもん作ってんだ人類。
次回、職場体験......ではなく、少々魔理沙にアレがやってきます。体育祭で随分と暴れたせいで、アレが来ます。多分、三話くらいで終わります。