最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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【あらすじ】

準決勝第1試合、結依魔理沙VS轟焦凍の戦いは、両者ともに場外に吹き飛ばされ引き分けとなった。

一方、準決勝第2試合、爆豪勝己VS飯田天哉の戦いは、その圧倒的な動体視力でレシプロバーストを見切った爆豪がカウンターを決め、勝利した。





リベンジマッチ(41話)

 

 

 

【雄英体育祭会場】

 

 

 〔さぁ!! 準決勝第1試合で争った二人が!!! 再びステージ上に戻ってきたァ!!!!〕

 

 〔果たして再試合の内容は、どーなるのかァ!!!!〕

 

「ジャンケンで決めてもらいます」

 

「凄い公平……ッ」

 

 ミッドナイトからの宣告にコメントを残す魔理沙。他の決着方法として腕相撲などが上げられるが、そんなことをすれば一瞬でケリが着く。

 

 だが、ことジャンケンにおいても結依魔理沙は最強である。なにせ動体視力が常軌を逸しているため、相手の動きを見てから瞬間的に変えることなど造作もない。

 

 なので、ジャンケンすら公平ではない。

 

「待ってください」

 

 轟が声を上げる。

 

「ジャンケンで勝っても、俺は納得できねェ」

 

 轟はそう言うと、右腕のジャージの裾をめくった。

 

「腕相撲で決着をつけても……良いですか」

 

 轟の発言に、会場が響めく。

 

「審判としてはどちらでも構わないわ。相手側の了承さえ取れていればね」

 

「結依……良いか?」

 

 轟がこちらに視線を向ける。

 

「私は別に構わないが……本気か?」

 

 魔理沙は視線を返し、轟の様子を伺う。先程も述べた通り、魔理沙はジャンケンも最強だが腕相撲はもっと最強である。どっちを取っても地獄だが、どっちがマシかといえばジャンケンである。

 

 轟は静かに口を開く。

 

「俺は、正しくお前に勝てなきゃ……意味が無い」

 

「たとえそれが、無謀でもな」

 

 轟の力強い目線が魔理沙に突き刺さる。その瞳は、まさしく漢の瞳だ。何かを覚悟した者の瞳。それをヒシヒシと感じ取る。

 

「……分かったよ」

 

 魔理沙はセメントス先生が用意した台座に肘をつき、右手を差し出した。

 

「来いよ、轟」

 

「あぁ……」

 

 轟は差し出された手を握り返し、肘をつける。これで、準備は整った。

 

「では双方合意の元、腕相撲で決着をつけてもらいます!」

 

「それでは腕相撲……開始ッッ!!!」

 

 審判の宣言、それが耳に入った直後、凄まじい勢いで魔理沙が轟の手を叩きつけた。

 

 その恐るべき速度と破壊力により台座は粉々に砕け散り、両者はそのまま地面に伏せる。

 

 会場のモニターには、結依魔理沙が轟の手を地面に叩きつけている様子が映し出されていた。

 

「……勝者は、結依魔理沙!!!」

 

 湧き上がる歓声。これでついに決勝進出者が出揃った。

 

「……結依」

 

「……何だ?」

 

 轟は寝転んだまま、魔理沙に問いかける。

 

「また俺と、戦ってくれるか……?」

 

「……そりゃもちろん」

 

 魔理沙は轟の手を握り、引っ張りあげた。

 

「いつでも挑戦、待ってるぜ」

 

「……あぁ」

 

 轟は差し出された拳にグータッチし、二人はその場を後にした。

 

 その様子を見たミッドナイトは酷く悶えていたが、誰もそのことについては触れなかった。

 

 

 

 

 

 

【雄英体育祭会場── 選手控え室 ──―】

 

 

 轟との決戦後、魔理沙は観客席には戻らず、控え室に直行した。決勝戦まで残り5分、魔理沙は適当に足を伸ばして過ごすことにした。

 

 バァン!!! 

 

 誰かが控え室のドアを勢いよく開けた。

 

 視線を向けると、そこには"爆豪"がいた。爆豪もこちらに気づき、不審な目でこちらを見る。

 

「……あ? なんでボサボサ野郎がここに……」

 

「控え室……ッ!! ここ2の方かクソが!!」

 

 どうやら爆豪は部屋を間違えたようだ。だが仕方がない。何せこの会場、左右対称すぎて自分がどっち側にいるのか非常に分かりづらいのだ。

 

案内表示も人混みに紛れて見にくいため、間違いやすい。おそらく他にも経験した人はいるだろう。要改善である。

 

とはいえ、こんな愉快なミスを魔理沙は見逃さない。

 

「部屋間違えたのかな爆豪きゅん? 私が案内してやろーか?」

 

「いるかカス死ね!!!」

 

 案の定飛んできた暴言にヤレヤレと手を振る魔理沙。勝負事において精神攻撃は基本中の基本……と、某狂気的ホビーアニメ(カ〇トボーグ)を通じて学んだので、後悔はない。

 

「私にそんな軽口叩いちゃって。せっかく鍛えてあげたのに……恩知らずめ」

 

「テメェが勝手に着せた恩だ。あと最後の方テメェは関与してねェだろが」

 

「オメーが手の内晒したくねェから出てけって言ったんでしょーが!!!」

 

「チッ!!」

 

 いがみ合う二人。高校生になっても未だに仲良くなる気配が無いが、こと結依魔理沙に関しては、爆豪に対して多少なりとも感謝していた。

 

爆豪は人間の規格から外れた結依魔理沙を、"超えるべき相手"としてくれた。それがどれだけ難しいことか、多くの人を見てきた魔理沙には理解できる。

 

だがそれを口に出すことは絶対無いだろう。

 

「オイ」

 

 部屋を出る直前、爆豪は立ち止まって魔理沙に話しかける。

 

「テメェ、()()()()()()()()()?」

 

 爆豪のドスの効いた声に気圧されつつも、魔理沙は答える。

 

()()()()()()()()()()()、……だろ?」

 

「……覚えてンなら、それでいい」

 

 爆豪はそう言い残すと、ピシャリとドアを閉めて立ち去った。

 

 あの決闘から、11年。今まで停止させた時間も含めればその倍以上の年月が経過しており、魔理沙としてはもう懐かしいイベント枠になっているが、爆豪にとってはそうではない。

 

 今でも煮え切らない怨恨として、ずっと敵意を膨らませ続けてきた男だ。あの決闘もきっと、昨日の事のように思い出せるだろう。

 

「分からせるか、"最強の魔法使い"の意地を」

 

 魔理沙はそう言うと、手元に置いておいた水を一口で飲み干すのであった。

 

 

 

 

 

 

 〔さぁいよいよラストバトル!!! お前ら目ん玉かっぽじってよーォく見ておけェ!!! これが雄英体育祭最終決戦!!!!〕

 

 〔まず現れたのはァ!!! 障害物競走、騎馬戦に続き、最終種目も全部ねじ伏せたアルティメットスカラー!!! ヒーロー科! 結依魔理沙!!!〕

 

 〔バーサス!!! 全てを爆殺する男!!! たとえ相手が最強の女だろうと……お前の爆破は止まらねェ!!! ヒーロー科! 爆豪勝己!!!〕

 

 \ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!/

 

 今大会一の歓声が沸き上がり、二人を応援する声が四方八方飛び交う。

 

 まさに大舞台。ここが、今日本で最も注目されている場所。日本中の子どもと大人が、この決戦の行方を見るべく、テレビで、現地で見守っている。

 

「爆豪、聞こえるか?」

 

「あ"ァん"?」

 

 メンチを切る爆豪に対し、魔理沙はそっと耳を澄ませ、そして目を開く。

 

「いい歓声だろ? 死にゆくお前への鎮魂歌(レクイエム)だ。手向けの花はグーパンチでいいか?」

 

「……テメェのパンチは見飽きたンだよ。無駄口を叩いてんじゃねェ」

 

 爆豪はそう言うと、親指で首を切る素振りを見せ、最後にサムズダウンさせる。

 

「テメェは必ずブッ殺す」

 

「お前にだけは100億%負けてやらねェ」

 

 魔理沙も中指を立て、ますます治安が悪化する中、審判がマイクを通じて咳払いした。

 

「……準備はいいかしら? まずはルーレットから」

 

「待てや、そんなモンいらねェ」

 

 爆豪はミッドナイトを呼び止めた後、魔理沙の方を見る。

 

()()()()()()、結依魔理沙」

 

 爆豪の鋭い視線が魔理沙に突き刺さると同時に、会場から困惑の声が響めく。

 

 結依魔理沙は最強の存在である。たとえ個性を剥奪されても、人智を超えた筋力で1位を死守した怪物である。

 

 この場の誰もが理解している。彼女が本気を出したら"終わり"である。何故、自ら首を締めるような行為をするのか、その理由を理解しているのは、戦場に立っている二人のみ。

 

 魔理沙は、分かってはいるものの、素直な感想を口に出す。

 

「お前、何のためにルーレット用意したと思ってんだ……」

 

 魔理沙の感想に、爆豪は無愛想に言葉を返す。

 

「気に入らねェンだよ、そのシステム」

 

 爆豪の一言に、爆豪以外の人間全員が息を飲む。

 

「テメェが、他人のツラ伺って手加減してますッてツラして、俺の前に立ってンのが、心底ムカつくンだよ」

 

「手加減しながらでも優勝できますッてか? 随分と舐めてくれたなァ……!!」

 

 爆豪の声が、鳴り響く。

 

「俺は、全力のテメェをブッ潰さなきゃ意味ねェんだよ!!!」

 

 それは、嘘偽りのない爆豪の、10年間煮え滾らせた想いそのものだった。

 

 結依魔理沙に敗北したあの日から、爆豪は常に"結依魔理沙"を超えることを目指していた。雄英で決着をつけると約束したあの日から、毎日かかさず訓練していた。

 

 雄英体育祭、その最終試合で全力の結依魔理沙をねじ伏せる。それが、魔女に狂わされた男が抱えた、唯一不変の野望。その望みを果たすのに、ルールなど必要無い。

 

 悪鬼羅刹と化した爆豪の視線が突き刺さり、魔理沙は静かに瞳を閉じる。そして少し間を空けた後に、勢いよく実況席の方に振り向いた。

 

「相澤先生ェ!!!」

 

 大声で助けを求める魔理沙。

 

 〔審判の判断に任せる〕

 

「ミッドナイト先生ェ!!!」

 

 今度は審判の方に振り向いた。

 

「双方合意の上であれば、許可します」

 

「……」

 

 そしてゆっくりと、魔理沙は爆豪の方に目を向ける。爆豪は無言でこちらを見ている。

 

 心のどこかで、こうなる気はしていた。爆豪の勝利に対するこだわりを知っていれば、心を読まずとも予知できる。

 

 だが結依魔理沙は人智を超えた怪物だ。クトゥルフ神話とほぼ同レベルの存在であり、本気を出さずとも世界を滅ぼせる。

 

 その事実を知っていいのは、結依魔理沙だけ。決して誰にも知られてはならない。だが小細工したところで爆豪には見抜かれる。

 

「……」

 

 二つに一つ。示すべき答えは、決めた。

 

「……分かった。お前がそうしたいなら、そうしてやる」

 

 魔理沙の答えに、会場が再び響めく。

 

「ただし、()()()()()。仮にもし、お前がこの試合で私に勝てなかったら……」

 

 魔理沙は間を置いて、口を開く。

 

 

「全人類から記憶を抹消して、私にとって都合の良い結末に改変するからな?」

 

 

 会場の響めきが、ピタリと止んだ。

 

 〔おい待t〕

 

 その瞬間、魔理沙の体から、これまで見せてこなかった莫大な魔力が放出され、大気が高濃度の魔力で満たされた。

 

 発散した魔力が光を捻じ曲げ、磁場を歪め、あらゆる放送機器が故障。そして彼女の魔力を直に浴びた人達は、言葉では言い表せない恐怖に襲われ、全身の筋肉が硬直する。

 

「それでもいいなら、本気で遊んであげよう」

 

「……ッ舐めプしたらブッ殺す!!!」

 

「遊びでも本気だから、舐めてると痛い目見るぜ」

 

 仁王立ちで手招きする魔理沙。挑発と受け取った爆豪は考えるよりも早く動き出し、最大級の火力をぶつけるために振りかぶる。

 

 乱心した魔理沙と爆豪を止めるべく、ミッドナイト、セメントス、イレイザーヘッドが動くも、突如出現したスキマ空間に落とされ、世界の外へ追い出された。

 

 最終決戦、結依魔理沙VS爆豪勝己。戦いの火蓋は、切られた。

 

 

 

 to be continued...

 

 

 

 

 







次回、体育祭編最終回。



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