最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
体育祭後の二つの事件......
14話の誤字修正ありがとうございます。いかんせん見落としがちで......
アナタはワタシ(43話)
雄英体育祭というビッグイベントが終了し、二日間の休暇が取られた。理由は単純にイベント後の生徒の配慮と、トップヒーローからの指名の集計の情報漏れを防ぐためか......まぁ、そんなところだろう。久しぶりに感じるベッドの温もりが私を疲れという鎖から解き放ってくれている気がする。
......と言いたいところだが、少々厄介な事になった。体育祭が終わった今日の夕方、瞬間移動でお家に帰り自分の部屋を覗くと、ステイン戦を任していたはずの分身がやけにベットでグッタリしていたのだ。自分で回復魔法を使えないほど疲労していたとは正直考えられないが、とりあえず疲労を回復させて結果報告をしあった。
まさかステインが覚醒して私とほぼ互角の争いをしていたなんて信じられないが、私が言うのだからそうなのだろう。なんかステインの話をしている時の私が、何処か儚げというか、なんか感謝か何かの念を感じさせるような表情をしていたのが気になったが、まぁいいだろう。
で、さっそく元の体に戻ろうと分身と合体しようとしたんだが......
「「元に戻らない......だとッッ!?!?」」
Bカップの胸同士がお互いに反発するだけで何も起こらない。何度も何度もトライしても変わらない現状に、二人の魔女は青ざめた。
緊急事態発生。結依魔理沙、この世に二人存在することになっちまった。何でだあああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「おおお落ち着け私! 原因を...原因を究明するんだ!! 大賢者!」
〔はい、何でしょうかマスター。〕
「「身体が元に戻りません!!!」」
必死な表情で訴える結依魔理沙×2。
〔.....おそらく、精神の変質が原因かと。〕
「「精神の変質?」」
ダブルマスターの悩みを狼狽えつつも見抜いた大賢者。文字だけではどっちがどっちだか判断不可能なため、ステインと戦った魔理沙をステ魔理。体育祭で戦った魔理沙を本来の路線の魔理沙、略して本魔理とする。
本魔理「精神の変質ってどゆこと?」
〔そのままの意味です。二人のマスターは精神の形が少々異なっているのです。〕
ステ魔理「でも精神が変わったくらいで普通は何ともなくない? 記憶の違いとか能力数の違いは何ともないのに」
〔解。マスターの『多重並列存在』で生み出された分身はオリジナルとほぼ同一といって過言ではありません。そのため片方ずつ別の能力を所持していたとしても、融合の際の解析・取得に何ら問題はありません。また記憶に関しても存在値が等しい限り特に問題はありません。〕
本魔理「存在値って何?」
〔解。世界に干渉する力を数値化したものです。他の動物は運動、食事、排便といった行動を取れますが、人間の持つ言葉、感情、思考といったものが乏しく、他の動物は人間より存在値は比較的低いと判断出来ます。また、マスターは世界への直接干渉が可能な為、存在値は非常に高いです。〕
ステ魔理「で、何で精神の差異は許されないの」
〔解。精神の差異は、存在値の差異でもあるからです。精神は人間の潜在的要素のひとつであり、存在値との関わりが深いためです〕
本魔理「頭痛くなってきたわ。カルピス飲んでくるからステ魔理は大賢者と考察してて。まとまったら顔出すわ」
自分の部屋のドアに手をかけ、冷蔵庫に向かおうとする本魔理の肩を掴み、引き戻そうとするステ魔理。
ステ魔理「逃げるなよ? 私だろ?」
本魔理「カルピス飲むだけだって。ほら、その手を離せよ、私だろ?」
ステ魔理「やたら厨二病チックな単語の羅列から逃げたくなる気持ちはわかるが少しは我慢しろ私。」
本魔理「カルピスゥゥゥウウウウウ!!!」
台所の方向に手を伸ばしたまま、ステ魔理に襟を掴まれて引きずられる本魔理。そのまま部屋のベッドに座らされ、大賢者の話の続きを聞くことにした。
聞いてるだけでも痛い単語に身を悶えさせながらも、二人の魔女は大賢者の考察を聞く。ステ魔理と本魔理、両者共に人を助けるという部分は似通っているが、ステ魔理は人の為、本魔理はまだ戦闘狂の部分がある......と微妙な違いがある。微々たる差異が多重並列存在の融合という点に関しては非常に大きな差異なため、これからは気をつけなければならない。
また、解決方法は単純らしく、精神の差異をほぼゼロまで減らせば融合可能となるらしい。つまり、片方がもう片方のために心を変えなければならないということだ。
本魔理「フンッッ!!」バンッ ガシッ
ステ魔理「突然なんだよ、情緒不安定か」
本魔理「いやこういう時の展開って、自分が本物だと主張して殴り合うのが定番のネタだから...」
ステ魔理「意味不明な理由で殴るんじゃない」
〔......。〕
お約束の展開が起こらなかったことに変な焦りを感じた本魔理がステ魔理へグーパンチを食らわす。が、本気では無かったため軽く防がれた。
〔コホン......、マスター。これからの生活に関してはどう対応をとるつもりですか〕
「「あっ......」」
大賢者の言葉にハッと気づく二人。現段階では元に戻らないとわかった以上、これからのことを考えなければ後々問題になる。戸籍関連や家族関連、学校関連、考えるとしたらこのあたりだろう。同じことを考えていたのか、振り向くと私と目が合った。
ステ魔理「戸籍は......、干渉系能力で無理矢理存在していたことにする? 実は双子でした的な」
本魔理「まぁその辺は能力で解決させるとするか。ただ私的には、お母さんにはちゃんとこのことを伝えたい」
ステ魔理「それな。けど大丈夫か? 片方しか許しませんとか言われたら......」
本魔理「......まぁとにかく、母さんの反応しだいだな」
シンとする魔理沙の部屋。別に一人で生活するのが怖いわけではない。親に見捨てられたというレッテルを貼り付けられるのが怖いのだ。いや、恐らく捨てられることはサラサラないと思うが、可能性としては捨てきれない。沈黙は続いた。
未確定の未来を想像してもしょうがない。二人はそう切り替えて不安を払拭し、次の話題へと移る。
ステ魔理「......じゃ、学校はどうする? 私が増えたからもう一人の私も学校に通わせてくださいとか通じるわけないよなぁ?」
本魔理「一日交代で登校して....、帰ってきたら能力で記憶を共有するとかなら、ワンチャン行けるかもしれないが......」
う〜ん......と悩み合う二人。本魔理の意見は至極合理的な意見と言えるが、それは元人間としてどうなのか。他者から見れば毎日学校へ行っているように見えるが、本人たちからすれば一日置きにしか通っていないのだ。記憶共有したとしてもその結果は変わらない。
本当に些細なことだが、カルマ値や存在値が概念としてある以上気をつけなければならない。
ステ魔理「....私が姿を少し変えて、能力使って双子設定を世界に刻んで、それで二人とも雄英高校に行くなんてのはどう? それで戸籍問題も解決させて......って感じで」
本魔理「んー、すると入学時とか戦闘訓練、USJ事件、体育祭の出来事でお前の存在の辻褄を合わせなきゃならんな。あの時何してたのとか言われたらどうすんのさ?」
ステ魔理「風邪ひいてました、で通す」
本魔理「そんな都合のいい風邪なんてねぇよ。というか一度も引いたことないだろ!!」
ステ魔理のボケにツッコミを入れる本魔理沙。ある意味一人ツッコミとでも言える行動に二人は恥ずかしがる。
とりあえず親に一言言ってから、双子設定と姿変更で元から雄英にいた事にすることに決定した二人。辻褄合わせは後後詳しく決めることにし、この議論は終了した。
そして現在、私(本魔理)はベッドという名の怠惰の魔境にてYouTubeを弄っていた。ぶっちゃけると私の生活スタイルは不健康そのもので、大抵何も無い休日とかはベッドから一切出ない。昔はボランティアでゴミ拾いとかしていたけど今年が余りにも濃厚過ぎて全然やれてない。事件が多すぎる....ッ!!
親がいない時は大抵ベッドの上で食事を作り、ベッドの上で勉強し、ベッドで寝る。サイコキネシスは私の不健康生活に欠かせない能力だが、たまにうっかり力加減を間違えて破裂させることがある。1回だけ、作った料理を爆散させてベッドが酷いことになったが、大嘘付きでリセットし事なきを得た。やはり便利だ、大嘘付き。
ピンポーン
本魔理「......母さんか?」
ステ魔理「透視能力で見たけど母さんじゃない。黒タキシードの男性だった」
本魔理「何それ怖い」
そろそろ著作権侵害の削除要請で派遣された人が私たちの家に凸りに来たのかな? ディズニーの手先かな? なんて思いながら私は玄関に着いた。どうかネズミが出ませんように......
そっとドアノブを捻り、外の様子を確認した。
「はいはいどちら様......」
「ヒーロー公安委員会の者です。結依魔理沙様はいらっしゃi」
ガチャン
閉めたドアの後ろで心臓バクバクの魔理沙。ディズニーより厄介な案件が目の前に現れ、なかなか落ち着きを取り戻せない。
呼吸を整えた魔理沙は家のドア鍵を閉め、籠城作戦に出た。おのれヒーロー公安委員会、いや本当にヒーロー公安委員会かどうか判断出来ないが、どっちにしたって困るのは私だ。タダでさえ自分が二人いると言うのに、なんでこんな面倒くさい案件が面倒くさいタイミングでやって来るんだよ。私はキングボンビーか!!
愚痴を吐きつつ、魔理沙は透視能力を使って玄関の外の様子を監視した。
「......ザザッ、こちら特殊部隊2957、特殊危険指定人物の様子を、どうぞ」
「......ザザッ、こちらNo.193、対象はドアの鍵を閉めて籠城中、『対籠城作戦』に移行する、どうぞ」
「......ザザッ、相手は世界のパワーバランスを崩壊させる危険人物、慎重に行動せよ。なお対象は読心系個性を所持している。偽の情報を掴ませ、任務を遂行せよ」
「......ザザッ、了解。任務を遂行する」
男は手に持っていたトランシーバーを胸ポケットにしまい、ドアの前に佇んでいた。彼の目的はただ一つ、特別危険指定人物の一人、「結依魔理沙」を無事協会へ連行すること。道を踏み外せば最悪、死を迎えるこのミッション、成功させるためにはどんな手段も選ばない。
魔理沙は訪ねてきた黒タキシードの男性ばかりを警戒して気づいていなかったが、家の外には10台ほど政府専用車やヘリ、SPが待機しており、家周辺を包囲しているのだ。さらに魔理沙家から半径5キロメートルに住んでいる住民は既に「地雷撤去」の名目の元、避難を完了させている。
全てはこちらの計画通りであり、最後に残すは結依魔理沙の説得のみ。籠城された場合も想定済みなため、次の行動へと移る。
そんなことも露知らず、魔理沙は玄関内でずっとタキシードの男の様子を透視能力で監視していた。
「すみません、結依魔理沙様。貴方様のお母様がヒーロー協会本部にて貴方様をお待ちしております。至急、御足労を」
男が口を開き、用件を伝える。
「......母さんは今、仕事中だ。ヒーロー協会本部に呼び出される筋合いなどないんだよ。回れ右しておうちにお帰り」
「嘘ではありません。その証拠として、貴方様の個性でご確認ください」
「......これで違ってたら警察呼ぶからな。」
丁寧な敬語で淡々と用件を述べていく黒タキシード。たじろぎもしないその姿勢がさらに私を緊張させる。しかも私の個性を知ってるのか......、ヒーロー公安委員会なら知ってて納得だが、死柄木弔にもワンチャンバレてる可能性があるからヴィラン連合の可能性も捨てきれない。
とりあえず魔理沙は千里眼を使って母さんの様子を確認した。目に映ったのは母親が本部内で協会関係者と何かを話している様子。どうやら母さんがヒーロー協会本部にいるのは本当だったようだ。チッ、ヴィラン連合だったら全てが片付いたのに。
「なんで母さんがそんなチンケなとこにいんだよ。私が納得出来る理由を述べないとなぁ、魔理ちゃん困っちゃうわ」
「貴方様の個性に関することです」
納得出来る理由であった。
「......ふ、ふ〜ん。へぇ、そぅかぁ。でもさぁ、私の個性と母親が拉致られてる関連性って皆無ですよねぇー? そうだよねー?」
「これ以上ここで明かす事は出来ません。至急、御足労を」
「いやでもさ! 関連性無いだろコレ!! さっさと母さん釈放して家族会議させろや黒タキシードさん!!」
「至急、御足労を」
全くブレない黒タキシード。黒は何ものにも染まらないとでも言いたいのだろうか。
「帰れっつってんだろ」
キレ気味な声で追い払おうとする女。
「御足労を」
だがその足を一歩も後退させない男。
「帰れ」
「お断りします」
「帰れ」
「お断りします」
「帰れ」
「お断りs」
「土に還れぇええええええええええええええッッ!!!!!!!!」
宙を舞う黒タキシードの男性。飛び散る真っ赤な小雨。あまりの執着につい右手を振るってしまった魔理沙は自分の仕出かした事の重要さに気づき、顔色が黒から青へと変化する。やべぇ、つい勢いで殴ってしまった......。
するとそれを切っ掛けに大量のSP達がどこからともなく現れ、私を逃がさないよう囲みだした。全員の手には銃火器が渡されており、銃口が全て私の方向に向けられている。私が出来ることはひとつ、両手を空に向けて上げることだ。
「某日17時51分、特別危険指定人物が黒タキシードの男性に暴行。これより現行犯逮捕する。」
「......え、待って、おかしくね!? いや確かに現行犯逮捕かもしんねぇけど過剰過ぎません!? 人一人に対する派遣人数狂ってません!?!?!?」
何が何だかわけがわからない。わかったことは、空に真っ黒なヘリが3台、家の近くの道路に黒塗りの高級車が10台、SPが推定100人以上!!
後、特別危険指定人物って何!? ああいうのは解除されたんじゃないの塚内くん!?!?!?
「オラ! さっさと車に乗れ!!」
SPが私の腕を無理矢理引っ張り、黒塗りの高級車に連れ込もうとする。嫌だアアアアアア!! 私を連れてかないでぇええええええ!!!!
「待て待て待って!! ねぇ! これ強制連行だよね!? これ私の自由の権利の侵害だよね!? 身体の自由はどこに行ったんだよ!!!」
「いいから乗れ。話はそれからだ」
強面のオジサンがタバコをふかしながら応えた。
(不味いッ!! このままでは私の人生がヤバい!! かといってここで能力使ってSPを蹴散らせば、冤罪事件から有罪事件へと早変わり!! いったいどうすれば......、ハッ!! ステ魔理!!)
絶望に濡れつつも希望を見いだした本魔理。この状況を変えられるのは、私と同じ力を持ったもう一人の私しかいない!! 頼む! 一生のお願い! ステ魔理助けてくれええええええええ!!!!
(......頑張れ私。お前の代理は私が務めてあげるよ)
テレパシーで直接脳に伝えられたステ魔理のメッセージ。だが内容は、本魔理を消し去って真の結依魔理沙に成り代わろうとする野望の塊。救いなど存在しなかった。
「ステ魔理助けてくれぇええええええ!!!」
絶望を直視できないあまり、断られたはずの救いにまだしがみつこうとする本魔理。しかし、彼女を救おうとするものは半径5キロ以内に誰もおらず、そのまま高級車へと連れ込まれた。
「おのれ日本政府がああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
主人公「結依魔理沙」、5月某日17時51分、暴行罪で逮捕。
捕まった。
勉強しなければならないのだが、ついつい触れちゃうのは仕方の無いことなのかな? ホントは六月下旬に一気に開放したかったんだが......
アリーヴェデルチ。