最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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ゼロから始める愛のダンジョン。カタカタ骨の折れそうな図書室内。




登録者444人到達ありがとうございます。427人の時に祝いたかったのですがうっかり忘れてました。これからもよろしくお願いします。




番外編3 2時限目 魔理沙の時間②

 

 

 

「本、本、本、本......、本ばっかで頭可笑しくなりそうだわ。しかも題名も物騒なものばっかだし......」

 

結依魔理沙は前回、甦之書と呼ばれる禁書を探し出すために片っ端から本を取り出して調べていた。取り出してはぶん投げ、取り出してはぶん投げと繰り返している内に心も肩も疲労が蓄積し、現在は完全に寝っ転がっておやすみモード。つまり脳筋魔法使いは図書室という正反対の性質に殺され、見事に打ち負かされたのだ。うん、何言ってるのか分からん。

 

なんとなく手元に落ちていた本を魔理沙はヒョイと持ち上げて題名を確認すると、「ハリーポッター 〜 禁断の魔法 その① 〜」と書かれていた。絶対アバダケタブラだコレ。死ぬやつだコレ。危険だからコレもぶん投げとこう。

 

疲れきった肩をもう一度振り回し、遠くへ本を飛ばす。するとちょうど大賢者から連絡が入ってきた。

 

〔マスター、甦之書の所在を特定しました。〕

 

「マジ!? 場所は!?」

 

〔ここから真っ直ぐ78メートルほど歩いた後、右に100メートル進み、さらに空中に昇って左に41メートル、右斜め上方向に69メートル進み、そしてさらにそこから半回転して斜め上に31メートr.....〕

 

「すみません大賢者さん。覚えられん上に空中歩けません」

 

〔了。マスターの脳内に館内マップを表示しました。赤く光る点の場所が甦之書の所在地です。それとこれも渡しておきます〕

 

大賢者から謎の本を受け取った。

 

「これは......、リゼロの風系統魔法「フーラ」の書?」

 

〔はい。禁書庫に入る前に一つ回収しておきました。禁書庫内は魔素濃度が非常に高いため、今のマスターでも十分行使することが出来ます〕

 

「サンキューな大賢者。禁書庫にある風魔法って全て災害レベル並みだからマジで助かったわ」

 

〔仰せのままに。〕

 

そう言って大賢者は私に礼を捧げた。何だろう、私より圧倒的に強い大賢者に礼を捧げられるとむず痒い気持ちでいっぱいになる。これは単に私が本能的に大賢者に対して負い目を感じているんだろう。頑張って強くなろう。

 

私はフーラの書を抱えて、脳内マップを頼りに目的の場所へと駆け足で行った。今が何時か分からないが、早めに回収した方が問題を起こさずに済むかもしれない。そう思って、魔理沙はさらに速度を上げて走った。

 

 

 

しかし、問題の方からやってくるとは思わなかった。

 

 

 

「そこまでよ」

 

「図書室内の乱暴行為は御法度なのかしら」

 

ドゴォ!!

 

「うぉっ!?」

 

角を右に曲がった途端、カラフルな弾幕と紫色の結晶のような何かが私の進路を遮るように放たれた。急な出来事に驚き、後退りをし、私は撃ってきた犯人の顔を確認する。

 

撃ってきた犯人は二人。一人は紫色のちょっと変わった帽子を被った、年中パジャマのような格好をした魔法使い。もう一人は左右対称にぶら下がったゴールデンドリルが特徴の、お嬢様のようなドレスを着たロリ。

 

「......やっぱセキュリティクソ堅いじゃないか。まさか図書局員に動かない大図書館と禁書庫の大精霊がいたとはなぁ......」

 

私は二人の影を見上げながら、夢を見ているような浮ついた声を上げた。

 

犯人はパチュリー・ノーレッジとベアトリス。この学校の図書局員にして禁書庫を守る者の一人であり熟練の魔法使い。その二人が今まさに、私の目の前を阻んでいるのだ。

 

「魔理沙に似ているけど、あなた新人ね。今すぐ禁書庫から出ていくなら見逃してあげてもいいわよ」

 

余裕の表情で見下ろすパチュリー。

 

「許可無く禁書庫に立ち寄るのは校則違反なのよ。さっさと出ていくかしら」

 

ムッとした表情で言い放つベアトリス。

 

「......残念ながら約束はちゃあんと守るのが私のポリシーなんでね。五秒くらい見逃してもらおうか......、『フーラ(目潰し)』」

 

私は大賢者から受け取ったフーラの書を使い、鋭く短い突風を巻き起こす。多古場で9年間鍛えただけあって風の調節は完璧、低コストかつ相手を封じるにはやはり目潰しが丁度いい。一瞬の隙を作った魔理沙はベアトリスとパチュリーの間を全速力で駆け抜け、お目当ての場所まで目指す。

 

「遅い。『ヒューマ』」

 

だがベアトリスは瞬時に「扉渡り」と呼ばれる空間転移魔法で私の目の前に現れ、再び紫色の水晶を解き放った。

 

「ァ......ッブ!!」

 

何とか紙一重で避ける魔理沙だが、正直ギリギリである。何よりこの禁書庫は本棚だらけのため、単純にスペースが足りないのだ。魔法戦は基本、範囲攻撃が主体なので狭い場所だと追い詰められる危険性が高い。少なくとも常時動いてなければ弾幕に囲まれてボコボコにされるだろう。それだけは何としてでも避けなければ、弾幕ゲーだけに。

 

地上に居続けるのは不利だと悟った私はフーラの風を両足首と両手首に纏い、空中へと逃げた。これカッコイイけど重心が不安定すぎてかなり制御が難しい......が、何とか上手く扱って空中を移動する。

 

「人間の割に魔法の扱いだけは手慣れているのかしら」

 

ベアトリスがいつの間にか私の背後に現れ、後ろから細かい弾幕が次々と射出するが難なく避けていく。しかし反撃できない!

 

「小、中学校の青春を全て個性に注ぎ込んだからな。戦闘に関しては私はそれなりの経験者よッ!」

 

「たかが9年間の努力を誇らしく自慢するなど、愚かにも程があるのよ。さっさと死んでもらうのかしら」

 

「ハハハ教えてやろう、大事なのは量じゃあなくて質だ。掛け算を覚えるのに10年も費やす奴より、たった一年で掛け算も割り算も連立方程式も解けるやつの方が良いに決まってるだろゥ?」

 

「喧しい蝿ね。サッサと死ぬかしら、『アル・ヒューマ』」

 

ベアトリスの背後から魔法陣が5つほど出現し、それら全てが私を標的として捉えている。アル・ヒューマはヒューマ系魔法最上位クラスの魔法で、かなりの質量のある結晶を撃ち出してくるから絶対避けねばならない。

 

が、私にはとっておきの魔書を脇に抱えていた。大賢者は私のためにフーラの書を持ってきていたが、私だって護身用にいくつか魔書を持ち込んでいる。特に今の状況を覆すのにうってつけの魔書が一つ、あるんだよなぁ!

 

【燃え尽きろ、外法の業】

 

「ウィル・オ・ウィスプ!!」ボン!!

 

「ま、魔法陣が暴発!? お前何をしたのよ!!」

 

「発動直前の魔法を暴発させることの出来る魔法、ウィル・オ・ウィスプ。魔法使い殺しの魔法だぜ金色ロリ!!」

 

「そのロリという呼び名を止めるのかしら。無性に腹が立つのよ!!」

 

魔力暴発により魔理沙との距離を離された挙句、金色ロリ呼ばわりされてキレ気味のベアトリス。離れたとしても遠距離から魔法攻撃は可能だが、その分弾速が予測されやすいため当てるのがとても困難だろう。ベアトリスはギッと歯ぎしりをしつつ、再び魔理沙の後ろを追いかける。

 

ベアトリスの悔しそうな表情を見て、安心した魔理沙。このまま目的地まで突っ込めば何とかなるかもしれない。

 

「これで距離を稼げt」

 

「『シャマク』」

 

「目があああああああああああッッ!!!!」

 

「甘いのかしら」

 

どんなに距離を離したところで、ベアトリスの「扉渡り」から逃れることは出来ない。そのことを忘れていた魔理沙は背後からのシャマクに対応出来ず、目の前が真っ暗になってしまった。

 

ベアトリスは再びアル・ヒューマを放つべく魔法陣を形成する。不意打ちにシャマクを使用したのは、ウィル・オ・ウィスプを封じつつ確実にダメージを与えるためだ。悔しい表情も魔理沙を騙すための演技であり、完全にベアトリスが魔理沙より上をいった瞬間であった。

 

「さようならなのよ脳筋魔法使い。お前はここで終わるのかしら」

 

五つの魔法陣が怪しい光を帯び、エネルギーが蓄積されていく。今はただの人間である魔理沙が生粋の魔法の使い手であるベアトリスのアル・ヒューマを直撃で喰らうことになれば、四肢を欠損し腹に風穴を空けられて絶命することになるだろう。そうなることを知っていて尚ベアトリスは止めない。

 

何故ならここは弱肉強食で非情で非常識な世界。傍若無人、阿鼻叫喚、有象無象、酒池肉林.....、種族を問わず誰でも参加出来る実力至上主義の究極のエンターテインメント。これが、これこそが、「異世界かるてっと(アルティメットカオス)」である。

 

「そんなクソみてぇな世界なんぞあってたまるかァああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「『アル・ヒューマ』」

 

五つの巨大な紫水晶が隕石の如く降り注ぐ。たった一人の人間にここまでするかと言わせるほどの質量弾に魔理沙はどこから撃たれたかすら気づいていない。魔法耐性が皆無なため、シャマクが思った以上に効きすぎているようだ。

 

メギョ

 

何かが潰れた。いや、普通に考えれば潰れるのは私の体のはずなのだが、潰された感触が一切無い。チラとベアトリスのいる方向に目を開けると、そこには複数の紫水晶が刺さったある人物と、その人物を盾にして私を守ってくれた大賢者がそこにいた。

 

「大賢者ァああああああああぁぁぁ!!!」

 

〔ご無事でしょうかマスター。無理はなさらずにお気をつけください〕

 

「あっ、はい。サンキュー」

 

あまりにイケメンすぎる大賢者の登場に私はまた感動の涙を流しかけたが、いつもの素っ気ない大賢者のセリフを聞いて冷静になる。

 

「で、その人は誰?」

 

〔図書局副局長、神殺しの兵器、天翼種(フリューゲル)にして最後の番外個体(イレギュラー)、『ジブリール』です〕

 

「ジブッ......ン!!?」

 

ジブリール。かつて神「アストルフォ」に作られた神殺しの兵器であり、ジブリールは最後にして唯一の不完全個体。不完全であるからこそ彼女は知識と経験を蓄え、数多の種族を屠ってきた。ちなみに魔力を使い過ぎると幼女化する。

 

「あらあらぁ? Meをshield代わりに扱うなんてCrazy極まりないですわ大賢者。生徒会長なら何でも許されると思って?」

 

尚、ド変態マゾである。

 

〔......。〕ブンッ

 

「大賢者が無言でジブリールを投げた!!?」

 

ジブリールの発言をガン無視し、大賢者は無言でジブリールの身体をぶん投げた。しかもベアトリスを巻き添えに出来るよう投げる方向を調整してだ。

 

「ジブリールこっちに来ないで欲しいのかし.......ぐわなのよッ!!」

 

扉渡りすら行えずに見事ベアトリスはジブリールと共に本棚に叩きつけられる。よし、過程はどうあれ二人片付いたし、今が甦之書を手に入れるチャンスだ。グッバァイ〜、ベアトリス&ジブリール(DIO風)。

 

一つ突っ込むとしたら、断末魔が「ぐわなのよ」って可愛すぎないかあの幼女。後でなでなでしに行こう。

 

「で、何でジブリールと大賢者が喧嘩しているの? 図書局副局長って言ってたから襲われたのか?」

 

〔はい。奇襲を仕掛けられたので反撃をしました。また、戦闘中にてマスターの状況を確認後、個体名:ジブリールを誘導し上手く盾として機能させました。〕

 

「......ありがとう」

 

流石ですわ姉御、マジ感服致しましたワレィ。

 

とりあえず落ち着いてきたので大賢者に指示を出す。正直大賢者さんだけで全てが片付きそうだが、私だって活躍しているところを見せなくてはな。

 

「大賢者、あの二人の後始末は任せた。その間に私は禁書を取ってくる!」

 

〔了。〕

 

「私を忘れてはいないでしょうね?」

 

ハッと前を向くとそこにはパチュリーがいた。最初の目潰しから姿を現さなかったのが気がかりだったが、案の定何かを施したようだ。妙に自信アリアリな様子がまさに怪しい。

 

「貴方たちがドンパチやっている内に地雷と結界を施させて貰ったわ。さぁ、奪えるものなら奪ってみせなさい? 火&土符『ラーヴァクロムr』」

 

【燃え尽きろ、外法の業】ボンッ!!

 

「むきゅっッ!?」

 

抱えていた魔術書が爆発し、パチュリーは素っ頓狂な声を上げた。流石はウィル・オ・ウィスプ、初見じゃ絶対対処出来ない魔法だぜ。

 

スペカ宣言をされる前に魔力暴発を起こし、何とか阻止することが出来た魔理沙。いろいろと派手に動いたため目的の本の場所からは離れてしまったが、後方にアル・フーラを噴出すれば強烈な推進力で行けそうな気がする。というかサッサとしないと5時間目の授業遅れる!!

 

※既に遅れています。

 

「アル・フーラ!! 一気にカタをつけるッ!!」

 

「させないわよ......、金&水符「マーキュリーポイズン」!」

 

高速で移動する私の背後から金と水色の弾幕が交差しながら襲い掛かる。マーキュリーポイズンの弾幕の動きは直線ではなく弧を描くように前へ進み、さらに金の弾幕と水色の弾幕では左右の動きが逆な為、避けづらいが特に問題は無い。上手く本棚の曲がり角や空中を活用し、左右に迫ってきた弾に注意すればどうてことはない。

 

ただ、そろそろチュロスのイマジネーションが切れかけているのが不味い。またワンピースの時みたいに意味不明なエンディングを迎えるのはゴメンなのでサッサとカタをつけよう。

 

 

グングンと空中を上昇し、脳内マップの通り目的の本が納められている本棚の近くまでやってきた。しかし見つからない。すぐ近くにあるはずなのだが、他にも本が大量に有りすぎて見分けがつかん。木を隠すなら森の中とはよく言ったもんだ。

 

悠長に探そうとすると弾幕の餌食になりかねないので、私は空中を飛び回りながら本の題名を読んでいった。自分の速度が早すぎて全部を読むことは難しいが、なんとかするしかない。

 

目を凝らして題名を探していると、一瞬、「甦」という字が見えた気がした。魔理沙は一旦ブレーキをかけて速度を落とし、字が見えた場所まで戻っていった。すると......

 

「よっしゃあああああああああああああああああああああああああ!!!! 『甦之書』見つけたぞぉぉおおおおお!!!」

 

ついに見つけた甦之書。今までの苦労も相まってガッツポーズを取ってしまった魔理沙だが、弾幕はお構い無しに襲ってくるので被弾には気をつける。いやしかし、やっと禁書を見つけたぞ。本当に苦労した甲斐があった! よっしゃあ!!

 

「じゃあ回収しy...い"ぃ"っだい"手が痛い!!」

 

さっそく魔理沙は本に手をかけたが、強力な結界に弾かれてしまった。おのれ紫モヤシ......、お目当ての本にわざわざこんなクソ結界を張りやがってこのやろう。ここまで来たのに手に入れられないなんて.......、畜生。

 

「いやまだ何とかなるはずだ。結界を張った張本人さえ倒せれば......」

 

私は遠くから弾幕を放ってくるパチュリーを睨みつけ、もうひとつの魔書を脇から取り出した。ウィル・オ・ウィスプの射程圏外からパチュリーは弾幕を放っているので、別の魔法を使うとしよう。

 

「呪文「ヘブンズ・ゲート」発動!!」

 

そう唱えた瞬間、光の魔法陣が目の前に描かれ、中から巨大なモンスターが二体出現した。流石はTCGデュエルマスターズ、いいモンスターが現れたじゃないか。この呪文を簡単に説明すると、二体の光文明の、『ブロッカー』という役割を持っているモンスターをノーコストで手札からバトルゾーンに出すという能力だ。まぁ、とりあえず二体の巨大なモンスターを召喚したと捉えてくれて構わない。

 

「さぁモンスターよ、片方はこの結界を破壊し、もう片方はあの紫パジャウーマンを片付けろ」

 

「誰がパジャウーマンよ」

 

\オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"/

 

活きのいい咆哮を上げ、二体のモンスターはそれぞれの役割をこなすべく動き出した。モンスターAはその巨体を活かした立ち回りと尋常ならざる耐久力、防御力でパチュリーを追い込んでいく。弾幕が彼の鎧に直撃しようともビクともせず、右手に携えた巨大な剣が弾幕を空間もろとも切断する。これでパチュリーは私を邪魔することは出来ぬ。後はモンスターBが結界を壊してくれれば万々歳なんだが。

 

「壊れる?」

 

\ヴゥ"ヴヴゥヴ/

 

「そうか、ダメか。......あぁん"もう、もっと私にパワーがあればいいのに!!」

 

結界を壊すなら今しかない。時間が経てばあのモンスターAとはいえパチュリーの何らかの策で封じ込められるか、戦闘不能にされるだろうし、大賢者はジブリールとベアトリスの二人を抑え込んでくれている。だが長時間も戦い続ければ、スタミナ切れになって負けてしまうだろう。

 

〔否。私はスタミナ切れを起こすことはありません。ご了承ください〕

 

「あっ、ハイ」

 

急に大賢者の声が頭の中から響いた。どうやらスタミナ切れは起こすことは無いらしいのでそっちは安心するとしよう。まぁ、とにかく今結界を壊さなければ恐らく次のチャンスは難しい。ヘブンズ・ゲートに持ってかれた魔素の量が異常に多く、もう私は結界の近くで魔法を使うことが出来ない。フーラによる飛翔効果も切れたので、この結界の周りの魔素が再び満たされるまで私は逃げることも出来ない。これヘブンズ・ゲート使わない方が良かったんじゃないかって今更考えるようになったが、もう成るようになれ。もう死ぬ気で結界を殴り続けるしか道は無いのだ。

 

「うぉおおおおおおおお!!! 一発一発に殺意を込めて殴り続けろモンスターB!」

 

一生懸命、結界を殴り続けるモンスターBを全力で応援する魔理沙。このミッション攻略の最後の鍵はモンスターBに託されたといっても過言ではない。頑張れ、モンスターB。生きて帰ったら、一緒に酒屋にでもいってビールを酌み交わそうぜ。未成年だけどな。

 

BGM(曲名) 〜 ROUNDBOUT 〜

 

なんか悲しげなギターのような音が聞こえてきたが、気にせず結界を殴り続けるモンスターB。だがギターの音以外にも別の音が聞こえてくる。空を切るような鋭い加速音、微かにエンジン音も聞こえる気がする。何だ、一体何が迫っているというのだ。

 

ジョジョにエンジン音が大きくなっていき、確実にこちらに迫っているということが分かる。だが振り向いている暇など無い。振り向いている暇があったら結界破壊の作業に精を出さねば、頑張っている大賢者に申し訳がない。

 

「.......ぃ......。」

 

「け.........ぃ......ッ!!」

 

誰かが叫んでいる。誰だ? 図書局のヤツらが叫ぶわけないし、大賢者じゃあるまいし。

 

「結依ッ! 迎えに来てやったぜー!!」

 

結依魔理沙は振り向いた。聞き覚えのある声に、聞き覚えのある口調、声の正体を知りたいという欲求に耐えきれず、結依は振り向いてしまった。そして私は後悔した。知らない方が幸せだったと、己の背後の光景を見て確信した。

ドゴンッッ!!!

意識が吹っ飛びかけるほどの莫大な衝撃を受け、モンスターBの肩から退場してしまった。私の体は空中で大回転を起こし、空へ舞いあがる。どうやらこの図書室は、多分空間を弄って全体の大きさを曖昧にしているのだろう。結構上に吹き飛ばされたというのに、天井らしきものに近づいている感じがしない。

 

 

最大の高さまでたどり着いた私の体は、後は重力に従って落下するのみとなった。落下中、私は5人の人物を目撃した。一人は銀翼の翼を携え、音速で結界に突っ込んだアホみたいな古龍。もう一人は私と同じ様に巻き込まれてしまった紫パジャウーマンの死体(気絶)。3人目も同じくして風穴を空けられたモンスターB。4人目は銀翼の古龍の背中にて楽しげな表情をしている、私と同じ格好をした白黒の魔法使い。5人目は白黒の魔法使いと共に、古龍の上ではしゃいでいる狂った吸血鬼。

 

「キャー!! 今の凄い楽しい!! バルちゃんもう一回やってー!」

 

「キィィン.....」

 

「おーい大丈夫か結依ー。甦之書は手に入れたー? って、結依どこいった?」

 

結界が張られていた場所に大きな風穴が出来ていることを確認した私は、狂ったように笑い出した。笑っている上に涙もちょっと溢れてきた気がする。賽の河原でせっせと石を積み上げていたら、鬼にぶっ壊された挙句に草野球チームに強制参加させられたような気分だ。心底解せない。

 

 

"種族問わず誰でも参加出来る実力至上主義の究極のエンターテインメント。これが、これこそが、「異世界かるてっと」である。"

 

 

「こんなクソみてぇな世界あってたまるかァアアァアァアアァアアアアアアアッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued......

 

 

 

 







次で魔理沙編を終了し、この番外編もいったん終了ですかね。またやる機会があったら、またその時に。


遅れて申し訳ない。多分、八月以降からペース上がると思うので、よろしくお願いします。


流石にヒロアカ4期までには大体終わらせたいなぁ。



いろいろ紹介

ROUNDBOUT:海外でジョジョの奇妙な冒険のTo Be Continued...が流行ってる? らしく、その時に流れる曲。ついやってしまった。




Thank you!


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