最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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最近、『キングダム』という漫画にハマってます。紀元前の中国の話とかクソどうでもいいと思っていた私でしたが、めっちゃハマりました。




とりあえず、楊端和さんと羌瘣の足の裏舐めてきます。





日常という名の非日常(49話)

 

 

《朝の時間》

 

 

俺は何を見ているのだろうか。体育祭の疲れがまだ抜けきってないせいなのか、それとも準決勝で結依に負けたせいなのか、......クソ親父のせいか。

 

 

体育祭の振替休日を母親と過ごし、有意義な時間の取れた轟焦凍。母親とのわだかまりを解消し、心を入れ替えて登校した彼であったが、今現在とんでもないハプニングを目にしてしまった。

 

「結依が......二人いる...?」

 

自分を変えるきっかけを作り、体育祭で大暴れをした1年A組の暴君、結依魔理沙が何故か二人に増えて登校していた。

 

「あの髪の短い結依は何なんだ.....」

 

いつもの結依より髪の長さが短い結依と、いつも通りの結依が自分の席に座る。確か魔理沙の席の後ろは口田甲司の席があるはずだが、現在彼女(髪の長い方)の席の後ろには髪の短い方の彼女が座っている。どういうことだ? それならば髪の長い方が本物の結依魔理沙なのか、それとも口田の席の前に座る髪の短い方こそが本物なのか。

 

疑問は尽きないが何より一番驚くべきことは、誰もそのことを不思議に感じないことだ。誰一人、魔理沙たちに対して「なんで魔理沙が二人いるの」や、「どうしてこうなったの」等の質問をしない。あまりにも異常すぎる。仮にどちらかが偽物だとしても、片方は絶対雄英バリアをくぐり抜けることは出来ないはずだ。いや、結依ならどうにでも出来るのかもしれないが、どっちにしろ異常だ。

 

「常闇、少し()()()()をしてもいいか?」

 

「構わないが、どうかしたのか?」

 

轟は人に聞くのが一番いいと判断し、常闇に結依のことについて聞くことにした。

 

「結依が二人いるんだが、いったいどういうことなんだ?」

 

「本当に変な質問だな。結依は元から二人だろう? 姉の魔理沙と妹の魔梨奈で二人」

 

「サイキョーノフタリダゼ!」

 

「そうか......すまなかったな。」

 

轟は常闇とダークシャドウに礼を言いつつ、少し席を離れた。

 

姉妹、名前が違う、元からいた......。理解はやっと追いついたが、尚更今の現実を事実だと認められない。元からいた? じゃあ戦闘訓練の組み合わせの時や、USJ事件、体育祭の時は何をしていた? 戸籍は? その魔梨奈という存在がこの1年A組に元からあったということは、今までずっとこのクラスは21人クラスだったってことだ。教師陣はどう思っているのだろうか。この感じだとおそらく誰も何も思っていない。これが普通なのだと思い込んでいる。

 

 

もしかしたら、おかしいのは自分だけなのだろうか。この魔理沙と魔梨奈がいるという現実こそが普通で、俺の頭の中に補完されている記憶こそが虚実なのだろうか。そう考えると何だか頭の中がスッキリしてきた。これが事実で、二人いることに違和感を感じたのはただの自分の思い込みからで、今起きていることに何も変なことは無い。そうか、そうなのか。

 

自分の頭の中を整理し終えた轟は、気を取り直して席に戻る。まだ体育祭の疲れが抜けきってなかったのだろう。帰ったら早めに風呂に入って寝るのが良さそうだ。

 

「おい半分野郎、ちょっとこっち来い」

 

突然の呼び出しに轟は驚きを見せ.....ることはなく冷静に声のした方向に顔を向ける。声の正体は爆豪勝己、体育祭で準優勝を果たした1年A組最強の一角。粗暴な性格で人当たりの悪い彼が人を呼び付けるなど、異常であった。

 

轟は再び席を立ち、爆豪のいる席へと向かった。

 

「珍しいな。お前から呼ぶなんて」

 

「俺かてテメェのことなんざ呼びたくねぇよ。()()()()()()。」

 

「!? 爆豪、お前....気づいているのか?」

 

「当たり前だろうがクソが」

 

爆豪はこの異変に気づいていた。轟と違い、人に聞くという考えを持たなかった彼はこの状況について冷静に自分なりの考えを出し、犯人の目星も付けていたのだ。

 

「いったい誰の仕業d......、結依か」

 

「こんなこと出来んのはボサボサだけだ。恐らくだがアイツの言う『干渉系』ってヤツを使ったに違いねぇ。......チートが」

 

犯人の正体が即刻割れ、納得と同時に犯人の能力の恐ろしさを実感した。非常識を常識に変える力、言葉だけではその恐ろしさが伝わらないのが非常に惜しい。せめてものの例えとして言うならば、本田圭佑選手が全裸で国道を時速60キロで走り、それを国民がメディアを通して声援を送るくらい恐ろしい事態だ。流石にそこまで酷くはないが、とにかくヤバイのだ。

 

何よりこの問題は「違和感」を持つことでやっと問題そのものを認識できる。つまり、「違和感」がなければこの状況に気づくことすら出来ない。これは正に今の状況と合致している。干渉系能力、なんて恐ろしさだ。

 

「......何で俺たちには効かないんだ?」

 

「どう考えてもアレに決まってんだろうがアホ。テメェも体育祭でアレ使ってデクをボコボコにしただろうが」

 

「....『覚醒』か。」

 

「それ以外何がある」

 

干渉系能力、覚醒者、この二つが何かしらの関係にあるとしたら、自分はそれのおかげでこの状況を把握出来ているのだろう。ならば自分はどうすべきか。実際、魔梨奈という存在が確定しているだけで何かしら実害が発生しているわけでもないし、何より結依は理由なくそんなことをする人間ではない。だったら知らないフリをしてそのままにしておくのも良いかもしれない。が、やはり事情聴取くらいはしてもいいだろう。この状況を理解してしまった以上、自分たちにも事情を知る権利はあるはずだ。どこかタイミングを狙って結依から直接聞いてみよう。

 

「なぁ爆豪、放課後に直接結依から話を聞かないか? 何だかんだ結依のこと詳しく知らないし、ちょうどいい機会じゃないか?」

 

「勝手にしろ。だがボサボサを呼ぶならお前が呼べ、俺は教室にいる」

 

「何でだ」

 

「うるせぇ。大人しく従えこの半分野郎」

 

「爆豪、お前実は恥ずかしがり屋.....」

 

「んだとコラァ!! 殺すぞ!!」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

都合よく二人の会話がチャイムと同時に終了し、両者共に席に座って大人しくする。この時に喋ると担任の相澤先生にミイラにされるので、誰一人喋ることは無い。

 

 

(結依から話を聞こう)

 

 

改めて決意した轟焦凍であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

《放課後の教室》

 

 

轟に「教室で話し合わないか?」と誘われたのでやってきた魔理沙達。爆豪がいることに驚きを感じたが、どうやら二人で聞くつもりだったようだ。まぁ爆豪はツンデレだからな。仕方ない。

 

呼び出された理由やそう思った経緯を轟からあらかた聞くと、魔理沙は理解したかのように頷く。

 

「で、今に至ると。」

 

「あぁ、だから教えてくれ結i......魔理沙と魔梨奈、この意味わからねぇ状況と...その『覚醒』とやらについて」

 

「さっさと吐けクソボサボサとクソボサボサ二号」

 

「誰がクソボサボサ二号だ」

 

「落ち着け魔梨奈、いつもの爆豪だ。で、事情説明と覚醒について話せばいいのね。まぁ覚醒については少々自分の見解も含まれてるから鵜呑みにはしないように......」

 

コホンと咳を出して喉の調子を良くし、少々頭を掻き毟りつつ魔理沙は事情を話し始めた。

 

「何でこんな状況にしたかっていうと、まぁその、諸事情によって分身が元に戻らなくなってな。その分身が魔梨奈のことなんだけど、魔梨奈はただの分身と違って個性も性格も何もかも私と等しいわけ。ぶっちゃけ魔梨奈もオリジナルって言っても過言ではないな。で、その魔梨奈が学校に行くと決めたから、それを実現しただけ。以上」

 

「......無茶苦茶だな、お前」

 

「それは私達にとって褒め言葉だぜ」

 

フフンと同時にドヤ顔を晒す二人は、まるで仲の良い双子のようであった。

 

「そんで、何で轟きゅんと爆豪が私らの能力の影響を受けなかったかというと....、まぁ爆豪の言う通り『覚醒』したことが原因だろうね。私の干渉系能力を、覚醒した個性因子がブロックしたんでしょう。はー厄介厄介」

 

「テメェの個性が雑魚だったからじゃねぇのか」

 

「言ったな? じゃあお前の許容ラインがどれくらいか調査する為に片っ端から干渉系能力使ってくぞこの野郎。五体満足で帰れると思うなよ」

 

「落ち着け魔理沙、いつもの爆豪だ。」

 

睨み合う魔理沙と爆豪。いつもの事だが、この二人はその気になればマジで激突するので魔梨奈と轟がそれぞれの肩を掴み、争いを未然に防ぐ。

 

「....結依達の動機はわかった。異論も無い」

 

「そうか。もし反対したらタイマンで殴り合って無理矢理賛成させようかと思っていたが、その必要はなかったみたいだな。で、爆豪は?」

 

「どうでもいい。俺はもう帰る」

 

「爆豪も賛成ということで」

 

「......聞きたいことも大体聞けた。干渉系能力が非常に危険だと言うことしか理解できなかったが、俺は魔理沙達がそれらを正しく使いこなすことを信じるしか無さそうだな。信じてるからな?」

 

「あぁ、悪いことには使わん。というかヒーローになった以上それなりのモラルは守らんとな」

 

「私はヒーローじゃないけどモラルは守る。任せたまえ」

 

「......心配だ。」

 

 

 

 

魔理沙達の笑顔が、妙に怪しく感じた轟だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

轟達と話し合いを付けた魔理沙達は、特にやることも無いのでそのまま瞬間移動で家に帰った。

 

「ただいまー」

 

「あら魔理沙お帰りー。いつもより遅かったね」

 

「まぁ、ちょっとね」

 

玄関にて靴を脱ぎ、居間にあるソファにダイビングする魔理沙。フカフカのソファに今日の疲れを移し、のんびりと体を伸ばす。気持ちいい。

 

「あれ、魔梨奈はどうしたの?」

 

「あー魔梨奈は何か用事があるから先行っててって言ってどっか行った」

 

「そう、了解!」

 

ソファから落ち、絨毯の上でゴロゴロと転がりながら魔梨奈の事について返事を返す。用事って何だろうなぁ、なんかあったっけ。考えてもしゃーないし取り敢えず待ってるしかないか。

 

「......ちょっと湿度高いな。空気中の水分使ってかき氷でも作るか」

 

夏の蒸し暑さなどあらゆる耐性を兼ね備えた魔理沙にとって屁でもないが、部屋が湿気だらけだと鬱陶しいのでかき氷を作ることにした。ちょうど夏だし、湿度も下げられるので一石二鳥。毎年の夏は大体こうしている。

 

魔理沙は無詠唱で氷を作成し、サイコキネシスで細かく砕いた後、ヤオモモの個性『創造』で作ったかき氷用カップにさっき砕いた氷を投入する。そして肝心のシロップは多分冷蔵庫の中なので、八雲紫のスキマに右腕だけ突っ込み、冷蔵庫の中にシロップが無いか手探りで探す。がどこにも見つからない。仕方ないので瞬間移動し、5秒で三種類のシロップを買ってきた。イチゴ、メロン、ブルーハワイ....、どれも美味いので取り敢えず全部かけてみる。

 

汚いかき氷が出来てしまった。

 

「母さん、かき氷食う?」

 

「あぁちょうだい。けどそのグロテスクなかき氷以外で」

 

「チッ、これ私が食うのかぁ」

 

いかにも不味そうなかき氷を見て、眉をひそめる魔理沙。いや待て、もしかしたらワンチャン美味いかもしれん。見た目はグロテスクだが、その代わり味は美味しいというシーンを漫画で見たことがある。つまり、これもまた美味しい可能性だってあるはずだ。絶対美味い。

 

魔理沙はさっそくスプーンを創造し、グロテスクな氷の山を勢いよく削る。物は試し、人は常に挑戦するからこそ美しい。だから私はこれを食すぅぅうつうううううう!!!!

 

「ん!」

 

口の中に三種類のシロップがかかったかき氷を突っ込む。サイコキネシスで上手く氷を削れたおかげで、氷の食感がフワフワとしている。そこからイチゴシロップの香りと甘さが、メロンシロップのお淑やかな味わいと勢力争いを始め、その上からブルーハワイが覆い被さるように台無しにする。つまり、クソ不味い。

 

真っ黒い顔が真っ青に染まる瞬間であった。

 

「ス、ス、スキマスキマ......、う"っ、ヴェぇぇえええええああ!!!!」

 

能力でスキマを作り、その中に嘔吐する魔理沙。これ妖怪の賢者さんが見たら血相変えてぶん殴りそうだなぁと、申し訳なく思いつつも容赦なく嘔吐する。これが魔理沙クオリティ。ちなみに吐いた汚物は家のトイレに繋がっているので、後でジャーしに行こう。

 

気分が少し悪くなりつつも、しょうがないと割り切って気持ちを入れ替える

 

「ふぅ、酷い目にあったぜ」

 

「魔理沙ーかき氷まだなのー」

 

「スみマすぇーン。かき氷はさっきのグロテスクなヤツで最後デェース。諦めてクだサーイ」

 

「あっそう」

 

なんて辛辣な返しなんだ。

 

 

無駄に労力を消費した魔理沙は、大人しくソファで寝っ転がりながらテレビを見ることにした。魔梨奈早く帰ってこないかなー。帰ったら一緒にスマブラやるつもりだったんだけどなぁ。暇じゃあー。

 

全身に風魔法をかけて涼しみつつ、テレビの電源をつけた。すると......

 

 

『緊急速報です。午後六時三十二分、保須市路地裏にてパフォーマンスヒーロー「サーカス」が遺体として発見されました。遺体には複数箇所に刺し傷が見られ、警察は殺人事件として調査を進めるもようです。また......』

 

 

「は....?」

 

 

唐突の事件ニュースに口がふさがらない。え、ステイン? いやでもステインは既に魔梨奈がぶっ倒して、今は私らの異空間内で仮死状態にして保管してるんだぜ。だからこれはステイン関連じゃない、とすると別の誰かの犯行ということになる。誰? 心当たりのある人間がいるとすれば......、ダメだヴィラン連合くらいしか思いつかない。仮にヴィラン連合だったとしてもいきなりこんなことするか? アイツらならもう少し人の話題になりそうなデカい事件を起こすはずだよな。え? マジだれ? それとも運命は変えられないとでも言うのか? ステインを倒しても、別の誰かがステインと同じ犯行をするとでも言うのか。ふざけるな、そんなクソ設定誰が得するんだ。直ぐにでも犯人止めねぇと、最悪ヴィラン連合が強化されるかもしれねぇ。そんなの死んでも許さん!!

 

 

ブゥゥゥゥン......

 

 

懐にしまっていた携帯が揺れ動き、着信を知らせる。誰がかけてきたのか何処と無く予想出来た魔理沙は、すぐさま携帯のロック画面を解除し、電話に出た。

 

「.....魔理沙だ。」

 

〔こちら塚内警部。至急、保須市に来てもらいたい。君と少し話を交えなきゃいけないけどいいかな?〕

 

「ちょうど緊急速報見てたからそのつもりだったぜ。七秒以内にそっちに行く。じゃ」

 

ピッと通話を切った魔理沙は現場に急行すべく、すぐに玄関先に向かった。

 

「母さん、急用が出来たから出かけてくる。帰るの遅かったら私の分の夕飯を冷蔵庫にでも入れといて!」

 

靴を履きながら母に言葉を残すと、魔理沙は急いで瞬間移動して現場に乗り込んで行った。

 

「ちょっと魔理沙何処に行くの!! ...何なのかしら......」

 

 

 

 

 

 

 

空っぽの空間に、母一人だけの声が静かに反響した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 










戦闘狂さん、全然戦いません。多分次もまだ戦いません。戦闘パート書きたい。めっさ書きたい。



やっと最後で展開がやって来ました。これで少しは作業スピードが上がりそうです。おそらく。




いろいろ紹介

魔理沙の個性の変化:本来、ちゃんと詠唱(少なくとも魔法名を呼ぶ)をしないと発動出来ない個性だったが、簡易的な魔法なら無詠唱、干渉系能力以外なら略語でも発動出来るようになった。やったね魔理ちゃん、成長してるよ!

ヒーロー『サーカス』:この作品のオリジナルヒーロー。華麗でダイナミックな動きで相手を翻弄する姿が、まるでサーカスのようだったからこういうヒーローネームになったらしい。なお、お亡くなりになったもよう。




ざわ・・・ざわ・・・



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