最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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※強い「急展開」にご注意ください。








運命は変えられない(50話)

 

 

 

《保須市》

 

 

「さてと、現場現場......警察見っけ」

 

瞬間移動で保須市に直行した結依魔理沙。適当な場所を選んだため、現場と全く違う場所に降り立ったんじゃないかと懸念していたが運良く目の前に移動できた。

 

さっそく魔理沙は目的の場所まで走り、現場に集まってきた野次馬や警察を掻き分けて中に進む。

 

「こっこら君! 子供が現場に入るんじゃあない!!」

 

「あぁすみません警察の皆さん、通してください

 

「!!」

 

魔理沙の一声でこの場にいた全ての人間が道を開け、姿勢を正して一列に並びだした。ツイッターに投稿している人間も、通りすがりの一般市民も、調査に来た警察達も全員、魔理沙の歩みをただ呆然と見ている。強大な何かに体を縛り付けられたような圧迫感が、姿勢を崩すことを許さない。

 

「やぁ塚内警部。久しぶり」

 

「そう言えるほど時間は経ってないけどね、マリッサ☆。後、早く皆を元に戻しなさい」

 

「へいへい」

 

指パッチンで皆を元に戻すと、集まっていた一般市民は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。少し申し訳ないが、まぁいなくなってもらった方が好都合だ。

 

すまし顔で登場する魔理沙に塚内以外の警察達は困惑の表情だ。誰かと思えばあの雄英体育祭の猛者、結依魔理沙。特別な事情によりヒーローになったらしいが、何するかたまったもんじゃない。そうそうにお引き取り願おうと考えたが、正直にそう言える自身もないので彼らは全力で魔理沙をスルーすることにした。

 

「ニュースで大体のことは把握している。そこのヒーローさんが誰かに殺されちまったってことだよなぁ。一応言っとくが、私じゃないぞ。アリバイもある」

 

「分かっている。確証があるわけではないが、君がこういうことをする人間だとは思っていない。君を呼んだのはもっと別の理由にある。あまり大声では言えないからちょっとこっちに来てもらえないかな?」

 

「あーそれだったらもっといい方法があるわ。塚内警部、その内容は心の中で言ってくれないか? テレパシーで聴きとって返事するわ」

 

「......便利だ」

 

あまりの手軽さについ心の声が漏れた塚内警部。驚きつつも冷静さを取り戻した彼は、ジッと魔理沙のいる方向を見つめながら心の中で内容を伝える。

 

傍から見れば変人である。

 

(もしもし。 どう、聞こえる?)

 

(バッチリ聞こえてる。あとこっちガン見しなくても伝わるから楽にしていいぜ)

 

「そうか、すまない」

 

(声出てるって)

 

「あっ....。......慣れないものだ」

 

初テレパシーでドギマギする塚内警部を見て、なんだかニヤニヤしてしまう魔理沙。さっきから他の警察(捜査官)が変人を見るかのような目付きで塚内警部を見てるから、なおさら笑いが込み上げてくる。笑うな、堪えろ結依魔理沙。あの人はああ見えて警部だ。笑ったら面子が......面子...、あヤバイ笑いそう。

 

(魔理沙、少し笑うのをやめてくれないか。なんか恥ずかしい)

 

(そ、そっすか......www)

 

(だからやめてって!)

 

(了解です笑うのやめます。はい、本題は何ですか)

 

(切り替えが早くてよろしい。本題なんだが、今ステインの身柄が何処にあるか分かるかい?)

 

(それなら私の異空間内に放置してますよ。はい。腐ってませんし、なんならピンピンです)

 

(今この場で、私だけに見せることは出来るか?)

 

(余裕です。)

 

「改造・無意識を操る程度の能力」

 

少し改造したこの能力で私と塚内警部の存在を他者に意識させなくした。簡単に言うと、今、私と塚内警部は限りなく影の薄い人間となったのだ。今この場でサンバをやろうが大声で叫んでいようが誰も気づくことは出来ない。とても寂しい能力なのだ。

 

まぁそれはつまり、この場でステインの身柄を出しても誰も気づかないってことだからいいんだろうけど。

 

(塚内警部、今なら何やってもバレません。もし塚内警部が今ここでストレスを発散したいのなら、私目をつぶってあげますよ)

 

「仮にも僕は警部だ。君もそろそろいい加減にしないと、後で処罰が下るかもしれないぞ」

 

(声出てるって......w)

 

「........出てしまったが、さっきみたいな視線が全然来ないな。......本当に何やっても気づかれないのか。」

 

「御自身で実感してもらえて恐縮です。さて、そろそろステインの身柄ですね。少々お待ちを」

 

「....君は何とも掴みどころのない性格だな」

 

からかってきたと思えば、急に冷静になったり、有能な一面を見せつつもふざけてきたりと、まさに掴みどころがない。単にふざけてるだけかもしれないが、......あまり深く考えるのは止めよう。

 

塚内が思考停止しかけてる間、魔理沙はステインを収容していた異空間の穴に手を突っ込み、ステインの身柄を取り出した。本当は瓦礫に潰れて血まみれだったが、魔梨奈が元通りに戻してくれたおかげで特にヤバそうな雰囲気はない。念の為に生死の確認をしたが、脈はあるし地味に呼吸もしてる。ただ意識が戻って来てないようだ。逆に今戻ったら困る。

 

「はいステイン」

 

「...大の大人の首根っこを片手で掴んで手渡されても、困るのは僕なんだが......。まぁいい。この事件の犯人がステインじゃないことが確定したからね。......しかしステインではないとなると、一体誰がサーカスを....」

 

「えい」ペタ

 

「勝手に遺体に触るんじゃない!」

 

「誤解ですぜ塚内警部。私はただこの人が殺される数時間前の記憶を読んで犯人を特定しているだけです。死体フェチじゃないです」

 

「そんなことも出来るのかい!?」

 

「これが魔理沙クオリティですから」

 

触れることで他者の記憶を見ることが出来る能力、「サイコメトリー」によって犯人を特定しようとする魔理沙。誤って全ての記憶を読み取らないよう慎重に探っていく。はー、この人結婚してたんかぁー。子どもが.....二人、奥さん美人だなぁ。趣味はプラモ製作と家族旅行で、休みの日はよく観光名所に家族を連れてって.....、惜しい人亡くしたな。

 

誤って家族構成と趣味を知ってしまったが、落ち着いて探りを入れよう。この人が死ぬ直前に起きた出来事、背後からナイフで全身を滅多刺し、トドメに頸動脈を切って多量出血....。地味に声も聞こえてくる。「.....イヒ、いひひひヒひ、いひひひひひひひひひひひひひひひヒヒヒヒヒヒひひひひひひひひひヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒひひひひひひヒヒヒヒひひひひひひひひ!!!!」ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

 

「怖ッ!!?」

 

「どうしたんだい魔理沙、何かわかったのか?」

 

遺体からサッと手を引いた魔理沙を見て、塚内は手がかりを掴んだと勘違いしたが、実際はただの恐怖映像であった。犯人は確かにステインじゃなかったし、少しだけ可能性を疑っていた魔梨奈でもなかった。見えた犯人は見知らぬ男。だが余りにも狂った殺人鬼であった。動機らしい口実を吐くことも無く、ただ己の衝動を満たすためだけにナイフを振り回す狂人。目の焦点が全然合ってないから余計に怖い。なんかそんな奴を前に見たことある気がするが、仮にそうだとしても思い出したくない。怖すぎる。

 

「犯人はわかったのか......?」

 

「......心当たりは無くはないですが...、いや、まさかなぁ......、前はそれなりに前兆があったから納得出来たけど...、今回は少し変だ。いやでもこの唐突さこそヤツららしいというか......」

 

「一体何の話をしてるんだ魔理沙」

 

「塚内警部、すみません。犯人を突き止めるのは少々難しいです。また何かあったらいつでも呼んでください。じゃ」シュン

 

「魔理沙!? 君は一体何を見たんd」

 

塚内が手を伸ばそうとした先には、何も存在していなかった。あるのはさっきまで蚊帳の外にされていた捜査官達の仕事ぶりのみ。

 

結局、犯人の正体が不明のままこの調査は終わることとなった。魔理沙が記憶の中で見たかもしれない犯人像も、本人が話さない限りどうしようもない。どことなく不穏な空気を感じた塚内は、深く帽子を被り、事が解決することを静かに願った。

 

 

 

 

〔...。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日から一週間ほど経った今日に至るまで、連日連夜ヒーローが殺害される事件が発生した。それも保須市のみならず全国各地でだ。事件が起こる度に魔理沙は現場に駆けつけ、調査を手伝い、犯人の痕跡を得るべく奮闘するのだが、あまり手がかりらしい手がかりはない。

 

いや、普通の犯人だったらここまで苦労しない。私をここまで苦労させられるヤツなど三枠に絞られる。一人は魔梨奈、なってったって私と同能力持ってんだから何でもアリだ。それを言うと私も候補になってしまうが、メタ的な理由で私は違う。だって主人公だし。

 

ちなみにサーカスさんが殺されたあの夜、念の為に魔梨奈に聞いてみたが、「マジ....?」とガチで困惑した表情を見せた。どうやら初耳だったらしい。まぁ、それ以降魔梨奈も犯人探しを手伝ってくれているから魔梨奈は違うだろう。何より家族を疑いたくない。

 

二つ目の候補は「異形軍団」。体育祭で存在確認出来たし、正直コイツらな気がする。特に全国各地に現れたっていうのと、殺されたヒーロー達が最後に見た犯人像がそれぞれ一致していなかったのも怪しい。そしてさらにその犯人達? の共通点は全然トチ狂ったかのように笑いながら惨殺していることだ。異形妖精ではないが、似たような部類に違いない。

 

ただ不可解なのは、ヤツらはヒーローしか狙ってないってことだ。異形達のことを知っている人ならばより一層変に‪感じるだろう。ヤツらだったらヒーローどころか、そこら辺の一般市民にも見境なく襲いかかるはずだが何故かしない。それプラス、記憶の中では被害者を滅多刺しにしてるのに遺体には数箇所しか刺し傷が無い。被害者があまりの恐怖で記憶を誇張したのかもしれないが、やはり怪しい。

 

三つ目の候補は「ただの犯罪集団」。別にステインとか、異形とか関係なしにヒーローを寄って集ってリンチしている説。ただし、プロヒーローはそこら辺のチンピラなどに負ける要素は無い。そう考えると殺ったのは今や化石となった暴力団か、それとも轟くんレベルの個性を持つ若い子が気晴らしにやった少年犯罪か、まだ見ぬ未知の存在による宣戦布告か。まぁでもこの辺は可能性として低いから気にしなくてもいいや。急に全国各地で発生した理由を説明出来ないからな。

 

 

考えたくはないが、新たな「覚醒者」による犯罪の可能性も拭えん。今はだいぶ少なくなったが、原因不明の個性暴走とか四月ごろにあったからな。世の中物騒ですわぁー。

 

 

「ZZZZZ.....」

 

「寝るな」スパン

 

「痛った! 何ですか相澤先生、今痛覚無効切ってるんですから叩かないでください!!」

 

「お前がいつまでたっても職場体験の事務所選択の紙を提出しないからだ。全く、放課後はこちらも忙しいというのに....不合理の極みだ。」

 

「....てっきりヒーローになったから、職場体験なんてしなくても良いと今日の5時間目まで思ってたんですけど.....。というか47話でそう言ったのに何であの時否定しなかったんですか!!」

 

「これはヒーロー公安委員会からのお告げだ。他のヤツらにも言えることだが、ヒーローはヒーロー以前に公務員という役職だ。その事をお前は全く理解していないらしいから、職場体験でしっかりと学んできてほしいようだ」

 

「......免許とったんだけどな」

 

そんなやる気ゼロな魔理沙を見かねた相澤は、一つ助言をすることにした。

 

「魔理沙、二十歳になったから大人になっただとか、ヒーロー免許を取得したからヒーローになったと思うのは大きな勘違いだ。プロヒーローがどんな風に活動しているのか、現場での対応の仕方やヒーローとしての在り方を知り、『経験』を積まなければ一人前のヒーローとは言えない。お前が目指しているのは中途半端なヒーローか?」

 

「......。」

 

悩みに悩む魔理沙。一通り目を通して見たが全くもって興味が湧かない。確かに相澤先生の言う通りだし、経験はいくつ積んでも損することはない。適当でもいいから事務所くらい選ぼう、そう考えた魔理沙は目をつぶり、適当なところを指さした。神様の言う通りってヤツだ。

 

神様が選んだ、私の事務所の行き先は.....

 

「.....マニュアル事務所...」

 

「保須のヒーロー事務所か。力で解決するお前にはうってつけだな」

 

「....そっすね」

 

 

微妙な気分になりつつも、気を取り直して前を向く。そうだな、ヒーローになったんだからマニュアルは必要だよな。ゲームやる時だって説明書を見るのと同じだ。ちょうどいいな。うん。ちょうどいいんじゃあ!!

 

 

 

自分の行動に正当性を持たせ、大人しく魔理沙は帰宅することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

さらに二日ほど経った今日この頃。私達1年A組は職場体験に向けて最低限の知識や心構えを身につけていた。職場体験まで残り数日、気を引き締めねば。

 

ま、今は三時間目の現代文の授業だけどな。教科担当はセメントス先生。声がおっとりしてるから、めっちゃ眠たい。凄く眠たい。このまま寝たい。

 

「おい魔理沙、魔理沙、私!!」

 

「....なんだ魔梨奈か。起きるから後三十分寝かせてくれ」

 

「お前が起きた頃には授業終わってるよ。...いやそういうこと言いに来たんじゃない。今すぐサーチ能力使え! ありえない速度で何かがこっちに突っ込んで来るぞ!」

 

「はぁ? どゆ......、マジかよ」

 

てっきり魔梨奈の下手なジョークかと思っていたが、マジで未確認高速飛翔体が雄英高校目掛けて突っ込もうとしていた。意味がわからん。どういう精神構造をしたら午前中にテロを起こす気になるんだろうか。さっさとお帰り願うとしよう。

 

授業中にもかかわらず、彼女らは席を立って窓を開放した。

 

「魔理沙少女、魔梨奈少女、今は授業中です。席を立つのは当てられてからですよ」

 

「どうしちゃったの二人とも? 空に何かにあるのー」

 

自分達の謎行動に案の定ざわめき出した1年A組の仲間たち。飯田くんが「授業中は立つべからず! べからずだぞ魔理沙くん! 魔梨奈くん!」と席を立ちながら注意を促しているが、それを気にしている暇は無い。

 

「私だって授業妨害する気はサラサラ無いぜ? けど今回は違う。未確認飛行物体がこの教室目掛けて衝突しようとしている」

 

「今からATフィールドを張るから気にせず授業をしてていいけど、もしかしたら窓割れるかもしれないから気をつけてね」

 

(((えぇ......?)))

 

困惑するクラスメイト。魔理沙達にとってアクシデントは日常茶飯事だが、クラスメイト達にとっては人生で数えられる程度の出来事だ。未確認飛行物体が教室に衝突するなど誰が信じられるだろうか。

 

「師匠、嫌な予感がします」

 

「でしょ? 多分、五秒後くらいにはやって来るから今すぐ伏せた方がいいぜ。ガラスの破片に滅多刺しされっからな」

 

「邪魔だボサボサダブル!」

 

「はい今黙ろうか爆発さん太郎。マジで時間無いんだから」

 

「......はい、3、2、1 ──ドン」

 

 

ドン!!!

 

 

魔理沙達の言う通り、得体の知れない何が轟音と振動を纏いながら教室に衝突しようとした。が、魔理沙のATフィールドがそれを許さず、すんでのところで抑えつけていた。窓ガラスは1年A組に留まらず全体の約九割以上が崩壊してしまったが、ゼロコンマ一秒後には魔梨奈が修復能力で直したため被害はおそらくゼロ。理解する暇もなくほとんどの人間が唖然とする中、魔理沙達は衝突してきたモノの正体を知り、深いため息をつく。何回邪魔すれば気が済むのだろうか。何度このセリフを吐けばいいのだろうか。顔見る度に思い出す幼きトラウマ。そろそろ決着を着けねばならない。

 

「「何しに来やがったコード000!!!」」

 

「マスターとの約束を放置する貴女に弁明の機会はありません。今すぐ死になさい」

 

襲来してきた者の正体は自己進化型人工知能、NOUMUコード000。だが初期に比べて容姿がいろいろと変化していた。髪が白髪ちょいショートから銀髪ロングへと変化し、軍服っぽい謎のコスチュームから白統一の機械チックなコーデへと変化している。目も金色単色から金赤のオッドアイとなった。マスター、てめぇ趣味変わったな? 性別もなんか男の娘からジト目少女に変わってるし、絶対性癖漏れてるだろこれ。

 

魔理沙とコード000の目が合う。両者共に嫌悪感剥き出しの目付きで睨み合う。

 

 

運命の歯車が回り出す。

 

 

 

 







少し展開が加速しています。御容赦を。




全国各地で急激に増えた刺殺事件。コード000の襲来。職場体験......、いろいろと濃厚になって来たと思います。こっから先、無茶苦茶な展開が増えると思いますが暖かい目で見てください。


銀髪美少女っていいよね。


いろいろ紹介

改造・無意識を操る程度の能力:東方Projectのキャラ、古明地こいしの能力を改造。本来は自分限定の能力だったが、改造し、自分含め四人の存在を限りなく薄くさせる能力となった。四人同士は認知可能。



次回、対談。



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