最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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働かざる者食うべからず(53話)

 

 

 

「無茶苦茶疲れた......。」

 

三日三晩のガチ戦闘をしていたら、いつの間にか職場体験当日の朝になっていた魔理沙達。久しぶりにカロリーを大量消費したせいか疲れが全く取れない。だが大丈夫、私には『疲労軽減』スキルがたんまりある。こやつらを全起動してしまえば疲れなんぞ屁でもない。

 

スキル全開にすることで疲労という荷物をポイ捨てする。あぁ、スッキリ。サイコキネシスで肩をモミモミすれば更によろしい。結構疲れが取れた気がする。

 

 

気持ちが良くなったところで今日の朝の出来事をサラッと述べよう。コードシリーズとの殴り合いが終わった直後、私らは拳の友情を交わした。決してスケバンではない、断じて。そしてその直後にコード004のことを思い出し、即座に救出。04にはこれまでの経緯を知らないため、解放したや否や私たちに殴りかかろうとした、というか殴られた。その後コード000が訳を説明し、和解した後、無事我が家に帰宅。軽く説教くらって食事を済ませ、学校に瞬間登校。しかし職場体験当日は国際空港に集合だったので再び瞬間移動して今現在ここにいる。

 

 

情報量が濃すぎて怪文書のようになってしまった。

 

 

「おはようございます師匠」

 

「おはよう緑谷きゅん。めっちゃ久しぶりに見た気がする」

 

緑谷きゅんが私に挨拶しに来た。三日三晩の戦闘で時間感覚が少し狂ったのか、二週間くらい久しぶりに出会った感覚がする。

 

「......あの師匠、先週のあの件はどうなりましたか?」

 

「あー、まー何とかしたから大丈夫。気にすんな」

 

「そうですか.....。それと師匠.....、いえ何でもないです」

 

「.....『少し臭い気がする』ねぇ、まぁ三日間風呂入ってなかったからな。仕方ない」

 

「あ、いや! 師匠! 別にそんなこと思って...、......すみません」

 

心を読まれて動揺する緑谷。まぁこれは普通に私が悪いな。優しい配慮でギリ触れなかった緑谷きゅんに私から勝手に近づいただけのこと、緑谷きゅんが謝る必要はない。さっさと身体を新品にしてピチピチ(死語)お肌に戻すとしよう。

 

「自爆」

 

「へ?」

 

ボンッ!!!!!!

 

己の身体を極限まで脆くした後、体内エネルギーの一部分を暴走させて内部爆散した魔理沙。一歩間違えると重力が歪んでブラックホールに転じ、地球そのものを喰らってしまいかねない危険な方法だが、みんなに裸を見られず身体を清潔にするにはこれしかない。爆散後、魔理沙(という名の精神エネルギー体)は余った一部のエネルギーを不死の能力に使い、再び人間の身体を生成し始める。制服も個性『創造』で製作し、魔理沙は生まれたての赤ちゃんと同じような肌を持って復活を果たした。

 

「どーよ」

 

「無茶苦茶ですね......師匠」

クルッと一回転し、幼なじみに自慢する魔理沙。しかし方法が方法なため緑谷は少し引き気味であった。

 

「あっ! 魔理沙だー!!」

 

「おぉ魔理沙! 先週のアレ大丈夫だったか!?」

 

「魔理沙ちゃん、また変なことしてないわよね?」

 

「オイラにあの美人紹介してくれよ魔理沙! せめてLINEだけでも!!」

 

「やぁみんな久しぶり。先週のアレはまぁこっちで何とかしたぜ。......あと峰田、テメェに紹介する女はいねぇ、控えめに言って消えろ」

 

「辛辣!!」

 

魔理沙の存在を確認したA組のクラスメイトがやいのやいのと魔理沙の周りに集まってくる。そのおかげで事情説明に追いやられることになった魔理沙であったが、相澤先生のおかげで長引くことはなかった。

 

「そこ、うるさい。......ッて間に合ったのか結依、遅刻ギリギリだぞ」

 

「あ、はい。なんとか間に合いました」

 

「よろしい、次からは五分前に到着するように。それと結依、先週の件に関しては雄英高校は関わらん。お前の方で処理してくれ」

 

「了解」

 

了解と言ったが、もう既に解決済みである。

 

「後は魔梨奈だが、アイツはどこだ。結依、お前と一緒じゃないのか?」

 

「え?」

 

辺りを見回すが、魔梨奈の姿がどこにも見当たらない。家で朝食を食ってる時は居たのだが、まだ時間がかかっているのか? というかアイツ、誰のところの職場体験に行くんだ? 全然把握出来ていないが、まぁ魔梨奈のことだからすぐ来るだろう。......来るかどうかめっちゃ怪しいけど。

 

「.....まぁ、アイツのことだからすぐ来ますよ。......多分」

 

「職場体験先の方々に迷惑かけやがって....。姉が姉なら妹も妹か......」

 

「.....何でサラッと私まで罵倒されなければならんのだ......ッ!」

 

拳をギュッと握り締める魔理沙。妹も元はと言えば私だから二重で罵倒された気分だ。解せないが、今ここで相澤先生の頬に冥躰震虎拳を叩き込めば退学確定であろう。クッ、私の寛容さに助けられたなイレイザーヘッド!(負け惜しみ)

 

魔理沙の睨みを無視しつつ相澤先生は話を進めた。

 

「魔梨奈以外全員、コスチューム持ったな。本来なら公共の場では着用現金の身だ、落としたりするなよ」

 

「はーい!!」

 

「伸ばすな「はい」だ芦戸。くれぐれも失礼のないように! じゃあ行け」

 

ついに始まった職場体験。全員が脇にヒーローコスチュームを抱えながら、それぞれの方向へと散らばっていく。私はこれから瞬間移動で保須市に向かうので動く必要はない。お金がかからなくて便利だが、何か大切なものを失いそうだ。

 

次々とクラスメイトが離れていく中、公式ヒロインである麗日お茶子がすれ違いざまに声をかけた。

 

「じゃあね結依さん! また学校で会おうね!」

 

「あぁ、ガンヘッドさんのところでも元気でな」

 

「......あれ? ウチ言ったっけ?」

 

「思考を読んだだけさ。簡単だろぅ?」

 

「やっぱ結依さんはすごいなぁ〜。私もこの職場体験で結依さんのように強くなるから、応援してね!」

 

「フッフッフ、職場体験先の人が困惑するくらい応援したるわ」

 

そう言うとお茶子は笑顔で手を振りながら、事務所の方向へと走っていった。あー、可愛い。やる気も少し補充されたし、私もそろそろ行くとしよう。

 

「せーのっ」

 

とうっ! と叫びながら魔理沙はジャンプをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わた......を...止、め、てく......」

 

 

 

 

謎の着信に気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

 

「よっと、着いた」

 

昔のテレビ番組の編集のように、ジャンプからの瞬間移動で目的地にたどり着く魔理沙。ここが私の職場体験先の『マニュアル事務所』、いかにも地味という言葉が似合いそうな事務所だ。ここで学ぶのかぁ......、他のヤツらが羨ましい。

 

事務所の中へと進んでいく。階段を登った先の左の壁にドアがあり、ドアの上には『Office』と書かれた看板のようなものがあった。さっそくそのドアに手をかけ、中に入る。

 

「お邪魔しマース」

 

棒読みで挨拶をし、オフィス内へと足を踏み入れる。外側が地味ならば中の方もやはり地味で、オフィスという言葉を忠実に再現したようなシンプルな造り。薄灰色の壁に囲まれ、机の上にはスペックのよろしくないノートパソコンが置かれている。やはり来る場所を間違えてしまった気がする。あの試験で無想天生を食らわしてしまったエンデヴァー事務所はダメだとしても、エリートヒーローであるベストジーニストの事務所とかにしとけばよかった。過去に戻って昔の自分を叱りたいが、生憎まだ使えないため諦めるしかない。

 

そんなことを考えている内に、一人の男が私を迎えに来た。

 

「やぁ、君が雄英高校1年A組の結依魔理沙くん......いや、マジックヒーロー『マリッサ☆』くん。僕はノーマルヒーロー『マニュアル』、今日から三日間よろしくね」

 

「....よろしく......お願いします」

 

人間味のあるヒーローが私に丁寧に挨拶を返し、笑顔で私に手を差し出した。私はその手を受け取り、握手を交わす。私とは対極の位置にある平和のオーラを感じる。平和ァ......

 

「いや〜でもビックリだなぁ〜! 今まで以上に猛者揃いだったあの雄英体育祭で全種目完封した君がここを選んでくれるなんて本当にビックリだよ〜! 何か志望理由とかあったのかい?」

 

「目つぶって適当に指さしたらここになりました。私は他の人よりちょっと異常なんで、ここで普通を学べたらいいなとほんの少し思ってます。他にたいそうな理由はありません」

 

「そそ、そっかぁ〜! やっぱそうだよねぇ〜、委員会直属のヒーローだし、ここに来る理由なんて皆無だしねぇ〜。もう委員会で大体のことは聞かされてると思うし、僕から教えることなんてもう何もない......からどうしようか。一緒に街をパトロールするとか、どうかな?」

 

「行きます」

 

「よよし、ん分かった! 今から着替えるから準備しといてね! あ、そこの部屋空いてるからそこで着替えて大丈夫だよ!」

 

「もう着替えました」シュバッ

 

「早ッ! ちょちょ、ちょっと待ってて!!」

 

ドタバタと焦りながらヒーローコスチュームに着替えるマニュアル。魔理沙は直感的に感じた、この人めっちゃ弄りがいがあるぞ......と。この私に異常に気を使っているせいで空回りしているこの感じ、見てると面白い。フッフッフ、プロヒーローを遊び倒してやるぜ。

 

邪悪な考えを膨らませ、ニヤつきながら待機する魔理沙。これから三日間、有意義に過ごせそうだ。

 

「お待たせマリッサ☆ さぁパトロールに行こう!」

 

了解(ラジャー)

 

 

 

職場体験一日目が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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《保須市》

 

マニュアルの事務所から出て数分、私達はただただ平和なこの街をパトロールしている。前に塚内くんと調査したヒーロー殺害事件以来、保須市では一切殺人事件が発生していない。全国各地で急に増えだしたヒーロー殺害事件も今では終息の傾向にあるらしいし、一体何だったのか想像がつかない。どこかのアホみたいにSNSで「ヒーロー殺しましたウェーイ」とか上げてたら即刻潰しに行けるんだがなぁ。世の中は甘くないということか。

 

それにしても保須市は平和だ。と言っても今は全国で警備を強化しているらしいし、防犯キャンペーンも開催して全体的に犯罪対策の意識が高い。流石のヴィランもこの状態じゃ動けないのだろう。毎日こうだったらヒーローなんていらないんだが、緊迫した状態が続いたら人間は疲れてしまう生き物だから仕方ない。程々にやろう。

 

「ふわぁ....」

 

平和な保須市の街並みを見渡していると、ついついあくびをしてしまった。ついさっきまで激戦を繰り返していた分、この平和な空気が生暖かく感じてしまう。一度スイッチが入るとなかなか消せないせいか、いまだに私の心は闘志が宿っている。あー、誰かと戦いたい。魔梨奈がいれば模擬戦出来るんだけどなぁ。暇だァ。

 

「眠いのかいマリッサ☆? ちゃんと睡眠を取らないとお肌にダメージがいくよ」

 

「あー大丈夫です。さっき自爆して再生したんでピチピチお肌です」

 

「自爆?! 再生!? 何それ!?」

 

「ただちょっと三日三晩殺し合いしてたんで、なんというか精神的にまだ疲れが残ってまして....」

 

「...殺し合いて......ここ、日本だよ?」

 

「知ってます」

 

野蛮なワードを平然に吐く魔理沙に、マニュアルは痛感する。生きてる世界が全然違うということを。

 

「は、ははは、あっ、あーッ! あそこに荷物運びに苦労しているお婆さんがいるよ! マリッサ☆ 小さな助けは大きな助けの第一歩! さぁ頑張って!」

 

お婆さんを指さしながら、私に救助を要請するマニュアル。流石はノーマルヒーロー、隣に元特別危険人物が歩いていても正常な判断が下せる。正にヒーロー界のマニュアルである。

 

私は自分自身に幻覚魔法をかけ、お婆さんの所へ歩み寄る。私の顔は初対面にはあまりよろしくないので、幻覚魔法で相手が最も好みだと感じる人物に見えるようにし、さらに相手の精神に癒し効果を与えるオーラを放ちながら、お婆さんと対面する。今のお婆さんが私を見ればきっと菅田将暉が助けに来たように見えるだろう。

 

「おはようお婆さん。手伝おうかい?」

 

「すっ、スっ、菅田将暉ッ!?」バタッ

 

「お婆ァさァーーーーーーーんッッ!!!」

 

鼻に深紅のバラを咲かせ、静かに息を引き取ったお婆さん。それはそれは安らかな死であった。

 

「マッ、マニュアルさん!! お婆さんが!!」

 

安らかに眠るお婆さんを抱えながら、必死に助けを求める。この人を助けたい、自分の無罪を証明したい、不安、焦燥、あらゆる思いが先走ってしまうが、それら全てを抑えつつ私は先輩の到着を待った。

 

「どうしたんだいマリッサ! まっ!? ちょっ!? 橋本環奈ッッ!!?」バタッ

 

「マッ、マニュアルさァーーーーーんッッ!!」

 

ノーマルヒーロー『マニュアル』、橋本環奈の隠れファンであるが故に、その生命の泉を枯らしてしまった。鼻から血液を瞬間速度333km/hで噴出し、後頭部を強打してそのままピクリともせず死亡。ダイイニングメッセージには『橋本環奈』の文字が残され、彼は天珠を全うしてしまった。

 

幻覚魔法により見る人によってそれぞれ姿が変わってしまうため、お婆さんの目には菅田将暉、マニュアルの目には橋本環奈が映ってしまった。その結果、二人の尊い命が失われることになるなど三分前の私には予想だにしなかった。

 

人間の命とは、何とも儚きものなのか......

 

「ねぇねぇお母さん、あそこにいるのって....仮面ライダーッッ!!?」バタッ

 

「山崎賢人ッッ!!?」バタッ

 

「二宮和也ッッ!!?」バタッ

 

「玉森裕太ッッ!!?」バタッ

 

「ミ○キーッッ!!?」バタッ

 

「藤井流星ッッ!!?」バタッ

 

「ぬほぉぉおっ!? ワイの推しキャラの『ふぶき姫』ちゃんッ!!? 僕に会いに来ッ!?!?」グチャッ

 

それはそれは安らかなshi(以下略)

 

次々と倒れゆく保須の人々、抗うことの出来ない運命に人は跪き、そして死ぬ。魔理沙以外誰もいなくなったこの街で一人、魔理沙はやっと己の罪を認識した。可愛いが正義ならば美しいは罪、責めるならばもっとロリ系にしとけば良かったと......

 

見渡す景色の中に人は存在せず、下を向くと血に染った無数の死体が眼下を覆い尽くす。こんなつもりじゃなかったと弁明したいところだが、生憎弁明を聞いてくれる人間すらいない。どうしてこうなったのかと世界に問いただしたい。美しいは、罪だ。

 

 

魔理沙は達観した表情で空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※多量出血で倒れた方々は、後に魔理沙が全員復活させました。

 

 

 

 







まだ一日目である。



いろいろ紹介

・冥躰震虎拳:ワンパンマンに登場するスイリューという男が使う拳法のひとつ。相手は死ぬ。

・菅田将暉:イケメン俳優。ヒロアカの映画一作目の主題歌を歌った人。この世界にもいたようだ。

・橋本環奈:実写化に引っ張りだこな女優。千年に一度の逸材。もう怒ったかんなっ!

・山崎賢人:実写化に引っ張りだこな俳優。また山崎賢人か......

・二宮和也:『嵐』のメンバー。実写化GANTZ面白かったです。

・玉森裕太:Kis-My-Ft2のメンバー。

・ミッキー:法廷で会いましょう

・藤井流星:我らがジャニーズWESTの藤井流星さんじゃあああああああああぁぁぁ(にわか)

・ふぶき姫:妖怪ウォッチのキャラ、プリチー族のSランク妖怪。その名の通り吹雪を起こすことが出来る妖怪。



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