最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE:   作:マスターチュロス

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たくさんの失敗を重ねてはじめて、真実の全体像が見えてくるのです。(ジークムント・フロイト)





頑張ル君は美しイ(55話)

 

 

 

《緑谷side》

 

 

なんだかんだあって職場体験三日目。二日目は一日中グラントリノと練習に付き合って貰いながら、対人戦闘の知識を研究し続けていた。血を吐くまでやり続けた結果、ついに僕はオールマイトと同じ「マッスルフォーム」に変身出来るようになった。ただし一日10分だけである。

 

「むぅんッ!!!」

 

着ていた服が弾け飛び、凶暴な筋肉達が姿を現した。全生物を圧倒する大胸筋、オリハルコンですら貫けない腹筋群、覇王の風格三角筋、僧坊筋、上腕三頭筋、広背筋、腎筋群、力の権化上腕二頭筋、破壊の行進大腿四頭筋、その他もろもろが自己主張を始め、緑谷出久という存在の格を底上げする。目は隠れてはいないので、容姿は限りなくヤングエイジ時代のオールマイトに近い。

 

「HAHAHA......やりましたよグラントリノ! これで僕もオールマイトに継ぐ9代目に馴れた気がします!!」

 

「......お前さんが頑張った証だ。......早すぎる気もしないわけではないが」

 

「ありがとうございます! ありがとうございます!!」

 

「畏まらんでいい、というかするな。お前さんの風格がオールマイトに似すぎてこっちの調子が狂っちまう」

 

「す、すみません。ちょっとトゥルーフォームに戻ります」

 

身体から煙をモクモクと放出していくと、いつもの緑谷出久の姿に戻った。さっきの変身で上半身に着ていた服が布切れと化してしまったが、そんな些細なことは今の緑谷にとってどうでもよく、ただただ自分は強くなったのだという実感に感動を覚えていた。師匠にも報告しようと思ったが、直ぐにお披露目するのは勿体ないのでしばらく秘密である。きっと師匠でも驚くだろう。

 

「そういえばお前さん、名前はなんて言うんだ?」

 

「えっ、あっ、言ってませんでしたっけ。僕の名前は緑谷出q」

 

「それは違うだろ?」

 

「え?」

 

困惑する緑谷。それは違う......とはどういうことなのか。少し考えた結果、その真意を理解することが出来た。昔の自分なら夢のまた夢と片付けていたであろうこの名を......

 

 

「ワンフォーオール9代目継承者、『ニューエース』ですッッ!!」

 

 

「そうか、では行くぞニューエース。ちょいと渋谷でパトロールだ」

 

「はいッ!!」

 

力強い声が耳に届き、若かりし頃のオールマイトと姿を重ねるグラントリノ。奴も昔、「平和の象徴になって皆の心を照らしたい」と暑苦しく語っていた。ニューエースもまた、何かを叫びながら人々に平和をもたらす存在となるのだろう。それまで自分が生きているかは定かではないが、出来ればそれを見届けてからあの世に逝きたいものだ。

 

グラントリノは己のマントを翻して駅に向かった。その背後をニューエースが追う。未来へのバトンは、既に託された。

 

「......ところで、あまりにも唐突で頭が追いつかいないのですが、なぜ渋谷でパトロールを?」

 

緑谷が素朴な疑問を出した。

 

「あぁそれはな、ここいらは過疎化が進んでいて犯罪率が低いもんだからな。渋谷あたりは人口密度が高いから小さなイザコザは日常茶飯事、まさにうってつけの場所よ」

 

「なるほど......勉強になります!!」

 

緑谷はポーチからメモ帳を取り出し、いつものように学んだことを書き留めた。

 

「おっと、タクシーが来た。ほら早く乗んなさい!」

 

グラントリノが手招きをするが、緑谷は満ち満ちとした表情でグラントリノの誘いを断る。

 

「あっ、僕は走っていくんでグラントリノは先に行っててください! 追いつきます!!」

 

「は? こっから渋谷まで何キロかかると思って......あの小僧、もう行きやがった......」

 

元気すぎる後継にグラントリノはため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 P.M.5:48 〜

 

 

野原を超え林を抜けて山を越え、宙を舞い夕日と共に走る男、緑谷出久。グラントリノの乗る新幹線の後ろを全力疾走で追いかけているが、速すぎて後方車両から100メートルほど離れてしまっている。さすが新幹線といったところか。だが緑谷には秘策がある。ついさっき会得した強化変身、「マッスルフォーム」を使えば追いつけるかもしれない。制限時間が10分しかないのが弱点だが、滅多に使うわけでもないので使ってしまおう。5分あれば大丈夫。

 

「フンッッッハッ!!!」

 

コスチュームが弾け飛び、ガタイのいいパンイチ少年が現れる。傍から見れば変態だが緑谷にとってこの姿は努力の証、オールマイトの後継者であるという誇りそのものなのだ。パンツが弾け飛ばないのはお約束だ。

 

緑谷は空気を高速で蹴り続ける「月歩」という技で空を駆け抜ける。身体から吹き出る熱を冷えた空気が冷却し、なかなかに心地いい。

 

「オールマイトになった気分だ......」

 

緑谷は言葉にできないほどの感動を感じていた。ずっと憧れ続けてきた、オールマイトのような最高のヒーロー。その軌跡を振り返ると、自分がいかに恵まれていたのかが身に染みてわかる。幼少期に師匠と出会い、オールマイトから個性を受け継ぎ、雄英高校に入学し、必死こいて鍛え続けて、今の自分がある。なんとも感慨深い。

 

 

それはまるで奇跡のようなお話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォ!!

 

 

「え?」

 

 

感動もつかの間、何者かがグラントリノの乗っている新幹線に激突した。新幹線は黒い煙を吹き出しながら徐々に減速していく。

 

何がどうなっているのか全く理解できなかったが、緑谷は先に乗客の安全を確認すべく減速した新幹線に追いつき、遠くから様子を覗こうとした。

 

「一体何が.....」

 

何とか回り込み、様子を見る緑谷。だが五秒も経たずにグラントリノが、U()S()J()()()()()()()()()()()()()()を掴んだまま新幹線から飛び出した。

 

「グラントリノ!?」

 

「小僧! お前はどこか安全な場所まで逃げろ!! 警察にも通報だ!!」

 

「グラントリノ.....しかし!」

 

「いいから早くs」

 

言い終わる前にグラントリノは保須の市街地まで行ってしまった。嫌な予感がする、何か強大なエネルギーが保須を中心に渦めいているような、得体の知れない力が溢れている気がする。ごめんなさいグラントリノ、逃げることなんて出来ません!!

 

緑谷はすぐにグラントリノの後を追うことにした。グラントリノが抑えていたあの怪物、USJにいた脳無とかなり似ていた。あんな脳ミソむき出しの怪物がそこら辺にいるわけがない、親戚か兄弟か。もしもUSJの脳無と全く同じ力を持っていたとしたら、グラントリノとはいえかなり危険だ。放っておくわけにはいかない。

 

己の正義に従い、緑谷は保須に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

《???side》

 

 

 

保須市で脳無が複数体出没し、街は焼け、駆けつけたヒーローは脳無達の無慈悲な力によってねじ伏せられる。

 

 

 

〜 五分前 〜

 

 

「......この街に確かあのチート野郎がいるんだよな?」

 

「えぇ、彼女は現在ノーマルヒーローの元で職場体験中ですね」

 

「ハッ、普通その個性で凡人のとこ行くなんてつくづく笑えるぜ。ギャグかよ」

 

保須市のとあるビルの一角、かつてUSJを襲撃したヴィラン連合の二人が街並みを見下ろしながら会話をしていた。

 

「まーどっちにしろ、こっちにはあの対オールマイト用脳無を遥かに凌ぐ最強の脳無が五体いるんだ。流石のアイツでも死ぬぜ?」

 

「しかし貴重な脳無の中でもさらに貴重な個体を五体も貸してくれるなんて、先生方は何を考えているのか......」

 

黒霧はあまりに不自然なご好意に疑問を抱いていた。脳無は複数の人間を掛け合わせ、複数個性の所持に対応出来るようにしたいわば改造人間。製造工程は不明だが、一か月前の時点では一体の製造にかなり時間を要していたはずだ。さらに先生が言うにこの脳無達は通常の個体とは一線を画す『最上位(ハイエンド)』個体らしく、なんと他の脳無と違って知恵を持ち、会話もある程度出来るらしい。

 

なら尚更これを死柄木に託した理由が謎だ。そこまであの人間を処理したいのか。謎は深まるばかりであった。

 

「そう深く考えるな黒霧。つまんねぇだろ」

 

「......。」

 

「あーもいい。早く脳無だせ黒霧、さっさと試してみようぜ」

 

新しい玩具に魅せられた子供のように、目先の欲望に溺れる死柄木。黒霧は渋りつつも、仕方なく個性「ワープホール」を使って五体のハイエンドを呼び出した。

 

「でデででデでデデてタ、ソト、そトダ」

 

「みっミみっみナごろシ。みなごろしみなごろしみなごろしみなごろしみなごろしみなごろしみなごろしみなごろしみな」

 

「.....aaafuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuckfuck!」

 

「タスケテ、タスケテネスさんネスさんネスさん痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いあ"ァ"あ"あ"ァぁ"う"ぉ"ゑ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"

 

 

キ モ チ イ イ

 

 

 

「見たな見たな見たなたな見た見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見殺すたな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たな見たなて見て見て見て見て!!」

 

ワープゲートから出現した複数のハイエンド脳無。その姿は下位や上位の個体と違い、まず脳がフードのような皮で隠れている。そして全体的に黒く、細身だが皮の下は筋繊維の塊である。身長は2メートルほどある。

 

「こいつら本当に会話出来んのか?」

 

「さぁ、どうなんでしょうか......」

 

言葉とは思えないほど狂った叫びに二人は首を傾げる。が、取り敢えずこの街を思い切り壊してくれればそれでいいと死柄木は考え、命令を下した。

 

「脳無、この街の全てを壊せ。全てだ。あとこの写真に写っているコイツ、コイツを見つけたら全力で殺せ。いいな?」

 

「「「「「......リョーカイ」」」」」

 

命令は伝わるのか、五体のハイエンドは同時に了承する。そして一斉に翼を広げ、それぞれの方向に散らばっていった。道中にある全ての物体に危害を加えながら、一人残らず一掃し、さらに体内に格納していた下位・上位脳無をばら撒きながら被害を拡大していく。上位脳無一体でさえも街に大規模な被害をもたらすというのに、ハイエンド脳無五体、上位脳無十体、下位脳無二十体がたった一つの街に集中している。シュミレーションゲームで弱者を甚振るかのような快感に死柄木は興奮する。

 

 

 

が、そこに一人のヒーローが立ち塞がった。

 

 

「......せっかく様子見で来たっつーのに、何だコレ。 いつもの脳無に比べて随分と禍々しいな」

 

死柄木の目の前に突如現れた金髪の魔女。一見ただフワフワ浮いてるだけの少女に見えるが、少女とは思えない圧倒的な存在感に死柄木達は身構え、飛んで行ったはずのハイエンド脳無達は存在に気づいたのか、Uターンして戻ってきていた。

 

長い髪を漂わせ、暗黒に満ちた表情でこちらを睨んでくる魔女に死柄木は不快感に苛まれた。あの顔、あの目あの表情、この世でオールマイトの次に憎い存在、USJ襲撃を散々な結果で終わらせた元凶。死柄木は憎しみの篭った声で叫ぶ。

 

 

「結依魔理沙ァァァッッ!!!!!」

 

 

魔法系(マジック)ヒーロー『マリッサ』、ここに見ンンンンッッ参!!!! 死にたい奴は順番を守って一人ずつ来い。まぁ守らなくても結果は変わらんがな」

 

 

不敵に笑う最強のヒーロー、結依魔理沙が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________

 

 

 

 

《魔理沙side》

 

 

私、結依魔理沙は今、めっちゃ困ってます。一つ、死柄木が何かやらかさないか様子見でやってきたら案の定やらかしていた件。二つ、保須のどこかに魔梨奈が現れたが、様子がおかしい件。三つ、休憩中に遊び半分で緑谷くんの様子を観察してたら、パンイチで快感を得ていた件。さて、どこからツッコめばいいのやら。

 

まず死柄木の方だが、なんか見たことない脳無が五体もいるんだけど何なんだこいつらは。原作では三体だけだったし、こんなに禍々しくもない。オリキャラなのかまだ見ぬ原作キャラなのか判別つかんが、なんか弱そうなので早めに倒しておこう。

 

問題は魔梨奈の方。いきなり現れたかと思えば、オーラダダ漏れの状態でさっきから彷徨いてるのが意味わからん。職場体験もサボってたことを考えると、反抗期? スケバン? アイツがスケバンになったら先公の手に負えないので、姉として私が更生させねばならない。

 

とりあえず緑谷くんはパス。

 

 

「ふぅ、状況は整理出来た。じゃあどーぞご自由にかかってきなさい」

 

「おママおまオまオマお、ッよい?」

 

「stronger than youuuuuuuuuuuu!!!!!」

 

「底板そそそこそこココココココココ遺体たたたたたたたた

 

ブ ロ ッ コ リ ー

 

 

「残念、英語しか科目取ってないからお前らの言葉理解できないわ」

 

〔彼らの言葉を翻訳致しましょうか?〕

 

「いらんわ!!!」

 

大賢者の余計なお節介を回避しつつ、脳無達に睨みを利かせる魔理沙。USJで出現した対オールマイト用脳無よりかはマシな奴五体に囲まれているが、あん時と違って今の私はフルスロットル。最近じゃ苦手だった初見殺しもだいぶ対応出来るようになった。見せてあげよう、ニュー魔理沙様の最高のヒーローショーを。

 

「fuck」

 

一体の脳無が巨躯な翼を羽ばたかせ、筋繊維が異常に膨れ上がった右腕をこちらに向けながら迫ってくる。

 

「Sit,sleep over there.」

 

英語スラングを英語で返しつつ、能力で変質した巨大で肉塊な右腕を振り払う。強烈な一撃が向かってきた脳無の右頬を砕き、体を回転させながら遠くのビルに衝突した。造作もない、こんなものいつも爆豪とやり合っている日常茶飯事レベルだ。

 

「おまおまマつヨイ。ころっッこコロろっこロす」

 

「見た見た見た見たよ。見て見た見てよ見たぞ見たら見たら見たら 殺す」

 

 

ジ ャ ー マ ン ポ テ ト

 

 

「私はフライドポテト派だッ!!」

 

一体目の脳無が吹き飛ばされたのを切っ掛けに、次々と他の脳無達がこちらに向かってくる。私より体格が大きいため懐に潜り込むのは簡単だが、多勢で突っ込まれるとなかなかに厄介。そして脳無である以上、何かしらの個性をそれぞれ4〜5個ほど持ち合わせているはずだ。......いつものギリギリの戦いは止めておいた方が良さそうだ。戦闘映えしないが仕方あるまい。

 

「ぽぁ」

 

一体の脳無が顔面から炎を吹き出す。避けるのは簡単だが、避けた隙を狙って攻撃してくるのを読唇能力で先読みし、あえて炎をくらう。炎耐性を全開にしているので火傷すら負わない。やったね。

 

脳無達の攻撃を避けつつ何発か拳を叩き込んだ後、私は両腕を()()()()()()()()()()()()()()に形を変え、近くにいた二体の脳無を

 

「頂きます」

 

 

呆気なく喰らった。

 

 

変形した両腕は血も骨も惜しみなく飲み喰らい、咀嚼し、欲を潤す。ワニのような腕は満足したのか、ゲップを吐き出すとスルスルと元の両腕に戻った。

 

「......ところどころ個性ダダ被りしてるが、珍しい個性も手に入ったな。まぁ、及第点だな」

 

「アイツ、脳無を喰ったぞ......」

 

「貴重な脳無が.....」

 

ドン引きの死柄木と多大な利益の損失に嘆く黒霧。だがそんなこと知ったこちゃあない、珍しい"個性()"を私の目の前に差し出したお前らが悪いのだ。自分を憎め。

 

〔能力『メルエム』が発動しました。自然治癒力上昇。筋力上昇。瞬発力上昇。思考速度+0.42%。感覚倍増etc。個性を複数獲得。同系統能力は同グループに統合されました。『ハイエンド』への変身が可能です。〕

 

大賢者が今日も元気に私のステータスを教えてくれる。『メルエム』とはハンターハンターという世界で猛威を奮った、キメラアントという怪物の王の名だ。メルエムの能力は喰らった相手の能力やステータスを自分に上乗せ出来る......、ってアレ? なんか似たような力が他にもあったような......

 

そしてハイエンドに変身出来るようになったのは『擬態』という雑魚スライムが持つ能力。これで変身できる姿は4278931。ざっと427万ほどだ。

 

「次の方どうぞ」

 

丁寧に右手を添えつつ、魔理沙は礼をした。

 

「くタクったくクッたくっタクった」

 

「見タたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた、、、、、、た」

 

「......喧しく喋る割には全然近寄ってこねぇな。動物並には頭が働くようでよろしい。が、残念ながらそれは悪手だな。干渉系能力者(チートキャラ)を相手に、後手に回った時点でお前らは負けなんだぜ?」

 

〔/kill @P〕

 

〉_

 

/noumu[high end 3] deleted successfully

 

 

 

 

 

 

 

「つまりこういうことさ」

 

魔理沙の近くにいた一体の脳無が、跡形もなく消滅してしまった。文字通り、跡形もなく。

 

「......な......ッッ?!」

 

「これは......一体どういう......?」

 

「ん、今の状況がよく分かってないようだな。 ほらゲームでチートコードあるだろ、アレだよアレ。マイクラやったことある?」

 

魔理沙から説明を受ける死柄木だったが、全く頭に入ってこなかった。いや、チートコードは理解している。死柄木はよくゲームに触れる機会が多く、時にはゲームデータを改竄したり、チートコードやコマンドで遊ぶことは多々あった。が、それはゲーム上での話であって現実ではない。

 

世界そのものを数値化し、ゲームのごとく弄ることが出来る力。使い過ぎればこの世界に一種の不具合(バグ)を発生させる危険な力。

 

「......、こんな、こんなふざけた話があるかッッ!! お前は神になったとでも言うのか!!」

 

死柄木弔は問う。お前は何者かと。

 

 

「残念、不正解! 私は最強の魔法使い『結依魔理沙』! この名のお前の8ビットしかない脳みそに叩き込んでおけッッ!!」

 

私は答えた。私は自称最強の魔法使いであると。

 

 

「ニゲにゲにゲヨう」

 

動物並の思考により、逃げる選択をする脳無。敵はあまりにも強大で、未知で、現状では勝つ術もないとわかった以上、相手から出来るだけ距離を話すことが最優先となる。生きていれば経験が積める、生きていれば強くなれる、生きていればチャンスが巡る、生きていれば復讐が出来る。とにかく生き残りさえすればいい、そう一匹の生物は考えた。

 

 

やはり動物並の思考と言わざるを得ない。

 

 

逃がすわけなかろう(逃げられる保証があると?)」キュッ

 

 

ボンッッ!!!

 

 

 

魔理沙は()()手中に収めていた脳無の"破壊の目"を握りつぶし、残った一体を跡形もなく消し飛ばした。最初に向かってきたfuck野郎が残っているが、あれは警察に突き出すために生かしただけであって、潰すべき敵はこれで全て潰したことになる。

 

後は死柄木達だが、軽く吹っ飛ばしておかえり願おう。これ以上の原作崩壊はかなり不味いということが最近判明した。ここ最近、空間が時折歪んで見えることがあった。あまり気にしていなかったが、大賢者曰く「原作崩壊が原因。非常に危険」らしい。よく分からなかったが大賢者が強く言うので、まぁそういうことらしい。だから最近は()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()。している......、している? ん、アレおかしいぞ? なんで私、使ってんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"それはお前が『最強の魔法使い』だから"

 

"それはお前が『化け物』だから"

 

 

"それはお前が『異形だから』"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"それはお前が敷かれたレールの上で踊るだけの、何とも哀れな『器』だからさ"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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私は残った一体の脳無に瞬間移動で近づき、フェムトファイバーの組紐で脳無を拘束する。フェムトファイバー、説明すると長くなるので簡単に言わせてもらおう。要はめっちゃ強い組紐である。仮に私並みの筋力を持ち合わせていたとしてもこの組紐を解くことは不可能。そんな組紐で脳無を亀甲縛りし、取り敢えず王の財宝(ゲートオブバビロン)の中に放置する。これで私のミッションはほぼ完了した。

 

「で、どうするお二人さん?」

 

ニヤリとした表情で二人を見つめる。

 

「ブッ殺す」

 

「待って下さい死柄木弔! 今はまだ辛抱するときです、早まってはいけません!!」

 

「そうよ弔くん! アンタが今倒れたら、黒霧や先生との約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、魔理沙に勝てるんだから!(皮肉) 次回、『弔死す』 。デュエルスタンバイ!」

 

「やっぱコイツブッ殺す!! 黒霧ィ!!」

 

「......この結果を見て少しは考えを直して下さいよ!!」

 

死柄木は自分の右腕を黒霧のワープホールの中に勢い良く手を突っ込む。かつて先生の指導の元で黒霧と開発した即死コンボ、自分の「崩壊」の個性と黒霧の「ワープ」の個性を合わせたシンプルで最強な技。

 

魔理沙の目の前に黒霧のワープホールが出現した。そして穴の中から死柄木の右腕だけが飛び出し、魔理沙の顔面をガッチリと捕らえる。顔面の皮膚から崩壊が進んでいき、10秒も経たぬ内に全身が灰と化す。まさに即死コンボとでと言えるべき必殺技だが、喰らった当の本人は.........

 

「......ゲームが好きなお前に私から一つ教えてやろう。ラスボスに即死系は効かんッッ!!」

 

顔面に五指を密着させられていても、彼女は余裕の表情を崩すことは無かった。あまりの理不尽さに死柄木は逆ギレしたが、黒霧はため息をつきながら「やはり」と呟いた。

 

「クソっ、クソッッ!! 邪魔ばっかしやがってこのクソババアが!! 次会った時は必ずブッ殺してやるから首洗って待ってろ!!」

 

死柄木の捨て台詞に魔理沙のネタセンサーがビンビンに反応した。

 

「ぶっ殺すだと? 私達ギャングの世界ではな、ブッ殺すと心に決めた時は、既にッ行動は終わっているんだッッ!!」

 

独特の効果音と決めポーズが死柄木に炸裂する。

 

「ブッ殺した......なら使ってもいいゾ」

 

ジョジョ画風で人差し指を天に向けながらドヤ顔をかましてくる魔理沙に対し、死柄木の憤怒はとうに限界を迎えていた。

 

「知るかカス! ハゲ! ジブリの雑魚キャラ!」

 

「誰がまっくろくろすけだブッ殺すぞ」

 

有言不実行、前言撤回、何が原作崩壊だクソ喰らえ。右手にカイザーフェニックスを構えながら二人の動向を警戒するが、黒霧がこの状況に耐えきれなかったのか死柄木を無理やり引きずり、ワープの個性で逃亡した。まぁ、終わりよければ全てよし。

 

取り敢えず私は今の状況を警察に報告しなければならないので、私はゲートなバビロンからスマホを取り出す。激動ではあったが余裕だったな。

 

報告を終え、次に魔理沙が目を付けたのは巨大なエネルギーの発生源、おそらく魔梨奈がいる場所に座標を合わせる。座標を......、ざひょっ、すいませーん大賢者さーん! 手伝って下さーい!!

 

〔......大人しく瞬間移動を使って下さい。それにマスター、まだ脳無退治は終わっていません。下位・上位個体の脳無が既に最上位個体から排出されています。至急そちらの対処を〕

 

「グッ......やってくれたな死柄木弔、いらん置き土産を渡してくれちゃって......サッと終わらすぞ」

 

魔理沙は瞬間移動を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パキッ







人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣にあたるのが、各人の性情だという。おれの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。(『山月記』 李徴)


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