最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
新章にようこそ。
Witch's night(59話)
《保須市 21時12分》
██████との最後の決戦に勝利した私は死に物狂いで地球に帰還し、なんとか保須までたどり着くことが出来た。……宇宙から戻ってきたはいいが、どうやらあの決戦から二週間経過しているらしい。私はそこら辺も配慮して、帰る際にはちゃんと霊夢の「空を飛ぶ(法則からも)程度の能力」でアインシュタインの相対性理論から浮いたというのにこの結果だ。アレか、カビキラーの99%除菌的な、残りの1%までは流石にカバー出来ない的なアレか。逆に二週間に抑えられたことに喜ぶべきか。
まぁどちらにしろこの世界で私は二週間も迷子だったことに変わりない。二人もいなくなって母さんは心配を通り越して激怒してるだろう。早く戻ってやらねば。
「その前に保須市を修復するか」
二週間経ったとはいえ、あの決戦で保須には多大なる被害を負った。直ぐに治るほど爪痕は浅くはなく、今も周りは瓦礫にまみれている。だが私の能力ならば、どんなに深い爪痕でも一瞬で治してやれる。いきなり元に戻って他の人がビックリするだろうが、まぁ、いいでしょう。
「あー! いた師匠!!」
聞き覚えのある声が聞こえる。瓦礫の山の上から元気そうな声が私の耳に届き、どことなく安心した。
「よう緑谷きゅん、おひさ」
「おかえりなさい師匠。アレから二週間経ちましたけど、その、どうでした?」
瓦礫の山を下り、フルカウルで私の元までたどり着いた緑谷。久しぶりの感覚で懐かしさも感じられるこのやり取り、ありがてぇてぇ。
「あー、██████はキッチリ私が倒したから安心しな緑谷きゅん。これで保須市は平和だ」
魔理沙は親指を立てた。
「……何を言っているのかサッパリ分からないですけど、皆ずっと心配してたんですから。早く帰りましょう」
緑谷の返答。だが妙に違和感がある。
「…………アレ? 緑谷きゅんも戦ったよね██████と。しかもさっき、アレから二週間経ったっていってたよね? 忘れた?」
「戦うも何も、師匠は
「あーわかったわかった理解した。あーちくしょう、これは母さんどころか警察や政府にもドヤされる案件だな。今回は仕方なかったとはいえ、なんというか、虚しい限りだぜ」
「?」
首を傾げる緑谷。しかし魔理沙は理解した。緑谷含めこの世界のほぼ全ての人間は、あの決戦のことについて全く覚えていないということを。██████の存在を消滅させたおかげで、██████が与えた影響は全て別の存在(脳無)に差し替えられてしまったのだ。それはつまり、私がついさっきまでやってたことも他人には一切認知されていないということで……
「……ところでさっきから抱えてる人って、もしかして魔梨奈さん?」
「ん? あぁ、
「師匠も最後サボってましたよね?」
「余計なことは言わねーの。……おい、魔梨奈。そろそろ起きる時間だぞ」ペチペチ
「んんぅ…………」
魔理沙は往復ビンタで何度も魔梨奈を起こそうとすると、魔梨奈はハッと目を開眼し魔理沙の腕から一気に飛び上がろうとする。しかし突然と起き上がった魔梨奈に対して魔理沙は回避出来ず、ヘッドアッパーが魔理沙の横顎に炸裂した。
「痛たたた…………、ここは?」
「…………やっと目覚めたか、眠り姫」
「何だわたっ、魔理沙か。どうし…………てッ!? 魔理沙! その、██████のことに関しt」
「説明めんどくさいから脳内会話で済ますぞ」
現状説明を口でするには効率が悪いので、私は魔梨奈の脳内に直接情報を送り込んだ。今までの経緯を事細やかに説明すると、魔梨奈は静かに納得した。
「そうか、倒したのか。流石だな私。……それに比べてこの私は…………不甲斐ない」
「いや、私こそ私に謝らないといかん。私らは同一存在だと言うのに、
「いやいいんだ。私は本来、
「バカなこと言うな。お前は既に私ら結依ファミリーの一員なんだ。お前をやっと救えたというのに…………消えるとか、言うなよ……」
「…………すまん」
静かに抱き合う二人。涙を流すことの出来ない二人であったが、確かにそこに家族愛があった。目には見えない、慈しみの涙が二人の頬を伝って、深く、深く抱きしめ合った。
なお、さっきから見向きもされずに置いてけぼりをくらった緑谷は、遠い目で二人の行為を見守ることしか出来なかった。
「じゃ、二人とも、帰りましょうか。我が家に」
「…………あぁ、そだな。帰ってお疲れパーティだ」
「母さんも心配してるしな。帰ろう」
歩き出す三人。邪魔な瓦礫を退かしながら、我が家に向かって一直線に歩き出す。だがその前にやるべき事を思い出した魔理沙は一旦立ち止まった。
「そうだ、街戻すの忘れてた」
「その方が瓦礫どかすより早かったね」
「ハハハ…………」
大事なことに気付いた魔理沙は、すぐに両手の掌を合わせ、体全身で円を描き、掌を地面につけて街を復元しようとする。魔理沙が復元している間、魔梨奈は緑谷に疑問をぶつけた。
「そう言えば、何で緑谷くんはこんな夜遅くまで私らを探してたの?」
「それはですね、その、心配で。本当は今も警察や政府、ヒーローが全力で捜索しているのですが、そのー、気が気でなくてこの二週間の間ずっと探してました」
「あ、ありがとうね。うん、あざす」
「しかしヒーローや警察も被災者の救助として先に瓦礫の下を調査したんですけど、よく見つかりませんでしたね。というか、魔梨奈さんほどの人が瓦礫に埋められるのもなかなか珍しい気もするのですが…………」
「え? あ、うん。そだね。何でだろうね」
曖昧な返事しか出来なかった。
「本当に不思議です。ま、でも見つかったから良かったです。そろそろ上空で監視している専用ヘリに見つかるでしょうし、師匠たちはこれから事情聴取されまくっちゃうのでしょう。頑張ってください」
「頑張ってくださいって言われてもなぁ」
渋い表情をする魔梨奈。当たり前なのだが、やはりめんどくさいことこの上ない。
「…………あの、師匠? まだ時間がかかりますか?」
「どしたの魔理沙。調子悪くなった? 変わる?」
「…………」
一向に進展が見られない魔理沙に対して心配する二人。おそらく██████との決戦でかなりの体力を消耗したのだろう。街を修復するほどの体力すら残ってなかったなんて相当強かったんだなと、そう思った魔梨奈は魔理沙の肩を叩き、交代しようか? という仕草を見せる。
だが、魔理沙はずっと固まっていた。
「……能力が使えない」
「は?」
「え?」
戸惑う二人。だが一番戸惑っているのは魔理沙だった。
「……それって、前みたいなカルマ値を抑えるための副作用的なヤツ?」
魔梨奈はUSJ襲撃事件のときに起きた自身の弱体化について思い返した。いつも頼りになる大賢者さんが回線の悪いチャット機能のごとく弱り果て、一部の属性魔法と召喚魔法以外は全て使えなくなったあの件。短時間でフルに能力を活用すればこうなってもおかしくは無い。
「違う。あの時は明確な弱体化が発生してたし、使える能力も残ってた。けど今は何故か全ての能力が使えない。弱体化らしい演出がなかったのに」
「本当に全部? 召喚魔法は?」
「…………ダメだ。マジで何も起こらん」
「しっ、師匠?」
初めてのケースに三人は頭を悩ませる。何が何だかさっぱり分からず、色んな能力を片っ端から使ってみようとするが、うんともすんともいわない。
この能力、自分の個性のくせにこう言うのもなんだが、まだハッキリと分かってない点が幾つかある。まずこの能力は「個性」なのか、それとも個性とは別の代物なのかはっきり分かっていない。
本来個性とは身体機能の一部のように働き、使用し続ければ疲労や怪我、体温の上昇などが見られる。のだが私の場合は単に頭痛が酷くなるだけ。もっと無理すると寝込むレベルの風邪をひくというわけの分からなさ。普運動している途中で急に風邪をひいてバッタリ倒れるやつなんて普通いるか? いるかもしれないがかなりのレアケースだろう。とにかく私の個性は異質なのだ。
さらに何故か知らんが「カルマ値」と呼ばれるものが私の個性に存在し、能力に無理矢理制限をかける。人自分が常日頃使う筋力を無意識にセーブし調整しているように、個性も許容量を超えないよう調整しているかと思いきや、私の場合、あまりに極端である。一定量カルマ値が溜まったら下がるかと思っていたが、タイミングがまちまちで規則性が見つからない。なぜ今使えないのか。あの決戦でかなりカルマ値が上昇したはずだが、なぜ決戦中に弱体化が発生しないのか。USJの時との違いは?
他にも疑問はあるが、とりあえずこれだけはハッキリさせるため私はあることを魔梨奈に頼んだ。
「魔梨奈、お前の大賢者を呼び出せるか?」
「出来るけど、何する気?」
「
「!? ……マジ?」
「どういうことですか師匠」
「明確な弱体化はしていない、だが能力は全て使えない。これまでの状況から察すると、可能性は二つに絞られる。一つ、カルマ値の上限が変化して副作用の効果も変化した可能性。二つ、
「大賢…………、大体分かりました……」
〔お呼びでしょうか、マスター〕
魔梨奈の中の大賢者が起動した。いつもは精神内でしか会話をしないが、今回は緑谷きゅんにも配慮して現実世界にも聞こえるよう音を出す。
「この声が大賢者…………、なんだか機械チックですね」
「大賢者、今すぐ私を調べてくれ。カルマ値と、他に異変がないか……」
〔了解。個体名「結依魔理沙」の解析を始めます。〕
〔解析終了しました。〕
「早っ!?」
圧倒的な演算能力の速さに緑谷は驚くも、二人(正確には三人)は平然としていた。そして魔理沙は、自身の解析結果を静かに待つ。
「いや師匠これ、カルマ値より他の項目の方が酷くないですか?」
「…………いやカルマ値以外はいつも通りだ。だがカルマ値だけは異常に高いッ!!」
「……マイナスだから低いのでは?」
「緑谷くん、私らのカルマ値がプラスに傾くことなんて一生ありえんぞ。値は低ければ低いほど私らにとっては高いのさ」
「そ、そうですか……」
無理に納得した緑谷と、膝が崩れて手を地面につける魔理沙。どうやら緑谷はこのカルマ値の値の意味を真に理解していないようだ。
「ちなみにカルマ値-500って、どれくらいヤバいんですか…………?」
緑谷の質問に魔梨奈は答えた。
「まず人を殺すことに躊躇がなくなる。そして全身が化け物の姿に変わり果て、目に映る全ての物体を破壊し尽くすだろうな」
「それ滅茶苦茶ヤバいじゃないですか!? 逆に何で師匠は平然としてられんですか!?」
「それは多分、精神を安定させるスキルのおかげだな。常時抑制するから今までまともに生きていけてたけど、無かったらどっかの伝説の超サイヤ人みたいに暴れまくってたかもな」
「うわぁ…………」
魔梨奈の恐るべき発言に緑谷はドン引きする。昔どこかで読んだ「個性終末論」に近い雰囲気を感じ、悪寒が背筋を伝う。何よりその終末を引き起こせる人が隣で挫折しているのが余計にシュールだ。
「………………ん?」
突然の大賢者の報告に全員の表情が固まってしまった。ステータスの更新、それが自動的に行われるときは大抵、以前のステータスより大幅に値が伸びたことを示している。つまり、
「まさか…………」
「おい、見ろよ魔理沙。ヤバいぞ」
〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕〔ステータスが更新されました〕.
繰り返されるステータス更新、右肩上がりに上昇していくカルマ値に三人は絶句し、ただただ立ち尽くすことしか出来ない。明らかに異常だった、様子がおかしい。だが解決策がわからない。カルマ値の上昇具合が異常に速く、数字がどんどんマイナスになっていけばいくほど私の鼓動が加速する。ダメだ、冷静になれ、しっかりしろ、そう言い聞かせても頭は常に真っ白で何も考えることが出来ない。それでも必死に必死に対策を考えている内に、ついにカルマ値は-9000を突破。この勢いならばあと数秒程度でマイナス1万を突破するだろう。その事実を突きつけられながら、魔理沙はより必死に対策を考える。だがどこかで別のことを期待する自分がいた。
カルマ値の限界を知りたい。
カルマ値が限界に至った時、自分はいったいどうなるのだろうか。
そう思ってしまったのは、内に秘める好奇心から溢れたものなのか、それとも諦めからなのか、それとももっと深い何かからの…………
____________________
「…………」
「……大丈夫、か? どこか変なとこはないか?」
「師匠?」
「…………」
「………………」
「…………………………」
「あー、びっくリした。暴走するかと思った」
「師匠ぉぉぉぉぉぉ!!」
「よかったぁぁぁ! めっちゃ黙るからヤバいやつかと思ったじゃーん!!」
「いやぁメンゴメソゴ。ちょっと悪ふざケしたくなってぬぁ。虐めちゃった」
「もー全くこっちまで脅かすんだからー! 私のくせにー! このこのー!」
「ハッハッハ!」
魔梨奈は魔理沙の脇腹をくすぐるマネをし、魔理沙はくすぐったそうに反応する。二人は魔理沙のドッキリに引っかかったが、そこに怒ることも無く、ただ魔理沙が無事だったことに酷く安心を覚えた。
「じゃあ、あとは街を戻して終わりですね」
「まぁ大丈夫とはいえ、カルマ値ブッパした魔理沙はいつ暴走するか分からんから街は私が直すとしよう。それでいいよね魔理沙?」
魔梨奈の問いかけに、魔理沙は答えた。
「そだね。よーし身体も元に戻ったァ氏? あでもコイツいらんから移して捨てお。え? 街? 壊せばよくね?」
ん?
「いやちょっと魔理沙…………、いきなりどした? え? 話聞いてた?」
「…………あの、何を言ってるのかよく分からないんですが師匠」
「あ? 輪っかんねーの? お前ら? じゃあしかと見とけくそナードと贋作。今から行われるのは最高のエンタテイメントだ!!」
魔理沙は手を向けると、手から
「いやマジでなにやってんの!? ねぇ! 魔理沙! 今すぐそれ止めろ! 早く帰ってお疲れパーティやるって言ってただr」
「喧しい。殺すぞ」
「…………ッ!?! 魔梨奈さん、これは……」
魔理沙じゃない……、そう言いかけた瞬間、魔理沙から突如衝撃波が放たれ、二人は後方へ関数のグラフのごとく綺麗に吹き飛ぶ。まだ修復されずに残っていた細かな破片が己に突き刺さるが、気にせず今は魔理沙の方向を見つめている。
「あ"ーー、久ッしッぶッりのシャバ! ま、俺らにとぉーっちゃ16年なんぞ一瞬に過ぎんがァァあ。しかーし余りにも糞人生だったからにー、16年が160年くらい長く感じたぜ」
聞き覚えのある喋り方だった。ただしその声を聞いたものは、タダでは済まされないほど恐ろしい奴で、遠くから見ると魅力的に感じる彼女だが、近くで見るとえもいえない恐怖が湧き上がる。
そいつは知っている奴だった。昔からずっと。そして今もなお。
この
「そう言えば事故紹介まだだったな。仕方ない特別大サーヴィす。教えてやろう、俺の名はなぁ」
「霧雨魔理沙、最強の魔法使いだ」
「最高にふぁんたすてぃくだろぅう?」
不敵に笑う異形魔理沙に二人は身動きを取れずにいた。緑谷は異形魔理沙の圧力に萎縮し、魔梨奈はニコニコ動画にて東方世界を破滅させた元凶の一人を目の前にして足が震えている。本物の、異形魔理沙が目の前にいる。そう思えば思うほど、足の震えが止まらない。
「とはユても、この作品わ二次創作ドゥェから実質俺は
「…………」
「おい、俺が居間御前に話しかけんよ。話しかけンたら答うって先生ェにならなわかったんどぁ!! 俺が! 今! お前に! 話しかけてんよ!! 聞いてる!?」
「……ッそ、そうです!」
「よぅし、ちゃあんと答えられた。それデこそ男だ。じゃあそんなクソナードに俺からの門出祝いだ! 受け取れッッ!!!」
「えっ」
異形魔理沙は野球の投球モーションのごとく腕を振り下ろすと、恐ろしく殺意の篭もった一撃が放たれた。その一撃はソニックウェーブのような三日月型の斬撃に変化し、緑谷の喉元にまで迫る。
「……ひッッ!!」
動けない緑谷。圧倒的殺意の前に身動きが取れず、ただ己の死を待つことしか出来ない。斬撃が喉元に届くまでの僅かな時間の中、緑谷はこれまでの人生の一部始終を呆然と見ていた。それは走馬灯と呼ぶに相応しいものであり、死が直前まで迫っていることの暗示であった。
「…………ッ!!」
魔梨奈は咄嗟の判断で緑谷を突き飛ばし、緑谷だけを瞬間移動させる。だが黒い斬撃は対象を魔梨奈に変え、直撃する。
「ッ! 重いッッ!!」
あまりに重い一撃。どれほど練度を上げればここまで強い一撃を放てるようになれるのか。魔梨奈は苦戦しつつも、なんとかこの重い一撃を横に流し難を逃れる。
「へぇーやるじゃん。この俺の一撃を流すたァ流石俺の贋作! おまいら達の過程を知ってはいたが、ここまでだとは障子き思てなかた」
「はァ……はァ…………、異形魔理沙。お前たちの目的はなんだ」
呼吸が荒くなりつつも、魔梨奈は目的を聞き出そうとする。
「は? 何言ってん? 敵の前でベラベラと計画を話す鹿馬はどこにも居ねぇよ。俺達の目的はたった一つ、
「世界……征服…………」
あまりに現実性を感じられないが、コイツらが言うと格が違う。マジで世界征服しそうである。
「あぁ、本当の目的はまた別なんだが、
異形魔理沙はペラペラと自分たちの目的を話した。
「お前、それ本当に出来ると思ってんの? この世界を舐めんなよ」
魔梨奈は舌打ちをしながら、異形魔理沙を睨みつけた。
「出来る。そんためにこっちは16年間、地道に計画を進行していた。全く、始めての世界だからって念入れすぎなんだよアイツ。俺一人で片付けんだが。というか、元々コレ罰ゲーm」
「話は聞かせて貰った!!」
突如謎の男が空から地上へと落下し、魔梨奈の隣で派手に着地をする。
「……このタイミングで来るとは、流石ヒーローといったところか…………」
「魔梨奈少女、しばらくぶりだね。元気にしてたかい?」
「お陰様で」
その男は魔梨奈と軽く言葉を交わすと、ゆっくり立ち上がり特徴的なポーズをとる。その男、この世界で最も最強で最高のヒーロー、数々の伝説を打ち立てた生きる伝説。あの男が助けに来た。
「おっと、いつもの台詞を忘れちゃあいけないな! 魔梨奈少女、もう大丈夫! 何故って……」
「わーーたーーしーーがーーッ! 来たァッ!!」
この世界の抑止力、オールマイトが参上した。
「オールヘイト、へぇなるへそ。お前は俺を止めに来たということか」
「本当は魔理沙少女を探しに来たのだけども、君はどうやら彼女に似て非なるものらしいな。魔理沙少女をどこにやった!!」
「『器』か。ほら見ろよオールシット、お前が探しているのはコイツか?」
異形魔理沙の足元には、意識の無い結依魔理沙が横たわっていた。それを異形魔理沙はサッカーボールのごとくコロコロと足で動かし、弄んでいる。
「魔理沙少女! 彼女を返してもらおうか!!」
「そいつは出来ない相談だな。コイツの持つ
異形魔理沙はそう言うと、結依魔理沙の身体を片足で持ち上げ、そして魔梨奈の方向にパスした。
「ほらよ、返すわ」
「返すんかい!!」
気分屋なのか情緒不安定なのか、返さないといいつつも結局返した異形魔理沙に魔梨奈はおもわずツッコミを入れた。
「どっちみちお前ら全員この場で処刑する以上、コイツだけ取っといても意味は無い。それに気付いた俺はまぁぢ天才」
「が!! これはおまいら達にとって最大のチャンス! おまいら三人がかりでこの俺を殺せば世界は救はれるッ! だが、殺せなければぁ……」
「
「…………ッ!」
結界の破壊、それは異形達がこの世界を本格的に侵略しにくるということ。これは避けなければならない絶対事項であり、負けることは許されない。
勝てば平和、負ければ侵略。今、史上最大の決戦が始まろうとしていた。
「オールマイト、初めての共同戦線がコレとは運の尽きですが、何としてでも勝ちましょう。コイツらにこの世界を侵略させるわけにはいけません」
「私達なら勝てるさ、魔梨奈少女。君と私と、そして本物の魔理沙少女、三人が協力すれば誰にも負けない」
「まだ勝てると思っているのなら今すぐに諦めろ。テメェらはここで死ぬ運命、抗いさえ無駄なのさ」
異形魔理沙は二つの刀をヘルシングの神父風に十字架のごとく構えると、濃い緋色の眼光をなびかせて、私らの前に君臨した。
次回、第一部最終話
「ジ・エンド 〜 世界の夜明け 〜」
To Be Continued.
おかえりなさい。魔理沙。
本当はもう少し書きたかったけど文字数の都合上ここでカット。すまぬ。次回に持ち越しじゃあ