最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。RE: 作:マスターチュロス
前回のあらすじ ↓
妹の結依魔梨奈の身体を乗っ取り、保須市に多大なる被害を与えたステインは結依魔理沙によって存在ごと消滅させられ、世界に平和が戻った。
お互いに反省した魔理沙と魔梨奈は迎えに来た弟子、緑谷出久と共に我が家に帰る予定だった。が、突如魔理沙が能力を使えなくなるという事故が発生。魔理沙のカルマ値が急速に上昇しカンストしてしまう。
危機感を覚える二人。だが今、目前にある災厄は二人の想像以上に危険だということに気付く。
異形魔理沙の復活。
それは、世界崩壊の幕開けである。
それは、あまりにも突然で、前触れに気付く暇もなく、非常で、残酷で、どうしようもないほどの、抗えぬ運命だった。
だが、希望はまだ失われていない。
迎え撃つ結依魔理沙と魔梨奈、そして世界のピンチにNo.1ヒーロー「オールマイト」が参戦し、全てを賭けた最終決戦が今始まろうとしている。この世界を救うために立ち上がれ、ヒーロー。
※一万五千文字カンストです。長いです。休み休み読んでください。
「…………あー、ここ何処……」
「魔理沙! 起きたか!?」
「魔理沙少女……良かった…………」
「いんや、魔理沙はこの俺だけだ。異論は認めン」
目が覚めた結依魔理沙。頭の中がまだ朧気で、立ち上がるのも億劫になるほどの気だるさが身体に残っているが、今の状況を察して何とか立ち上がる。
「おい、ナレーション。俺を無死するとァいい度胸た。全部██████で隠してやろか?」
魔梨奈とオールマイトが結依魔理沙を心配するなか、結依魔理沙は魔梨奈の能力で現在の状況を把握し、異形魔理沙の方を見つめる。
「…………マリッサ、お前……」
「はい灰肺、皆まで言うな。あぁもちろん、手前の能力は
「…………ホントだ、マスパぐらいしか使えねぇ」
「まァ? 転生ホヤホヤの一般ピーポーくんには丁度いい末路かもなぁ? どぅ思ンだよ、なろう主人公。いや、ハーメルン主人公って言った方がお似合いかい?」
ニタニタ笑いながら煽り続ける異形魔理沙に対して、結依魔理沙はただ己の掌を見つめていた。
だが、その目は真っ直ぐに何かを見据えていた。
「そうだな、私にはこの程度の力がお似合いかもしんねーな。けど一言言わせてもらうとだな、私はお前が奪っていった無数の能力なんかよりもな、もっと大事な力を持っているんだよ」
「へェ。そう」
結依魔理沙は応える。
「かけがえのない家族と仲間さ。コイツらは私に無限の力を与えてくれる、最強のバフ効果よ」
「ほーん、度胸だけは認めるよ。この俺を前にしてそこまで言うたァ、能力貸した甲斐が有るってもんよ」
結依魔理沙の言葉に何かを感じたのか、異形魔理沙は鼻で笑いつつも結依魔理沙の覚悟を認めた。そして異形魔理沙はサッと一本の剣(ショートソード)を生成すると、結依魔理沙に向けて軽く投げる。
「やるよ。得物がないと不便だろぅ? あぁ安心しろ、ちゃあんと私に攻撃出来るよう『魂撃』付けてあっから」
「…………あざす」
うっかり感謝の言葉が漏れる。別に異形魔理沙から貰わなくても、魔梨奈から貰えればそれで良かったのだが。
「さて、もういいか。こんだけ尺も取ったし、満足した? じゃーあー」
異形魔理沙の姿が一瞬で消える。何処に移動したのか、探知系能力であたりを索敵するがその反応は以外と近くに存在した。
オールマイトの首を締め上げる異形魔理沙。その表情は嬉嬉として残酷に、美しく映えていた。
「お前から死ね、オールバイト」
異形魔理沙は自身の腕を肥大化させ、ややご挨拶程度にオールマイトの腹部に拳を突っ込む。本人はその程度の感覚なのだが、実際に起きた結果は全くの別物。殴られた彼は、殴られたと認識した時点で既に5キロほど離れたマンション街の一つに激突していた。
── パァン!! ドォォオオオン ──
音が遅れて耳に届いた。
「クフフ、次あ手前ら贋作共だ。よろしこ」
「「ッッ!!」」
思考が一瞬止まったが、考えるより先に身体が動いた。振り返り、異形魔理沙に向けて左右から拳が突き出される。しかし異形魔理沙は二人の拳それぞれ片手で止め、裏拳であしらった。
〜 BGM「魔女の舞踏会 〜 Magus Night 〜」〜
嫌な不協和音が脳内に流れ込む。強敵を前にして闘気に満ち溢れたり、ラスボスを前にして勇気が湧くような、そんなBGMとは別物の、ただ目の前の相手がいかに異常であるかをこれでもかと言うほど知らしめる、不安を駆り立てるだけの音楽。前におふざけで轟くんに流したことはあるが、やめとけば良かった。
結依魔理沙はちょっとした後悔を引き摺りつつも、剣を持って立ち上がった。
「異形魔理沙ァァァァァアアアアアア!!!!」
「そんなデカい声出さなくても聞こえてるよ。いくら俺が5000……いや7000? 1万歳でもなァ、地獄耳はええンだゆぬッ!」
喋りつつも異形魔理沙は人差し指から真紅のレーザーを放ち、距離を詰まれないよう牽制する。しかし数多の戦いを乗り越えた結依魔理沙にとって避けるのは容易く、一瞬で敵の懐までたどり着いた。ショートソードは扱い易く素早い。その特性を活かし、結依魔理沙は剣素早く振り下ろす…………と見せかけて、剣を右手から落とし、左手で剣の柄を逆手に掴むと、脇腹を抉るよう弧を描く。フェイクは戦闘の基本かつ私の十八番だ。流石の異形魔理沙
も右腕に一瞬気を取られて左手からの奇襲に対応出来ていない。初撃はもらったぞ。
キンッ!
左手が進まない。何か硬い物質が剣にぶつかって押し進むことを拒んでいる。いや、こんな言い回ししなくても分かっている。コイツ防ぎやがった。
「小細工は上手いが一歩足りなかったな。贋作」
「入ったと思ったんだけどな、残念。だが2撃目はどうかな」
「は?」
背後から迫るもう一本の刃、異形魔理沙はそれに気付くと空いた右手の剣でガードし、一撃を防ぐ。
「贋作セカンドォ、手前か」
「誰がセカンドだ!」
異形魔理沙は両者を双剣で弾き、間合いを取らせる。が、二人は考える隙を与えないよう異形魔理沙の左右から近づき怒涛の連撃を加える。ドラゴンボールを彷彿とさせるような斬り合いが行われるが、異形魔理沙は二人の倍の速度で剣を捌き両者にカウンターを加える。
「がハッッ!!」「ゲホッッ!!」
「どうだ? これが年季の差よ。森羅万象斬ッ!!」
吹き飛ぶ二人に異形魔理沙は間髪入れず斬撃を放ち、二人の体はアイスホッケーのごとく地を走らされた。皮膚が複雑に尖った地面と擦れて傷だらけになり、二人の肌は仄かに熱を持つ。
アイツ、二人がかりだというのに攻撃を全て捌きやがった。
「カロライナァァァァッ!! スマッシュ!!」
一度戦線離脱した二人と入れ替わるかのように、オールマイトは戦場に復帰。鋼すらも優に切断するオールマイトの必殺技「カロライナ・スマッシュ」が空中から繰り出されようとしていた。
「ふんンンんッ!!」
だが異形魔理沙はその傲慢な片腕でオールマイトの両腕を鷲掴みし、驚異的な握力で両腕を抑え込む。ヒーローに必殺技を撃たせないという暴挙に出た異形魔理沙だがオールマイトはそれに対して意に介さず、特に技名を叫ぶことなく異形魔理沙にドロップキックを浴びせた。
「やるねお前。伊達にNo.1と呼ばれてるだけのことはある」
華麗な身の子なしで体勢を整えた異形魔理沙は首の骨をコキコキと鳴らすと、全身から紅いオーラを噴出させ力を活性化させる。嫌な予感しかない。
「お前は3倍くらいで十分かな」
その言葉を残した直後、オールマイトの顔面に回し蹴りが炸裂していた。圧倒的な速さにオールマイト対応出来ず、パキッという音だけが脳内で響いていた。すかさず異形魔理沙は飛び後ろ回し蹴りで追撃を行い、瞬間移動で距離を詰めた後、腹部に一撃を入れオールマイトの反撃に合わせて裏拳とエルボーを加えた後、ゼロ距離界王拳三倍かめはめ波でフィニッシュを決める。
「脳筋は大人しく地べたで這いつくばっているといい」
「グッ…………フッフッフゥッ! っれが脳筋だって!!?」
怒涛の攻撃とかめはめ波で吹き飛ばされたかと思いきや、オールマイトはその屈強な脚力で踏みとどまり、かめはめ波の中を強引に突き進みながら正義の拳を振りかざした。
「おいおいマジかよ……」
オールマイトがここまで脳筋だったことに異形魔理沙は驚きを隠せなかった。
「デトロイトォォォ!! スマァァァッシュ!!!」
顔面に叩き込まれるオールマイトの拳。歴代の継承者が紡いできた重く強い拳が異形魔理沙に炸裂し、そのまま地面に向けて叩き込んだ。異形魔理沙一人には収まりきらないほどのパワーが地面を砕き、余剰エネルギーが巨大なクレーターを形成した。
「だが効かんンンンンンンんわ!!」トゥルルルッ!
────── メガンテ ──────
突如、黄金に光り輝き出した彼女の身体に危機感を感じたオールマイトは一瞬でその場所から離れるべく足を動かす。そして直後、想像を絶するほどの大規模な大爆発が発生し、爆風と爆撃をモロにくらったオールマイトは全身から血を吹き出しながら後方へと吹き飛ばされた。
「「オールマイト!!」」
重傷とも呼べる大ダメージを受けたオールマイトを心配し、駆け寄ろうとする結依魔理沙と魔梨奈。だが、
「コッチヲミロ…………」
結依魔理沙とオールマイトの距離のちょうど真ん中のところで、奇妙なラジコン戦車のようなものがこちらに向かってキャタピラを走らせていた。正面に髑髏マークがあり、群青色で塗装された玩具。だがその玩具はあろうことか喋る。「コッチヲミロ」しか言わないが、その言葉だけを繰り返し繰り返し喋る奇妙な玩具に対して結依魔理沙と魔梨奈は心当たりしか無かった。
「シアハートアタックッ!?」
「魔梨奈、キラークイーンだ! はやく適当なモノを燃やせ!! 死ぬぞ!!」
「コッチヲミロォォォォォ!!!」
シアハートアタックと呼ばれるその自動追撃型爆弾は、二人の前に飛びかかると髑髏マークの眼の光がスっと消えた。
「「マズイッ!!」」
二人は同時に飛びかかってきたシアハートアタックを剣で弾き返す。だが……
カチッ
スイッチが入ったような音がした直後、再び大爆発が発生した。弾き返したとはいえ、爆心地を少しズラした程度では防ぎきれず、二人は爆風と爆撃に全身を焼かれながら地面に倒れ込んだ。
「クッソ……やられた…………ゲホッカホッ」
「魔理沙…………大丈夫か。今は人間だから……いつもみたいな無茶は出来ないぞ……」
「……あぁ、気合いでなんとかなる」
「…………フッ、フフフフフッ! 流石、姉さんは言うことが違うや」
再び立ち上がろうと重い頭を持ち上げる二人。オールマイトが動けない今、私らがオールマイトのカバーに入らなければトドメを刺されてしまう。こっちもかなり負傷してるが、直撃を受けたオールマイトよりかは動けるはずだ。今すぐにでも動いて……
「動いて……どうするぅ?」
「がハッッ!?」「ゲほッっ!?」
どこからか襲来した異形魔理沙に顔面を鷲掴みされ再び頭部を地面に強く打ち付けられる。頭部を指全体で抑えられ、徐々に握力を強める異形魔理沙に二人はもがき抵抗するがビクともしなかった。
「情けないねぁ。それでもヒーローか?」
「お前に言われなくたッ…………ぁく"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」ミシミシミシィッ!!
「魔理沙!! ……やめろ、手を離せ!!!」
「何言ってんだ。どっちかっていうとお前、コイツより贋作2ndの方が数十倍強く力入れてるぜ? まァ、お前には『痛覚無効』があるから関係ないだろうがな!!」
「……ゲス野郎…………ッ!」
「ゲス野郎ではない、最強の魔法使い魔理沙様だ。…………抑えるのめんどくせいな、潰すか」
「「ッ!!」」
異形魔理沙が再び残酷な笑みを浮かべると、徐々に地面に押し付ける力も強くなっていく。魔梨奈には効果が薄いが、人間の身体に戻った結依魔理沙にとっては絶体絶命のピンチ。身体が丈夫とはいえ、度を過ぎたパワーで押し付けられれば流石に耐えきることは出来ない。全身が押しつぶされミンチと化すだろう。
魔梨奈は必死に魔理沙に向けて手を伸ばす。瞬間移動で逃げれば体勢を立て直せる。魔理沙が死ななくて済む。そんな安易な考えで手を伸ばした。
しかしそれを見逃すほど異形魔理沙は甘くなく、触れる寸前で腕を切断されてしまった。
「作戦バレバレ。全部ナレーションが喋っテからな。どんなに精神プロテクト掛けても筒抜けだばぁか!」
クフフ、と嬉々とした表情を顕にする異形魔理沙。圧倒的有利な立場から弱者をジワジワと痛めつけるのは中々の快感で、止める気配は一切ない。このまま殺されてもおかしくないほど、力はドンドン増していく。
「させ…………るかぁッ!!」
魔梨奈は残った片腕で波動砲を放とうと掌を、異形魔理沙の顔面と重ね合わせる。
「おっと殺すと撃つ…………間違っつた、撃つたらコイツ殺すぞ。お前の大事な家族が、DSSチョーカーで首チョンパされた渚カヲルのごとく、死ぬぞ?」
「…………ッ!!!」
異形魔理沙の脅しに、魔梨奈は撃とうにも撃てない状況となってしまった。怒りの矛先を一旦収めると共に腕をゆっくりと地面に下ろす。どっちにしろ異形魔理沙は私ら二人を確実に殺す。私らほど世界征服に邪魔な存在がいない以上、脅そうが脅さまい
が結局は殺されるのは分かっている。しかし、これ以上はこちらから動くことが出来ない。狙うなら痺れを切らして私らに手をかけようとする瞬間だ。それまで耐え忍ぶしかない。
しかし、チャンスは早く訪れた。
「待て……魔理沙少女に扮した偽物よ…………」
「……私が…………貴様の相手だッッ!!」
オールマイトが再び立ち上がった。
「オール……マイト! 無事だ!!」
「まだ生きてやがったか。あと本物は俺だ。俺が霧雨魔理沙だ」
メガンテによる爆撃の傷はまだ癒えておらず、開いた傷から血を吹き出しながら、オールマイトは異形魔理沙の背後に立っていた。
「今すぐその手を引きたまえ。私は、あまり女の子を傷つけたくはないのでね……」
「断る。お前こそ、死にたくなければ遠くで指くわえて待って色。コイツらを始末した後でお前も地獄に贈ってやろう」
「……今すぐ引かないのならば、私は貴様を殴る」
「好きにしろ。ただし、殴るっつーことはだなぁ、殴られる覚悟があるってことでいいんだな?」
オールマイトの警告に異形魔理沙が応じる気配は一切なかった。沈黙するオールマイト、だがしばらくすると、彼は心を鬼に変えてその腕を振りかぶった。
「…………デトロイトォォォォォ!!」
「……はぁ、戦いの中で敵が最も隙だらけになる瞬間を知ってるか? それはな、
「スマァァァァッシュッ!!!」
ドゴォォンッ!!
一瞬だった。オールマイトの腕が異形魔理沙に触れる瞬間、ヤツは振り向く勢いに合わせて右腕をなぎ払った。なぎ払っただけかと思っていた。しかしヤツの右腕は淡紫に輝く鋭い刃に変形し、刃の縁は紅く染まっていた。
吹き出した血は雨の如く降り注ぎ、泥のようにべっとりと顔に滴る。余程深く斬られたのか、明らかに出血の量が尋常じゃない。このまま行けば生命に関わるレベルだ。今すぐこの拘束を解いてオールマイトを回復させなきゃマズい。
…………
………………オールマイト?
オールマイトは下半身と上半身を分離され、宙を舞っていた。
グチャッ
………………?
最初、何が起きたのかサッパリ分からなかった。目に入る光景を脳が拒絶し、私の中で何かがざわめいた。オールマイトは、異形魔理沙に真っ二つにされ、絶命した。
(大丈夫……治せば、魔梨奈が治せば、生き返る……)
死んでもどうせ生き返る、いつもの考え方が私の心を冷静にさせようとしていた。
(それでいいのか?)
(仲間を殺されても、生き返らせられるなら、別に殺されてもいいとでも?)
今は怒りに身を任せて行動してはいけない。ここで下手な行動をうてば次に殺られるのは私だ。
(お前はオールマイトが殺されても何も思わないのか?)
手が、震えていた。
真っ赤な血を垂れ流すオールマイトの身体見て、私はフツフツと、何かが滾っていた。今日の私は
これは、人間の「怒り」だ。
「………異形魔理沙ァ」
「異形魔理沙ァァァァァァ!!!」
怒りに身を任せた、思考停止状態のハイキックを繰り出した結依魔理沙。しかし、熱り立った獣の攻撃が通用するはずがなく、ATフィールドで直ぐに防がれた。
「安心しろ、お前もすぐ楽にしてやる」
抵抗する動きを一瞬止めてしまった結依魔理沙に向けて、異形魔理沙は手から生成した堅く太い大剣を、容赦なくその腹にブスリと、刃を突き立てた。
「あ"か"ッ!!!」
ブシュゥゥゥッ! っと血が噴水のごとく溢れ出る。
「魔理沙ッ!?!」
「オイオイ、剣突き刺したくらいで喚くなんて情けないぜ。お前も人間やめたらどうだ? 少しはまともに戦えるようになるぜ」
異形魔理沙はそう言いながら、右腕で大剣の柄を持ち、内蔵と血が混ざり合うよう細かく剣で引きちぎりながら、グチュグチュとかき混ぜる。
「う"か"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"ッ"!!」
感電を疑うレベルの大量の電気信号が脳に送られ、脳が焼け焦げるような感覚が魔理沙を襲った。痛みで思考がままならない、自分の肉体が血と混ざり合ってひとつの液体になろうとしている。
「おーい、生きてますかー? ありゃ、これは重傷ですねぇ。じゃけんゴミ箱に捨てましょーねー」
結依魔理沙を大剣ですくい上げると、槍投げの要領で軽々と吹き飛ばし瓦礫の山に勢いよく突き刺した。
「がハッ!! ゲホッゲホヴヴェェェ!!」
全身の穴という穴から血を噴出し、体が痙攣して身体機能が全く働かない。結依魔理沙はほぼ再起不能にまで陥った。
「もう、アイツも死んだようなもんだし、後は手前だけだぜ贋作2ndシーズン」
異形魔理沙が次に狙いを定めたのは、結依魔梨奈だ。
「魔理……沙…………」
"もうお前は私ら結依ファミリーの一員なんだから"
"そうだろぅ? 魔梨奈"
"絶対お前を助けてやるからな"
「…………ッ」
"こちとら史上最強の魔法使い(自称)やぞ"
(何が……最強だ)
(魔理沙は……私を命を賭して救ってくれたのに、私は…………まだ誰も救えていないッ……)
(…………ここで、返すんだ)
(今こそ、私が、皆を救うべきだ)
(たとえ自分の魂が消滅したとしても……)
(私は構わないッ!!)
魔梨奈は異形魔理沙の左腕を軸にして身体をひねり、異形魔理沙の顔面に向けて蹴りを放とうとするが、難なく右手で止められてしまった。
「いいぬぇ、いいぬぇ! そうこなくちゃ面白い!」
「お"お"お"お"お"お"お"お"あ"あ"あ"!!!」
切断された左腕の断面から新たな左腕を超速再生で復活させ、怒号と共に拳を突き出し、周辺の空間を歪ませた直後の反動を利用した衝撃波を放つ。
「フルカウンター」
ざしゅぅぅぅぅッ!!
放ったはずの衝撃波は、倍の速度と威力で弾き返され、魔梨奈の右半身は跡形もなく消滅した。右半身どころか、進路方向上にある全ての物体が跡形もなく切断及び消滅し、その影響は天と地両方にまで届くほどだった。
「まだだぁぁ!!!」
だが魔梨奈は止まることなく、一歩踏み出した時点で身体の再生は完全に終えていた。我ながらとんでもない再生能力だが、再生能力があったところで魂撃を付与されたら意味は無い。普通に戦闘しても勝ち目はほぼ無い。なら、今自分がもてる全ての力を使ってやるべき事は一体何か。それは…………
「Ahこっちには魂撃付いてなぇや。次はバッサリ逝かれないよつ気おつけ」
案の定、異形魔理沙は魂撃を付与し今度こそ私を完全に仕留めるつもりだろう。だが、そう簡単に殺られるつもりなど毛頭ない。とにかく今は、ヤツの隙が出来るまで耐え忍ぶ!!
お互いに神器クラスの片手剣を構え、両者は再び激戦と呼べるレベルの攻防戦が始まる。互いに地を駆けながら、自身が生み出す余剰エネルギーで剣のリーチを引き伸ばし、斬り合い、接触し、離れ、全身の五感という五感をフルに発揮して縦横無尽に暴れ回る。
魔法は相手のボロを出させる搦手として扱い、攻撃予測と超反射で敵に読まれぬよう立ち回り、運命操作や予知能力で相手の行動パターンを制限、最も最適解な位置に地雷や獄炎、雷撃、凍氷、とにかく少しでも相手の体勢を傾けられるよう仕掛け、毎回異なるパターンで相手の予測を回避する。
たった数秒、たった数秒しか経過していないはずなのに、異常に時間が長く感じる。能力だけ見ればどっちも異形魔理沙であり、さらに相手は精神すら本物の異形魔理沙。相手が相手なため、いつも以上に続くのは当然なのだが、ここまで続いたことのなかった魔梨奈は徐々に思考加速による疲労が足を引っ張り、予測精度も衰えていく。
(そろそろ限界……………ッ!)
苦悶の表情をする魔梨奈。それを見た異形魔理沙はニヤリと笑った。
「久方ぶりの全力運動、清々しいね。だがもう飽きたな、決めさせてもらおうか」
まだ余裕の様子である異形魔理沙を見て、一瞬頭の中が真っ白に染まる魔梨奈。力量の差に一瞬屈して集中していた意識が霧散した、ほんの少しだけ意識を手放した直後、今まで避けきっていたはずの攻撃が次々と当たり、身体を削って言った。もう止めることは出来ない。一度ミスすれば二度と立ち直ることなど許されない。常軌を逸した激しい攻撃の連続を一身に受け続けた後、一瞬の浮遊感に身を包まれる。
(しまtt)
自身の死を悟ったときには既に、魔梨奈の身体は異形魔理沙の片手剣によって急所を切り刻まれていた。
「いい
最後に目玉に向けて片手剣を突き刺し、そこから脳を抉るよう剣を捻る。
また一人、
(…………なんッ…………て、……ただで死ぬつもりはないけどなぁ……ッ!!)
「ッ!?」
魔梨奈は最後の力を振り絞り、全身を使って異形魔理沙の動きを封じると、右手に携えていた片手剣を異形魔理沙の心臓に向けて深く、突き刺した。
「がハッッッ!!? てッ、テメェええええええええええ!!!!」
「はンッ…………ざまぁ……みろ……」
痛みに苦しみ、のたうち回る異形魔理沙。
「…………もう、時間か…………」
涙を流しながら、灰と化す己を見つめる結依魔梨奈。
「魔理沙…………」
「今まで……ありが……とう…………」
流し続けていた涙も遂に枯れ果て、全身が灰となって空中に霧散していく。
傷だらけの魂は天に召される前に消失し、この世から結依魔梨奈という存在が消えていく。
それを地上から見上げることしか出来なかった結依魔理沙は、誰にも見せたことの無い、悲観と絶望の色に染まった表情を、天に向けていた。
「魔梨奈が…………死んだ…………」
「私が………………」
「……………」
「私の……………唯一の…………」
「…………………」
「…………」
「……」
「…………」ズズッ
「…………ッ"!!」
「泣きたいのはこっちだ。あ"ァ"あの野郎、ゲホッゴホッ! 最後の最後で俺に剣突き立てやがった…………」
結依魔理沙の背後には、胸部から吹き出す血を右腕で抑え込もうとする異形魔理沙の姿があった。
立ち上がる結依魔理沙。もう四肢は満足に動かないし、感覚も朧気でおぼつかない。今も夢現といっていいくらい不安定な状態だ。
だが私は、最後まで戦う。オールマイトも、魔梨奈も、命を懸けてここまで繋いだ。だから私にも、正しい未来へと繋ぐ義務がある。私は、止まらない。
「…………手前、その傷でまだ動くつもりか?」
異形魔理沙の問いに、結依はさも当然とでも言いたそうな表情で、敵を見据えた。
「……魔梨奈が消滅した…………オールマイトも殺された…………、ここまで来たら引き下がれるわけないだろ」
腹部に突き刺さっていた一本の大剣を、結依魔理沙は力を振り絞って抜いた。よろめきつつも踏ん張って耐え忍び、抜いた大剣を持って異形魔理沙に向かっていく。
腹部からはドス黒い血が噴出し、視界が徐々にボヤけていく。錆び付いた鉄を舐めたかのような味が口の中で滞在して、ときどき吐き出しながらも真っ直ぐにヤツの所へ向かっていく。
「もう、十分だろう? お前らに俺は倒せない。世界は結局俺たちのモノ。旧世界の人間は死に絶え、異形達が新世界を作り上げて物語は無事ハッピーエンド。それでいいんじゃないかなぁ」
「……ヘヘッ、そんな世界……お断りだぜ。そんな誰も笑えないハッピーエンドに価値は無い。そんな、何も無い新世界に意味は無い」
「お前がなんと言おうと私は…………屈しないぞ。オールマイトと、魔梨奈、二人が命を懸けて頑張ったヤツらに、応えるために」
「テメーの首、天に掲げて知らしめてやる」
「クックック……コイツは傑作だぬぁ! ジョークと言えど程度があるっってもんだ!! クックック! 笑わせるじゃないかぁ!!」
黒く深い顔でもハッキリと分かる笑いの表現。だが次の瞬間には、真顔とも言い難い静かな怒りのような表情に変貌する。
「言いたいことが山ほどあるがまァ、要点だけ述べるとな……前世一般人のお前が主人公だなんぞ、役者不足にも程があンだよ。もう一回人生出直してくンだな」
向かってくる結依魔理沙に対して、異形魔理沙はその場から動く素振りさえ見せない。今の結依魔理沙が何をしてこようとも、もうどこにも勝ち筋は無い。たとえ今ここで月をぶつけられても、平然と耐えきれるほどの余裕が残っている。これはもう最後の消化試合に過ぎない。
力いっぱい振り下ろされた大剣を、異形魔理沙は気だるそうに片手で受け止める。ここから別の動きに繋げるような気配も一切ない。異形魔理沙は確信しきった笑みで結依魔理沙に笑いかけた。
「バイバーイ、ただの一般人さんッ!」
胸を抑えていた右腕を離し、結依魔理沙の顔面に向けて照準を合わす。既に重傷を負っている彼女は、これを避ける余力は残されているはずがない。この人間の死は確定した。────はずだった。
「なんッ!?」
異形魔理沙の目の前にあったのは結依魔理沙ではなく八卦炉であった。何で八卦炉が目の前に? と思った直後、背後からおぞましいほどの殺気を感じ、とっさに瞬間移動を使…………われる前に結依魔理沙は背後からもう一つの剣を容赦なく突き刺した。
「テメt」
「 マ ス タ ー ス パ ー ク 」
代わり身として空中に固定しておいた八卦炉を声帯認証で起動させ、巨大な極太光レーザーを異形魔理沙の顔面に放射。不意をついた一撃に異形魔理沙は対応出来ず、弱点である大量の光エネルギー、すなわち滅光攻撃をモロに喰らってしまう。
「あ"か"か"か"か"か"か"か"ッ"ッ"!!」
「……成功…………したッ! はハッ、やっぱりお前は私だ。不意打ちとか、謎の能力とか、そういう未知のモノに対する脆弱さ!! それがお前の敗因ッ! 私を能力剥ぎ取られただけの一般人だと侮っていたかもしれんが、こちとらお前が背後に立つ前から頭ン中で作戦立ててたんじゃい!!」
結依魔理沙は最初から諦めていなかった。最後の力を振り絞って近づき、腹から抜いた大剣で斬り掛かると見せかけ、大剣に一瞬気を取られた異形魔理沙の隙を見て八卦炉を能力で固定し、股をスライディングで抜けた後、背後から隠していたもう一本の、異形魔理沙から貰った魂撃付与の剣で突き刺したのだ。作戦を読まれないようずっと心の中で『私が皆を救う』と念じながら。
しかし、ここまで高度なことを一人でやってのけたわけではない。作戦の筋書きを考えたのは確かに私だが、細かい調整は全てアイツに任せている。立ち上がるタイミングや八卦炉投げるタイミング、起動させるタイミング、全部アイツの指示だ。
そいつが誰かって? いつも隣に居ただろう?
頭が良くて頼りになる、最強の相棒が。
〔あなた方の思い通りにはさせません。大人しく消滅しなさい〕
「大賢者ぁ"ァ"…………手前の仕業かあ"あ"あ"!」
智略の王、ずる賢さナンバーワン、ツンデレ系能力で有名な我らが大賢者さんの仕業だ。
〔解。私とマスターの仕業です。〕
機械チックなボイスで訂正する大賢者。生きていたのならもっと早く連絡してくれれば良かったというのに。やはりツンデレなのか。
〔否。〕
違うそうです。
「クソがああああああああぁぁぁ!!!」
「行けぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」
マスパの火力がさらに増大し、全身を包み込むほどの光量が異形魔理沙に襲い掛かる。皮膚から肉体の融解が進行し、徐々にその範囲を拡大していく。
結依魔理沙は突き刺した剣を離すことなく、塵も残さずヤツが消滅するまで耐え忍ぶ。強大すぎるマスパの余剰エネルギーは異形魔理沙を盾にして凌いでいる結依にすらも牙を剥き、徐々にその身体を蝕んでいく。どちらが先に消滅するか、見物だ!
「あ"あ"あ"あ"あ"この俺があぁぁぁぁ!! こんなッッ糞ジャップ共にィィィィィ!!!」
〔個体名:異形魔理沙から高エネルギー反応。このままでは保須市及び近隣の市町村は爆発と共に跡形もなく消滅します。今すぐ避難を……〕
「出来るかボケぇぇぇぇぇ!!!!」
〔……了。お疲れ様でした、マスター。〕
「ああ!! あの世でまた一緒に喋らるといいな!!」
〔…………はい。〕
キィィィィン
「い"い"っ"…………」
「私…………生ぎで……」
「な"ん…………で…………?」
〔ピピーガーピピーピーピーピーガー……〕
この爆発で保須市及び近隣の市町村は壊滅。周辺に放置された瓦礫は全て消滅し、代わりに超巨大なクレーターが私を中心に、地平線の向こうまで広がっていた。
「異形…………魔理沙………………」
「倒じ…………た………………」
もう、結依魔理沙の身体は、修復不可能と言えるほど、酷く損傷していた。四肢は消滅し、皮膚は焼けただれた。顔も、もう、笑顔も作れない。
「…………い"だい……げど……ごれで、世界、守れた…………かな"ぁ…………?」
「ごれで…………よがっ…………だん……だ」
「…………な"ん……で…………」
うつ伏せのまま立ち上がることの出来ない魔理沙の前に、異形魔理沙は現れた。しかし顔面は皮が剥げて頭蓋骨が一部むき出しになり、胸部には大きな穴にが空けられ、さらに背中に十字傷と全身に細かな無数の切り傷が存在している。瀕死……のはずなのだが、全身の傷とむき出しになった人骨が余計に異形らしさをかもし出し、私は、目の前が真っ黒に染まった気がした。
「…………はァ、流石だね、流石だよハーメルン主人公。まさかお前らごときにここまで追い詰められるなんざ思ってもみなかった。7000年ぶりといったところかな。あと少し、あともう一押しあれば倒せてたかもなァ」
「…………」
「ここまでがんばァったご褒美に選濯死をやろう。ひとぉつ、パープルヘイズの殺人ウイルスで死に絶える。ふたぁつ、生きたまんま肉食ゴキブリに鯛内を喰われる。どぉーっちだ」
「…………」
「無視は悪い子だなァ。何諦めんだよ、頑張れ!! もっと熱くなれよォ!!」
「…………どっぢも……断る…………」
「じゃ、間をとってチェーンソーで真っ二つにしよう。ゆっくり、じーーっくり真っ二つにしてあげんよ」
異形魔理沙はチェーンソーを生成し、エンジンを掛ける。重低音が鳴り響き、鋭利な刃がダンスを踊る。笑顔の絶えない彼女を前に、結依魔理沙は何も出来ない。ただじっと、その場で思考を停止する以外、何も出来なかった。
「あーでもなぁ、だだ真っ二つにしても面白く無いからぁ、
高らかな笑いと共に、異形魔理沙の背後から出現したスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』。その能力、「非生物から生物を生み出す能力」は、実際は殴った物体に生体エネルギーを注入する能力である。この生体エネルギーは人間に注入すると過剰に体が反応し全身の感覚が暴走してしまう。要はつまり、痛みは普段の倍以上強く、そして長く感じてしまうのだ。
感覚が暴走した状態で、チェーンソーで真っ二つにされたらどうなるか。想像に難くない。避けなければならない。避けなければならない。しかし身体は全く動いてくれない。避けなきゃ、避けなきゃ、しかし身体が言うことを聞かない。避けなきゃ、避けなきゃ、避けなきゃ、避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ!!!
「鋭い痛みを…………ゆっくりしていってね!!」
ゴールド・エクスペリエンスの一撃が頬に突き刺さる。ハンマーで頭部をおもいっきり叩かれたかのような痛みが全身をくまなく刺激し、それがゆっくり、長時間持続する。のたうちながら苦しみ藻掻く結依魔理沙を見て、異形魔理沙はえも言えない興奮に包まれた。
「クフフ、さぁ魔理ちゃん。チェーンソーのお時間だ!」
動けないのをいい事に異形魔理沙は私の体を一旦持ち上げ、仰向けになるよう放り投げる。
「Hey読者の皆さーん! チェーンソーを振り下ろすカウントを皆で数えよーぜぇい! はぁいせーの!」
「one……」
「ジュワッチ!!」
ドゥルルン! ドゥルルルン!
ヴィィィィィィィィン!!!
オオカミが野ウサギを捕え咆哮するように、チェーンソーはエンジンを轟かせ、私を喰らおうと牙を向ける。そしてその牙は徐々に私へと近づき、けたたましい咆哮がさらに煩く響く。チェーンソーは止まることも、私が感じている恐怖も知らずに、銀色の刃を向ける。
「や…………めろ…………やめてくれ…………」
「原作の俺だったらこのタイミングでまた千択肢をやるかもしれンが、愛肉……俺は二次創作なんでね。命乞いは効かない趣味だ」
「ゆーわけではぁい、ジャッジメントdeathの!」
ガッ
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガガリリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリィィ!!!!
「い"や"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"か"か"か"か"か"か"こ"う"ぇ"ぇ"ぇ"え"ぇ"え"え"ぇ"え"え"え"え"え"え"え"え"!!!」
「お"ぉ"っ"お"え"っ"お"え"ぇ"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"!!」
断末魔は高らかと鳴り響いた。彼女にとって断末魔は心地の良い子守唄。血と臓物に塗れたこの場所はまさしくベッド。眠るのは私ではなく、お前。
視界が真っ赤に染っていく。空も、地も、砕けてドロドロになった生卵のような私の体も、そしてこんな身体に変えたヤツの顔も全て、紅く染まる。可笑しいな、さっきまで全て黒かったというのに、どうしちゃったのかなぁ。可笑しいなぁ。
もう口も開くことも叶わない、声に出して叫ぶことも出来ない。本当に何も出来ない。出来ることがあるとするならば、それは死を待つこと、たったそれだけ。
(まだ…………死ねない…………)
(まだ……死にたく…………ない…………)
(まだ…………やり残したことが……たくさん……ある…………のに……)
手を動かそうにも、もう私に、届く腕はない。
(緑谷…………きゅん…………)
(……爆豪…………轟くん…………)
(私は…………繋げなかったよ)
目が徐々に生気を失い、薄灰色に染まる。心臓の鼓動も、もうとっくにきこえない。頭が……ぼぉーっとする。意識も…………遠のいていく。もう…………何も……聞こえないし、感じない。私は……死ぬ……のか。
最後は涙を流し、彼女は、この世を去った。
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《保須市 A.M.4:27 》
三人のヒーローを見事捻り潰した異形魔理沙は、計画を次の段階へと移行する。
「邪間者はこれで全て片したな。サ、早いとこおっ始めるとするか」
「
異形魔理沙が声をかけたその瞬間、大気にヒビ割れが生じる。徐々にその規模を拡大し、最後はガラスが砕け散ったかのように、空に大きな穴が空いた。
「よぉ、元気にしたか?」
「カチカチカチカチカチカチカチ…………」
見た目は博麗の巫女、だが顔は太極図(陰陽玉)を映したかのような見た目をしており、陰と陽の狭間には針のような牙がチラチラと輝く。カチカチカチ……という音は、彼女が鳴らしているものだ。
霊夢に扮した異形の存在、「異形霊夢」である。
「あ、この怪我どうかて? 心配しなんしタダの重傷だ。しばらくは後遺症残っかもなぁ、でもさ、傷会った方が歴戦古龍ぽくてカックいぃよな! そうだろう?」
「カチカチカチカチ……」
「はいはい、結界ね。さっさと
霊夢と魔理沙は手を繋ぎ、世界を砕く。
「あばよ、"僕のヒーローアカデミア"」
「そしてハッピーバースディ! "東方異形郷"!」
物語は第ニ幕へと続く………
ここまで読んでいただき有難うございました。最後にアンケートを取るのでご協力ください。
内容は「次回以降の本編はR18にした方がいいですか?」です。
Yesを選んだ場合、私は本編の続きをこれとは別の「新しい小説」としてR18の方に投稿します。R18なので薬物乱用や性的描写などといったシーンが含まれますのでご理解頂けると幸いです。
またR18の方で作った場合、皆さんに配慮してR15版を作るつもりは一切無いので御容赦ください。
Noを選んだ場合、グロや暴力はいつも通りで特に変わりません。ただし本編の続きをこれとは別の「新しい小説」としてR15の方に出すか、このまま行くかのどちらかを選んでもらいます。新しい小説として出す方は①を、このまま行く場合は②を選択してください。
また同様に、R15の方で作った場合、皆さんに配慮してR18版を作るつもりは一切無いので御容赦ください。
それでは、どうぞ↓