柊景夜は勇者である   作:しぃ君

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 みんなの馴れ初め回?みたいな感じです。


第一話「過去と自己紹介と怖いもの」

 柊景夜は虐められていた。七歳の時、小学校でみんなから仲間外れに遭った。

 虐められた理由としては、景夜の髪が原因だ。父親がノルウェー人でその父から、銀髪の髪の毛を受け継いでいた。

 景夜の父親は仕事で日本に出張中に、景夜の母親である華恵(はなえ)会い一目惚れ。そこからは、あれよあれよと時が経ち父親であるシエルは日本に永住。

 だが、景夜が三歳の時にこの世を去った。それからは、華恵が女手一人で世話している。

 

 

 彼の身の上はこんな感じだ。

 そして、ある日。彼に暴力が襲った。

 

 

「おまえの、髪キモイんだよ。」

 

 

「この髪の毛、切っちまおうぜ。」

 子供の純粋さが、景夜を傷つける。景夜にとってのこの銀髪の髪は、唯一の父親との繫がりであり絆である。

 それを切られそうになった時、流石の景夜も声を荒げる。

 

 

「やめろ!この髪は父さんとの最後の繫がりなんだ!」

 

 

「だから、やめろってか?やなこった!」

 そう言って、景夜の髪の毛を掴みハサミで切ろうとしたその瞬間、義の拳が彼を救った。

 

 

「よってたかって、一人を虐めるとは何事か!それでも貴様らは男なのか?」

 

 

「痛ってーな、何すんだよ乃木!」

 

 

「そうだそうだ~。先に殴ったお前が悪い~」

 

 

 景夜から見たら、彼女はヒーローだった。だが、それ以上に――

(俺は、女の子に守って貰えないとダメな奴なのか?)

 けれど景夜を守ったせいで今度は、彼女が狙われていた。彼女の綺麗なミルクティー色のが切られてしまう。景夜は出ていた涙を拭き立ち上がる。

 

 

(違うだろ!自分で立ち向かえ!男だろ!)

 景夜は、母親に言われた言葉を思い出す。

 

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「景夜、これだけは覚えて起きなさい」

 

 

「なーに、かあさん?」

 華恵は景夜の頭を優しく撫でながら、優しい声音で景夜に語り掛けた。

 

 

「力はね、自分勝手に周りに振りかざすものじゃないのよ」

 時刻は八時を少し過ぎた頃だろう、綺麗な月明かりが縁側に座っていた二人に当たっていた。

 

 

「力はね、大切なものを守るために使うの」

 

 

「大切なもの?」

 

 

「そう、あなたが思う大切なものを守るために使いなさい」

 その時の、母の顔が凄く優しい顔だったのを景夜は今でも覚えている。忘れることはないだろう。

 

  -----------

 

「離せ!こんなことをして何とも思わんのか!」

 

 

「別にー、てか一々うるさいんだよ。乃木はさー」

 

 

「やめろよ」

 最初は、擦れるような声だった。だが、次の瞬間には拳を思いっきり相手にぶつけながら叫んだ。

 

 

「乃木さんに、手を出してんじゃねぇ!」

 そこからは、駆け付けたひなたに先生を呼ばれ乱闘騒ぎは片付いた。

 

 

 次の日から、景夜は若葉やひなたと遊ぶようになった。これが、三人の馴れ初めとういやつだ。

 

  -----------

 

「か…や…ん、…きて…だ…い」

 

 

「後、一時間…だけ~」

 

 

「ダメです!もう!今日はみんなで顔合わせの会なんですから」

 ひなたの無慈悲な宣言によりカーテンを開けられて、夏の眩し過ぎる程の日光が景夜の体降りかかる。

 

 

「アッツ!眩し!ひなた、開けるなら開けるって言えよ。流石にビックリしたは!」

 

 

「良いじゃないですか?目も覚めたんですし。さあさあ、早く着替えて降りてきてください。みんな下に集まってますよ。」

 

 

「マジか!…あっ!ホントだみんな来てる。急げ急げ、ひなたは先降りててくれ」

 先程、ひなたにカーテンを開けられた窓から下を見ると、全員が揃ってることが分かったのでひなたに先に降りるように促す。

 

 

「分かりました、早く来て下さいね」

 

 

「りょーかい、急ぐよ」

 ひなたが部屋を出たのを見計らって服をタンスから出し着替え始める。

 

 

 景夜の部屋は普通の小学生らしく?本棚は漫画:小説(ライトノベル)が3:7のような感じである。

 その他にも、段ボールに紙で「ゲーム」と書かれた物がある、中には家庭用ゲーム機の「Uii」や小型ゲーム機の「Vs vita」などがありとても現代っ子らしい部屋だ。

 ゲーミング用のPCだったり、少し大きめのTVもある。

 彼の家はそこまで裕福ではない、なのに何故こんなにも持っているものが豪華なのか?

 

 

 それは、彼が『勇者』だからだ。彼のお役目はそれ相応に危険が伴うためにこんなにも豪華な物が用意されているのだ。

 本は趣味で買ったが、ゲームはこんなに要らなかったかもと景夜は思った。でも、もしかしたら「今日は暑いから部屋でゲームでもやって親睦を深めよう!」という意見が出るかもしれないし良いか、と彼は思考を捨てて着替えに戻る。

 

 

 上は白を基調に少し柄の入ったTシャツ、下はグレーの短パンだ。オシャレとは言えないが、無難な格好で外に出た。

 階段を下りると、不機嫌そうな若葉の顔が見える。

(ここは…先手必勝!謝るが勝ち!)

 

 

「景夜!お前はこの暑い中何時まで――」

 

 

「ごめん!若葉この通り!」

 綺麗に腰を九〇度曲げての謝罪、この手が若葉に通じなかったことは無いので今回も景夜はお世話になっていた。

 

 

「ーっ!?分かったから頭を上げろ。はぁ~これからは気を付けろよ。」

 

 

「了解!」

 どこで習ったのか、何故か敬礼をする景夜であった。

 

 

 朝ごはんは、友奈の「香川のソウルフードである、うどんが食べたい!」という要望により、うどん屋さんに来ていた。

 みんなが、美味しそうにうどんを啜る中一人浮かない顔の景夜がいた。

 

 

「どうしたんですか?景夜君?どこか調子でも……」

 

 

「…あっ!ううん何でもないよ!ほら!こんなに元気にうどんを食べれる。」

 

 

 勢いよく、うどんを啜る景夜。先程まで思い出していたのは、先日目の前で肉塊になってしまった女の子のことだ。彼はあの日ことを、少し引きずっていた。

 だが、ひなたにそんな姿見せまいと空元気で頑張っていた。

 

 

 ひなたは何も言わず、そのまま食事に戻った。

 

  -----------

 

 七人は丸亀城の一室でもある、応接室のような場所で一人ずつ自己紹介をしていた。トップバッターは勿論唯一の男子の景夜からだった。

 

 

「えーっと、柊景夜です。血液型はB型で、来月の九月一日に十一歳になります。父がノルウェー人で母が日本人のハーフですがよろしくお願いします。好きなものは、本と昼寝と、後は若葉とひなた。嫌いなものは、弱いもの虐めをする奴。趣味はゲームと読書。特技はこれと言ってないかな。これからよろしく」

 

 

 少しどころか、色々とツッコミ所が多すぎる。趣味がゲームと読書と聞いた瞬間、千景と杏がソワソワし始める。

 そして、先に杏が飛びついた。

 

 

「本って!ど、どんなジャンルを読むんですか!」

 

 

「えっと、伊予島さんだよね?そーだなー、最近は恋愛系のラノベが多いよ、バトル系も良いけど」

 

 

「ラノベですか、でも恋愛!ならならどんなシュチュエ―ションが良いですか?」

 鼻息をフンスフンスと立てながら迫ってくる杏子は少し怖かったが、それでもちゃんと答えた。

 

 

「ベタだけど、サブヒロインの子がヒロインの親友で最終的に、主人公の背中を押して告白に行かせて自分はその後泣いちゃうって言うのが、結構好きだな」

 

 

「分かります!結ばれないんだけど、その儚さそのキャラのことをもっと好きにしてくれるんですよ!」

 五分ほどこの談義は続いた――

 

 

「あ、あの…柊君は…その、どんなゲームをやるの?」

 

 

「そーですね、最近有名なPCゲームのDea❍ by Da❍lightとかやろうかな~と、思ってます!」

 千景は一瞬嬉しそうな顔をして、ボソリと呟いた。

 

 

「フレンドコード、登録してくれるかしら…でも、迷惑かも」

 

 

「そうだ、郡先輩もやってるんだったらフレコ交換しませんか?そしたら一緒に出来ますし」

 景夜が屈託のない笑みで問いかけると、千景は目を輝かせて頷いた。

 

  -----------

 

 全員の自己紹介が終わるころには、お昼になっていた。話過ぎたかなと思ったが、でもみんなと友達になれた気がしたので良かったと思い、深く考えるのを止めた。

 郡千景(こおりちかげ)伊予島杏(いよじまあんず)土居球子(どいたまこ)高嶋友奈(たかしまゆうな)。この四人と新たに過ごしていく。

 不安はあれど、心配はなかった。景夜から見たら、みんないい人だっから。友奈と球子とはもう名前呼びし合ってる、という程の打ち解けの速さ。杏と千景とも、趣味が合っているので会話も楽しい、と景夜は感じていた。

 

 

 みんなと一度別れて、部屋に戻って来た景夜は急いで洗面台に走る。先程まで食べていた、お菓子や朝のうどん。胃の中にあった全てを吐き出した。

 何日たっても、頭から離れない。フラッシュバックする、光景はあの日。血が付いて赤く染まるて、目の前で肉塊になる女の子。

 全て現実で、夢でないことを思い知らされる。

 

 

「折角食べに行ったのに、無駄になっちまった。ひなたと若葉怒るかな、こんなこと黙ってたら。」

 

 

「ええ、怒りますね」

 声の主を、察して振り向く。そこには、悲痛な顔をしたひなたが居た。

 

 

「お前、なんでここに?」

 

 

「そんなの、決まってます!あなたが心配だからですよ」

 景夜以外の六人は、お昼を取りに食堂に行った。景夜は、お腹が減ってないからいいと言って先に帰って来たのだ。ひなたはそれを見計らってきたのだろう。

 

 

「若葉ちゃんには、私に任せて下さいと言ってあるので大丈夫です。……本当のことの言って下さい」

 ひなたの力強い眼差しに負けて、景夜は全部を話した。

 

 

「…そうですか。そんなことが」

 

 

「怖いんだ、もしかしたら明日にはあいつらが攻めてきて……みんな死んじゃうじゃないかって」

 

 

「そんなことはありません、『神樹様』が守ってくださいます。」

 『神樹様』とは土着の神々が、残された人類を守るために集まったもの。所謂、複合神性である。

 でも、景夜はまだそんなことは上手く理解できていない。

 

 

「守ってくれるかなんて、分かんないだろ!怖いんだ!母さんが死ぬかもしれない!ひなたが死ぬかもしれない!若葉が死ぬかもしれない!今日仲良くなった四人が死ぬかもしれない!」

 

 

「景夜君……そこまで」

 違うのだ、景夜はそんなことを恐れている訳ではない。恐れていない訳じゃないが、一番ではないなぜなら――

 

 

「俺の力じゃ、だれも守れない!」

 失う以上の喪失。守れない、戦っても、頑張っても、足りないのだ圧倒的に。

 

 

「みんなを守れない!折角こんな力を貰えたのに、俺には全然扱いきれてない!それが怖い!俺が頑張れば守れたのに、もしそれで誰かが死んだら?そんなのさいあ――」

 

 

 続く言葉は、ひなたの抱擁によって声になることは無かった。見ていられなかった、自分の大切な幼馴染がこんなにも辛そうにする姿を。

 だから抱きしめた、壊れないように優しく包み込むように。

 

 

「一人で抱え込まないで下さい、優し過ぎるんですよ景夜君は。大丈夫です、ここには私も若葉ちゃんも華恵さんも居ます。頼って下さい、私たちはもう家族みたいなものでしょう?」

 

 

「ひぃ、なっ、だぁっ」

 

 

 全部をひなたにぶつけた景夜は、ひなたの胸の中で泣きつかれて寝ていた。その顔は穏やかで、彼女は彼の役に立てたのが嬉しかった。

 みんなが景夜の部屋に来るまで、ひなたは景夜に膝枕をした。

 そして、景夜の頭を撫で続けていた。

 

 

「今はゆっくり、休んで下さい。」

(どうか、あなたの人生が光に満ち溢れていますように…)

 心の中の祈りが叶うのは、まだ先のお話し。

 

 

 




 多分次からは、本編かもです。

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