ちょっとエロスティックな感じがまたいい!
一月一日、元旦である。
昨日はみんなで年越しうどんを食べて、どんちゃん騒ぎをしていた。
もちろん景夜の部屋でだが、その所為かみんなが景夜の部屋で寝落ちという事態が発生。
師匠である紅葉や生真面目な若葉ですら、景夜の部屋で眠っている。
昨夜のこと思い出し、感慨に耽りながらもみんなを起こしていく景夜。
「おーい!みんな起きろ!」
「…タマはまだ眠いぞ…」
「私もー!」
球子と友奈は返事をしたものの起きない。
「もう…そんな時間かしら…?」
「…そろそろ起きないとですね」
目を擦り、眠そうにしながらもちゃんと起きる千景と杏。
「おはようございます!景夜君」
「…すまんな景夜、眠りこけてしまった」
朝起きて、開口一番が挨拶と言うひなた。朝起きて、開口一番が謝罪と言う若葉。いかにも二人らしいものがそこにある。
「……むにゃ~…まだ眠い~」
相も変わらず、オフの日はトコトン脱力する紅葉。
全員を何とか起こした景夜は、手短に支度を済ませて簡単な朝食を作る。
昨日の内に買っておいたマーガリン入りの黒糖バターロールを、オーブントースターで焼く。
焼いている間に昨日作ったうどんの残り汁を使い、手早くスープに早変わりさせる。
野菜多めに作っておいたので、まだ野菜も残っている。
和風寄りのスープ?にバターロールは合わないと思うが景夜的には、手早く作れて残り物を無駄にしない最高の一品でもあった。
若葉やひなたに手伝ってもらい、十分程で朝食は完成。
まだ、寝ぼけている連中にも朝食を出していく。
時刻は七時を少し過ぎたあたりで、これからのことを景夜は思案していく。
(みんなが飯を食い終わったら、着替えて初詣にでも行くかな…)
そんな景夜の考えを読んだのか、ひなたがみんなを誘いが始める。
「皆さん、この後とことなんですが」
「何かなひなちゃん」
「どっか行くのか?」
先程まで、眠そうにしていた2人は既に起きている。
紅葉も朝食を食べながらひなたの話を聞いているようだ。
「初詣にいくんでしょ!それなら、アタシに任せて〜!」
紅葉が何か思いついたように、声をあげる。
「紅葉姉さんが何かやるのか?」
若葉は不安を隠せないでいる、かくいう景夜も少し動揺している。
「初詣…?」
やはりというべきか、千景は初詣も知らないようだ。
ここまでくると、彼女の家庭環境がどれだけ悪いかは分かってくるというもの。
景夜は苦笑いを浮かべながら、初詣について説明をする。
「初詣とは、年が明けてから初めて神社や寺院などに参拝する行事です。一年の感謝を捧げたり、新年の無事と平安を祈願したりするのを言うんです」
「後は、初参ともいいますね」
「へぇ……、みんなで行くのかしら?」
「そうですね……昨日皆に聞いたけど、用事はないみたいですし」
ひなたの補足も入り説明を終えた後の食いつきに、景夜は驚きながらも嬉しかった。
(郡先輩、段々とこういうイベント慣れて来たんだな…)
その後は、景夜以外の全員が紅葉に連れていかれ景夜だけが部屋に残された。
「師匠のことだ、ま~た何かやってんのかな」
紅葉のことを疑うが信じていない訳ではない、みんなが完全に嫌がることはしないだろうと踏み指定された場所に一人移動し始めた。
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景夜が向かったのは丸亀城近くにある、丸亀護国神社。
神樹様という神様が現れてからは、寺ではなく神社の方が参拝客増えているらしい。
恐らくだが、もう少し先の未来では神棚などが学校に配置される事態がくるというのが景夜の見解だ。
神社に着いてからしばらく待つと、一台の車が景夜の前に現れる。
そこから出て来たのは、晴れ着姿の少女たち。
「待たせてすまなかったな景夜、……どうだ変ではないか?」
「……はっ!スマン、ちょっとみんなに見とれてた」
景夜は本当に見とれていた、呼吸をするのも忘れて見入っていた。
そんな景夜をおちょくるようにひなたが肘で小突く。
「そんなに似合ってますか私たちの晴れ着は?」
「ああ!すっごい似合ってる!」
「そ、そうですか……」
思ったことを言っただけなのに、何故かひなたが顔を赤くしていた。
そんな事には気付かないのか、ひなたと若葉の手を引っ張りながら進んで行く。
みんなの晴れ着は花がモチーフの物だ。
若葉が桔梗、友奈が山桜、球子が姫百合、杏が
それぞれが違っているが何故か景夜には皆のその選択、おかしいほどにしっくりくる。
(偶然なのか?…いや、気のせいか…)
景夜はその違和感を放り捨て、お参りの順番が自分たちに回ってきたことに気付く。
「俺たちの番だな」
「景夜、間違えるなよ」
「二礼二拍一礼ですよ!」
ひなたの言葉の通り、二回深く礼をし二回拍手をしてなた礼を一回する。
みんなの願いはそれぞれだ。
ひなたの願いは、みんなの健康。
若葉の願いもまた健康。
球子の願いは、みんなともっとバカをやれますように。
杏の願いは、こんな何でもない日常が続きますように。
友奈の願いは、もっとみんなと仲良くなれますように。
千景の願いは、ちゃんとみんなの目を見て話せますように。
紅葉の願いは、全員が欠けることなくお役目が終わりますように。
景夜の願いは、みんなの笑顔がこの先も見られますようにだ。
このようにして、八人の初詣は無事に終わった。
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一月二日十五時半頃、丸亀城近くの山にて。
「はぁ……はぁ…」
「まだまだいくよ!」
紅葉の槍による神速ともいえる突き、連続で放たれるそれを景夜は一つ一つ確実に落としていく。
槍の基本攻撃は突き、払い、斬り(相手を)跳ね飛ばす、叩き潰す、などだ。
柄を長く持つときは長さを有効活用し、相手の有効攻撃圏外から先制攻撃を仕掛けやすい。
柄の中ほどを持つときは棒術や格闘技で威力を発揮しやすく、切り替えもスムーズに行うことができ、また石突き部分を効率良く使いやすい。
柄を短く持つときは至近距離での突き刺し、斬り裂きなどの戦闘を行いやすいが、柄が長いためナイフのように取り回せないことを考慮しなければならない。
後は、相手の足に柄を引っ掛けて転ばせる足払い。
などのものがある、最後の足払いはバーテックスには通じないのであまり修行では使わないようにしてる。
紅葉が柄の中ほどを持ち、棒術を使い叩きつけるような攻撃が増えていく。
景夜も柄を中ほどで持つことで、紅葉の攻撃に対応していく。
上段からの叩きつけるような攻撃を柄の部分を使い横にスラリと受け流し、流れるように攻撃に繋げる。
だが、受け流されるのを分かっていたのか紅葉の動きは早く、叩きつけるようにして振った槍の運動エネルギーをそのままに一回転して、攻撃をしようとした景夜の槍を払う。
振り下ろす力が相当に強かったのか、回転の速さは凄まじく景夜に攻撃の隙を与えない。
かれこれ三時間は休まずに修行をし続けているが、景夜の当たった攻撃は零だ。
景夜も成長し強くなっているが、それ以上に紅葉が化け物すぎる。
柄の中ほどを持つとき、この持ち方では戦闘に十分対応するには個人の経験や技術などが深く関係し特に扱いに不慣れな者は使い難い。
簡単に言えば、景夜はそこそこには使い手に近くなっている。
修行を始めて五か月、驚きの成長スピードといえるだろう。
けれど、こんなことで越えられるほど紅葉という壁は薄くない。
紅葉は十一月十三日生まれの一五歳、物心ついた時から振っていたという槍の経験値は計り知れない。
バーテックスは神の力が宿った神器でしか倒せない。
景夜が聞いた話によると、何と紅葉はバーテックスを神社に奉納されていた護神刀で倒したという。
有り得ないことだ、いくら神社に奉納されて少しばかり神の力があるとはいえバーテックスを護神刀で倒すなど。
これが出来る程には、紅葉は
彼女の本領は槍だ、もし自分の神器である天逆鉾を彼女が持っていたなら……まさに鬼に金棒だろう。
景夜は溜まった疲労のせいで膝を折りかけるが、根性でそれを耐える。
強くならなければいけない、勇者唯一の男としてみんなを守るために。
(若葉より強くならないと!じゃないと、あいつは俺に自分のことを守らせてくれない!)
「景夜くん、精霊を使ってみて」
「トロール…ですか…」
「そうよ!精霊の力は聞いているは代償はあるけど、それでも使い慣れることにも意味はある!」
胸を張って言う紅葉に従い、まだ未だ未完成の勇者システムを使い精霊を呼び出す。
精霊を体に宿したことより、体が変質していく。
皮膚の色が緑色のようになり、体も若干だが筋肉質になっていく。
景夜も筋肉をつけてはいるが、成長に影響がないレベルでしかつけていないために余計筋肉質に見える。
トロールを宿したことにより、異常ともいえる速度で紅葉に付けられた打撲の跡が消えていく。
この光景を見たものは思うだろう、悍ましいと……
現に、景夜は加速度的に可笑しくなっていく自分の体を嫌悪している。
ようやく、体の怪我や疲労が治ったところで精霊を外そうとする。
おおよそ、体の怪我や疲労を治すのに掛かった時間は三〇秒程というところだ。
「景夜くん、精霊を外すのはもうちょっと待って」
「どうしてですか?師匠」
「少し試して見たいことがあるの」
そういうと、紅葉は景夜から数歩下がり対面に立つ。
「せやぁ‼」
勢いのいい掛け声と共に突進してくる、明らかに先程より速い。
景夜はそれを先程とは違い、余裕をもって躱す。
精霊を宿すことによって、明らかに身体能力が向上している。
それも、当たり前だろう精霊とは空想上や幻想上の生物だったり、史実に語られる者だったりと様々だがトロールはその中でも身体能力は良い方である。
だからこそ、本気を出した紅葉の突きも躱す事が出来る。
紅葉はそのことに驚きながらも、攻撃の手を緩めない。
あらゆる方向から攻撃が飛び出してくる、足を払う攻撃を躱したと思ったらその直後には背後にいて突きを放たれる。
だが、景夜はその攻撃を見てから躱す。
紅葉の攻撃速度も化け物だが、景夜の反射速度や運動能力も精霊のお陰で化け物並みになっている。
五分間、紅葉の本気の攻撃を躱し続けた景夜は息切れもしていない。
景夜は今、絶対に発展途上の今の景夜では届き得ない高みの場所を見た。
「はい!ここまで、精霊を外して元の修行に戻るわよ」
「分かりました!」
紅葉の指示を受けて、景夜も精霊を外す。
この後も修行を続けたが、景夜は結局一度も攻撃を当てることは出来なかった。
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その後も、時間は停まることを知らず進み続けた。
丸亀城の生活も一年を過ぎた頃には、若葉と景夜の実力は余り無くなっていた。
その頃には、みんなとの距離も縮まり段々と家族のような温かい関係が出来ていた。
みんなで紅葉の修行を受けることもあったが、ついて行けたのは若葉と景夜だけだった。
千景との仲も良くなり、景夜は「千景先輩」と呼ぶようになった。千景は「柊君」のままだったが。
二年を過ぎた頃には、若葉と景夜の実力は同等程になり偶に勝てるようになっていた。
色々なイベントをやったことで、千景も少しはみんなとの距離も縮まることに成功した。
学年も上がり、勉強も少し難しくなっていく。
友奈と球子の定期補習を景夜が行うようになったのはこの頃からである。
バレンタインには、みんなから手作りチョコをもらい少し嬉しかったりしている景夜の姿もある。
母の日には、華恵の為に景夜がみんなに手伝ってもらい手作りのケーキと手紙を渡し、華恵を感動して泣かせていた。
三年が過ぎた頃。
天逆鉾特有の浮遊する穂先の扱いにも慣れてきていた。紅葉に対してもやっと一撃を当てられるように成長を遂げた。
そして、もう一つ。これも天逆鉾特有のものだ、天逆鉾の真価を発揮させる絶技を習得する。
制約があり、
勇者たちの共同生活も四年目に突入した、ここから本当の戦いが始まる。
「景夜君?どうしたんですか?」
「ん、いや、ちょっと考え事」
これまでの三年間を振り返っていた、景夜にひなたが話しかける。
少しの間瞑想ついでに振り返っていたのだ、記憶を遡り追体験した。
景夜はとても楽しい三年間だと思った、それと同時にこれから始まるかもしれない戦いに闘志を燃やしていた。
未来のことは分からない、だからきっと良いものにしてみせると誰もが思っていた。
次回から本編です、強引かもしれませんがスイマセン。
戦闘描写はあまり上手く書けてるか分かりませんが、何かご指摘などあればよろしくお願いします!
誤字脱字などがありましたらご報告お願いします!
それではまた来週!