元おっさんの幼馴染育成計画   作:みずがめ

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if 二つの幸福が重なる場所②

 今なら胸を張って言える。あの時、誰に指を差されても「二人とも選ぶ」と決めた俺の強欲は正解だったのだと。

 

 海外のとある島国。そこには、日本ではまだ認められていない多様な婚姻の形を受け入れる、穏やかな風土があった。

 丘の上に建てた邸宅に広い庭。穏やかな潮風に吹かれて、自然の温かみを感じる。

 庭を見下ろすと、二人の天使がいた。

 葵に似た太陽のような明るい笑顔で花を愛でている子と、瞳子に似た月のような神秘的な青い瞳で蝶を追いかける子。俺の人生において、二人とも最高の宝物だ。

 

「俊成、そろそろお茶の時間よ。葵も、ピアノはそこまでにしてこっちに来なさい」

 

 テラスから俺を呼ぶ瞳子の声は、かつての鋭さは鳴りを潜め、慈愛に満ちていた。

 大人になった彼女は、その卓越した審美眼と才能で、今や世界的な宝飾デザイナーとして名を馳せていた。多忙な日々を送りながらも、俺の隣にいる時だけは愛する妻の顔を見せてくれる。

 

「はーい! 今行くね、瞳子ちゃん!」

 

 ピアノ室から飛び出してきた葵が、弾むような足取りで俺のもとにやってくる。

 大人になった彼女は世界的なピアニストとして、その美貌と才能を生かして華々しく活躍していた。俺の会社の広報としても力を尽くしてくれており、仕事でも家庭でも、俺たちの光であり続けてくれている。

 テーブルに並んだ人数分のカップ。その湯気を眺めながら、すべてを抱きしめて本当に良かったと思う。

 高校時代に起業し、死に物狂いで積み上げてきた地位も資産も。すべてはこの幸せな家庭のためだ。

 

「パパー! 葵ママがケーキ食べちゃうよ!」

「あ、こら! 内緒って言ったでしょ、もうっ」

「葵ったら、子供の前でつまみ食いなんてしちゃダメでしょ!」

 

 瞳子が呆れながらも笑みを浮かべ、葵は口をもごもごと動かしながらも悪戯っ子みたいに笑っていた。それを見た子供たちは大笑いする。

 賑やかな笑い声で、俺の頬も緩む。

 不意に、瞳子が俺の隣に座り、体温を分かち合うように肩を寄せてきた。反対側からは葵が当然の権利だとばかりに俺の腕を抱きしめる。

 左右から伝わる、愛おしい二人の鼓動。

 目の前では、二人の子供が幸せそうにケーキを頬張っている。

 

「ねえ俊成。あの時、諦めずにあたしたちを欲張ってくれて……本当にありがとう」

 

 瞳子が俺の耳元で、とろけるような甘い声で囁く。

 

「トシくん、私たちは世界で一番幸せだね。……ね、そうでしょ?」

 

 俺を覗き込んでくる葵の目は、嬉しさで濡れていた。

 

 前世で孤独に震えていた「おっさん」の自分。きっとそれは瞳子と葵も同じで、今この時こそが求めていた夢そのものなのだろう。

 人生における「選択」とは、何かを捨てることじゃない。

 大切なものをすべて抱えて、地獄だろうが天国だろうが歩き続けるための──究極の覚悟を決めることなんだ。

 

「俺の欲張りな選択を受け入れてくれてありがとう。二人がいてくれるから……最高に幸せだ!」

 

 俺の言葉に、葵の抱きしめる力が強まり、瞳子が頭をぐりぐりと押しつけて甘えてくる。

 黒髪と銀髪の良い匂いと、温かくて柔らかい感触が俺に幸福感を与えてくれる。

 

「瞳子ママ、顔真っ赤ー」

「葵ママも、まっかっかー!」

 

 俺たちの様子に気づいた子供たちがはしゃぐ。

 

「パパを独り占めするのずるいんだー」

「二人占め? 二人占めずるーい!」

 

 二人の子供が俺の胸に飛び込んでくる。さらに賑やかになって、幸せが広がった。

 

「お茶が終わったら、今度はみんなで遊ぼうか。瞳子と葵もいいよな?」

「もちろんよ」

「いっぱい遊ぼうね」

「「やったー!!」」

 

 笑い声が庭の緑に溶けていく。

 見上げた空は、どこまでも澄み渡っている。

 俺たちの歩む道は、この青空よりも高く、そして永遠に続いていく。

 そうだ、絶対に歩みを止めない。この幸せを絶対に離さないことこそが、俺の決意なのだから。

 

 




ハーレムルートはご都合主義度が上がるせいか、なんとなく異世界に行っているみたいですね(書いてみた感想)
エピローグっぽいですが、もう少しだけイチャイチャシーンを書くかもです。このシチュは妄想をかき立てられるもので。
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