主人公、転生する
ここは神が人を選別するところ。
閻魔が決めた後に最終チェックを行う場所。
今、転生のために神の前に送られてきた少女がいるのだが……。
「……目覚めよ」
テンプレ通りに少女を起こす神様……だが。
「うっうーん、何あれ、わああお菓子がいっぱいだあむにゃむにゃ」
「めざめよ……」
「スー」
「めざめよ!」
「はっ」
「うむ、起きたか閻魔から聞かされてると思うg……」
「はっは! スーむにゃむにゃ」
気絶したまま起きてくれないのだ。
一応神様にも非がある、あるのだ。気絶させずに普通につれてくればいいものを「……目覚めよ」とかいうかっこいい演出をやりたいがために気絶した状態で連れてきてもらったのだ。そのためこの少女を怒ることができない
だがいい加減疲れてきて……。
「おーきーろー!」
怒った。
神の怒りという名称にも恥じない天地を揺るがす大声で。
「うっんんあれ、お菓子の国じゃなくて……閻魔様が転生が何とか言って
担当の神様のとこに送るとか言ってたからここは神様の部屋?」
そこまでしてやっと起きる少女。
「そうじゃ」
「え? おかしいなー神様とか言ったらロリっ娘なイメージがあったんだけど典型的な髭の神様がいるような……
うんきっとあれは使い的な奴だよねそうだ! きっとそうだそうと決まったら
話しかけてみようかな! あ、でも人と話すの怖いなぁというか考えるだけで震えがぁ」
普通先ほどの大声で震えが止まらなくなるものなのだが対人恐怖症なこの少女は会話することにおびえている様子。
「おーい」
「あわわわ、話しかけられちゃったよどうしようどう答えよう……。
うん、大丈夫! うん、あれは使いの人だからきっと優しいよ、私!
頑張れいけるよし話しかけてみよう。
ハイ、ナンデスカ」
「儂は使いではない! 君らの言うところの神じゃ間違えるでないぞ。
あと緊張しすぎじゃ」
「あわわわ、話し方が変になっちゃったぁ
うん? 今あの人が神って……
ええええええええええええ???!?!?!」
………………。
っと吹き出しが出そうな顔をする神様。
これ以上話していてもこの少女が驚いたり震えたりで話が進みそうにないと判断した神様は一気に用事を話して転生先に「ぽいっ」っとぶん投げることにした。
「驚きすぎじゃぁ聞け、落ち着け、な? このままじゃ時間が過ぎていくだけじゃ。
まず聞いておると思うがお主は記憶を持ちながら転生できることとなった。理解できとるな?
そして、儂がお主の記憶から面白そうと思ったキャラにお主を変える。
転生先の世界は支配しとる神がおるが「面白そうなのでいいです」とのことなので安心しておくれ。
わかったな? 何か質問とかはあるか?」
会話することに震える少女に質問を求めるなんて意味があるのかはわからないが一応質問する神様。
「えと、無いです。ご説明ありがとうございましちゃっ!」
それに対して無い、と答えるだけで盛大に噛む少女はもう無視することにしてもう転生先にぶん投げちまおうと思った神様。
「緊張しすぎじゃぞ、それでは頑張ってくるのじゃ。
そちらに行けばなんとなくできることがわかると思うからな」
適当になんとなくでできることがわかると言葉を一方的に投げ何らかの術を発動する。
少女の地面で青く光る四角が丸が三角が現れ、魔法陣のような何かに組み込まれていく、そうしてコミュ障の少女が天へと浮き上がっていった。
少女は思いました。確かにわかりやすいけど自分がコミュ障なのを考慮して質問せずに、少しくらい向こうの世界のこと教えてくれたらよかったのに、と。
間違えがなければいいと思います。
あと転生神様はもう出てこないと思われます。
次回からは少女視点となります。
次回があればですが。