よまわりさんって戦えるっけ。   作:銀ちゃんというもの

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後半の会話長いです。


よまわりさん、Dと話す

『ウハウハだね』

『ですね!』

 

人の経験値がこんなに高いとは思わなかったなぁ。

蜘蛛さんも今回でまた進化できるようになったみたいだけど確か蜘蛛さんは一応進化は最終なんだっけかな?

あとは進化ツリーから外れてるアラクネぐらいだから。

 

『たかが28人倒したくらいでこんだけの量の経験値がもらえたんだし、1000人くらい虐殺すればあっという間にレベル上がりそう』

『なんかもう言ってることがとんでもないですけど同意です』

『問題はギュリギュリだよね』

『ですねー』

 

管理者ギュリエストぎゅ、なんだっけ・・・ギュリーでいいか、とにかくあの黒い人が止めにきそうだしねぇ。

 

『いっそ私からは打って出ないで、討伐隊でも編成されるのを待とうか?』

『それは名案ですね!』

『私正当防衛、悪くない』

『天才ですか』

『うん!』

『あ、そういえば何か蜘蛛の魔物に襲われた後何があって大地魔法なんて使ってるんですか?』

『地龍たおした』

『あーなるほど、もう驚きませんよ。慣れました』

『とりあえず進化する準備しよう』

『はーい!』

 

私は散乱した死体を回収。

蜘蛛さんはアークを持ってきて一緒に置く。

で、アークを取り囲むように糸を張り巡らせていく。

簡易の域は出ないけど、進化するだけならこれで十分。

よし、進化しよう。

今回は上のよまわりさん選んでみようかな?

 

《個体よまわりさんがよまわりさんに進化します》

 

はーい

 

あれ、蜘蛛さんも私も眠くならない。

そういえば状態異常耐性が無効になったんだ、忘れてた。

これが進化かぁ。

んーよまわりさんだからかつくりかえられてる感じもしないし何だろうでもなんかこうぐおーって感じする。

 

《進化が完了しました》

《種族よまわりさんになりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》

 

色々レベルアップしていく。

 

《進化によりスキル『百足』を獲得しました》

《スキルポイントを入手しました》

 

ん?

なんかゲットした。

百足・・・ムカデ?

あの商店街の神社の?

 

『百足:土属性の特性が跳ね上がる。土を自在に操れるようになる』

 

え、どういうこと?

ムカデだよ?

何だっけ、ムカデって何の象徴だっけ?

 

ポトリと音がした。

そこに、スマホが落ちていた。

 

あ、みてない。

私ナニモミテナイ

 

『もしもし。Dです』

『あーあー。聞こえない聞こえない。』

『なーにーもーきーこーえーなーい』

『ああ、なんということでしょう。私の手にはなぜか蜘蛛とよまわり自爆ボタンが』

『ごめんなさい許して!ていうか、何そのボタン!?いつの間に作ったのさ!?』

『やめてください、許してDさん!』

『冗談ですよ。そんなものありません。なくても蜘蛛を汚い花火に変えることくらいできますから』

『『安心できない』』

『ご安心を。あなたがたのように面白可笑しい人材を無駄に散らすようなことはしません』

『あ、そうっすか。光栄っす。じゃ、そういうことで。』

『お帰りならあちらですよ』

『自爆』

『ごめんなさい!』

『マジすいません!』

『冗談ですよ。冗談』

『『冗談に聞こえない』』

『よく言われます』

『で、ホントは何の用なのさ?』

『単なるお祝いですよ。不死に至った』

『え、?不死?』

『そこの蜘蛛が不死になったのですよ』

『え、マジデスカ』

『マジです』

『ねえ、この不死ってなんでこんなスキル作ったの?』

『人は満たされると最終的に何を目指すと思います?』

『富、名声、武力、権力、そして不老不死。どこの世界でも人の目指すものなんて、その程度です。そして、それが本当に手に入ると知ったら、どうすると思います?』

『何が何でも手に入れようとするだろうね。ああ、そういうこと。』

『なるほど』

『そういうことです。たとえ手が届かないとわかっていても、人は縋りたくなるものです。何を犠牲にしてでも。そうして頑張って頑張って、結局は手に入れられずに力尽きる。その頑張った結晶は管理者が美味しく頂く。実に効率的だと思いません?』

『ちょっと待ってください、Dさんの性格が悪いのはわかりましたから私、不死のポイント空間魔法より低かったというか今のポイントが3200だから200残してとれちゃうんですけど』

『よまわりさんですからね、少なくともあなたの今の体でも不老ですよ』

『やっぱりこれ、本物のよまわりさんの体なんですね』

『そうです』

『じゃあ、私はポンと手に入れちゃったんだけど、どういうこと?』

『ザナ・ホロワはもともと不死の魔物という設定ですから。まさか本当に進化してしまう個体が出るとは予想していませんでしたけれどね』

『進化しちゃいけない魔物だったんかーい。』

『いけないということはありませんよ。ただ、最初のゾア・エレも非常に発生が希な種ですし、発生したとしても進化前に死ぬように設計してありましたから』

『『え?』』

『ゾア・エレには腐蝕攻撃がありましたね?けれど、腐蝕耐性はありませんでした』

『そうなの?』

『はい。ですから、普通のゾア・エレは腐蝕攻撃を使った瞬間、自分も死ぬことになります。良かったですね。耐性を持っていて』

『よかったですね蜘蛛さん、腐蝕耐性もってて。』

『うん』

『耐性を持っていたおかげで鎌が使えなくなる程度で済んでいましたからね。普通なら即死です。相手を殺して自分も死ぬ。そんな様から不吉を象徴する魔物と言われるようになったくらいですからね』

『確かに不吉だ』

『ですね』

『エデ・サイネも本質は変わりませんし、より強力な死滅の邪眼を得ていますから。進化する前に死んでしまいますね』

『今までザナ・ホロワに進化した個体っているの?』

『いません。おめでとうございます。あなたは世界で唯一のユニークモンスターになりました。パチパチ』

『おめでとうございます蜘蛛さん』

『嬉しいんだけど、Dに言われるとなんかあんま嬉しくならない。』

『ちょっとわかります』

『せっかく祝福してあげたというのに』

『いや、今までのあれとかねみてると、ね』

『邪神ですから』

『禁忌といい不死といい、ホント性格悪いわ。』

『もう少し品のある言い方にしてくれると嬉しいですね。例えば、純然たる悪意とか』

『自分で言っちゃってるじゃないですか、というか頭が逝っちゃってる?』

『自爆』

『ごめんなさい許してください何でもしますから』

『ん?いまなんでもするって』

『いってないです』

『いやいいましたよね』

『いってないです』

『まぁ、いいでしょう言ってないということで』

『ありがとうございます!』

『そんなことより、禁忌はよくできたシステムだと思いません?』

『思わないね。私みたいな半分部外者だから不快な思いする程度で済んだけど、元からのこっちの世界の住人は禁忌カンストした時点で発狂するんじゃない?』

『過去に禁忌をカンストさせた人間は、碌な最期を迎えていませんね』

『ですよねー』

『それを含めての、禁忌ですよ』

『自業自得ですけどね』

『それで、あなたがたは禁忌の内容を知り、今に至ると』

『ですね』

『だね。我ながらどうかしてると思うよ。ちょっと前までの私だったらそんなん知るかって言ってふて寝してただろうね。』

『それもこれも、あなたが並列意思を使って活動している影響でしょうね』

『はぁ、蜘蛛さん、変わらないでくださいよ?間違ったら私が正してあげますから』

『うん、ありがとう』

『あまり自覚がないようなので言っておきますが、あれはシステム外攻撃ですよ?』

『そらそうですよね』

『あ、そうなの?』

『少なくとも私はあなたが行っているようなことができるスキルを実装した覚えはありません』

『へえ。てことは、私は神の領域の片鱗を使ってるって事?』

『そうなります』

『ふふふ。これは私が神になる日も近いようだな。』

『期待していますよ』

『厨二病なこと言ってますがそれがほんとなのが怖いです』

『いや、そこ華麗にスルーしないで突っ込んで欲しかったなー。』

『本心ですよ。私はあなたが私たちの領域にたどり着くことを期待しています』

『本気?』

『ええ』

『何が目的なんですかDさん』

『言ったはずですよ。娯楽だと』

『そうでしたね』

『そうだったわ』

『今日は気分がいいので、少しサービスして色々とレクチャーして差し上げますよ?』

『『マジで!?』』

『ええ。私の教えられる範囲でしたら、その世界のこと、色々教えて差し上げます』

『やったぁ!何聞きましょうか、蜘蛛さん!』

『まずさあ、なんで私この世界に転生してるわけ?』

『ああ。それは一から詳しく説明しましょう。まず、あなたは地球の日本で死にました。ここまではいいですか?』

『あ、これ死んだタイミングが違う私は違う理由な感じですか?』

『そうです。あとあなたは今教えてしまうと面白くないことだらけなのでこの世界に来た理由は教えませんよ』

『あっはい』

『では蜘蛛さん、死因なのですが、先代の勇者と魔王が関係しています』

『え?』

『どうやったんですか?』

『先代の勇者と魔王は両者ともに次元魔法の使い手で、かなりの天才でした。彼らは次元魔法を改変し、世界の壁を越える魔法を編み出してしまったんです』

『あーなるほど』

『どういうこと?』

『えっとですね蜘蛛さん、前に私が影魔法改変して毒を操ったじゃないですかそれと同じです』

『要するによまわりさんの言う通りです』

『改変した程度でそんなことできるの?』

『できますよ。できない道理がありません。ただ、システム外の技術に対して、システムの補助は働かないですがね。システムの補助に慣れてしまったこの世界の住人では、そんな高度な術式は制御できませんでした。結果、術式は暴発。次元を越える際にMA領域を一部破壊し、世界の壁を越えた先、地球の日本のとある高校の教室で爆発してしまったというわけです』

『というか蜘蛛さん自身並列意思をおかしな使い方してるじゃないですか』

『空間魔法のほうがすごいと思うんだけど』

『うーん、魂が見えるようになったからのただの直感ですが自己の魂の操作、送信の方が難しいと思いますよ』

『そうなの?』

『多分ですけどね。というかそんなことより魔王とかに突っ込みを入れましょうよ』

『そうだった、魔王たちがやったことでMA領域破壊とか馬鹿なの?』

『まったくです。おかげで私は作ってから放置していたその世界のシステムを点検しなおす羽目になりましたよ』

『放置って』

『言ったでしょう?その世界では私は部外者だと。その世界を管理するのはあくまでその世界の管理者です。私はシステムの提供はしましたが、それ以上のことはしませんよ』

『最近頻繁に干渉してますよね』

『仕方ありませんね。その世界の勇者と魔王が暴走した結果とはいえ、何の罪もない高校生たちが死んだ上にシステムに巻き込まれてしまいましたから。私も原因の一部ですし、システムの構築者として最低限のフォローはしておくべきだと思いまして』

『Dさん、それは当たり前のことですしDさんに良心ってあったんだと思いかけましたが絶対面白そうだからとかいうのが入っていますよね?』

『それより、高校生たち?』

『さっきからなんか私のほうが色々理解できてるのはなぜか気になりますが、では蜘蛛さん。制御できなかった魔法がDさんに向かいました、制御できなかった魔法です。そんなもんが人一人のところだけで収まると思いますか?教室全体にバーンってなってもおかしくないしむしろ良くその教室だけで収まりましたね?ってなりません?』

『確かに』

『そうです、この世界には25人の元地球人が転生しています。授業中の教室は見るも無残に破壊され、生存者はいませんでした。そして、その時の衝撃で、その時に死んだ人の魂はその世界のシステムに逆流してしまい、その世界で転生することになってしまったのです。私はそのままでは分解されてしまう魂を保護し、記憶や元の魂の力をそのままにこの世界で生きていけるように、n%I=Wのスキルを付与しました。あとは、適正を見て適当なスキルを1つずつプレゼントして、なるべく魂の波長が近い種族に転生できるように斡旋しました。これで、最低限のフォローはしてあげたと思っています』

『なるほど、でもうちのクラスって先生入れて26人だよね、一人足りない』

『それがDさんなのですよね?』

『はいそうです』

『思いっきりDさんから外れて教室内だけで爆発とかどんだけそのクラスが運がなかったんだ?って話ですもん』

『D、名前は?』

『それは秘密です』

『えー誰だー?』

『まあ、私の話は置いておいて。システムの最高管理者である私があの教室にいたから、あの事故は起きてしまった。なので、原因の一端は私にもあるのです。その責任取りをするために、こうしてその世界に干渉しているわけです』

『生まれながらに韋駄天持ってたのはそういうことだったのね。けど、叡智は?聞く感じだともう責任取りは終わったんじゃないの?』

『あれはあの時も言ったように、頑張っているご褒美ですよ』

『ああ、そう。一応お礼言っとくわ。ありがとう。』

『ありがとうございます!』

『どういたしまして』

『そういえばDさん』

『叡智なんてもん授けて、禁忌をカンストさせて、私達にこの世界救えと?』

『見事に息があってますね。そんなことは言いませんよ。その世界であなたが何をしようと自由です。私はそれを止めませんし、指示もしません。傍観者ですよ』

『ほんとですか?りありー?』

『信用がないですね』

『だって邪神だし』

『ですね』

『勇者と魔王って結局何がしたくてそんなバカなことしたの?』

『多分ですが、私を倒そうとでもしたんじゃないですかね』

『なんでそんな阿呆なことをしたんですか?』

『どうにも管理者を敵と見做している勢力がいるようですね。先代の勇者と魔王は彼らに唆されたのではないかと』

『なるほど、阿呆ですか』

『救えないほどのってことか』

『まあ、フォローはしましたので、異世界で転生して何をするのかはあなた方次第ですよ』

『邪神のくせにそこらへんマメに仕事してくれてありがとう。マジな話、助かったわ。』

『どういたしまして』

『で、魔王と勇者を唆した奴らって誰ですか?前世の蜘蛛さんを殺した元凶なんですからきっちりと覚えとかないと』

『それを教えてしまうと面白くなさそうなので、自分の目で確認してみてください』

『わかりました、意地で探しますので』

『ところでさー、さっき魂の波長が近い種族に転生するって話してたけど、私蜘蛛だよね?』

『蜘蛛ですね』

『蜘蛛さんは蜘蛛に似た波長だったんですか?』

『よほど波長があったんでしょうね。他の方は大半が人族に転生してますよ』

『なんでやねん!?』

『ですが、蜘蛛に生まれたからこうしてフライング気味に活動できているわけですし、あながちハズレとも言い難いですよ?他の方々はまだ赤ん坊ですからね』

『そんなに蜘蛛さんが生まれてから時間たってないんですか?』

『それもありますが、生まれるのも人族より早めでしたからね。地球の年月計算から言うと、大体半年ほど早めに生まれています』

『得したのか損したのか微妙なところですね』

『私は楽しめましたけどね。他に質問はありますか?』

『なんでシステムなんて作ったんですか?ま、どうせする意味がない、面白いからとか答えるんですよね?』

『その通りです』

『ま、そうですよね』

『あなたがたの行動はこれからも面白く見させていただきます』

『いや見るなし』

『見ないでくださいよ』

『見ますとも。ポテチ片手にゲームでもしながら眺めています』

『・・・納豆食べたいです。ください』

『だめです、管理者になってここに来てください』

『あんたまだ日本にいんの?』

『はい』

『羨ましい!』

『ポテチ美味しいです。ああ、新発売のアイスがありましたね。後で食べましょうか』

『死んでしまえー!アイスー!』

『絶対管理者になってアイスの呪いをかけてやります!効果は数年アイスに近づけなくなる感じのやつです!食べ物の恨みをなめないでくださいね!』

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『呪LV3』が『呪LV4』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『怒LV1』が『怒LV2』になりました》

 

『怒と呪あがった』

『ふふふーカップラーメンおいしいです。それでは、また』

 

スマホが消える。

管理者になる理由が増えた。

絶対地球に行って納豆とアイスとおはぎ食べるぅ!




ムカデは土、これが自分が調べた時に出てきたことを自分が理解したものの限界です。

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