よまわりさんって戦えるっけ。   作:銀ちゃんというもの

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よまわりさん、戦争で暴れる

さて、これからどうしよう

あの後、さらにあの場所からだいぶ離れた後、百足で操作した土で地下に隠れた。

うーん、うまく魔王さんに接触しないように蜘蛛さんに会うしかないかぁ。

ちなみに転移をするっていう選択肢はない。

遠すぎて成功するか不安だし。

私を認知できないだけで転移は感知できるかもだからね。

接触せず蜘蛛さんに会えるかな?

わからないけど多分大丈夫。

ではでは行きますかぁ!

 

 

次の日。

ふふふ、今さっき魔王さんが重魔法なるものを持ってるのを思い出したから取ってみたのだ!

これで蜘蛛さんがいなくても重耐性上げられる!

 

さらに数日後。

やっとついたぁ。

え?

迷宮に戻るまでの冒険?

んなんなかったよ。

たまに近くにあった盗賊を壊滅させたりしただけ。

さー闇ノ王を切って懐かしのホームへ!

 

 

 

『蜘蛛さん、これどう言う状況ですか?』

『私もよくわかってない』

 

私が中層入り口近くのホームに帰ってきてみたら蜘蛛さんと蜘蛛さんの体担当とあの昔来た魔法使いがいた。

 

『よくわからなさ過ぎて無視してる。だから放置でいいよ』

『アッはい』

 

 

その後は蜘蛛さんの産卵スキルで産んだ蜘蛛達と戯れたり、魔法の練習をしたり、例のシステム外魔法を強化し続けたり、龍力が神龍力になったり、蜘蛛さんのスキルの龍結界をまねしてゲットできないか試したりした。

 

 

蜘蛛さんが完全復活をした。

私は進化した。

何言ってるかわかんないと思うけど進化した。

うん。

実は迷宮に帰ってきた時点でレベルが19まで行っててその後地竜一体倒したらレベル上がって20になって進化できるようになった。

進化した。

そしてスキルを得た。

名は『裏返り』

そのまま。

ついに、ついに!

食事以外で裏返ることができるようになったのです!

やったね!

魔法使いのおっさん、略してまっさんは驚いてたよ!

 

蜘蛛さんが完全復活したから行動することになった。

 

エルロー大迷宮から転移する。

とりあえず街の遠くに転移して万里眼で様子を見る。

なんか兵士の数が多い?

次、吸血っ子は?

うんうん、元気だね!

 

『これどっかで戦争起こってるかも』

 

え、

 

『マジすか蜘蛛さん』

『とりあえず街に行ってみよう』

 

と、言うわけで私は闇ノ王で蜘蛛さんは隠密と隠蔽で誰にも気づかれることなく侵入成功。

そして住人の話を盗み聞く。

 

はい!戦争勃発確定だぁ!

 

うんうん、宗教戦争みたいだねぇ。

むかつくねぇ。

私達、戦争のダシに使われてるねぇ。

 

『私をダシに使うんじゃねーよ。』

『やりますか』

『やっちゃおう』

『とりあえず現場行きません?』

『いいね』

 

私達は街から延びる街道のうち一つ明らかに大人数が使ったぽい道をそのまま進んでいった。

蜘蛛さんに付いていくために怒の上位スキル憤怒まで使って。

いや、まぁこのね、スキルの狂いっぷりに慣れたというかもとより情緒不安定だったのでスキルで理性ぽーいしたところですぐ戻ってくるからね。要するに憤怒はノーコストハイリターンの強化スキルに成りあがったのだ!

あとは持ってるありとあらゆる強化系を全部速度にまわしてあと風魔法で自分を押して蜘蛛さんに頑張って追いついてる。

うん、まあ要するに。

ありえない速度ですっごい距離進んだ、もうこんな無理やり超速を出したくないよぉ。

 

戦争はまだ始まってないのかなぁ。

42000対53000みたい。

大規模過ぎないかな?

これ私達がダシに使われて起こった戦争?

なんかお腹が痛くなってきたぁ。

 

「我こそ〇オウツ国の国王、グシイスク・エメラ・オ〇ツである!」

 

お、なんかはじまったよ!

声でか!

 

「我が国に災禍を齎したる魔物を神獣〇〇い、あまつさえ我が国の同胞を件の魔物に生贄として捧げる悪魔の所業! 邪教徒よ、汝らの罪は万死に値する!」

 

うん?

なんかいろいろおかしいよねぇ。

人って怖。

 

「我はサリエー〇国の国王、ジギス・エ〇・サリエーラである!」

 

若い!

 

「神言の下僕どもよ! 貴様らの狭窄した視野で我らを邪教と罵るその傲慢さ! 我ら民を癒し、悪逆たる罪人に裁きを下す聖なる神獣〇〇〇した罪! 慈悲深き女神様が許しても、代わって我らが裁きの鉄槌を下す!」

 

うわー

 

「笑止! 魔物を崇める〇の精神は邪そのもの! 神言の神の御霊のもとに赴き、来世からやり直すがいい!」

 

うへー

そんなこと言うんか、ヘー。

 

「女神様の慈悲の心も知らず、神言な〇〇いうまやかしにうつつを抜かす! 貴様ら〇〇邪教ではないのか!?」

 

阿呆か。

 

「戯けが! 世界に神は神言の神のみ! 女神な〇空想の産物! 貴様は女神の声を聞いたことがあるか!?」

「ない! だが女神様の御〇は常に我らを見守ってくださっている! その御心に応えることこそ我ら女神教の使命!」

「それが魔物と肩を並べることか!?」

「彼らは良き隣人である! 〇〇を信用することのどこが悪いのか!?」

「魔物であるからだ!」

「では貴殿が〇〇〇身を預けているのはなんだ!?」

「これは道具よ!」

「それこそ戯言! 人は魔物と手を取り合い、いつの日か降臨される女神様とともに魔族を撃滅するのだ! それこそが約束された聖戦! 女神様の救いなのだ!」

 

は?

これどっちも滅ぼしちゃっていいかな?

 

「魔物も魔族も魔に属するもの! 決して分かり合うことはできぬ!」

「魔族と魔物は違う!」

「同じよ! 我ら人に害をなす! これ以上の問答は不要! 皆のもの、哀れな邪教徒に裁きを!」

「迎え撃て! 偽りの神に踊らされた者共に、女神様の御慈悲を!」

 

両軍が前進し始める。

 

はー救えないなぁ。

女神がそんなの望むわけないでしょぉ。

女神は魔族も人も救おうと思ったんだよ?

 

神言教、ゴミだねぇ。

救えないレベルだわぁ。

 

神言教、つぶすか、まだ女神教のほうが筋が通ってるしね。

 

『ごー』

『レッツゴーです』

 

蜘蛛さんが合図と共に空間機動で飛び上がりながら暗黒魔法、暗黒界を発動する。

簡単に言うと深淵魔法を除けば攻撃力、範囲が最高の魔法。

撃たれた場所には何も残らない。

そんな威力をしときながら蜘蛛さんも私も簡単に発動できる。

とんだチートになったもんだよね。

次は私が土を操って土の杭を作って一方方向にぶっ飛ばす。

うお、すっごいレベルアップ通知来たよ。

今度はまた蜘蛛さんから闇魔法が発動する。

 

そして再び静まり返った大地に蜘蛛さんが降り立つ。

私も追いつく。

それと同時に錯乱した兵士が斬りかかってくる。

蜘蛛さんが適当な魔法で迎撃する。

サリエーラ国の兵士の頭が飛ぶ。

 

あーこの展開聞いたことがあるようなぁ。

あ、たしか昔蛇戦の時に例えとして使ったんだ。

あーあの頃は弱かったなぁ。

今やこれかぁ。

とりあえず今ので両方敵になったってことでいいのかな?

 

あーサリエーラ国の兵士が魔法撃ってくるよー

蜘蛛さんが神龍結界とかでかき消してるけど。

次に蜘蛛さんから左右に雷の閃光が瞬く。

 

おそろしいわー私が蜘蛛さんに勝とうとしても蜘蛛さんの素のステータスが高すぎて蜘蛛さんがスキルを使わなくても負けるだろうなぁ。

頑張って追いつかないとぉ。

とりあえず暴風魔法を改変して風を操って広範囲の空気を圧縮。

それを一方方向に解き放つ。

数秒おいて轟音が鳴る。

 

また1人、無謀にも私達に斬りかかってこようとする奴がいる。

え、子供?

この子速度早めだねぇ?

 

「化物、僕が相手だ!」

 

え、っと鑑定鑑定。

は?

勇者?

え、いやいや弱いけどさ、この辺の人間よりよっぽど強いよ。

でもね、子供だよ?

 

あ、ちょっと震えてる。

可哀想に。

勇者さんが剣を横に薙ぐ。

蜘蛛さんと同時に躱す。

 

なんか蜘蛛さんが将来育ってからつぶしたほうが経験値高そうとか思ってそう。

 

ん、なんかでっかい魔法を感知。

勇者くん巻き込んじゃうじゃん。

 

『転移で逃がそう』

『了解です』

 

蜘蛛さんが転移の魔法を構築する。

不味い蜘蛛さんの構築より向こうのほうが早く終わっちゃう。

もう撃ってきたぁ。

 

広範囲を焼き尽くす炎が着弾する。

 

一瞬間に合わなかった中蜘蛛さんは転移する。

 

 

エルロー大迷宮に戻ってきました!

急いで勇者さんを治療する。

 

ついでとばかりに蜘蛛さんが勇者さんのマフラーを直してる。

面白そうだから私がマフラーに龍結界の劣化模倣版と大量の魔力を付与する。

うん!これで剣だけでなく魔法にも耐性が上がったねぇ!

何やってんだ私。

 

「む!? この少年、勇者!?」

 

まっさんが私達に気づいた。

勇者さんを鑑定したのかな?

 

ん?

なんか蜘蛛さんが悪だくみしてそうな気配がする。

何考えてるんだろ。

 

『進化する』

『{あいよー}』

『はーい』

 

 

 

蜘蛛さんからミシミシ音が鳴ってにょきっと体が生えてくる。

 

『おわった』

 

蜘蛛さんが進化完了したのを教えてくる。

 

『すっごい絵面でしたね』

『へんな感じだった』

 

なんかまっさんが蜘蛛さんを祈ってる。

何やってんのかな?

 

『私の状態を小説風に描写するとどんなん?』

『片や真っ白な蜘蛛、片や蜘蛛から生えるかのように真っ白い美しい全身が白く眼だけが赤い女性が合体した魔物、でしょうか?』

『なんか変な感じの表現』

『それは同意です』

 

そんなことを会話してる間に蜘蛛さんは神織糸で服を軽く作っていく。

 

「う、美しい」

 

おっさんが呟く。

それ超同意ぃ。

 

「あ、あー」

 

蜘蛛さんが発声練習をする。

 

『どうやって話そう』

『それを私に聞きますか!?』

 

私がわかるわけないよぉ。

まっさんが蜘蛛さんをガン見してる。

 

「コ、コ」

「こ?」

 

蜘蛛さんが話し始める。

 

「コンニチハ」

 

人のこと言えないけどこれはひどい。

なんか蜘蛛さんが悶えてる。

 

「コレ」

「カエス」

 

わーカタコトだー

ありえないほどカタコトだぞー

え?

私?

まず会話することも難しいと思うよ?

 

「お尋ねしてもよろしいでしょうか? この少年は勇者とお見受けしますが、なぜあなた様と一緒に?」

 

あーこれ蜘蛛さんが困るやつだぁ。

助け船?

出せるわけないよ。

 

「ヒロッタ」

 

おお、よく考えたな蜘蛛さん

 

「は、はあ?」

 

あ、訳わからんよね。

 

「イッショ、カエル」

 

蜘蛛さんが勇者さんとまっさんを交互に指さしながら言う。

 

「つまり、儂にこの勇者を国に送り届けろと、そう仰られるのですな?」

 

お、伝わった。

 

「では、無事この勇者を送り届けることができた暁には、私めを弟子にしていただけるのですか?」

 

あ、なんか逆に笑えてくる。

 

「シショウ」

「デシ」

「オシエル」

 

あー蜘蛛さんはまっさんに勇者さんの師匠になれって言ってるのかな?

 

「儂に、勇者を育てろと?」

 

蜘蛛さんがまっさんの言葉に頷く。

あ、すげえ、伝わった。

 

「あい。分かり申した。あなた様の深遠なる考えは儂如きには見通せませぬが、きっと深い意味がおありなのでしょう。あなた様より拝命しましたこの使命、見事全うしてみせることを誓いまする」

「それでは、名残惜しいですが、どのような理由であれ勇者をこのままにしておくこともできますまい。すぐに発ちます。願わくは、今一度お目にかかれることを期待しております」

 

勇者くんを抱えて転移でまっさんが去る。

 

『お疲れ様です、イテっ!なんで殴ったんですか蜘蛛さん??』

 

いやほんとなんで?


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