よまわりさんって戦えるっけ。   作:銀ちゃんというもの

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何この機能面白い



よまわりさん、畏れられる

白さんに強制転移させられた先は森の中だった。

辺りには白さん、魔王さん、寝てる吸血っ子と護衛がいた。

 

『白さん、突然転移してどうしたんですか?』

「あそこで会話するのはあれだから吸血っ子と護衛を攫ってきた」

『ああ、なるほど』

 

そう話してる間に白さんがパクってきたと思われるものを空間収納にポイポイ入れていく。

次に同じくパクってきたと思われるテントを張ってパクってきたと思われる食材で料理を作り始めた。

魔王さんと私は目を輝かせてお座りする。

 

完成した料理を食べてると護衛の人が目を覚ました。

一瞬私を見て怖がってたけどしょうがないね、通常でさえ怖い見た目してるのに今なんて食べるために裏返ってるからね。

そういえば魔王さんが護衛を鑑定した結果名前はメラゾフィスとか言うみたい。

火の玉っぽい。

メラさんでいいや。

 

「ここは?」

「適当な森の中。ゆっくり話もしたかったから勝手に眠らせて連れてきちゃった」

「そう、ですか」

 

うわすっごい警戒してる、そりゃそうか。

 

「助けていただき、ありがとうございます」

「どういたしましてー。まあ、君はついでなんだけどねー。本命はそっちの子」

 

魔王さんが吸血っ子を指差す。

 

「いくつか、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「いいよー。答えられるものは答えてあげる」

「街は、いえ、領主様と奥様は、どうなったのでしょうか?」

 

魔王さんが白さんを見る。

白さんは首を横に振る。

 

メラさんが白さんの反応で察して声を押し殺して泣く。

 

「お見苦しいところをお見せしました」

「イヤ。誰かのために流す涙が見苦しいわけないさ」

「もう1つ、私の他にもう1人お嬢様お付の女の従者があの場にいたはずですが、ご存知ありませんか?」

「それは君も見たでしょ?彼女は死んだよ」

「そうですよね」

「では、改めてお聞きします。あなた方は、いったい何者ですか?」

「じゃあ、こっちも真面目に答えようか」

 

魔王さんから感じる威圧が増す。

メラさんの全身から汗が飛び出る。

森の生物が一斉に遠ざかっていく。

 

「私は正真正銘本物の魔王。魔王アリエルです。以後よろしくお願いします」

「魔王。魔王が、なぜ?」

「うーん。白ちゃん、どうしよっか?」

 

白さんが頷く。

魔王さんが威圧を解いて話し始める。

 

「では説明致しましょう」

「とあるこの世界のドアホがバカをやらかしてね、別の世界に迷惑をかけちゃったんよ」

「は?」

「まあ、聞いて。その別の世界の若者たちがこっちの都合で何人も死んじゃったわけ。んで、それに責任を感じた神様がその時に死んだ彼らの魂を拾って、この世界に新しく生まれ変わらせたの。曰く、転生者」

「はぁ」

「彼ら転生者は前世の記憶を持ったまま生まれてくる。おまけに神様からボーナスももらってね。それでかどうかはわからないけど、君らを襲った連中は転生者を狙っているようなんだよねー」

「あの、そのお話とどう関係が?」

「おや? 察しが悪いねー。つまりね、そこのお嬢ちゃんこそ、その転生者の1人なんだなー」

「っ!?」

 

メラさんの顔が驚きに染まる。

 

「むうー。信じてないね?」

「さすがに、このような根も葉もない話は信じられません」

「そうかな? 心当たりはないかな? このお嬢ちゃんは他の赤ん坊に比べて妙に物分りが良かったりしない? 赤ん坊にしては奇妙な行動をしたりは?」

「それは」

「ありますって顔だねー」

「あと、気付いてると思うけど、お嬢ちゃんは人間じゃない。吸血鬼だよ」

「やはり、そうなのですか?」

「うん。ちなみに君もね」

「あの時、夢現にお嬢様に噛まれたのは、現実のことだったのですね」

「そう。お嬢ちゃんは神様から吸血鬼のスキルを貰ってたようだね。だから生まれつき吸血鬼だった。どうもステータスを見るにそれを分かったうえでいろいろ試行錯誤してたっぽいねー」

「それは?」

「記憶だの演算処理だののスキルがあるから、なんとか自分が吸血鬼であることを隠す方法でも探してたのかな?」

「あなたは、鑑定のスキルを持っているのですか?」

「鑑定レベル10。すごいでしょ?」

 

魔王さんがどや顔してる。

 

「まあ、詳しくはお嬢ちゃんが起きた時に一緒に確認すればいいよ。ちなみに、今回お嬢ちゃんを助けたのは一応縁があったからね。そっちの白ちゃん、転生者なんだ。あと一応そこの化け物、よまわりさんも理由が違うけど一応転生者だからね」

 

メラさんが白さんとわたしをみつめてくる。

さすがに裏返った私は怖いだろうから黒い元の私に戻っておく。

いや、どっちも本当の姿なんだけどさ。

メラさんは私が裏返った瞬間一瞬恐怖を顔に浮かべる。

私一応妖怪じゃないから畏れられても元気にならんのかな?

ようわかんないな?

こんど検証してみようかなぁ。




果たして現世がこの会話にいる意味があったのか・・・なかった!

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