これまでのおはなし
更新も途絶えたのに後日談ページだからと言うのも在り
いまひとつ完結で締めるタイミングが無いままずるずる
と来た現状なのですが
「きっとこれは、ジュラル星人の仕業に違いないッ」
泉研少年の卓越した推理力が陰謀を感じ取りました
「ふふふふ、こうして完結させずに置いておく事で、
ハーメルンの鯖に負担をかけ、ゆくゆくはインター
ネット自体を崩壊させ世界を混乱に陥れる」
「そうなってしまえば地球征服も容易い事よ」
「そうはさせないぞジュラル星人ッ」
「チャージング、GOーッ!」
「ああッ、貴様はチャージマンッ」
チャージマンのアルファガンから光線が放たれる!
「グアアアアァッ」
「グアアアアァッ」
こうしてチャージマン研の活躍により、地球侵略を計っ
たジュラル星人も全滅し、地球に平和が戻ったのです
『万愚節番外 とは言う物のいつも通りで』
何故か1年ぐらい経過してしまった様な気がする居酒屋鳳翔。
そんな時空が歪んでいる店内に、青い一航戦が座っていた。
カウンターには空いたお銚子が並び、空いた皿には肴の痕跡。
「そう言えば龍驤」
頼んだ料理の8割を横から強奪された提督が泣いている横で、
どこか満足気な表情の加賀が、料理艦へと声を掛けた。
「沖縄では、呑みの締めにはビフテキを食べるそうですね」
「遠回しの様で直球の要求やな」
ブルネイはイスラム圏の国であり、南国である。
豚肉は控えられ、鶏肉と羊肉が盛んに流通している中で、
特に流通に問題の無いはずの牛肉が、これが微妙に売れていない。
単純に、暑すぎて環境が牛の畜産に向いていないからだ。
なので微妙な品質の肉が、割高で流通しがちである。
「こちらでは食べる機会があまり在りませんが」
何か食べたい気分に成ったから作れと。
堂々と告げた表情にイラッと来た軽空母が鉄の爪で顔を絞る。
そのままカウンターに轟沈させつつ、繋ぎでビール瓶を置いた。
「ビフテキってのがわからんが、ステーキの略だったか」
そのままの流れ、手酌で自分と加賀の杯にビールを注いだ提督が、
今日日中々聞く機会の乏しい、廃れた単語について問い掛ける。
「略と言えば略やな、ビフテック、フランス語や」
フランスのビフテック、イタリアのビステッカ、それらの単語の元は
英語のビーフステーキであり、略と言えば略である。
「そんな略語が明治時代に入ってきて、ビフテキと定着したわけや」
芋を茹で、牛肉の塊を切り分けながら龍驤が語る。
明治政府が公式の食事をフランス料理に指定し、洋食が生まれ、
フランスを主体とした様々なレシピと単語が入って来た時代。
中でビフテック、入ってきた当初は暫く、かなり後までも表記揺れ、
例えば夏目漱石などはビステキなどと書き記したりもしていたが、
その内に、ビフテキと単語が纏まっていった。
「んで昭和の末期、ファミリーレストランの流行のせいでな」
様々なご家庭が、メニューのビーフステーキと言う名称に触れ、
若年層から次第にビフテキと言う単語が書き換わっていったと。
「平成30年かけて、完全に単語の世代交代が行われた感じやな」
言いながら一口大に切り分けた牛肉に塩胡椒を振り、
ボウルの中でオリーブオイルを絡め、そのままフライパンに乗せた。
「佐世保のレモンステーキみたいだな」
「実はウチらの時代のお家ステーキは、こんな感じやったんや」
店や軍では1枚肉の事も多かったけどなと、少し笑う。
1枚肉のビフテキが無いわけでは無かったが、所謂家庭の洋食、
比較的富裕層での話ではあったが、ビフテキは切り分けた肉であった。
「ふむ、何か理由があったのか」
「切っておかないと、箸で食べられないじゃないですか」
提督の疑問に、横から復活した加賀が応える。
「1枚主流成ったんは高度成長期、んで先のファミレスからやな」
何かの契機、と言うよりは様々な影響の果てと言うべきか。
進駐軍の影響も大きく、後にダイエーに因る精肉の流通革命から、
ビフテキ用の1枚肉、と言う物が食卓の横綱として君臨する。
言いながら料理艦は肉を皿に盛り、空いたフライパンに芋を入れる。
大量の芋を肉汁の混ざったオリーブオイルで焼き上げ、軽く味付け。
最後にせっかくだからと、薄切りレモンを乗せて。
そして大量の肉片と、それ以上に大量の芋を乗せた皿が出来上がった。
芋と肉のシンプルなワンプレートを、1人1艦の前に出しながら言う。
「ほいビフテキ、戦前仕様な」
ソースなど知った事では無いとばかりの乱暴なシンプルレシピに、
ま、まあこれはこれでと箸を持った提督が、少し間を置いて問い掛けた。
「米は」
「芋で食え」
肉と芋を口に放り込みながら、加賀も言う。
「米は」
「芋で食え」
大量の芋で肉を食う。
微妙に食卓で、洋食の位置が定まっていない時代のレシピであった。
(TIPS)
何か尺余りが在りそうな気がする、島風です。
本日は本陣絡みの任務の後、長波んXを誘いつつ遅めの夕食、
ガドン地区はナイトマーケットへと立ち寄ってみました。
「めっさ煙いな」
「屋内だからねえ」
屋根の下に百を越える屋台が立ち並ぶ夜市です。
雑貨屋なども多少在りますが、その大半は食事の屋台で、
生鮮食品なども置いていないので嫌な臭いはしません。
ただ、容赦なく屋台が調理の煙を上げるので。
「腹が減る匂いではあるんだがなあ」
心の声を長波茶カロリー増しが代弁してくれました。
そんなわけで、とりあえずは飲料の確保から行ってみましょう。
カラフルなプラコップが並べられた飲料屋台にお邪魔します。
既に氷を詰めて飲み物を注ぎ、蓋をした状態で置かれており、
とりあえずショッキングなピンクのバンドンジュース。
バンドンシロップを割った物ですね、を買い取りつつ。
「む、何か良さげな屋台発見」
「並んでんなあ」
ジャカジャカと鉄板で好い音を鳴らしている炒め物の店。
店の前には軽く順番待ちの列が出来ていました。
これは期待できる。
並んでみれば、カンビンの鉄板屋台でした。
カンビンはマレー語で山羊の事で、
山羊肉の臭み消しに大量のスパイスをぶち込んだ料理です。
けど、ブルネイでは羊肉を使う。
日本でも北の方では豚串を焼き鳥と言う様に、
ブルネイでは羊肉のスパイス炒めをたまに山羊肉と言うのです。
暴力的な香りの鉄板からごっそりと羊肉を掬い取り、
カオカオ米の上に容赦なくぶっかけて3ブルネイドル。
こすとぱほーまんすがすごいですね。
そして温かい料理が乗った紙袋的な皿擬きを抱え、
長波んと一緒に、近場の食事用の席に移動しました。
さあ夕食だ。
「ああこれはアレだな、カレー寄りのジンギスカン丼」
「とは言え少しまろやかだし、ココナツかな」
何にせよ、美味しい事に違いは無い感じの食事です。
「うあ、バンドンが強いぃ」
対し、合間に口にしたバンドンジュースはキツかったです。
「無茶苦茶バンドンシロップが前に出て来てんなあ」
「まあ、疲れた身体に甘い物は嬉しいけどねえ」
でもちょっと、もう少しだけどうにかならなかったのかと。
今日はそんな、一勝一敗の屋台ご飯でした。