そしかい後   作:とましの

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4話 工藤新一

俺の名前は工藤新一。数々の事件を解決してきた高校生名探偵さ! 黒の組織を壊滅させて元の生活に戻った俺は安室さんと共に赤井さんを探し始めた。

毛利探偵事務所を後にした俺たちはベルモットと遭遇。彼女から住所の書かれたメモを渡され、事件が起きたことを告げられた。慌てて駆けつける俺と安室さん。

 

だが事件の捜査をする俺の知らないところで、安室さんは赤井さんを見つけていた。

 

 

規制線の貼られた二階建て一軒家から意識のない男性が運ばれていく。事件当時、現場にいたのは被害者である男性と五歳の少女だけだった。

そのため警察は事故で処理をするつもりらしい。事故の原因も男性が足を滑らせた為だと結論づけている。

 

だが何かひっかかる。

ただの事故ならベルモットがわざわさ知らせたりしないだろう。だとしたら被害者は黒の組織と関係する人間なのか?

 

俺は全力で推理を展開させながら五歳の少女を眺めた。

現場となったのは屋内の階段。そして階段の正面にある玄関で俺はビー玉をいくつか見つける。

 

階段から落ちて意識のない父親は既に救急車で運ばれている。遠ざかる救急車のサイレンを聞きながら俺は少女に話しかけた。

「君のママはどこにいるの? パパが救急車で運ばれたこと教えないといけないんだけど」

そばで肘をついて問いかけると少女は首を横へ振った。

「パパじゃないよ」

俺の問いかけに少女はきっぱり言い放つ。そんな少女が気になって、俺は確認のため少女の袖を引き上げた。そうして無数のアザを確認すると撤収しようとする警察官を見上げる。

 

少女に虐待の疑いがあることを教えると、警察官たちは無線で確認を始めた。

するとすぐに今回の被害者に暴行障害の前科があることがわかる。

 

ベルモットが俺に伝えたかった「事件」は、階段から転げ落ちる事故じゃなく少女の虐待なのかもしれない。

そんなことを思いなから、俺は少女を連れて立ち去る警察官たちを見送った。

 

その頃には周囲の野次馬も消えていて、残っているのは安室さんと赤井さんだけだった。

 

不機嫌と落胆をまぜたような顔の安室さんが俺を睨み付ける。

「事件は? 警察が引き上げていったようだけど」

「事故ですよ」

 

真実は常にひとつしかない。ベルモットが「事件」だと言った出来事は警察によって事故として片付けられるだろう。誰も真実を知らないまま。

 

「本当に事故だったのか?」

八つ当たりめいた安室さんの問いかけに、俺は肩をすくめて返した。

安室さんの機嫌の悪さは赤井さんのせいだろう。それはわかるが、八つ当たりするような人だとは思わなかった。

あるいは「コナン」だった頃は、安室さんも相手は子供と手加減していたのかもしれない。

 

「ところで赤井さん見つかったみたいですね」

 

話題を変えながら赤井さんへ視線を向ける。するとなぜか赤井さんの視線が俺から背けられた。

 

その違和感について問いかけようとしたところでジョディ先生がやってきた。

慌てた様子で駆け込んできたジョディ先生は赤井さんの左腕をつかんで引き下げる。安室さんから遠ざけるような行動の後に、笑顔を俺たちに向けた。

 

「こんにちは、工藤君。こんなところで何をしてるの?」

「ちょっとした事件があったんで寄っただけですよ。ジョディ先生のほうこそ、マンションはこの辺りじゃありませんでしたよね?」

 

ベルモットが教えてくれた事件の現場に赤井さんが居合わせたなんて、そんな偶然はありえない。

だとしたらベルモットは最初から事件ではなく赤井さんの居場所を伝えたかったのか。

そんなことを考えながら俺は横目に安室さんを一瞥した。だが何を言わずにジョディ先生へ目を戻す。

 

「えっと、引っ越したのよ。けどもうすぐ母国に戻る予定だから今のマンションもすぐに引き払うんだけどね」

「と言うことは、赤井さんも米国へ?」

「ええ、シュウも帰国して……しばらくは静養することになるんでしょうけど」

静養すると言う言葉に引っ掛かった俺は改めて赤井さんを見やる。だが怪我をしたような様子は今のところ見られない。

 

「どこかケガをしたんですか?」

 

俺の問いかけにジョディ先生の顔がわずかにこわばる。そうしてわずかに瞳を揺らしながら、次に作り笑いを浮かべた。

「組織を壊滅させた時に少しケガをしてね。原因はわからないんだけど、解離性健忘になってしまったの」

「記憶喪失……?」

ジョディ先生の説明に安室さんが眉を潜める。もちろん俺も簡単には信じられない。

そんな俺と安室さんを前にしてジョディ先生は大丈夫よと言い出した。

「抜け落ちてるのはここ数年のことだから、捜査員としての知識はあるわ。だから本国で静養したらすぐに復帰できると思う」

「本当なのか赤井秀一」

対応すべてを引き受けようとするジョディ先生には目を向けず、安室さんは赤井さんをまっすぐに睨んだ。

だがいつもなら笑顔で返してくる赤井さんは、その片鱗も見せない。

 

そんな赤井さんの反応に、安室さんもやっとのことで諦めがついたらしい。

俺たちに背を向けると歩き出してしまう。立ち去る安室さんの背中を目にした俺は改めてジョディ先生へ目を戻した。

「帰国する日が決まったら教えてくれよ。見送りにいくからさ」

「ええ、わかったら連絡するわ」

笑顔のジョディ先生と別れた俺は立ち止まらない安室さんを追いかけた。

 

 

 

 

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