Armored Core Faded world 作:四十三又槍
それからどれくらいの時間、地面を見つめていただろうか。空は色を失い、黒く染まりかけていた。例えるなら、あのACのような色。もう何もしたくない、このままずっとここに居たい。そうさえ思ってしまうが、そういうわけには行かない。
戦闘があれば、それに
ジャックは落下の衝撃で緩んだハンガーからACを取り外し、コクピットに乗り込んだ。もしかすると、ジャックの操縦できる防衛型や車両と操作は似ているかもしれない。そう、ジャックは思っていた。だが、現実は非常なもの。ACのコクピットにあるのは、防衛型や車両にあるようなハンドルやレバーの類ではない。端末に付属させるような、キーボードによく似た操作盤だった。
「どうすりゃいいんだよ……全く」
足元や操作盤の横に多種類のレバーがあるが、一目でアクセルやブレーキと分かる物はない。確かにACのような複雑な動きはこうでもないと再現できないかもしれない。たが、少なくとも咄嗟に動かせる代物でないことも確か。半ば諦めて肩を落とすジャックだが、との時脳裏にある可能性が閃いた。ジャックはコクピットを這い出ると、ミグラントの通信車両に入り込んだ。大部分が破壊され、内部は砂まみれになっている。念のため無線機を取ってみたが、もちろん聞こえるのはノイズだけ。悲しい事だが、それは予想通り。
車両のアンテナだけは幸い無事だったので、そこから有線で端末を接続した。端末から検索するのは、MoHの傭兵求人のサーバー。ミグラントの中でサーバーを公開しているのはごく僅かで、MoHは傭兵とクライアントとの仲介をしている。
傭兵稼業は、ミグラントの勢力が一団となって参加するタイプと、ACパイロットが単独で参加するタイプの二種類がある。その中でもACパイロットは総数が少ないので、MoHはプログラミング言語のように操作説明を載せている。それを見れば行けるのでは? とジャックは考えたのだった。操作説明を開くと、そのままコクピットに向かう。
崩れた姿勢を立て直すため、姿勢制御の方法を調べた。すると、ACの操作は思ったより簡単で、マニュアルを見ながらだが数十分で立て直せた。脚部の操作も時間はかかるが、どうにか様になってくる。
「なんだ、存外大したことねえじゃんかよ……」
そうは言えど、周囲はもう完全な暗闇。システムを暗視の可能なスキャンモードに切り替えると、移動を開始した。慣れない動作に、何度も途中で躓きそうになるが、ここは危険地帯。燃料の関係でブースターさえ吹かせないが、迅速に向かわなければいけない。必死に機体を進め、HUGE CANYONの山丘が見えてくる。ジャックたちのガレージは、ある山のふもとにある。
ただ、ミグラントで使っているといっても、所詮は廃棄されたガレージを勝手に基地として使っていただけ。破損した機体を修理する時以外は、大部分を日用生活に使っていた。
そんなガレージでも、今までは騒がしいくらいの仲間が居た。だから粗末さなんて微塵も感じなかったが、今はもうジャック以外誰もいない。粗末さは尚更、空虚ささえも浮き彫りにされていた。
「……はぁ、最悪だな」
仲間が死ぬのには、もう慣れかけていた。今までだって、戦闘で仲間が死なない事なんて余程運が良くなければ無かった。それでも、一気に誰も居なくなった。その突然やって来た孤独と、空虚さだけは誤魔化せない。それにしても、これからどうしようか。頼れる仲間はもう誰もいない。食料だって、AUだって限られている。いくら考えても、分からなかった。
ガレージにACを止めるとジャックは考えるのをやめて、身体をベッドに投げ出した。